【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説

【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説

目次

この記事では、外国人を初めて雇用される事業者様に向けて、在留資格の種類や取得要件、ビザとの違いなどについて解説していきます。取得手続きについても解説していますので、在留資格の基本を押さえておきたい方は是非最後までお読みください。

なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!

在留資格とは

初めに在留資格の概要について確認していきましょう。

在留資格の概要

在留資格とは、外国人が日本に在留し、何かしらの活動を行うために必要となる資格のことを指します。日本に入国する前に、出入国在留管理庁へ必要書類を準備・提出・審査を経ることで取得可能です。

在留資格は、「出入国管理及び難民認定法」によって定められており、活動の種類によって29の在留資格が存在しています。在留資格ごとに就労が可能か不可能か、また可能であったとしても、従事可能な業務内容が細かく制限されていたりします。

そのため、事業者様は以下の点を雇用契約締結前に確認しておくべきと言えます。(雇用予定の外国人に従事してもらう予定の業務と在留資格で認められた活動内容が合致していない場合、残念ながら雇用することはできません。)

  • 雇用予定の外国人がどの在留資格を有しているか
  • その在留資格では就労が可能か
  • 就労可能な場合、在留資格で許可された活動内容と従事予定業務が一致しているか

また、法改正が加わると、新たな在留資格が追加される場合もあります。直近だと、2019年4月に深刻な人手不足を解消する目的で、在留資格「特定技能」が新たに創設されました。

在留資格を保有していない外国人が日本に滞在している場合、不法滞在に該当し、取り締まりの対象となります。刑事処分として3年以下の懲役や禁固、300万円以下の罰金が科される上、行政処分として強制送還や国外追放されることになってしまいます。

在留資格の有効期限と変更手続き

この在留資格には有効期限が設けられています。いわゆる在留期間と呼ばれるものです。

在留資格の種類・受け入れ機関の規模・外国人本人の素行などを勘案し、3ヶ月・1年・3年・5年の有効期限が個別に付与されており、期限が近づいてきたタイミングで出入国在留管理庁へ更新の手続きを行う必要があります。

また、在留資格ごとの取得要件を満たすことができれば、他の在留資格へ変更することも可能です。よくあるのが、日本の大学へ留学するために、在留資格「留学」を取得した外国人学生が、就職するタイミングで在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ変更するケースです。このように、活動内容が変わるタイミングで、別の在留資格へ変更が可能という点は押さえておきましょう。

在留資格の種類

先程活動の種類などによって多数の在留資格が存在するとお話しましたが、ここからは2つのカテゴリーに分けて、簡単に見ていきましょう。

在留資格のカテゴリー①:活動内容によって分類される在留資格

一つ目のカテゴリーが「活動内容によって分類される在留資格」です。

活動内容によって分類される在留資格とは、いわゆる就労系在留資格と呼ばれるもので、さらに3つに分かれることになります。 

就労が可能な在留資格

活動内容によって分類される在留資格には就労が可能なものとそうでないものがあります。

就労が可能な在留資格は以下の通りです。

上記の19種類の在留資格については、それぞれ定められた活動を通じて、報酬を得てもよいとされています。

就労ができない在留資格

活動内容によって分類される在留資格のうち、就労ができない在留資格は以下となります。

これら5つの在留資格は原則就労不可となっています。

ただし、これらの在留資格の中で「文化活動」と「留学」、「家族滞在」については、資格外活動許可を取得した場合に限り、週28時間以内のアルバイトは可能となっています。

資格外活動許可については、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶︎【在留資格における資格外活動とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説

特定活動

特定活動とは法務大臣が個々の外国人に対して個別に指定する活動のことを指します。

具体的にはワーキングホリデーやインターンなどの活動をするための在留資格であり、他にも就労が許可されるものがあります。

特定活動については以下の記事もあわせてご覧ください。
▶︎【特定活動とは】概要や種類、取得申請の方法などをまとめて解説

在留資格のカテゴリー②:身分によって分類される在留資格

二つ目のカテゴリーが身分によって分類される在留資格です。

身分系在留資格とも呼ばれており、以下の4つの在留資格が設けられています。 

先の活動内容によって分類される在留資格(就労系在留資格)と異なり活動制限がないため、基本的にあらゆる業務に従事することが可能です。

在留資格取得要件

次に在留資格の取得要件について確認していきます。

受け入れ企業と雇用予定の外国人材が満たすべき要件は在留資格ごとに異なっていますので、注意が必要です。出入国在留管理庁へ申請したものの、要件を満たさないため、不許可になってしまうケースも実際に発生していますので、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

