送り出し機関は問題だらけ?認定要件や選び方を徹底解説します!

送り出し機関は問題だらけ?認定要件や選び方を徹底解説します!

目次

この記事では、技能実習制度や特定技能制度でよく目にする「送り出し機関」について解説しています。送り出し機関の役割や要件、問題点から選び方に至るまで触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

また、YouTubeでも送り出し機関との付き合い方・選び方というテーマで解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください!

送り出し機関ってなに?

まずはじめに、「送り出し機関」とは何か?を見ていきます。

技能実習制度に関わる団体の相関図
参考:外国人技能実習機構「外国人技能実習制度について」をもとにジンザイベースが作成

簡単に言うと、送り出し機関とは「日本で働きたい外国人を募集し、日本へ送客する外国の機関」のことです。

出国するまでの期間に日本語教育を実施したり、現地国における出国手続きを一部代行したり等、単純に人材を集客する以外の活動を行っているケースが大半です。

送り出し機関は、技能実習制度に限ったイメージがありますが、「特定技能」、「技術・人文知識・国際業務」など幅広い在留資格において、日本で働きたい外国人を集めて日本に送り出しているのが実態です。

しかし、残念ながら、悪質な送り出し機関も多く存在しているのも実情です。例えば、来日前の外国人求職者に対して、高額な借金をさせるような契約をする機関もあるため、雇用する側も「どの送り出し機関と付き合うか」が外国人採用を成功させる上で重要となっています。

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送り出し機関の役割は?

この送り出し機関、ベースの役割は先述の通り「日本で働きたい外国人の募集」となってきますが、実は、技能実習制度」と「特定技能制度」で若干異なってきますので、注意が必要です。

なお、技能実習制度と特定技能制度の違いについて詳しく知りたい方は、以下のコンテンツがおすすめです!

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技能実習制度における送り出し機関

技能実習生を雇用するには、前提として、送り出し機関を通じて海外在住の外国人を呼び寄せる採用方法しかありません。一方、受け入れ方法としては「団体監理型」と「企業単独型」の2パターンが存在します。

ただし、送り出し機関が関係するのは「団体監理型」のみとなっておりますので、以降は海外から団体監理型で技能実習生を呼び寄せる前提で読み進めてください。

技能実習制度の受け入れ機関別のタイプ
引用:法務省・厚生労働省|外国人技能実習制度について

技能実習制度の場合、送り出し機関の主な役割は、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 日本で働きたい外国人材の募集及び選抜、スクリーニング
  • 監理団体、受け入れ企業との面接準備や対応
  • 関係書類の提出や申請手続きに関するサポート業務
  • 事前の日本語教育
  • 入国後の問い合わせやトラブル時の対応、フォロー

このように人材募集から紹介、面接、アフターフォローまで、外国人が日本で働けるように幅広い役割を担っています。

ただし、実態としては、事前スクリーニングが機能していなかったり、入国後のアフターフォローは監理団体へ丸投げ状態など、本来求められる役割を全うできていない送り出し機関が多いのも事実ですので、注意が必要です。

特定技能制度における送り出し機関

技能実習制度においては、送り出し機関を通じて求職し、呼び寄せる必要がありますが、特定技能制度では送り出し機関を活用する必要はありません。

特定技能では、国外呼び寄せのみならず、すでに日本に在留中の外国人も採用することができます(一定の要件を満たす必要はありますが)。

また、国外呼び寄せの場合であったとしても、現地国の送り出し機関を経由せず、直接募集、面接、入社に至るまでの手続き等を実施することができます。

ただし、以下の国については、現地国政府が認定した送り出し機関を必ず活用する必要がありますので、ご注意ください。

特定技能制度において「送り出し機関」が必須な国
参考:JITCO「送出し国・送り出し機関とは」を元にジンザイベースが作成

特定技能での在留者数が特に多い、ベトナムミャンマーフィリピンからの受け入れ方法については、それぞれURLを貼り付けてありますので、ぜひ合わせてご確認くださいませ。

