【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介

「特定技能外国人を採用すると、結局いくらかかるの?」

特定技能外国人の受け入れには、初期費用(イニシャルコスト)と継続費用(ランニングコスト)の2種類があり、採用方法によって30万〜200万円以上と大きな幅があります。

この記事では、特定技能外国人の受け入れにかかる費用を項目別に徹底解説します。

  • 初期費用・継続費用の詳細と相場
  • 海外採用・国内採用・技能実習からの移行など、ケース別の料金シミュレーション
  • 本人負担が認められる費用と法令遵守のポイント
  • 技能実習との費用比較
  • 採用コストを削減する具体的な方法 

人材紹介会社や登録支援機関への支払い、在留資格申請費用、住居費用など、見落としがちな費用項目も含めて網羅的に解説していますので、特定技能外国人の採用を検討されている経営者・人事担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!

特定技能外国人の受け入れにかかる費用の全体像

それでは、特定技能外国人の受け入れにかかる費用の全体像を最初に整理しておきましょう。

初期費用(イニシャルコスト)と継続費用(ランニングコスト)

特定技能外国人の受け入れには、日本人採用とは異なる費用構造があります。

日本人を採用する場合、一般的には入社時に人材紹介会社へ紹介手数料を支払えば、採用に関わる費用負担は完了します。しかし、特定技能外国人の場合は「初期費用(イニシャルコスト)」「継続費用(ランニングコスト)」の2つのタイミングで費用が発生する点が大きく異なります。

初期費用とは、特定技能外国人を採用し、日本で働き始めるまでに発生する一度限りの費用です。主な項目として以下が挙げられます。

  • 人材紹介会社への紹介手数料
  • 送り出し機関への手数料(海外から採用する場合)
  • 在留資格の認定・変更申請費用(行政書士委託費用含む)
  • 渡航費用(航空券代)
  • 住居の初期費用(敷金・礼金・家具家電等)
  • 健康診断費用

これらの費用は採用方法や採用する人材の状況によって大きく変動します。海外から採用する場合は50万〜100万円程度、国内から採用する場合は30万〜60万円程度が目安となります。

一方で継続費用とは、特定技能外国人が働き始めた後、雇用期間中に継続的に発生する費用です。主な項目として以下が挙げられます。

  • 給与・社会保険料などの月額人件費
  • 登録支援機関への支援委託費用(月額2万〜3万円)
  • 在留資格の更新申請費用(1年または3年ごと)
  • 協議会への年会費(建設業の場合等)

継続費用の中でも特に登録支援機関への支援委託費用は、特定技能制度特有のコストです。自社で義務的支援をすべて実施できる場合を除き、多くの企業が登録支援機関に委託するため、月額2万〜3万円程度の費用が雇用期間中ずっと発生します。

加えて、採用予定の外国人材の国籍(送り出し機関の手数料有無)や業種(協議会の会費

有無)、採用する人材の居住地(国内or国外で渡航費等が発生)によっても、費用項目・金額が変動します。

このように、特定技能外国人の受け入れ費用は「どこから」「誰を」「どの業種で」採用するかによって、初期費用で20万〜100万円、年間の継続費用で24万〜40万円程度と、大きな幅があります。

自社の状況に合わせた正確な費用シミュレーションを行うことが、予算計画において非常に重要です。次のセクションでは、各費用項目の詳細と相場について解説していきます。

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【初期費用】特定技能外国人の採用時にかかる費用

それでは、特定技能外国人を雇用する際に発生する初期費用について、項目ごとに詳しく見ていきましょう。初期費用は採用方法や人材の状況によって大きく変動するため、自社のケースに当てはまる項目を確認しながらお読みください。

人材紹介会社への手数料・相場(20万〜80万円)

人材紹介会社や登録支援機関を通じて特定技能外国人を採用する場合、紹介手数料として20万〜80万円程度が発生します。

料金体系は日本人の場合であれば、年収の35%などという金額が手数料となりますが、特定技能外国人の場合、固定料金制を採用している紹介会社がほとんどです。例えば、「1名採用につき30万円」といった形で明確な料金設定がなされています。

