【特定技能】事前ガイダンスって何をするの?具体的な内容や注意点を解説

【特定技能】事前ガイダンスって何をするの?具体的な内容や注意点を解説

目次

この記事では、特定技能制度における「事前ガイダンス」の具体的な内容や実施時の注意点をご紹介します。実施時間や書類対応など、細かくルールが定められていますので、特定技能外国人の雇用を検討されている企業様は、是非ご一読ください。 

特定技能制度で実施する「事前ガイダンス」ってなに?

事前ガイダンスの具体的な内容を解説する前に、まずは概要についてお話していきましょう。

特定技能制度では、支援計画を策定した上で、その計画に基づいた様々な支援雇用した1号特定技能外国人(以下、特定技能外国人)に対して実施していく必要があります。

義務的支援の10項目一覧
法務省「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」をもとにジンザイベースが作成

この支援については、「義務的支援」「任意的支援」の2つの種類が存在し、「義務的支援」に関してはその名の通り、特定技能外国人の受け入れ後、必ず実施しなければなりません。

「事前ガイダンス」は、その義務的支援の一つとなっており、雇用契約締結後、国外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請の前(国内在住者を雇用する場合は、在留資格の変更申請前)に実施することになるため、義務的支援の中で最も早い時期に実施することになります。

主に、「特定技能雇用契約の内容」や「日本において行うことができる活動内容」、「入国するにあたって注意するべき事項」などを説明します。

よく「事前ガイダンス」と「生活オリエンテーション」を混同されている方もいらっしゃいますが、両者は別物になっていますので、ご留意ください。

なお、特定技能制度の基本的な概要について知りたい方は、「特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説」をご覧ください。

「事前ガイダンス」の実施方法は?

「事前ガイダンス」は、対面又はテレビ電話などにより、必ず本人であることの確認を行った上で実施することが求められています。

「事前ガイダンス」で伝える項目を資料に落とし込み、郵送又はメールで送付するのみで実施することは認められていません。

もちろん、本人がしっかりと理解できる言語で実施する必要があるため、必要に応じて母国語対応できる体制構築も必要となってくるでしょう。

何時間実施しなければならない?

「事前ガイダンス」の内容を本人が十分に理解するためには、3時間程度の時間をかけて実施することが求められています。

「技能実習2号を良好に修了した者」や「留学生」を同一機関で引き続き特定技能として雇用する場合であっても、1時間に満たない場合は、事前ガイダンスを適切に行ったとは判断されませんので、ご注意ください。

当然ですが、特定技能外国人が他社へ転職したような場合であったとしても、新しい受入機関側で「事前ガイダンス」を実施しなければなりません。

実施後の手続きはある?

事前ガイダンス実施後は、「事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)」を特定技能外国人の署名を得た上で作成・保管しておく必要があります。

登録支援機関に支援を委託していた場合でも作成・保管の義務がありますのでご注意ください。

「事前ガイダンス」の実施内容は?

それではここから事前ガイダンスの具体的な内容について見ていきたいと思います。

まずは事前ガイダンスの中で、必ず対応しなければならない「義務的支援」の内容から確認していきましょう。今回は、出入国在留管理庁HPの「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」を参考に、解説していきます。

「事前ガイダンス」の義務的支援内容

この事前ガイダンスによる情報提供は、新規で来日する場合は「在留資格認定証明書の交付申請前」に、既に在留している場合は「在留資格の変更申請前」に実施することが求められます。

具体的に情報提供しなければならない事項は以下の通りです。

特定技能雇用契約の内容

特定技能外国人に従事させることになる業務内容や報酬、そのほかの労働条件に関する事項を通知します。

日本で行うことができる活動

特定技能制度において認められている活動や、技能水準が認められた業務区分においてのみ業務に従事できる旨を説明する必要があります。

入国手続きについて

新たに入国する場合、交付された在留資格認定証明書を受け入れ機関から受け取り、受け取った後管轄の日本大使館・領事館にて査証申請を行うことを説明しなければなりません。

また在留資格認定証明書の交付日から3か月以内に入国する必要がある旨も併せて説明しましょう。

既に日本に在留している場合は、在留資格変更許可申請を行ったうえで、在留カードを受領する必要がある点を話せばよいでしょう。

金銭その他の財産について管理しないこと

特定技能外国人は勿論、その配偶者や同居の親族、その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づいて金銭やその他の財産を管理されないことを説明します。

金銭その他の財産とは、金銭だけでなく、有価証券や土地、家屋や物品などの金銭的価値のあるものを指します。

また、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定めることや、その他不当に金銭その他の財産の移転を予定する内容を含めた契約を締結していないこと、かつ将来に渡り締結しないことも説明しましょう。

送り出し機関への支払いの確認

特定技能外国人が、特定技能雇用契約の申込みに関する取次や準備などに関して、本国の送り出し機関などの機関に対して費用を払っている場合、以下の内容を確認しましょう。

  • 支払った金額と内訳
  • 支払った機関の名称
  • 支払年月日

支援に係る費用について

特定技能外国人に対して実施する各種支援に要する費用について、直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしている旨を説明しましょう。