送り出し機関が多い国は?| 二国間協定

現在、送り出し機関のある国は15カ国ほどであり、東アジア、南アジア、東南アジアなどの新興国がほとんどで、いずれの国も日本より低所得、平均年齢が20〜30代前後の比較的若い国であることが大きな特徴です。

そのうちのほとんどが日本と二国間協定を締結している国で、そのなかでも送り出し機関が多いのがベトナム、インドネシアです。

二国間協定とは、日本が外国人労働者を送り出す国と締結している「取り決め」のことで、協力覚書(MOC:Memorandum of Cooperation)とも呼ばれています。

日本国内の労働力確保のため外国人労働者を受け入れる必要性が高まる中、各国とのルールを明確に定めることで、受け入れ/送り出しの協力・連携を円滑にすると共に、悪質な仲介事業者を排除するためのものと理解をすると良いでしょう。

この二国間協定は締結国毎に取り決めが異なりますが、二国間協定を結んでいない国の外国人を採用する場合においては、事前に在日本大使館または領事館に確認するなどの手間が追加でかかります。

2023年11月現在、日本が特定技能に関する二国間協定を結んでいる国は16カ国、技能実習に関する二国間協定では14カ国になっています。

送り出し機関の認定要件は?

送り出し機関は認定制で、日本で定められている規則や、送り出し国との二国間協定によって、適正か否かを審査する仕組みがあります。

技能実習制度において、日本での認定要件は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」の第25条(規則第25条)に定められており、以下の通りです。

  1. 所在する国の公的機関から技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができるものとして推薦を受けていること
  2. 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定して、日本への送出しを行うこと
  3. 技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用について技能実習生等に対して明示し、十分に理解をさせること
  4. 技能実習を修了して帰国した者が、修得した技能を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこと
  5. フォローアップ調査への協力等、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること
  6. 当該機関又はその役員が、日本又は所在する国の法令に違反して、禁錮以上の刑又はこれに相当する外国の法令による刑に処せられ、刑の執行の終了等から5年を経過しない者でないこと
  7. 所在する国又は地域の法令に従って事業を行うこと
  8. 保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生の日本への送出しに関連して、技能実習生又はその家族等の金銭又はその他の財産を管理しないこと
  9. 技能実習に係る契約不履行について、違約金を定める契約や不当に金銭その他の財産の移転をする契約を締結しないこと
  10. 技能実習生又はその家族等に対して8. 9. の行為が行われていないことを技能実習生から確認すること
  11. 過去5年以内に偽造・変造された文書の使用などの行為を行っていないこと
  12. その他、技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要な能力を有すること

引用:法務省・厚生労働省|新たな外国人技能実習制度について

これらの要件を満たしていると判断された機関は、技能実習制度における「認定送り出し機関」となります。

送り出し機関は必ず活用しないといけない?

繰り返しにはなりますが、技能実習制度において、団体監理型で受け入れる場合は送り出し機関の利用が必須です。

一方、特定技能制度においては、受入れ機関(企業)が外国人に対して直接採用活動を行うことが可能なことから、送り出し機関の利用は必須ではありません。(ただし、前述の通り、特定技能に関する二国間協定を締結している国によっては、政府認定の送り出し機関を経由した採用が必須の場合があります。)

特定技能制度では送り出しの利用が必須ではないとはいえ、現地の外国人の募集や、日本語・技能評価試験のフォローや手続き等、日本人採用と比べてコミュニケーションの面などからも手間になることがあるため、海外現地から採用する場合は、送り出し機関を利用されている企業様も一定数いらっしゃいます。

逆に、既に国内在住の外国人を採用する場合においては、日本へ送り出された後のため送り出し機関と関わることは一切ありません。

送り出し機関の問題・課題は?