紹介手数料は、人材紹介会社や登録支援機関によって大きく異なります。なので、必ず複数の紹介会社から相見積もりを取り、料金設定の根拠やサービス内容を比較検討することをおすすめします。

まれに、紹介手数料が0円という事業者もありますが、その場合は外国人材本人から手数料を徴収している可能性が高いため注意が必要です。そのため、入社する際に数十万円もの借金を抱えてしまっているというケースもあり、入社後のトラブルや早期離職の原因となりますので気をつけましょう。

求人広告を利用する場合の注意点

紹介会社を活用しない場合でも特定技能外国人を採用できるケースはあります。例えば、Indeed等の求人広告サービスを活用する場合が該当します。

Indeed等の場合、掲載期間やクリック数に応じて費用が発生します。応募や内定がゼロでも広告費用は発生するため、外国人採用のノウハウがない状態で広告を出稿すると、費用だけがかさむリスクがあります。

自社で採用する場合・技能実習生を移行する場合

自社の採用サイトやSNS等で直接募集する場合、紹介手数料は発生しません。ただし、初めて外国人を採用する企業の場合、応募が全く集まらないケースも多いため、人材紹介会社の活用をおすすめします。

また、自社で雇用している技能実習生(2号・3号)を特定技能1号へ移行する場合も、紹介手数料は不要です。これは最も費用を抑えられる採用方法といえるでしょう。

ハローワークは無料で求人掲載できるため活用を検討する企業も多いですが、特定技能外国人の場合、ハローワーク経由での応募はほとんど期待できません。多くの外国人求職者は、母国語対応している人材紹介会社やFacebookをはじめとするSNSを利用するためです。ハローワークだけに頼ると、いつまでも応募が来ないという事態になりかねませんので、複数の採用チャネルを組み合わせて募集活動を行うことをおすすめします。

技能実習からの移行については「【意外な落とし穴?】技能実習から特定技能へ移行するための手続き・注意点は?」の記事もぜひ併せてご覧ください。

送り出し機関への手数料・相場

海外に在住する外国人を特定技能として採用する場合、送り出し機関への手数料が発生するケースがあります。特に注意が必要なのは、二国間協定により送り出し機関の利用が義務付けられている国からの採用です。

日本政府と送り出し国との間で締結された二国間協定(MOC)により、以下の4か国からの採用では送り出し機関の利用が義務となっています。(参考:公益財団法人国際人材協力機構

送り出し機関を利用する場合、手数料が請求されることがあり、国によって異なりますが、採用する外国人の給与1か月分〜3か月分が相場です。(参考:日本への特定技能労働者提供契約と労働者派遣契約について

海外から人材を呼び寄せる際は、送り出し機関へ支払う手数料の総額を必ず事前に確認しましょう。想定外の費用が発生して予算オーバーとなるケースも少なくありません。

上記4か国以外からの採用では送り出し機関の利用は法的義務ではありませんが、出国前の準備として、現地行政機関への何かしらの手続きが必要になるケースがあります(例えば、インドネシアの場合、現地にて海外労働者管理システムSISKOTKLNに登録が必要です)。

二国間協定については、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【特定技能制度の二国間協定とは】特定技能送り出し国ごとの手続きをご紹介

ただ、窓口となる人材エージェントや送り出し機関によっては、国外からの採用であったとしても、送り出し手数料が一切かからない会社もありますので、ぜひ複数社から相見積もりを取ってご確認ください。

在留資格の認定・変更申請費用(行政書士委託含む)

