【特定技能】ミャンマー人の採用ルートや注意点、費用などをまとめて解説
この記事は「特定技能制度においてミャンマー人を採用したい」、「ミャンマー人の特徴や採用する上での注意点を知りたい」という方に向けて、特定技能におけるミャンマー人の採用ルートや注意点、採用に掛かる費用などを解説していきます。特定技能におけるミャンマー人の採用を検討している方は、是非ご一読ください。
この記事は「特定技能制度においてミャンマー人を採用したい」、「ミャンマー人の特徴や採用する上での注意点を知りたい」という方に向けて、特定技能におけるミャンマー人の採用ルートや注意点、採用に掛かる費用などを解説していきます。特定技能におけるミャンマー人の採用を検討している方は、是非ご一読ください。
特定技能で働くミャンマー人は急増中?!
まずは特定技能制度で来日してくる外国人労働者のうち、ミャンマー人の割合について確認してみます。
上記の表は出入国在留管理庁が公表している2023年6月末時点の特定技能外国人の人数を示したものです。
表を見ていただくとわかる通り、特定技能外国人全体が173,089人のところ、ミャンマー人は8,016人となっており、割合としては全体の4.63%ではありますが、国籍別では5番目に多い人数を誇っています。
一方で、その人数推移を見てみると、下のグラフの通り、特定技能制度が創設されてから約1年後の2020年6月末の291人から2023年6月末では約27.5倍にも増えています。
このように、在留資格「特定技能」のミャンマー人が右肩上がりで増加をしているのです。
なお、特定技能の基本的な概要が知りたい!という方は、「特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説」の記事をご覧ください。
クーデターの影響で増加傾向へ
ミャンマー国籍の特定技能外国人が増えている背景として、ミャンマー国内の情勢悪化も考えられます。
ミャンマーは大統領を元首とする共和制国家でしたが、2021年のミャンマークーデターにより軍事政権となり、その結果、ビジネスや人の移動が制限されました。
それにより、ミャンマーに進出していた外資系企業の撤退なども相次ぎ、失業率の向上や大卒者の就職難、大学中退者の急増などに繋がっています。
その結果、現地で大学進学を考えていた優秀な若者たち等が国外に流れており、特定技能で日本に来日するケースも増えているのです。
こちらについては、弊社のミャンマー人社員が解説するミャンマーの現状についてのYouTube動画も併せてご覧ください。
ミャンマー人を採用する手続き・流れは?
ここからは特定技能制度でミャンマー人材を採用する手続きや流れについて見ていきます。
以下のフローチャートのように、「ミャンマーから来日してもらうルート」と「既に日本にいるミャンマー人を採用するルート」と採用ルートが2つありますので、それぞれ見ていきます。
ミャンマー現地から採用する場合
まずはミャンマーから新たに来日してもらい、採用するルートについてお話していきます。
ステップ①:求人票の許可・承認を得る
ミャンマーから特定技能外国人を受け入れる場合、ミャンマー政府認定の送り出し機関を経由する必要があります。
まず、ミャンマー政府から認定を受けている送り出し機関と契約をします。その後、求人票(デマンドレター)を作成し、ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)にて作成した求人票の許可と承認を得なくてはなりません。
ステップ②:雇用契約の締結
求人票が承認された後、認定送り出し機関から紹介されたミャンマー人に対して面接を実施し、特に問題がなければ、雇用契約を締結します。 面接で現地まで行く方法もありますが、基本的にはオンライン面接になるでしょう。
ステップ③:在留資格認定証明書交付申請の実施
続いて、受け入れ企業側で在留資格認定証明書交付申請を実施することになります。必要書類を揃えた上で、管轄の出入国在留管理庁まで申請を実施しましょう。
無事、在留資格認定証明書(COE)が交付された後は、当該ミャンマー人に送付します。
在留資格認定証明書交付申請については、こちらの出入国在留管理庁のページをご確認ください。
