外国人が転職するにはビザ変更手続きが必要?採用時の注意点を解説!

外国人が転職するにはビザ変更手続きが必要?採用時の注意点を解説!

目次

就労ビザを持つ外国人が転職する際に、特別な手続きが必要かどうか、迷うケースはありませんか?本記事では、外国人労働者が転職する際の手続きについて、外国人本人や事業主が実施することや注意点について解説しています。外国人労働者の転職に関する手続きの基本を押さえたい企業のご担当者様は、是非最後までお読みください。

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在留資格によっては転職の制限を受けます!

大前提として、外国人労働者も転職は可能ですが、「在留資格」によって制限があります。まずはここから見ていきましょう。

在留資格とは!?

そもそも、「在留資格」とは、外国人が日本に在留し、何かしらの活動を行うために必要となる資格のことを指します。

出入国管理及び難民認定法によって規定されており、日本での活動の種類によって29の在留資格に分かれます。

在留資格一覧
出典:出入国在留管理庁「外国人材の受け入れ及び共生社会実現に向けた取組

在留資格によって取得要件や在留期間が異なるだけではなく、就労可否や従事可能な業務内容、就職可能な業界等が個別に規定されています。

例えば、永住者や日本人の配偶者等、いわゆる身分系と呼ばれる在留資格保持者は就労制限が一切ありませんが、留学家族滞在など、そもそも就労が認められていない在留資格(資格外活動許可を取得することで週28時間のアルバイトは可能)があったりします。

そのため、転職の際には、外国人が現在保有している在留資格で認められている業務内容の企業(同業種や現在と同じ職務内容)へ転職する場合は比較的スムーズです。

一方、全く異なる業務内容の企業(異業種や現在とは異なる職務内容)へ転職する場合は、在留資格の変更を出入国在留管理庁へ実施する必要が出てきます。

もちろん、在留資格に合致しない業務内容・業種へ転職しようとしていると判断された場合は当該外国人の在留許可がおりませんし、在留資格で認められ得た範囲外の業務に従事させていることが発覚した場合は、不法就労助長罪が適用され、罰則を受けることになってしまいます。

必ずしも日本人と同じように転職・入社できる訳ではないという点は認識しておきましょう。

転職時に一定の制限がある在留資格

外国人の方であったとしても、基本的にはどんな在留資格であったとしても、転職は自由にできます。

ただし、異業種へ転職する以外に、独自に転職制限を受けてしまう在留資格が何個か存在します。中でも特殊なのが「技能実習」「特定技能」で、この2つの在留資格保持者については、企業様も注意が必要です。

技能実習の方は基本転職NG

在留資格「技能実習」は制度上、原則として転職が認められていません。

これは、技能実習制度が「日本での技術を母国に持ち帰る技術移転(日本の国際貢献)」を目的としており、技能実習生は「研修生」として来日し、労働者とは少し異なるためです。

現在は、国際貢献ではなく人手不足の業界を中心に労働力として受入をする企業が大半となり、制度の目的と実態が乖離しているのも事実のため、「転職不可」を問題視する声も多く、近く制度改正がなされる見込みとなっています。

特定技能は転職可能だが、すぐに入社できない

一方で、「特定技能」は人手不足が深刻な12の産業分野で受け入れが可能な、2019年に創設された比較的新しい在留資格となっています。

この「特定技能」、要件を満たせば転職可能ですが、受け入れ企業を変えるごとに新たに「特定技能」の在留資格変更許可申請を実施する必要があります。

在留資格名は変わらないにも関わらず、いちいち取得し直さなければならない上、許可が降りるまで就労ができません(取得まで約2〜3ヶ月の時間がかかる)。

また、元の企業と異なる業種・産業分野へ転職する場合は、12分野ごとに実施されている「特定技能評価試験」に合格する必要があります。

今回取り上げた「技能実習」及び「特定技能」の在留資格を持っている外国人が採用面接に来た場合は、ご担当者様はよく注意するようにしましょう。もし、自社で採用できるのか迷うケースが発生した場合は、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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外国人の転職時に必要な手続きは?!

次に、外国人が転職する際に必要となる手続きについて確認していきましょう。

外国人本人が行う手続き

外国人本人が必ず行わなくてはいけない手続きは「所属機関変更の届出」です。

この届出は、転職後14日以内に、インターネット、最寄りの地方出入国在留管理官署の窓口に持参または郵送にて行う必要があります。

サンプル画像_所属(契約)機関変更に関する届出
出典:出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出(届出参考様式1の5の記載例)」

もし、この届出を怠った場合は、20万円以下の罰金や次回の在留資格更新の際に、在留期間が短縮される可能性があるので気をつけましょう。また、虚偽の届出をした場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科されることになります。

こちらの入管HPに詳細な内容が記載されていますので、ぜひ合わせてご確認ください。

外国人が離職した・新たに雇い入れ予定の企業が行う手続き

外国人が離職または新たに雇用予定の企業が行う手続きは、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」です。

「外国人雇用状況の届出」とは、外国人労働者の雇い入れ、あるいは離職の際に厚生労働大臣に届け出ることが義務付けられた報告で、2007年から全ての事業主に対し義務化されました。

届出方法は、オンライン提出もしくは事業所を所轄するハローワークへの窓口提出です。

この届出を怠ったり、虚偽の内容を記載して届け出たりした場合、30万円以下の罰金の対象となります。パスポートや在留カードなどをよく確認せずに、意図せず誤った情報を記載してしまい、結果として虚偽の内容を届け出てしまうなどがないように十分注意しましょう。

外国人雇用状況の届出の詳細については、厚生労働省のホームページをぜひご覧ください。

手続きを怠ると罰則も?!