残念なことに、送り出し機関の中には悪質な団体も多々あるのが実情です。ここではそれらの送り出し機関の問題について見ていきます。

高額な手数料・費用

送り出し機関は、監理団体や人材紹介会社・企業からの手数料とは別に、外国人労働者からも費用を徴収します。

技能実習制度の場合、送り出し機関に払う費用は一律ではなく、機関やその契約内容により異なります。この費用は一般的に、実習生への事前教育、入国後のアフターフォローに充てられていますが、なかには必要以上に高額な手数料・費用を請求するケースもあります。

以下のデータは、出入国在留管理庁が調査・公表した、技能実習生の送り出し機関や仲介者(送り出し機関以外)に支払った費用のまとめです。

引用:出入国在留管理庁|技能実習生の支払い費用に関する実態調査について(結果の概要)

見て分かる通り、技能実習候補生が海外現地の送り出し機関や仲介者に平均で50万円以上の費用を支払っています。各国の平均所得から考えると、この金額は高額で、借金をして来日をする外国人が半数以上います。

技能実習生の平均賃金を考えると、約50万円の借金返済は大きな負担となるため、実習の途中で、より高い報酬を求めて、失踪してしまう技能実習生が一定数いるのが実情なのです。

また、技能実習生の失踪の背景には、技能実習制度上、原則転籍ができないことも挙げられます。受け入れ企業が法律に反した低賃金や重労働を課す場合であっても、既存の実習先を辞めて別の場所に転籍、転職ができないという制度上の問題もあります。

質の低い日本語教育レベル

前述の通り、送り出し機関の役割のひとつとして、日本での労働を希望する外国人への日本語教育があります。

技能実習制度においては、送り出し機関は日本語学校を兼ねているケースも多く、一般的に技能実習の応募者は監理団体の面接に合格するために2〜3ヶ月程度の日本語教育を受けます。

しかしながら、しっかりとした事前教育の制度やカリキュラムを設けず、日本語スキルの低い教育担当者が短期間で質の低い事前教育を実施するような送り出し機関があるのも事実です。(私が視察したことのある送り出し機関では、日本語能力N4レベルの方が講師を務めていることもありました。)

しっかりとした入国前教育を受けられなかった外国人は、日本での生活や業務に支障が生じ、職場内でトラブルになることもあり得ます。

このような問題があることを認識し、送り出し機関選定の際はどのような事前教育がどれくらいの期間行われるのか、教育担当者の日本語スキルはどうか等は必ず確認したほうが良いでしょう。

悪質な接待、監理団体との癒着

技能実習制度の場合、送り出し機関が監理団体と癒着をし、受け入れ候補の企業に対し、現地で過度な接待を行うケースがあります。

さらに、本来は禁止されている、送り出し機関から監理団体への不正な手数料のキックバックや、ブローカーへの報酬が発生しているケースもあります。

このような接待費用や監理団体へのキックバック、ブローカーへの報酬などは、外国人が送り出し機関に支払う費用に上乗せして回収することがほとんどです。

結果的に、外国人候補者が多額の借金をしなければならなく、失踪や犯罪に手を染めてしまう技能実習生がいるのも問題とされています。

管理費は徴収する一方、アフターフォローは監理団体へ丸投げ

技能実習生を受け入れる場合、受入れ後も、送り出し機関に「送り出し管理費」という名目の費用が発生します。

この送り出し費用の内訳は、

研修生の選抜・選考に要する費用、日本語教育等の事前研修に要する費用、研修生・実習生に対する相談・支援に要する費用

などが挙げられ、一般的には実習生1名あたり月5千円〜1万程度とされています。

しかし、具体的な内容や金額は送り出し機関ごとで異なり、費用は発生しているものの、送り出し後のサポートが不完全であったり、無責任な対応をされるケースが発生する可能性もあります。

私自身、前職の監理団体職員時には、入国後のトラブル対応について、基本的には送り出し機関の職員は現地からの通訳対応のみに止まるケースが大半でした。日本に駐在事務所が設立されている送り出し機関は、企業訪問に同行いただけるケースもありますが、少数派なのが実態です。

送り出し機関の選び方って何に注意した方が良い?

ここからは送り出し機関を選ぶ際の注意点やポイントについて見ていきます。

日本語の教育レベルはどのくらいか?

まずは「日本語の教育レベル」がどの程度かは必ず確認しましょう。

どのような教育をしてくれるかを確認する場合、日本語教育のカリキュラム(内容)や期間と併せて、日本のルールやマナー、技能実習を行う分野についても教育をしてくれるかも確認すると良いでしょう。

また、窓口となる担当者の日本語能力がどうかも教育レベルの参考になります。

政府認定の送り出し機関か?

