在留カードとは?確認すべきポイントや偽造在留カードとの違いを解説!

在留カードとは?確認すべきポイントや偽造在留カードとの違いを解説!

この記事では在留カードの基本や外国人雇用する際に確認するべきポイントについて解説しています。また、昨今急増している偽造在留カードについても、増加推移などの現状や法的なリスクに加え、見分け方に至るまでご紹介していきます。外国人労働者を雇用したいとお考えの方は、是非最後までご確認ください。

目次

在留カードとは

まずは在留カードとはそもそも何かについて、確認しておきたいと思います。

在留カードの概要

在留カードとは日本に滞在する外国人のうち、中長期在留者に対して交付されるカードです。

出入国在留管理庁によると、中長期滞在者の対象となる外国人の方は、以下の1〜5のいずれにも該当しない方となっています。

  1. 「3月」以下の在留期間が決定された人
  2. 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
  3. 特別永住者(特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されます。)
  4. 「短期滞在」の在留資格が決定された人
  5. 「特定活動」の在留資格が決定された、台湾日本関係協会の本邦の事務所若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方
  6. 在留資格を有しない人

つまり、上記に該当しない方には全員「在留カード」が交付されることになります。

この在留カードは、初めて日本に上陸される外国人の方は、空港での上陸審査時に在留カードが交付されます。

また、すでに日本国内に在住している方でも、転職に伴い在留資格を変更する際や、在留期間の更新をする場合などには、都度新しい在留カードが交付されることになります。各種変更や更新申請に関しては、管轄の出入国在留管理局へ、必要書類を準備した上で届け出ることで実施可能です。

在留カードのサンプル画像
画像引用:出入国在留管理庁「在留カード」はどういうカード?

在留カードに記載されている項目としては

  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 国籍・地域
  • 住居地
  • 在留資格
  • 在留期間
  • 就労可否

などが挙げられます。 

16歳以上の外国人の場合は先の内容に加え、顔写真も貼付けされています。

また、裏面には住居地を変更した際に新しい住居地が記載される欄や、資格外活動許可の内容、何かしらの申請を実施している場合、申請中であることが記載される欄があります。

なお、在留資格に関して基本的な概要については、以下の記事をご参照ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説

外国人を雇用する際に確認すべきポイント

次に雇用する際の在留カードにおける確認ポイントを押さえておきましょう。

以下、在留カードのサンプルですが、特に赤枠の①〜④に関しては、必ずチェックするようにしましょう。

画像_在留カードの確認ポイント
出入国在留管理庁「在留カード」はどういうカード?を元にジンザイベースが作成

ポイント①:在留資格

現在の在留資格は何かをまずは確認するようにしましょう。

在留資格は、外国人が日本に在留し、何かしらの活動を行うために必要となる資格のことを指します。

現在は29種類の在留資格が存在し、各在留資格ごとに就労可否や就労制限の有無などが異なってきます。

そのため、就労ができない在留資格を持っている方を誤って雇用しないためにも、在留資格を確認することは必須と言えるでしょう。

なお、外国人が労働者として取得可能な在留資格については、以下の記事にて取りまとめておりますので、ぜひご覧ください。
▶︎【外国人労働者の職種一覧】在留資格別に代表的な職種をご紹介

ポイント②:就労制限の有無

こちらが「就労不可」と記載があった場合、基本的には働かせることができません。

「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載があった場合は、その在留資格で認められた活動の範囲内で就労することが可能になります。

一方で、永住者や日本人の配偶者など、いわゆる「身分系在留資格」を有している方は、「就労制限なし」と記載があり、文字通りいかなる就労活動に従事することができます。

なお、就労制限については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【就労制限とは】在留資格別の就労制限の有無や確認方法を解説

ポイント③:在留期限

外国人労働者を雇用する場合、在留カードの有効期限が切れていないか確認する必要があるでしょう。

在留カードの有効期限は、すなわち在留期間になります。

そのため、もし面接などのタイミングで提示された在留カードの有効期限が切れていた場合、更新されているはずの在留カードの提示を求めることが必要です。

在留期間の更新については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【在留期間更新の基本】手続きの流れや必要書類などをまとめて解説

ポイント④:資格外活動許可の有無

資格外活動許可とは、現在の在留資格で許可された活動の範囲外の収入を伴う活動や、報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可のことを指します。

この許可を取得している方であれば、ポイント②で「就労不可」と記載のあった方でも、1週間に28時間以内の収入を伴う活動に従事することができます。

例えば、留学生がアルバイトを実施するなどのケースが挙げられるでしょう。

その他、資格外活動許可の概要については、以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【在留資格における資格外活動とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説