また、海外から呼び寄せる場合、原則として受け入れ機関の社員が出入国在留管理局に出向いて申請を行いますが、出向くことが難しい場合は、オンラインシステムを利用した申請も可能です。オンライン申請についてはこちらをご覧ください。
ステップ④:海外労働身分証明カード(OWIC)の申請
在留資格認定証明書を受け取った、特定技能外国人として来日するミャンマー人本人が、MOLIPに対して、海外労働身分証明カード(OWIC)の申請を行うことになります。
この、海外労働身分証明カードは「スマートカード」とも呼ばれます。
ステップ⑤:査証申請
スマートカード発行後、ミャンマー人本人が、先に受け入れ企業側が発送した在留資格認定証明書と、その他の必要書類を準備した上で、在ミャンマー日本国大使館にて査証発給申請を行います。
ステップ⑥:来日・就業開始
査証申請が通れば来日が可能となり、日本での上陸審査を経て、特定技能の在留資格が付与されることになります。
無事特定技能の在留資格が付与されれば、いよいよ就業開始となるのです。
すでに日本にいるミャンマー人を採用する場合
次に、日本に在留しているミャンマー人を採用する場合のルートについてです。
こちらは既に何らかの在留資格を持ち日本にいる方なので、現地から呼び寄せるより圧倒的に楽になります。
それでは、各ステップごとに見ていきましょう。
ステップ①:雇用契約の締結
求人や採用活動を経て、無事内定が決まれば、当該ミャンマー人と雇用契約を締結することになります。
なお既に在留しているミャンマー人を採用する場合、送り出し機関を経由せずに、直接採用活動を行うことが可能です。
ステップ②:パスポートの更新申請
雇用契約締結後、特定技能外国人となるミャンマー人は、在日本ミャンマー大使館にてパスポートの更新申請を行う必要があります。
ステップ③:在留資格変更許可申請
次に在留資格変更許可申請を実施し、当該ミャンマー人が現在保有している在留資格から「特定技能」の在留資格へと変更しなければなりません。
在留資格変更許可申請については、こちらの出入国在留管理庁のページもご参照ください。
特定技能でミャンマー人を採用する際の注意点
ここからは特定技能制度でミャンマー人を採用する際の注意点を見ていきます。
ミャンマー現地の送り出し機関を活用する必要がある
まず一点目は、現地の送り出し機関を利用しなければならない点です。
現地から呼び寄せるケースに限りますが、ミャンマーの制度上、特定技能外国人を受け入れるにあたっては、ミャンマー政府から認定を受けた現地の送り出し機関を通じて、人材紹介や雇用契約の締結を実施する必要があります。
ミャンマー政府が認定している送り出し機関については、こちらの出入国在留管理庁「ミャンマーの送り出し機関(PDF)」(英語表記)からご確認ください。
日本に在留しているミャンマー人を採用する場合は、ミャンマー政府認定の送り出し機関を経由する必要はありません。
海外労働者身分カード(OWIC)が必須
もう一つの注意点として、海外労働者身分証明カード(OWIC)の申請が必要であることが挙げられます。
このカードは「スマートカード」とも呼ばれており、この申請は、受け入れ企業側で行う手続きではなく、採用されるミャンマー人本人が実施しなければならない手続きです。
もし、この手続きが漏れてしまうと、雇用契約を締結しても就業してもらうことができませんので、受け入れ企業側としても必要な手続きとして認識しておくことが重要になるでしょう。
また、発行までには1~2ヶ月程度かかると言われておりますのでその点も注意しておくとよいでしょう。
ミャンマーでの特定技能評価試験実施状況
もう一点は、ミャンマー国内で受験可能な特定技能試験についてです。
2024年2月1日~3月10日で、ミャンマー国内にて受験可能な特定技能試験は、
・介護技能評価試験、介護日本語評価試験
・農業技能測定試験
・外食業特定技能測定試験
のみとなっています。
そのため、業種によっては特定技能評価試験がミャンマー現地で全く実施されていないというケースもありますので、要注意です。もちろん、元技能実習生で、ミャンマーに帰国済みの方を呼び寄せること等は可能ですが、募集ハードルが高くなる点は考慮した方が良いでしょう。
一方で、介護や外食、農業の分野については、現地においても実施されておりますので、国外呼び寄せでも十分に集客可能といえます。
特定技能でミャンマー人を採用する際の費用にご注意を!