義務的支援に関する費用は原則、特定技能外国人の受け入れ企業が負担します。

入国における送迎について

特定技能外国人が入国しようとする空港や港において、受け入れ企業が当該外国人を出迎え、受け入れ企業の事業所もしくは当該外国人の住居までの送迎を行うことを通知します。

住居確保に関する支援の内容について

特定技能外国人のために実施する、適切な住居確保に係る支援の内容を説明しましょう。

具体的には住居の広さや家賃、その他当該外国人が負担する金額等を通知します。

相談・苦情申し出を受ける体制について

特定技能外国人から職場での職業生活は勿論、日常生活や社会生活に関する相談・苦情申し出を受ける体制について説明しましょう。

例えば、相談や苦情申し出の受付をしている曜日や時間、手段などを通知することになります。

受け入れ企業の支援担当者について

受け入れ企業の支援担当者の氏名や連絡先を通知します。

連絡先は電話番号やメールアドレスなど複数伝えておくと良いでしょう。

「事前ガイダンス」の任意的支援内容

続いて解説するのは事前ガイダンスにおける任意的支援です。

特定技能の受け入れ企業は、義務的支援で提供すべき情報に加えて、以下の事項についても、情報提供することが望ましいとされています。

  • 入国時の日本の気候、それに合わせた服装
  • 本国から持参すべき物や持参した方が良い物、逆に持参してはいけない物
  • 入国後に当面必要になる金額やその用途
  • 受け入れ企業側から支給されるものがある場合は、その支給物について 

なお3つ目に挙げた特定技能外国人の入国後の生活費のために、受け入れ企業側から当該外国人に対して貸付をすることは問題ありませんが、その返却方法については、労働法令などに違反しないように留意する必要があります。

「事前ガイダンス」を実施する際の注意点

次に事前ガイダンスを実施する上での注意点について解説していきます。

注意点①:特定技能外国人が十分に理解できるまで行う

事前ガイダンスは、雇用契約や入国後に活動できる内容など、特定技能として就労する上で欠かせない情報を提供することとなります。

そのため、特定技能外国人本人が理解できる言語で実施することが求められている点は、繰り返しになりますが注意点として上げさせていただきます。

日本語が堪能だったとしても、入社後のトラブルを未然に防ぐという観点から、母国語でしっかりと伝えておいた方が良いでしょう。 

注意点②:特定技能外国人の要望次第で、就業後も実施する

また事前ガイダンスは一度行っただけで終了というわけではなく、実際の就業が開始した後でも、当該外国人の要望があれば適宜必要事項の情報提供を実施することが求められます。 

「事前ガイダンス」を確実、且つ効果的に行うには

最後に事前ガイダンスを確実、且つ効果的に行うための方法についてご紹介していきましょう。

登録支援機関への委託がオススメ

事前ガイダンスを含めた、特定技能外国人に対する支援を自社だけで確実に実施していくのは、難しいと言わざるを得ないでしょう。

特に、初めての受け入れであれば、在留資格の申請手続きやその他受け入れの準備など初めて行うことが多くあり、なおさら難易度が高いのです。

そのため確実に実施したいという場合は、登録支援機関への委託をオススメします。

登録支援機関とは?

この記事を読まれているからには登録支援機関については、ある程度ご存じだと思いますが、念のためおさらいしておきましょう。

登録支援機関とは事前ガイダンス含めた支援業務を、受け入れ企業に代わって対応してくれる機関です。

支援業務全体を丸ごと委託することも、一定の条件を満たしていれば、一部の支援業務をピンポイントで委託することもできます。

その他、在留申請に係る手続きのサポートも実施してくれるため、特定技能外国人を雇用する場合の強い味方となってくれるでしょう。

登録支援機関については、「【特定技能制度における支援とは】登録支援機関や支援にかかる費用まで解説」でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

委託する際の費用や注意点

登録支援機関に各種支援業務を委託した場合は、当然費用は掛かります。

委託する支援業務の範囲などによって異なりますが、月に2〜3万円程度の費用が掛かってくるケースが多いでしょう。

「2〜3万円も掛かるなら内製化する」という方もいらっしゃるかもしれませんが、支援業務を内製化した場合、支援業務を担当することになる人材の確保や人件費などが掛かってくる形になるので、そのあたりを考慮に入れつつ検討してみてください。

また登録支援機関といっても様々あり、対応可能言語が異なるケースや、中には法務省の登録を受けずに実施しているという悪質な業者もあります。

そのため委託する際は安心して任せることができるかを見極める必要があるのです。 

特定技能受け入れにかかる費用に関しては、「【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介」の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

今回は特定技能制度における支援業務の中から、事前ガイダンスにフォーカスしてお話してきました。

事前ガイダンスは本文でも触れた通り、最も早い段階で実施する支援であり、特定技能外国人に十分に理解してもらうまで丁寧に実施していく必要があります。

そのため提供する情報に不足がないことは勿論のこと、わかりやすい日本語で実施したり、当該外国人の母国語などを用いたり、といった対応の必要性も出てくるでしょう。

もしそういった対応を自社だけで実施することが難しいと思われた方は、是非当社までご相談ください。

当社は本文中でもご紹介した、登録支援機関としても活動しているため、支援業務の代行や在留申請のサポートサービスなどを提供しております。

特定技能外国人の雇用を検討されている方は、是非こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。

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カテゴリ:
特定技能
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。