特定技能外国人を雇用するには、出入国在留管理庁に対して在留資格の認定申請または変更申請を行う必要があります。

特定技能の初回の在留資格申請では、以下のような膨大な書類の準備が必要です。

  • 特定技能雇用契約書
  • 1号特定技能外国人支援計画書
  • 企業の財務諸表や納税証明書
  • 雇用の経緯に関する説明書

書類の数が多いだけでなく、記載内容も専門的で複雑なため、ほとんどの企業が行政書士等に申請業務を委託しています。

重要な点として、すでに特定技能の在留資格を持つ国内在住者を採用する場合でも、在留資格の変更申請が必須です。 特定技能外国人は技能実習と異なり転職が認められているため、転職するたびに新しい雇用主のもとで在留資格を申請し直す必要があります。つまり、国内採用・海外採用を問わず、必ず在留資格申請のプロセスが発生するという点を理解しておきましょう。

申請書類作成委託費用(在留資格認定・変更許可申請)は、約10〜20万円程度が相場です。

法律上、企業が自社で在留資格申請を行うことも可能です。しかし、初めて特定技能外国人を採用する企業にはおすすめできません。

不許可リスクが上がるだけではなく、書類に不備があった際の修正対応で時間がかかり、結果として許可が降りるまで数ヶ月に及んでしまうケースもあります。審査期間が長引くと、待ちきれなくなった外国人材が内定を辞退し、他社へ流れてしまう可能性があります。

そのため、人材を集める時と同じく、初めて特定技能外国人を雇用する場合は、多少費用がかかったとしても外部のプロに任せた方がスムーズに手続きが進むでしょう。

特定技能の転職については「【特定技能における転職】転職ができる条件や手続きなどをまとめて解説」の記事もぜひ併せてご覧ください。

渡航費用(航空券代)の相場と負担ルール

海外から外国人材を呼び寄せる場合、日本までの渡航費用(航空券代)が発生します。 

渡航費用は原則として本人負担が認められています。ただし、事前に本人との間で費用負担について書面で合意を得ておく必要があります。口頭での約束だけでは後々トラブルになる可能性があるため、雇用契約書や覚書に明記することをおすすめします。

しかし、送り出し機関が企業負担を条件としている場合では企業側の負担が求められる場合がありますので、ご注意ください。 

渡航費用は出身国や時期によって変動しますが、4万〜10万円程度が目安です。

一点注意が必要なのは、入国する時だけではなく、特定技能満了後の帰国時に、渡航費用を本人が負担できないケースにおいては、受け入れ企業側が負担しなければならないという点です。意外と見落としがちですので、ご留意ください。

送り出し機関については「送り出し機関は問題だらけ?認定要件や選び方を徹底解説します!」の記事もぜひ併せてご覧ください。

住居関連の初期費用(敷金・礼金・家具家電)

特定技能外国人の受け入れにあたり、企業は住居の確保を支援するケースがあります。

特に海外から入国する外国人の場合、日本に住居がないため、企業側で準備する場合が多くなる傾向があります。

入居時には炊飯器や洗濯機などの生活に必要な家具・家電の準備も必要です。必ずしも新品である必要はないので、中古品・リサイクル品を活用されるケースが多い印象です。企業によっては、配属初日に外国人本人と一緒に家電量販店やホームセンターで購入するケースもあります。

ただ、住居の確保についても、特定技能外国人本人が手配できるケースにおいては、住居の初期費用負担含めて本人に対応してもらうことも可能です。ただし、人材募集をする際には、福利厚生として家賃補助や住居確保を打ち出している企業の方が応募数を確保しやすい傾向がある点は留意しましょう。

住居支援の詳細や注意点については、以下の記事もご参照ください。▶︎ 特定技能外国人と技能実習生の住居は企業で準備?支援内容や住居ルールなどを解説 

健康診断費用

特定技能外国人を採用する際、健康診断の受診が必要です。

在留資格の認定・変更申請時に、3か月以内に受診した健康診断書の提出が義務付けられています。また、労働安全衛生法により、雇用開始時および年1回の定期健康診断の実施が企業に義務付けられていますので、特定技能外国人も当然ながら対象となります。