ここでは具体例として、主に就労系在留資格において設けられることの多い代表的な要件について確認していきます。 

要件①:学歴と実務経験

就労系在留資格の取得要件として、代表的なものの一つが「学歴」です。

「技術・人文知識・国際業務」などに代表される就労系在留資格は、「大学・大学と同等以上の学校」を卒業し、学位を取得していることが要件となっています。こちらは、日本のみならず、海外の大学・短期大学、専門学校を卒業し、学位を取得していれば問題ありません。

注意点として、海外では日本と学校制度が異なり、大学に思えても学位を授与しない教育機関もあります。そのため、卒業証明書に学位が記載されているかを必ずチェックするようにしましょう。

また、学歴要件を満たしていなくても、これから従事する予定の業務について、相当な実務経験を有していることを証明できれば、要件を満たす場合があります。

特に「技術・人文知識・国際業務」では、10年以上の実務経験(大学等における当該技術や知識に関連する科目を専攻した期間も含まれる)を有していれば、学歴要件に代替して要件を満たしたとみなされる場合が多いです。

採用予定の外国人が、「学歴」か「職歴」のどちらかの要件を満たしているか、よく確認することが重要です。

要件②:職務内容の一致性

次にあげられる要件は「職務内容との一致性」です。

就労系在留資格の多くは、大学や専門学校で専攻していた分野が、「従事予定の業務と一致」していることが求められます。

また、そのため外国人労働者の書類選考時には、学歴のみならず、専攻内容もしっかりと確認することがポイントになります。

要件③:外国人労働者への報酬が日本人と同等以上であること

就労系在留資格には報酬に関する要件が設けられていることが多いです。

具体的には、外国人労働者への報酬が、従事予定の業務と同等業務に従事している日本人社員と同等以上であることが求められるのです。

こちらは、在留資格申請時に出入国管理庁へ雇用条件書を提出することになるので、もし同等以上でない場合は、出入国管理庁から指摘が入ってきますので、注意が必要です。

要件④:安定性と継続性

安定性と継続性も在留資格の取得要件として挙げられることがあります。

ここでいう安定性と継続性とは、雇用主となる企業の経営が安定しているかどうか、継続的に雇用することができるかどうかという点です。

雇用したにも関わらず、すぐに解雇する可能性が高い状況では、在留資格の取得は難しくなるでしょう。

そういった意味合いで考えると、雇用期間の定めがある契約社員という形態よりも、正社員としての形態の方が在留資格は取得しやすいと言えます。

要件⑤:外国人労働者を雇用する必要性

外国人労働者を雇用する必要性についても問われる場合があります。

なぜ外国人労働者を雇用するのかという点を明確にしておくことが、在留資格取得においても重要なポイントになるのです。

理由としては、例えば「海外展開」や「社内のグローバル化推進を進めるため」などが挙げられるでしょう。

もし明確な理由がない場合は、不許可となるケースがあるので注意しておくべきと言えます。

要件⑥:採用予定外国人の素行が良好であること

日本国内に滞在している期間での、素行状態が良好であることも求められます。

留学生を就労系在留資格へ変更する際などは、

  • アルバイトでの労働時間が週28時間を超えていないか
  • 国民健康保険料や住民税を滞納していないか
  • 逮捕歴や刑事罰を受けていないか

なども申請時に確認されます。特に住民税の滞納などはよくあるケースですので、本人に確認しておきましょう。

在留カードとは

在留カードについてもご紹介しておきます。

在留カードとは出入国在留管理庁から在留資格の許可を得た結果、外国人へ交付されるカードのことを指します。外国人の方にとっては、身分証に匹敵するくらい大切なものであり、職質時に携帯していないと、補導されてしまうこともあります。