ポイント⑤:在留申請の有無

この箇所に申請中である旨が記載されている場合、当該外国人の方は、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請をしていることになります。

この場合、3の在留期限が仮に切れてしまっていても、プラスで2ヶ月適法に在留することが可能です。(在留申請の審査期間のため、特例的に2ヶ月間在留期限が延長されます。)

記載がある場合は、何かしらの申請を出入国在留管理庁へ行っていますので、詳細を確認しておいた方が良いでしょう。就労できない在留資格へ資格変更している場合は、そもそも雇用できない可能性もありますので、注意が必要です。

在留期限が切れていて、在留申請もしていない場合は、不法滞在者の可能性が濃厚です。

ポイント⑥:住居地

現在の居住地が記載されています。

外国人の方が引っ越し等で住居地が変わった場合は、14日以内に市役所に在留カードを提出し、新しい住居地を記載しなければなりません。

在留カードの携帯義務

この在留カードは、常時携帯することが入管法23条2項によって規定されています。

よく仕事終わり(特に夜間)に、警察官等に職務質問され、在留カード不携帯を理由に補導されてしまうケースもあります。最悪の場合、20万円以下の罰金が課される可能性がありますので、外国人従業員の方には常に所持するように指導しておいた方が良いでしょう。

また、パスポートを携帯しているかどうかにかかわらず、在留カードは常に携帯している必要がありますので、ご留意ください。

偽造在留カードとは?

ここまでお話してきたように外国人労働者を雇用する上で、確認対象ともなる在留カードですが、残念なことに偽造されたものが出回っているのも事実と言えます。

偽造在留カードは外国人労働者の雇用に取り組んでいる企業にとっても、大きなトラブルに繋がる可能性があるため、現状や見分け方などを正しく理解しておくことが求められるでしょう。

そこでここからは、偽造在留カードにフォーカスしてお話していきます。

偽造在留カードの増加推移

偽造在留カードが出回っているとはいえ、実際のところどれくらいの件数が発生しているのでしょうか。

以下のグラフを見てください。

グラフ_偽造在留カード(所持・使用など)の送致件数推移_2016年〜2020年
グラフ:偽造在留カードの送致件数推移

上記のグラフは法務省が発行している犯罪白書を基に、当社で作成したものです。

グラフを見ると年々増加していることがわかります。

外国人労働者の数も毎年増加しており、その分偽造在留カードの数も増えてきていると言えるでしょう。

偽造在留カードが増加している背景

このように年々偽造在留カードは増加しているわけですが、なぜ増加しているのでしょうか。

背景には様々な状況が考えられますが、大きな背景としては「簡単に入手できる」ということが挙げられます。

日本には偽造在留カードを扱っている不法就労者のコミュニティーが多数存在しており、SNSなどを通じて簡単に入手することができると言われています。金額も1枚当たり数千円〜数万円であることが多いとされ、決して手が届かない金額でないことも拍車をかけている背景でしょう。

国の照会サイトでもすり抜ける場合がある

昨今の偽造在留カードの特徴として、正規在留カード番号と有効期間で作られていることが多くなっていることが問題視されています。

2020年の10月に警視庁が押収した偽造在留カード1,100点のうち約8割は、正規の番号や有効期間が記載されていたことはニュースにもなっていたので、記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

正規の番号や有効期間で作られているということは、国の照会サイトをすり抜ける可能性も高くなり、それだけ偽造在留カードを見抜くことが難しくなってきていると言えるのです。

しかし、偽造在留カードを所持した外国人労働者を、その事実を見抜くことなく雇用してしまった場合、先ほども述べた通り大きなトラブルに繋がってしまうため、国の照会サイトだけに頼らずに見分けていくことが求められるでしょう。

偽造在留カードが招く法的リスク

続いて偽造在留カードが招く法的なリスクについて詳しくお話していきます。

不法就労助長罪

万が一偽造在留カードを所持した外国人労働者を雇用してしまった場合、不法就労助長罪に問われる形になります。

不法就労助長罪とは、日本で働くための在留資格を持たない外国人労働者を就労させた場合に問われる罪です。

不法就労助長罪の対象となるケースとしては

  • 不法滞在者を雇用して働かせる
  • 就労が禁止されている人を働かせる
  • 許可された活動以外の業務に従事させる

などが挙げられます。 

偽造在留カードを所持しているのは、在留期間が過ぎているにもかかわらず不法に滞在している外国人労働者や、本来働けない在留資格をもった外国人などが挙げられるため、不法就労助長罪に直結するというわけです。