健康診断の費用は、1人あたり5,000円〜1万円程度が相場です。検査項目や医療機関によって金額は変動しますが、特定技能申請に必要な胸部X線検査を含む健康診断では8,000円〜1万円程度となります。

入社前の健康診断費用については、法律上は企業負担が義務ではありません。本人負担とすることも可能です。ただし、雇用開始後の定期健康診断(年1回)は労働安全衛生法に基づく企業の義務であるため、企業が費用を負担する必要があります。

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【継続費用】特定技能外国人の雇用で毎月・毎年かかる費用

初期費用の次は、特定技能外国人を雇用している期間中に継続的に発生するランニングコストについて解説します。継続費用は毎月または毎年発生するため、長期的な採用計画において重要な要素です。 

月額人件費(給与・社会保険料・福利厚生)

特定技能外国人に対して支払う給与は、同じ程度の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の金額である必要があります。

特定技能外国人は技能評価試験と日本語試験に合格した一定の経験・知識を有する者、または技能実習2号・3号を満了した者であるため、報酬に関しては日本人と同等水準以上が求められています。

また、福利厚生に関しても、当然特定技能外国人も対象となります。特定技能外国人のみ手当や福利厚生施設の利用ができないなど、差別的な扱いをしてはならないと法令でもしっかりと規定されています。

受け入れ企業や業種によって千差万別ですが、額面22〜30万円程度になるイメージです。

登録支援機関への支援委託費用(月2〜3万円)

特定技能外国人(1号)を受け入れる場合は、法令で定められた「義務的支援」を支援計画に基づいて実施する必要があります。

10の義務的支援一覧

この義務的支援に関しては、要件を満たした「支援責任者」と「支援担当者」の下で実施しなければなりません。自社で要件を満たした職員を専任できない場合は、「登録支援機関」へ支援を委託することが可能で、実際に多くの企業が登録支援機関を活用しています

登録支援機関に委託した場合は、特定技能外国人一人当たり2〜3万円の支援委託費が毎月発生してきます。この費用相場については、出入国在留管理庁のアンケート結果からも伺えます。

特定技能制度の支援委託料の相場_出入国在留管理庁
出典:出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の現状について

重要な点として、特定技能1号から2号へ移行した場合、義務的支援の実施は不要になります。 つまり、登録支援機関への委託費用は特定技能1号の期間中のみ発生し、2号に移行すれば月額2〜4万円のコスト削減が可能です。これは長期雇用を見据えた場合の大きなメリットといえます。 

特定技能1号と2号の違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎ 特定技能2号とは?1号・2号の違いや取得要件、試験について徹底解説!

在留資格の更新申請費用(1年または3年ごと)

特定技能外国人の在留資格には有効期限があり、継続して雇用する場合は定期的に更新申請が必要です。

特定技能1号の在留資格は、法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)で付与されます。改正前は1年ごとの更新が原則でしたが、2025年9月以降は最長3年の在留期間が付与される可能性があります。

初めて特定技能外国人を受け入れる企業の場合、まずは1年の在留期間が付与され、更新実績を積むことで2年、3年と長期の在留期間が認められるケースが多いと想定されます。 

在留資格の更新申請を行政書士や登録支援機関に委託する場合、1回あたり5万〜15万円程度の費用が発生します。

協議会(JAC・JAIM等)の年会費

建設業と工業製品製造業は特定技能外国人を受け入れる場合に追加の費用が発生します。

建設業で特定技能外国人を受け入れるには、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が義務付けられています。 年会費は24万円だけではなく、受け入れた特定技能1名あたり1.25万円の受け入れ負担金も毎月JACへ納める必要があります。(参考:一般社団法人建設技能人材機構(JAC)

同じく、工業製品製造業分野においても、一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)への加入が2025年度より義務付けられ、特定技能を受け入れる際には必ず加入しなければなりません。JACと同様に、企業規模に応じて3万円〜4.15万円の年会費が発生してきます。