次に大事なポイントとしては、政府認定の送り出し機関を選ぶことです。

政府認定の送り出し機関は、送り出し国の政府に認定され、適正に業務を遂行していることを審査で認められている機関となります。

技能実習制度においては、二国間協定にて、送り出し機関の認定基準が設けられており、基準を満たしているかどうかの審査を送り出し国の政府にて行い、認定となった機関の情報を正しく提供すること、また認定基準を満たさなくなった機関の認定取り消しと情報提供の取り決めがされております。

技能実習制度の外国政府認定送り出し機関一覧は「外国人技能実習機構|外国政府認定送出機関一覧」をご確認下さい。

日本に駐在事務所がある?

技能実習制度においては、日本国内に駐在事務所や支社を置いているかどうかもポイントになります。

トラブル発生時、日本国内に駐在員がいるかいないかでは、対応に大きな差が出ます。監理団体と連携してスピーディーに対応ができ、実習生外国人も母国語で相談ができる駐在員が日本国内にいる送り出し機関を選ぶと良いでしょう。

ただ、送り出し機関の中には、自社で直接雇用し駐在員の配置ではなく、職員でない者に名刺などを渡して駐在員としているケースや、ブローカー的な者を駐在員としているケースも少なくありません。

「母国出身の職員を直接駐在員として配置しているか」も併せて確認をしておくと安心です。

担当者の対応に疑問点はない?

送り出し機関の担当者の対応や、やり取りに疑問点がないかもクリアにしておきましょう。

特に窓口となる担当者の対応が雑であったり、日本語レベルが低い場合、後々トラブルに発展する可能性があります。

また、担当者の日本語レベルが低い場合においては、送り出し機関の日本語教育水準も同様に低いケースも想定されます。

担当者とのやり取りで違和感を覚える場合は、別の送り出し機関を選んだほうが良い場合もあるでしょう。

海外からの呼び寄せは特定技能がオススメ

送り出し機関を選ぶ際の注意点について解説してきましたが、私の約10年に渡る外国人材業界での経験から述べさせていただくと、結論、送り出し機関を活用しない方が、圧倒的にクリーンな外国人雇用が可能になります。

本記事で述べてきた選ぶ際の注意点は、基本ヒアリングベースでしか確認することができません。窓口担当者が適当なことを言っていたとしても、一次情報を取得することができないため、100%正しいか確認する術がないのです。

仮に、現地国政府が認定した送り出し機関であったとしても、数年後送り出し免許を取り消されるケースが後を断ちません。このことからも、現地国政府認定というものが形骸化していることはお分かりいただけると思います。

そのため、送り出しを活用する必要がないのであれば、そもそもお付き合いしない方が無用な借金を背負わされたりするリスクが軽減されるのです。

このような背景から、国外から呼び寄せるパターンであったとしても、在留資格「特定技能」の活用をおすすめしております。

技能実習制度と異なり、特定技能制度には「労働力の確保」という目的があります。そのため、受入れ人数の制限(建設と介護は制限あり)がなく、特定技能2号になれば、在留期間制限がなくなる上に家族の呼び寄せも可能になります。

送り出し機関の活用が必須な国であったとしても、自社で日本語が堪能な現地国人材に直接リーチし、手続きのみ送り出し機関に委託することで、人材側は無駄な日本語学習費用や手続き以外の手数料を支払う必要もありません。つまり、高額な借金を背負うことなく入国することが可能になるのです。

以下の動画でも解説しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

まとめ

この記事では「送り出し機関」に関して、お話してきましたが、いかがでしたか。

海外から外国人を呼び寄せるために利用する送り出し機関も、様々な団体があります。悪質な団体とトラブルにならないよう、この記事が参考になれば幸いです。

また、最後に紹介した「特定技能」の受け入れや詳細についてご興味がある方がいらっしゃいましたら、こちらのフォームからぜひお気軽にお問い合わせください。

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カテゴリ:
採用ノウハウ
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。