【特定技能】フィリピン人の採用ルートや注意点、費用などをまとめて解説

この記事は、「特定技能制度においてフィリピン人の採用を検討している」、「フィリピン人の特徴や採用する上での注意点を押さえておきたい」という方に向けて、特定技能によるフィリピン人の採用ルートや注意点、費用などについてまとめて解説しています。特定技能制度によるフィリピン人の採用を検討されている方は、是非一度ご確認ください。
特定技能制度におけるフィリピン人の割合
まずは特定技能外国人として来日してくる外国人労働者のうち、フィリピン人の占める割合について確認しておきたいと思います。
以下の表を見てみましょう。

この表は出入国在留管理庁が公表している2022年3月末時点の特定技能外国人数を示したものです。
特定技能外国人の総数が64,730人となっているのに対し、フィリピン人は6,251人となっており、割合としては9.65%となっています。
産業別に見ると、造船・舶用工業分野における受け入れが最多となっている点が特徴と言えるでしょう。
1位のベトナム人の規模が群を抜いているとはいえ、ベトナム人に次ぐ人数を誇っている形になります。
採用の前に知っておきたいフィリピン人の特徴
続いて採用前に押さえておきたいフィリピン人の特徴について確認しておきたいと思います。
フィリピン人の特徴①:フレンドリーで陽気
フィリピン人は基本的にフレンドリーな人が多いとされ、また陽気な性格を持っています。
見ず知らずの人とも気軽にコミュニケーションが取れ、初めての環境でも比較的すぐに溶け込めるという特徴も挙げられるでしょう。
フィリピン人の特徴②:家族を第一に考える
フィリピン人は何よりも家族を第一に考えており、仕事よりも家族を優先します。
そのため家族との用事を理由として、休暇を取ることは勿論、仕事に遅れてくるというケースもあるのがたまに傷です。
特定技能制度でフィリピン人を採用するメリットとデメリット
次に特定技能制度でフィリピン人を採用するメリットとデメリットについて、確認していきたいと思います。
メリット
フィリピン人を採用するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
メリット①:職場に馴染むのが早い
一つ目にご紹介するメリットは、職場に馴染むのが早いという点です。
先程特徴のところでお話した通り、フィリピン人はとてもフレンドリーな性格をしており、誰とでもコミュニケーションを取ることができます。
そのため日本の職場においても馴染むのが早く、それだけ立ち上がりも早いと言えるでしょう。
メリット②:ホスピタリティ精神が強い
またフィリピン人はホスピタリティ精神が強いことでも有名です。
初対面の人であっても親切にし、誰か困っている人がいれば手を差し伸べることを躊躇しません。
そのため介護や接客業などに対する適性は、他国の外国人労働者よりも高いと言えます。
メリット③:英語が話せる
フィリピンでは英語が公用語として扱われており、英語が話せる人が多い傾向にあります。
そのため外国人を対象としたサービスを提供するシーンは勿論、海外進出などの際に、活躍してもらうことができるでしょう。
デメリット
デメリットについても併せてご紹介しておきます。
デメリット①:時間にルーズ
フィリピン人を採用する上で代表的なデメリットと言えば、時間にルーズであるという点でしょう。
例えば10時に待ち合わせした場合、フィリピン人の多くは10:00~10:59の間に会えばいいと考えます。
これはフィリピーノタイムと称されており、業務を遂行する上で注意が必要であることは言うまでもありません。
デメリット②:採用するまでの工数が掛かる
続いてのデメリットとしてご紹介するのは、採用するまでの工数が掛かるという点です。
採用するためのルートについては後ほどお話しますが、フィリピン人を採用するための手続きは、その他の国の外国人労働者を採用する手続きと比較して、かなり面倒と言えます。
そのため「フィリピン人でなければいけない事情」などがない限り、他の国籍の外国人労働者を採用する方が工数や時間はかからないと言えるでしょう。
特定技能制度でフィリピン人を採用するルート
ここからは特定技能制度でフィリピン人を採用するルートについて確認していきましょう。
特定技能制度の概要についておさらいしたい方は、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。
▶︎特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説
フィリピンから来日してもらうルート
まずはフィリピンから来日してもらうルートから見ていきましょう。
なお、ここから頻出してくる「POLO」や「POEA」などの単語については、以下の記事で詳細を解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎フィリピン人を雇用する際に必要なPOLO申請とは?概要や手続きの流れを解説
ステップ①:送り出し機関とRAを締結
まず受け入れ企業はフィリピン政府認定の送り出し機関との間に、人材の募集や雇用に係る取り決め(RA)を締結する必要があります。
ステップ②:POLOへの提出書類を準備・提出
次に雇用契約書のひな型などの必要書類を準備し、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)に提出します。
ステップ③:POLOで面接を受ける
その後、受け入れ企業の代表者もしくは委任された従業員は、労働担当官による英語での面接を受けなければなりません。
なおこの面接では、通訳を同席させることが可能です。
ステップ④:POEAへの登録
POLOでの面接の結果、フィリピン人の雇用主として適正であると判断されれば、POLOから認証印が押印された書類と推薦書が送られてきます。
これらの書類を、送り出し機関を経由してフィリピン海外雇用庁(POEA)に提出することで、雇用主として登録され、求人情報も登録されることになるのです。