※ 交付される外国人は中長期在留者に限り、以下に該当する方は交付されません。

  • 短期滞在者(3ヶ月以内の在留期間の方)
  • 在留資格「短期滞在」の方
  • 在留資格「外交」「公用」の方
  • 「特別永住者」の方

在留カードには、以下のような情報が記載されています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 国籍・地域
  • 住居地
  • 在留資格と在留期間
  • 就労可否 
在留カードのサンプル画像
出入国在留管理庁「在留カード」はどういうカード?を元にジンザイベースが作成

これらの情報が記載されていることから、国内に既に在留している外国人労働者を雇用するにあたっては、本当に雇用予定の業務に就くことができるのかなどを確認するために、必ずチェックすべき資料の一つと言えます。

また、近年偽造在留カードを所持している方も増えてきています。万が一、偽造在留カードの所持者を雇用してしまった場合、雇用主が不法就労助長罪に問われてしまう可能性がありますのでご注意ください。

偽造在留カードについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【偽造在留カード】現状や法的なリスク、見分け方をまとめてご紹介

在留資格とビザの違い

ここからは在留資格とビザの違いについて確認していきましょう。

ビザとは

ビザとは査証とも呼ばれ、日本に入国する前に発行される入国許可証のことを指します。

海外現地にある日本の大使館や領事館が、日本に入国することを予定している外国人に発給する形になります。

ビザは先述の通り入国までに必要な許可証であり、来日後の活動について規定した資格である在留資格とは別物です。

両者は明確に異なる概念ですので、その違いを正しく理解しておくようにしましょう。

ビザの種類

在留資格にも種類がありますが、ビザもいくつかの種類に分かれています。

具体的には以下の8つです。

  • 外交査証
    在留資格「外交」を取得するためのビザ 
  • 公用査証
    在留資格「公用」を取得するためのビザ 
  • 就業査証
    在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」などを取得するためのビザ 
  • 一般査証
    在留資格「技能実習」や「文化活動」、「留学」や「研修」、「家族滞在」を取得するためのビザ 
  • 短期滞在者査証と通過査証
    在留資格「短期滞在」を取得するためのビザ 
  • 特定査証
    永住者を除く身分系在留資格を取得するためのビザ 
  • 医療滞在査証
    在留資格「特定活動」などを取得するためのビザ

在留資格を取得するための手続き

続いて在留資格を取得するための手続きについて確認していきましょう。

在留資格を新たに取得するには、性質に応じて4つの種類(申請方法)があり、必要書類等も異なっていますので、それぞれ見ていきましょう。

在留資格認定証明書交付申請

現在国外に居住しており、これから日本に入国しようとしている方が実施する申請になります。

申請の流れとしては、大体以下のような流れになります。

ステップ①:在留資格認定証明書の交付申請

まずは必要書類を揃えた上で、出入国在留管理庁まで在留資格認定証明書の交付申請を実施する形になります。必要書類については取得する在留資格によっても異なってくるため、以下の出入国在留管理庁のページなどで参照するようにしましょう。

出入国在留管理庁HP:在留資格認定証明書交付申請

ステップ②:在留資格認定証明書の送付

ステップ①で実施した在留資格認定証明書の申請が許可され、無事交付された後は、それを国外に居住する外国人労働者に対して送付します。ステップ①と②については、基本的に受け入れ企業を初めとした日本に在住する受け入れ側が対応することになりますので、その点は留意しておきましょう。

ステップ③:ビザ申請の実施

国外に居住する外国人労働者側が、公布された在留資格認定証明書などの必要書類を準備した上で、在外日本公館にて、ビザ申請を実施します。

ステップ④:来日

在外日本公館よりビザが交付されれば、日本国内の空港にてビザと在留資格認定証明書を提示することで、来日することができます。

申請してから許可を受けるまで、最短で2週間〜2ヶ月程度の時間がかかってまいります。(在留資格によって変わってきます。)

ただし、在留資格認定証明書交付申請の前に、別の機関から認定を受けなければならない在留資格もあります。例えば、「技能実習」は、在留資格認定証明書交付申請の前に、外国人技能実習機構から技能実習計画の認定を受ける必要があります。こういったケースだと、申請から許可を受けるまでかなりの時間を要する場合もありますので、配属までのスケジュールは多めに見積もっておく方が良いでしょう。