JAIMの加入費用_一般社団法人工業製品製造技能人材機構
出典:一般社団法人工業製品製造技能人材機構「一般社団法人工業製品製造技能 人材機構への入会手続について

特定技能の費用で本人負担が認められているもの

特定技能制度では外国人本人負担でも良いものも存在します。以下にそれぞれ詳しくみていきましょう。

渡航費用(航空券代)

先に申し上げた通り、基本的には来日する際の渡航費用は本人負担で問題ないとされています。

そのため、二国間協定や送り出し機関からの要請がない場合は、本人としっかりと事前に話し合いをした上で、自費で入国してもらうことも可能です。

また、帰国する場合の渡航費用に関しても本人負担で問題ございません。(もちろん、帰国時に渡航費用を本人が工面できない場合は、受け入れ企業等で費用を貸し与える等の対応が必要です。)

この入国時と帰国時の渡航費用負担がないというのは、技能実習制度とは大きく異なる点となっています。

技能実習制度と特定技能制度の違いについては、以下の記事でも解説しています。
▶︎【特定技能と技能実習】7つの違いとメリット/デメリットを徹底解説

住居の準備費用

先に説明した通り、国外から呼び寄せる場合は本人が物理的に住居の準備ができないので、受け入れ企業が対応しなければならないと申し上げました。

しかし、国内在住者で自分で住居を準備できますという希望の特定技能外国人に対しては、特段受け入れ企業側が対応する必要はありません。もちろん、初期費用等も企業側が負担する必要もございません。

ただし、1名あたり7.5平米以上の居室が確保されているか、また契約時の日本語サポートなどは適宜確認と対応が必要になってくるケースがありますので、ご注意ください。

毎月の家賃に関しても、基本的には特定技能本人が全額負担でも問題ないこととなっていますので、こちらの点も技能実習とは大きく異なる点となっています。

健康診断費用や在留資格申請費用

入社前の健康診断費用(5,000円〜1万円程度)や在留資格の申請費用(10万〜20万円程度)についても、法律上は本人負担とすることが可能です。

「技術・人文知識・国際業務」や「永住」申請など、他の在留資格では外国人本人が行政書士に私費で委託するケースもあり、特定技能でも同様に本人負担が認められています。

ただし、自己負担項目が増えるほど求人の魅力が低下します。特に在留資格申請費用は高額なため、採用競争力を保つには企業負担とすることが一般的になっています。

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【料金表】ケース別の費用シミュレーション|結局いくらかかる?

それでは、費用相場がどのくらいになるのか見ていきましょう。

注意点として、採用経路や業種によって費用が異なってきますので、一つずつ整理していきます。

海外から採用する場合

国外在住者を採用する場合の費用相場は以下のようになっています。

費用項目費用相場
送り出し機関への手数料20〜60万円
入国時渡航費用4〜10万円
住居の準備費用初期費用全般(住居の家賃により大きく変動)
人材紹介手数料10〜30万円
在留資格申請費用10〜20万円
支援委託費用年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
在留資格更新費用4〜8万円

注意点としては、人材紹介手数料は送り出し機関への手数料に含まれているケースもありますし、国籍選定や事業者によってはそもそも0のケースもあります。

また、繰り返しにはなりますが、海外から日本に来る際の渡航費や住居の初期費用については、外国人本人負担にすることも可能ですので、必ずしも全ての企業が負担するわけではない点ご留意ください。

特定技能外国人の在留許可がおり、受け入れ企業で就労を開始してからは毎月の支援委託費用が発生してくることとなります。

国内から採用する場合  

国内在住者を採用する場合の費用相場について見ていきましょう。

費用項目費用相場
人材紹介手数料10〜30万円
在留資格申請費用10〜20万円
支援委託費用年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
在留資格更新費用4〜8万円