不法就労助長罪の罰則

不法就労助長罪については、その事実を知らなくても適用されます。

つまり、偽造在留カードだと気が付かずに雇用してしまい、後ほど発覚した場合においても不法就労助長罪に問われることになるのです。

不法就労助長罪に問われた場合、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金が科される形になります。

また上記のような法的な罰則以外にも、不法就労させたことによって企業の評判が下がるといったレピュテーションリスクなども発生してくるため、しっかりと対策をしていく必要があるのです。

不法就労助長罪については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説

偽造在留カードへの対策について

それでは偽造在留カードを見分けるためにはどうすればいいのでしょうか。

偽造在留カードの見分け方

在留カードには、正規のものであるか偽造であるかを見分けるために、いくつかの加工がされています。

以下法務省の資料を参考に、解説していきます。

法務省_在留カードの見分け方一覧
画像引用:法務省『「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方

加工①:MOJの周りが緑色に変化する

在留カードを傾けることで、在留期間の下部にあるMOJの周りが赤色から緑色に変色するように加工されています。

加工②:左端部分がピンク色に変化

正規の在留カードはカードを上下に傾けることで、左端部分がピンク色に変化するように加工されています。

加工③:顔写真上のMOJが左右に動く

在留カードの顔写真上にはMOJのホログラムがあるのですが、在留カードを傾けることでそのMOJのホログラムが3D的に動くようになっているのです。

加工④:顔写真の下にあるホログラムの文字が反転

また顔写真の下にはホログラムの白黒文字が記載されているのですが、確度を90度変えると白黒文字が反転するようになっています。

加工⑤:カードの透かし文字

暗い場所で、表面から強い光を当てると、裏面に「MOJMOJ…」と透かし文字が浮かび上がります。

上記に記載したものは法務省が正式に公表しているものであり、もしこのような加工が見られない場合は偽造在留カードである可能性が高いので注意が必要です。

偽造在留カードかどうか診断できるアプリ

とはいえ、偽造在留カードを作るための技術も当然進化してきているので、先にご紹介した加工だけでは見抜けないケースもあるのが現状でしょう。

そこで2020年12月に出入国在留管理庁がリリースした「在留カード等読取アプリケーション」が有効になってきます。

在留カードにはICチップが内蔵されているのですが、在留カード等読取アプリケーションは、ICカードリーダーを活用することで、そのICチップの情報などを読み取り、その在留カード自体が適切であるかを判断できるようになっています。

このアプリケーションは無料で利用可能であるため、外国人労働者の雇用に取り組んでいる方は、是非活用していただきたいところです。

アプリケーションのダウンロードや操作マニュアルなどについては、こちらの出入国在留管理庁のページをご確認ください。

もしも偽造在留カードかもしれないと思ったら

最後に、もしも偽造在留カードかもしれないと思った場合の、対処方法についてお話していきます。

先程の加工やアプリケーションの利用を通じて、偽造在留カードの疑いがある場合は雇用しないことはもちろんのこと、すぐに通報しましょう。

通報先は管轄の出入国在留管理庁や110番で構いません。

「自社で雇用しなければいい」というわけでなく、そこで通報しなければ別の企業で不法就労のリスクが生じてくるため、必ず通報するようにしましょう。

まとめ

今回は偽造在留カードについてお話してきましたが、いかがでしたか。

外国人労働者を雇用するにあたって在留カードの存在は、企業にとっても不法就労などのリスクを下げるために重要と言えます。

是非この記事を参考にしていただき、偽造在留カードを持った外国人労働者を雇わないよう対策していただければ幸いです。

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菅原 勇人

株式会社ジンザイベース営業リーダー兼日々育児に奔走する一児のパパ。 1991年、「日本一暑い街」として有名な埼玉県熊谷市に生まれる。それが講じてか、何ごとにも熱く全力で取り組むことがモットーである。2017年に早稲田大学大学院卒業後、建設会社へ就職。5年間、主に営業として活動を行い、次々に大型案件に携わる。だが、職務を遂行する中で、工場や工事現場での外国人の待遇に疑問を感じ、現職へ転職を決意。特定技能外国人の紹介を通じ、外国人労働者の地位向上そして働く人全員の様々な可能性を最大化できることを目標としている。仕事のかたわら、資格取得にもチャレンジし、ビジネス実務法務検定2級や宅地建物取引士、行政書士など法務系の試験に次々に合格。現在も引き続き資格取得のため学習を続け、法務知識も併せ持つ営業として唯一無二の営業スタイルの確立を目指す。趣味は、野球観戦と読書、ドライブ。