在留資格変更許可申請

いずれかの在留資格で在留している外国人の方が、他の在留資格に変更する際に実施する申請になります。

ステップ①:書類の準備

必要書類を外国人労働者本人、もしくは企業側で準備します。必要書類については、在留資格によって異なってきますので、以下の出入国在留管理庁のページからご確認をお願いいたします。
出入国在留管理庁HP:在留資格変更許可申請

ステップ②:出入国在留管理庁にて申請を実施

その後必要書類を持参し、出入国在留管理庁にて在留資格変更許可申請を実施します。在留資格変更許可申請はおおよそ2週間から1か月程度掛かりますので、申請中に在留期間が切れることがないようにスケジュールを管理しましょう。

ステップ③:在留資格の変更が完了

審査が無事通れば、収入印紙にて4,000円を納付し、在留資格変更の手続きが完了となります。

在留資格更新許可申請

いずれかの在留資格で在留している外国人の方が、他の在留資格に変更することなく、在留期間を更新する際に実施する申請になります。

申請の流れとしては、在留資格変更許可申請と同じ流れになります。

必要書類も同じく以下の出入国在留管理庁のHPをご覧ください。

出入国在留管理庁HP:在留期間更新許可申請

その他、以下の記事でも詳細を解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【在留期間更新の基本】手続きの流れや必要書類などをまとめて解説

在留資格取得許可申請

日本国籍を離脱したり、日本で出産をした場合など、日本にいながら在留資格を新たに取得する際に必要な申請となっています。

申請の流れは在留資格変更許可申請とほぼ同じ流れになります。また、必要書類は以下の出入国在留管理庁のHPをご覧ください。

出入国在留管理庁HP:在留資格取得許可申請

在留資格が取り消されるケース

最後に一度取得した在留資格が取り消されるケースについてもお話しておきます。

在留資格が取り消されるケースは主に以下の3つのパターンがあります。

虚偽の内容を記載するなどによって許可を受けた場合

学歴や経歴詐称などが発覚した場合、在留資格は取り消しになります。

在留資格に基づく活動を一定期間行っていない場合

就労系在留資格であれば、仕事を辞めてから正当な理由なく就労していない期間が3か月以上あった場合、在留資格が取り消される形になるのです。

中長期在留者が居住地の届出を行わない、もしくは虚偽の届出をした場合

中長期在留者となった外国人が、90日以内に法務大臣に対して住居地の届出をしない場合、あるいは虚偽の住居地の届出をした場合は、取り消し対象となります。

まとめ

今回は在留資格について基本的な内容からビザとの違い、取得の手続きまでまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。

在留資格は様々な種類があるため、採用しようとしている職種にはどの在留資格が該当するのか正直よくわからないというケースもあるでしょう。

当社はそういったお悩みを抱えておられる企業様に対して、在留資格申請のサポートなどを実施しつつ、外国人労働者の人材紹介サービスを提供しております。

少しでもご興味ありましたら、是非お気軽にご相談ください。

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在留資格
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菅原 勇人

株式会社ジンザイベース営業リーダー兼日々育児に奔走する一児のパパ。 1991年、「日本一暑い街」として有名な埼玉県熊谷市に生まれる。それが講じてか、何ごとにも熱く全力で取り組むことがモットーである。2017年に早稲田大学大学院卒業後、建設会社へ就職。5年間、主に営業として活動を行い、次々に大型案件に携わる。だが、職務を遂行する中で、工場や工事現場での外国人の待遇に疑問を感じ、現職へ転職を決意。特定技能外国人の紹介を通じ、外国人労働者の地位向上そして働く人全員の様々な可能性を最大化できることを目標としている。仕事のかたわら、資格取得にもチャレンジし、ビジネス実務法務検定2級や宅地建物取引士、行政書士など法務系の試験に次々に合格。現在も引き続き資格取得のため学習を続け、法務知識も併せ持つ営業として唯一無二の営業スタイルの確立を目指す。趣味は、野球観戦と読書、ドライブ。