国外から採用する場合と比べて、送り出し機関への手数料と入国時の渡航費用がなくなる形になります。

特定技能外国人本人が望んだ場合は、住居の準備も対応が必要となり、別途費用が発生してきますのでご留意ください。

技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合

すでに自社で雇用している技能実習生を特定技能へ移行する場合の費用相場としては、以下のようになるでしょう。

費用項目費用相場
在留資格申請費用10〜20万円
支援委託費用年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
在留資格更新費用4〜8万円

当然ですが、人材紹介手数料が発生しません。

また、技能実習2号から技能実習3号へ移行する場合は、1ヶ月以上の一時帰国が義務付けられていますが、技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合は特段一時帰国の必要はありません。(技能実習の国際貢献という目的が形骸化してしまっていますが。)

注意点として、技能実習の場合は「送出管理費」という名目で、毎月提携の送り出し機関に対して0.5〜1.5万円の月額費用を支払うケースが大半ですが、特定技能の場合はその費用は必要ありません。技能実習のまましれっと請求され、支払い続けている事業者が結構いらっしゃいますので、ご注意ください。

建設業で特定技能を受け入れる場合

建設業の場合はかなり厄介です。

費用項目費用相場
人材紹介手数料10〜30万円
国土交通省申請費4〜8万円
在留資格申請費用10〜20万円
支援委託費用年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
業界団体の年会費24万円(JACの場合)
受け入れ負担金1.25万円
在留資格更新費用4〜8万円

詳しくは、こちらの一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の年会費と受け入れ負担金のページをご覧ください。

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【徹底比較】特定技能と技能実習の費用の違い

ここでは、特定技能とよく比較検討される「技能実習制度」での受け入れ費用を解説していきます。双方の費用構造を理解することで、自社に適した制度を選択する判断材料としてください。

月額以外の費用比較|特定技能 vs 技能実習

技能実習生を受け入れる場合、まず監理団体(協同組合)への加入が必須となります。

海外で面接を実施する場合は現地への渡航費用も発生します。 採用が決まると、来日前に母国で日本語教育や日本文化研修を実施するため、事前教育費が必要です。

また、技能実習計画の認定申請書類作成を監理団体に支援してもらう費用も発生します。 技能実習の場合は、住居の確保と生活必需品の準備に加え、渡航費用も企業負担が必須となっており、本人負担とすることはできません。

入国後は約1か月間、監理団体等が運営する「講習センター」で日本の法令や生活に必要な知識を座学で学びます。この講習費用と講習期間中の実習生への生活手当も企業が負担します。 また、1年目と3年目の終わりには技能検定試験の受験が義務付けられており、試験料や試験資材の準備費用も企業負担となります。

費用項目費用相場
組合加入費2〜5万円
面接渡航費(海外現地で面接する場合)10〜20万円
事前教育費2〜10万円
技能実習計画認定申請作成指導費3〜15万円
住居及び生活必需品の準備費初期費用全般(住居の家賃により大きく変動)
入国後講習費用6〜15万円
講習期間中の生活費6〜10万円
入国時の渡航費4〜10万円
技能検定試験料2〜4万円
技能検定試験資材費職種により変動
技能実習計画認定申請作成指導費(1年目→2年目)3〜15万円

技能実習と特定技能を比較した際に、「渡航費・住居確保」が必須である点と、監理費(組合+送り出し)が平均的に高く、技能検定試験の受験・準備が定期的に発生する点が異なります。

月額費用の比較|特定技能 vs 技能実習

継続的に発生する月額費用についても、技能実習には特有の費用構造があります。

技能実習の場合、監理団体への組合監理費として月額3万〜5万円が発生します。これは特定技能の登録支援機関への委託費(月額2万〜4万円)と同様の性質の費用ですが、相場がやや高めです。 

さらに、送り出し国の送り出し機関への送出管理費として月額0.5万〜1.5万円が必要となります。特定技能では送り出し機関への継続費用は発生しないため、この点が大きな違いです。 