特定技能制度における費用については、「【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介」をぜひご覧ください。
ここでは、ミャンマー人を特定技能として国外呼び寄せする場合の注意点について、皆さんにご共有できればと思います。
すでにご紹介した通り、国外からミャンマー人を呼び寄せる場合には、現地の「送り出し機関」を通して手続きを実施する必要があります。
人材は自社で確保し、現地手続きのみを送り出し機関に委託するのであればそこまで問題はないのですが、人材の募集も含めて送り出し機関に依頼する場合はかなり注意が必要です。
この送り出し機関は、現地手続きを行う名目で求職者から法定手数料以上の金銭を徴収しているケースがあります。仮に特定技能外国人が借金を負って入国した場合、少しでも早く返済させるために、入社数ヶ月でより良い給与条件の他社へ転職されてしまう結果につながりかねません。
求職者のみならず、本来特定技能では負担義務のない「航空券代金」を企業側へ負担させたり、「住居の手配」を企業側に丸投げするケースもあったりします。
さらに悪質なケースでは、入国後の通訳・翻訳サポートをするという名目で、毎月5,000円〜15,000円の管理費を企業から徴収する契約を締結してくるケースもあります。(入国後、蓋を開けてみたら、通訳・翻訳は登録支援機関に丸投げで、問題が起こったとしても送り出し機関は何も対応しないという話を聞くこともあります。)
そのため、国外からミャンマー人を特定技能として呼び寄せる際には、「送り出し機関の介在有無」及び「介在時に求職者からいくらの手数料を徴収しているのか」、「航空券代金や入国後の管理費」といった無用な費用項目がないかは、企業様ご自身でご確認いただいた方が良いでしょう。
ミャンマー人の特徴は?
続いて採用の前に知っておくべきミャンマー人の特徴について、簡単に確認していきましょう。
なお、YouTubeでも弊社のミャンマー人社員に「ミャンマー人の特徴」について解説していただきました。ぜひあわせてご覧くださいませ。
ミャンマー人の特徴①:思いやりの精神
まず挙げられる特徴としては、思いやりの精神が根付いているという点です。
ミャンマー人の多くは仏教徒であるため、他社に対して親切にすることが当たり前となっています。
利他精神が強く、目の前の困っている人を助けようとする精神を持っている、とても親切な民族と言えるでしょう。
ミャンマー人の特徴②:年上を敬う
また年上を敬うという特徴もあります。
職務上の上司や目上の人を敬い、従う国民性を持っており、その点は日本人と似ていると言えるでしょう。
ミャンマー人の特徴③:協調性がある
協調性があるという点も特徴と言えます。
ミャンマー人は協調性があり、人とのコミュニケーション能力も高いと言われており、関係性も構築しやすいのです。
ミャンマーの国や人についてより詳細を知りたい方は、併せてこちらの記事もご覧ください。
ミャンマー人を採用するメリット
最後に、特定技能制度でミャンマー人を採用するメリットについて見ていきたいと思います。
メリット①:日本人と似た特徴を持つ
先に挙げた特徴を見ると、日本人の特徴と似ている部分が多いことがわかるでしょう。
そのため日本人との相性は良く、一緒に働きやすいのです。
メリット②:失踪のリスクがない
技能実習生の場合、入国後3年間は転職できないという制限があります。この制約に魅力を感じて、ミャンマー人を技能実習生で雇用される企業様は結構いらっしゃいます。
しかし、現在現地におけるクーデターの影響で、ミャンマー人には、「特定活動」という特別な在留資格が付与される形となっています。詳しくはこちらの入管HPをご覧ください。
この特例を活用する形で、技能実習として来日後、すぐに失踪し「特定活動」としてより良い給与条件の企業で就労すると考える方が一定数いらっしゃいます。
そのため、技能実習での呼び寄せには、「失踪」というリスクが一定含まれている点は考慮すべきと言えるでしょう。
一方で、特定技能の場合は、そもそも「転職」が認められてはいますが、呼び寄せにかかる費用と時間は技能実習ほどかからないため、仮にすぐ転職されてしまったとしても、痛手を抑えることは可能と言えるでしょう。
メリット③:クーデターの影響で優秀層を獲得できる可能性が高い
前述の通り、ミャンマー国内のクーデターの影響で、現地大学卒の比較的優秀な層が海外に出ていくケースも多くなっています。
そのため、言語能力が高い、日本文化をしっかりと理解できる、業務遂行能力が高い…などの人材を獲得できる可能性が高く、結果として、雇用後の定着率も高くなる可能性があります。
メリット④:宗教上の影響を受けづらい
ミャンマー人の約9割が仏教徒です。
そのため、他の宗教に見られるような、例えば、豚肉や牛肉のNG、断食、ヒジャブの着用…などの宗教的制約がなく、日本人と近しい感覚があるでしょう。
まとめ
今回は特定技能制度においてミャンマー人を採用するケースについてお話してきましたが、いかがでしたか。
弊社は、ミャンマー人スタッフが常駐しており、募集から受け入れ後のサポートまで母国語で対応することが可能です。
もし、特定技能外国人を雇用したい!ミャンマー人の採用をしたい!という方がいらっしゃったら、ぜひ以下のお問い合わせフォームから弊社まで無料相談くださいませ!
中村 大介
株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。