ステップ⑤:雇用契約の締結
POEAへの登録後、採用活動を通じて受け入れるフィリピン人が決まれば、雇用契約の締結を実施しましょう。
ステップ⑥:在留資格認定証明書交付申請の実施
次に受け入れ企業側で必要書類を揃えた上で、管轄の出入国在留管理庁にて在留資格認定証明書交付申請の実施を行います。
無事在留資格認定証明書が交付された後は、その証明書を当該フィリピン人まで郵送しましょう。
在留資格認定証明書交付申請については、こちらの出入国在留管理庁のページをご確認ください。
ステップ⑦:査証発給申請
当該フィリピン人側で、在留資格認定証明書を含めた必要書類を準備し、在フィリピン日本国大使館にて査証発給申請を実施します。
ステップ⑧:出国前オリエンテーション・健康診断
その後当該フィリピン人は、フィリピンの海外労働者福祉庁(OWWA)にて、出国前オリエンテーションを受講する流れとなります。
それと併せ健康診断も受診することが求められます。
ステップ⑨:海外雇用許可証(OEC)の発行申請
当該フィリピン人側でPOEAに対してOECの発行申請を実施します。
ステップ⑩:入国・就業開始
OECが発行されれば、無事入国することができ、特定技能の在留資格が付与され、就業開始となります。
既に日本にいるフィリピン人を採用するルート
次に既に日本に在留しているフィリピン人を採用するルートについて確認していきます。
日本にいるフィリピン人を採用する場合であっても、フィリピンから来日してもらうケースにおけるステップ①~⑤は実施する必要があります。
その後在留資格変更許可申請を実施し、現在フィリピン人が有している在留資格から特定技能へと変更する形になるのです。
在留資格が無事変更できれば、就業開始という流れになります。
在留資格変更許可申請については、こちらの出入国在留管理庁のページをご確認ください。
特定技能制度でフィリピン人を採用する場合の注意点
採用ルートを見ていただいたところで、改めて採用する場合の注意点について確認しておきます。
POEAへの登録
一つ目の注意点として挙げられるのは、POEAへの登録です。
特定技能制度に限らず、フィリピン人を採用するためには、まずPOEAに対して雇用主として登録される必要があります。
POEAへの登録がない状態でフィリピン人の採用活動はできません。
POEAへの登録には先述の通り、多くのステップを踏むことになるので、あらかじめスケジュールなど含めて準備しておく必要があるでしょう。
OECの発行申請
またOECの発行申請が必要である点も留意しておきましょう。
OECの発行申請は、受け入れ企業側ではなく特定技能外国人として来日予定のフィリピン人側が実施する手続きとなっています。
そのため受け入れ企業側が手続きについて工数を割く必要はありませんが、この申請が通らない限り、採用したとしても来日してもらうことができないので注意しておきましょう。
特定技能制度でフィリピン人を採用する場合の費用
最後に特定技能制度でフィリピン人を採用する場合の費用について確認しておきましょう。
送り出し機関への手数料
フィリピンから来日してもらう場合、送り出し機関への手数料を支払う必要があります。
フィリピンの送り出し機関に対する手数料は、おおよそ50~100万円程度が目安と言われており、その他の国よりも高い傾向にある点は注意しましょう。
外国人本人に支払う費用
外国人本人に支払う費用としては、主に以下の3つが挙げられます。
日本への渡航費
フィリピンから日本への渡航費として5万円ほど掛かることになります。
給与
特定技能雇用契約において設定した給与を支払う必要があります。
相場は受け入れ企業や業種によって多少の違いはあるものの、多くの場合20~30万円程度でしょう。
健康診断費用
健康診断を受診してもらう際に係る費用も、受け入れ企業が負担する場合があります。
その場合1~2万円程度の費用が発生することになるのです。
入管申請に係る費用
在留資格認定証明書などの申請に必要な書類作成を行政書士などに委託する場合、その委託費用も掛かることになるでしょう。
申請書類の作成を委託した場合の費用相場は10~20万円程度となります。
登録支援機関への外部委託費用
1号特定技能外国人に対しては各種支援が必要となります。
この支援業務を登録支援機関へ委託する場合、委託費用として2〜3万円(月/一人当たり)程度掛かることになるでしょう。
人材紹介会社に支払う手数料
国内に在留しているフィリピン人を採用する場合、人材紹介会社を利用することがあります。
その場合の紹介手数料は、採用するフィリピン人の年収の35%前後もしくは定額で10〜30万円程度が相場です。
トータルの費用イメージ
最後に上記の費用を踏まえつつ、採用に掛かる費用イメージについて、確認しておきましょう。
【前提条件】
- フィリピンから来日してもらう
- 登録支援機関に支援を委託
- 行政書士に入管申請書類の作成を委託
【トータルの費用イメージ】
- 送り出し機関への手数料:50~100万円
- 入管申請委託費:10~20万円
- 健康診断受診費:1~2万円
- 渡航費:5万円
- 登録支援機関への委託費(一人あたり2~3万円/月):24~36万円
- トータル費用:90~163万円
特定技能の受け入れ費用については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介
まとめ
今回は特定技能制度においてフィリピン人を採用するケースについてお話してきましたが、いかがでしたか。
当社はフィリピン人含め、特定技能外国人の人材紹介サービスを提供しています。
また登録支援機関としても活動しており、支援業務の代行も対応可能ですので、特定技能外国人の採用に取り組みたいという方は是非一度お問い合わせください。
中村 大介
株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。