重複になりますが、外国人本人が行う「所属機関変更の届出」も、企業側が行う「外国人雇用状況の届出」も手続きを怠ったり、虚偽の届出をした場合は罰則の対象となります。

所属機関変更の届出であれば、未提出の場合、20万円以下の罰金と次回の在留資格更新の際の在留期間の短縮など、虚偽の場合は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科されることになります。

外国人雇用状況の届出においては、未提出や虚偽(意図しない場合も)の場合、30万円以下の罰金が科されますのでご注意ください。

こちらの厚生労働省が公表している資料「外国人雇用はルールを守って適正に」もぜひご覧ください。

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外国人の転職内容に応じて、特別な手続きがある?!

前項の手続き以外にも、外国人の転職内容に応じて特別な手続きが必要な場合があり、ここではそれらについて見ていきます。

勤務先の変更+職務内容に変更がないケース

勤務先企業の変更のみで、職務内容に変更がないケースの場合、入管法上は特に地方入国管理局に申請・手続きをする必要はなく、既存の在留資格の期限まで在留することができます。

例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で在留する外国人が、転職先企業で従来と同様に「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行う場合などが該当してきます。

しかし、受け入れ企業や外国人本人が同じ職務内容と判断した一方で、地方入国管理局が転職先での就労は「違法」と判断する可能性はゼロではありません。

特に、転職後に在留期間の更新手続きをする際には、新たな受け入れ先企業での業務内容についても届け出ることになり、更新手続きに付随する入管審査で不許可になってしまうケースが最近増えてきています。

こういった不測の事態に備えるため、就労資格認定証明書の交付申請、取得をオススメします。就労資格認定証明書とは、外国人が転職先でも適法に働けるかどうかを法務大臣が証明するものです。

また、転職後に在留期間の更新許可を申請する場合、既に就労資格証明書の交付を受けていれば、現勤務先で働くことについては既に審査済みのため、審査期間が未交付の場合と比べて短く、よほどのことがない限り不許可にならず安心でしょう。

就労資格証明書に必要な書類等ついては、こちらの入管HPをご覧くださいませ。

職務内容に変更が生じるケース

職務内容に変更が生じるケースにおいては、転職就労前に「在留資格変更許可申請」が必要です。

外国人が現在保有している在留資格の活動範囲外の業務に従事する場合、その業務に対応可能な在留資格に変更しなければなりません。その際に必要な手続きが、在留資格変更許可申請です。

在留資格変更許可申請は、在留期間内であればいつでも申請可能です。

しかし、資格変更許可が下りる前に、変更後の活動に当てはまる就労をすると、資格外活動として違反を問われることになります。場合によっては、在留資格変更が認められなかったり、在留資格を取り消されてしまうことがありますので、必ず転職就労前に在留資格変更許可を受ける必要があるのです。

在留資格変更許可申請については、こちらの入管HPも合わせてご覧ください。

在留期限が迫っている場合はどうする?

転職時に在留期限が迫っている場合、「在留期間更新許可申請」を実施する必要があります。

名前の通り、現在の在留資格で認められた在留期間を更新するための手続きです。いわゆる「ビザ更新」というものになります。

申請は原則として「在留期間の満了する概ね3ヶ月前から」とされているため、目安として在留期間が残り3ヶ月を切っている場合は、更新許可申請を行うと良いでしょう。

また、転職にともなう在留期間更新許可申請においては、転職しない場合の更新申請と比べて厳密な審査が行われます。そのため、必ずしも申請が認められる訳ではなく、もし不許可になった場合は帰国しならないことは十分に理解しておきましょう。

ただし、上記は職務内容の変更がない場合においてで、職務内容が変更になる場合は前述の通り「在留資格変更許可申請」が必要なので注意して下さい。

こちらの在留期間更新許可申請についても、入管HPに詳細な解説がありますのでぜひ合わせてご覧ください。

外国採用でお困りの企業様はぜひご連絡を!

外国人の転職手続きについて見てきましたが、いかがでしたか?

まとめると、在留資格の制限を受けるとはいえ、転職は普通にできるということがお分かりいただけましたでしょうか?

ただ、「手続きが結構めんどくさいな」「意外とややこしくて整理しきれない」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

おっしゃる通りで、必ずしも日本人が転職するように簡単・シンプルではありません。

そのため、外国人の採用については、人材紹介会社や行政書士事務所等にサポートを依頼する企業様が比較的多いのが実態となっております。弊社につきましても、外国人材紹介事業を営んでいるため、サポートを提供することができますので、もし外国人材の採用等でお困りの方はお気軽に問い合わせフォームからご連絡ください。

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採用ノウハウ
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。