つまり、技能実習では月額3.5万〜6.5万円の監理関連費用が雇用期間中ずっと発生します。特定技能(月額2万〜4万円)と比較すると、毎月1.5万〜3万円、年間で18万〜36万円ほど高額となる傾向があります。

費用以外の重要な違い|自由度・採用難易度・定着率

費用面だけでなく、制度の特徴も理解しておくことが重要です。

まず、転職の可否が最も大きな違いです。特定技能外国人は同一業種内であれば転職が認められていますが、技能実習生は原則として転職できません。このため、技能実習では人材の流出リスクが低い一方、外国人本人が不満を抱えても転職できず、モチベーション低下や失踪リスクにつながる可能性があります。 

また、即戦力性についても差があります。特定技能外国人は技能試験と日本語試験に合格した人材または技能実習を修了した人材であるため、即戦力として期待できます。一方、技能実習生は未経験者かつ語学力も低い傾向が多いため、入社後のは一定の教育期間が必要となるでしょう。 

入社後の監理の手間も異なります。技能実習では監理団体による定期監査、技能検定試験の受験手配、技能実習計画の更新申請など、継続的に発生する事務作業が多くあります。特定技能の場合、登録支援機関に委託すれば、企業側の事務負担は比較的少なく済みます。 

そのため、未経験者をじっくりと育て、転職のリスクを最小にしたい企業にとっては、多少割高になったとしても技能実習制度を活用した方がマッチするでしょう。一方で、即戦力かつ入社後の定着施策にしっかりと投資ができる企業については、特定技能制度が適しています。

自社の採用方針や事業計画に合わせて、最適な制度を選択するようにしましょう。

技能実習と特定技能の違いについては「【特定技能と技能実習】7つの違いとメリット/デメリットを徹底解説!」の記事もぜひご覧ください。

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特定技能の費用負担に関する重要な注意点

特定技能外国人を受け入れる際、費用負担について法令で厳しく規制されている項目があります。違反すると特定技能外国人の受け入れが停止されるなど、重大なペナルティが科される可能性があります。ここでは、必ず守らなければならない注意点を解説します。 

注意点①義務的支援費用を外国人本人に負担させてはならない

特定技能1号外国人に対して実施が義務付けられている「義務的支援」にかかる費用を外国人本人に負担させることは一切禁止されています。

義務的支援には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供など10項目があります。これらの支援を実施するための費用や、登録支援機関への委託費用(月額2万〜4万円)は、すべて企業側が負担しなければなりません。

外国人の給与から支援費用を天引きしたり、支援委託費の一部を本人に請求したりする行為は明確な法令違反です。仮に外国人本人が「自分で払います」と同意したとしても、認められません。 

注意点②帰国費用を本人が用意できない場合は企業負担

特定技能外国人が契約期間満了や途中解約により帰国する際、本人が帰国費用を負担できない場合は、企業が負担する義務があります。

これは入管法により定められており、外国人が経済的な理由で帰国できない状態を放置することは許されません。「本人が払えないなら帰国しなくていい」という対応も認められず、不法滞在となります。

契約終了時に外国人本人が帰国費用を準備できるよう、雇用期間中の給与設定や貯蓄の支援を行うことも重要です。万が一に備え、企業側でも帰国費用を予算化しておくことをおすすめします。 

注意点③食費・居住費・光熱費等を過度に徴収してはならない

住居費用や光熱費を外国人本人に負担させることは可能ですが、必要以上に徴収することは法令で禁止されています。

具体的には、実際の家賃が月5万円であるにもかかわらず、外国人から月7万円を徴収して差額を企業の利益とするような行為は違法です。同様に、光熱費の実費が月1万円なのに一律3万円を徴収することも認められません。

また、同地域の同程度の住居の家賃相場を大きく上回る額を徴収することや、日本人社員と比較して外国人のみに不当に高い費用を負担させることも禁止されています。 食費・居住費・光熱費を本人負担とする場合は、実費精算または適正な相場の範囲内で設定し、契約書に明記することが重要です。

特定技能外国人の受け入れ費用を削減する3つの方法

最後に特定技能外国人の採用コストを抑える方法について、いくつかご紹介していきます。 

方法①リファラル採用で紹介手数料を削減

まず、ご紹介する方法はリファラル採用です。

リファラル採用とは、いわゆる紹介採用のことで、自社ですでに働いている社員から別の求職者を紹介してもらう採用方法のことを指します。

リファラル採用は、激化する採用競争市場においても有効な採用方法として注目を集めていますが、特定技能外国人の採用にも有効活用できるでしょう。

既に自社で稼働している外国人がいる場合は、日本在住の知り合いに日本企業で働きたい人はいないかを確認してみてください。

外国人は同じ出身国の人同士でネットワークやコミュニティを構築していることも多く、それらのコミュニティ内で求職者を確認すれば、費用や時間というコストを抑えつつ採用活動を進めることができます。

もちろん、自社にしっかりと定着し、職場環境に満足していることが前提となります。採用経費を抑えるためにも、ぜひ外国人労働者の定着率向上に取り組んでみてください。
▶︎【外国人労働者の定着率を高めるためには】方法やポイントを交えて解説

方法②自社支援で登録支援機関費用をカット

すでにご説明した通り、特定技能外国人を受け入れる場合に、外部の登録支援機関に義務的支援業務を委託することによって、一人当たり数万円の支援委託費用が発生してしまいます。

この支援業務ですが、「一定の条件」を満たすことができれば、外部の登録支援機関に委託することなく、自社で対応することが可能です。そうすることで、支援委託費用を大幅に圧縮することが可能になります。

しかし、この「一定の条件」がかなりハードルが高いという点と、結局支援業務自体は自社で対応しなければならないので、担当者の工数が発生してしまうという点はデメリットと言えます。

支援業務を自社で行うための条件としては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご確認ください。
▶︎【特定技能における受け入れ機関(特定技能所属機関)】基準や義務などを紹介します!

方法③適切な本人負担割合の設定

特定技能では渡航費や住居費を本人負担とすることが認められています。この柔軟性を活用し、自社の状況に応じて費用負担の割合を調整することで、採用コストを最適化できます。

都心部で高給与を提示できる企業は、本人負担割合が高くても応募者を確保できます。一方、地方で最低賃金水準の企業は、渡航費や住居費を企業負担として福利厚生に打ち出すことで求人の魅力を高める必要があります。

重要なのは、最初からすべて企業負担にせず、募集状況を見ながら段階的に条件を改善することです。まず標準的な条件で募集し、応募が少なければ「渡航費を企業負担に」、さらに集まらなければ「住居費補助を追加」と、徐々に条件を良くしていきましょう。

必ずしもすべて企業負担にしなければ候補者が集まらないわけではありません。自社の状況と市場の反応を見ながら、最適な費用負担割合を見つけることが重要です。

まとめ

今回は特定技能外国人を採用する際にかかる費用についてお話してきましたが、いかがでしたか。

特定技能外国人を受け入れる場合、入管申請の委託費など様々な費用が掛かりますので、事前によくご検討をお願いいたします。

この記事が何かお役に立てできれば幸いです。

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外国人以外の一般的な正社員の採用コストについては、以下の記事でも解説されていますので、ぜひご覧ください。
▶︎ 正社員の採用単価はいくらが妥当?相場や計算方法、コスト削減のコツまで解説Workship CAREER

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。2021年に株式会社ジンザイベースを創業。海外の送り出し機関を介さず、直接マッチングすることで大幅にコストを抑えた特定技能人材の紹介を実現。このシステムで日本国内外に住む外国人材と日本の企業をつなぎ、累計3000名以上のベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール等の人材採用に携わり、顧客企業の人手不足解決に貢献している。著書「日本人が知らない外国人労働者のひみつ(2024/12/10 白夜書房 )」
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