日本で永住者になるには?在留資格「永住権」とは何か、帰化との違いや取得方法・条件を解説!

この記事では、永住権の基本的な知識に加え、永住者と帰化の違いや取得メリット、申請方法などをまとめて解説していきます。

外国人労働者の永住権に関して基本的な知識を得たい方は、是非最後までお付き合いください。

永住権については弊社YouTubeでも解説しておりますので是非ご覧ください。

永住権の概念と現状

まずは永住権とは何かとその現状についてお話していきましょう。

永住権とは何か

永住権とは、身分系在留資格である「永住者」に紐づく権利であり、在留期間を制限されることなく滞在国に永住ができる権利のことを指します。

この永住権は、日本での活動の制限も定められておらず、職種や業種を問わず就労することが認められています。

取得には特定の厳しい要件を満たす必要があります。これについては後ほどお話します。

なお、永住者以外にも様々な「在留資格」があります。この「在留資格」とは何かについては、以下の記事をご覧ください。

在留資格ってなに?ビザとの違いや取得方法、29種類まとめて解説!

永住権を持つ外国人の現状

では、現在、永住権を持つ外国人は日本にはどれくらいいるのでしょうか。近年の推移とともに確認してみましょう。

在留資格別在留外国人の構成比
出典:出入国在留管理庁|令和5年末現在における在留外国人数について

上記の法務省出入国在留管理庁が公表しているデータを見てみると、永住者は他の在留資格よりも多く891,569人で全体の26.1%を占めています。2番目に多い技能実習404,556人の約2.2倍もの人数がいるのです。

また、2023年末時点での永住者を国籍別で見ると以下のグラフの通り、多い順から中国・フィリピン・ブラジル・韓国・ペルー、、、となっております。

在留外国人数について
参考:出入国在留管理庁|令和5年末現在における在留外国人数についてよりジンザイベースで作成

さらに、近年の推移で見ると以下の通りです。

参考:出入国在留管理庁|令和5年末現在における在留外国人数についてよりジンザイベースで作成

このように永住者は右肩上がりで増加を続けているのです。

永住権を取得するための主要条件

永住権を取得するための主要条件は、大きく3つあります。

出入国在留管理庁の永住許可に関するガイドライン(令和6年6月10日改訂)では以下のように記載されております。

(1)素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。

出典:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン(令和6年6月10日改訂)

それぞれ、以下に解説します。

素行が善良であること

まず条件のひとつ目は「素行が善良であること」ですが、簡単に言うと、「法律や法令違反をしていないか」ということです。

犯罪による懲役、禁錮または罰金や、暴力団との関係性などだけでなく、納税義務などの公的義務を果たしているかなども素行善良の要件とされています。

道路交通法違反などの軽微な違反などは素行不良とはみなされないケースが多いようですが、何度も繰り返し行うと素行不良となる可能性もあります。

資産又は技能の要件

2つ目は「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」です。

言い換えると、将来にわたって日本で生活をしていく上で自活していくだけの収入や資産、スキルがあるかどうかです。

ただ、収入においては世帯全体で考慮されます。もし、本人の収入が少なくても、配偶者の収入が十分であれば「独立の生計を営むに足りる資産又は技能がある」と見なされ、配偶者や子ども等の働いていない方も条件を満たします。

あくまでも目安ですが、世帯年収が3年間にわたって300万円以下であったり、生活保護を受給しているなどはこの要件を満たさないと判断されてしまうでしょう。

日本国の利益となること

3つ目が「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」とされております。

上記のガイドラインのア~エを簡単に解説すると以下の通りです。

ア:来日から現在まで10年間以上連続で日本に居住しており、そのうち5年間は「就労資格(技能実習特定技能1号を除く)」または「居住資格」で在留をしていることが必要です。例えば、留学で来日し日本の大学で4年間、その後は技術・人文知識・国際業務で日本企業にて6年間就労している様なケースです。

イ:前述の素行善良要件と一部重複しますが、犯罪による懲役、禁錮または罰金や、暴力団との関係性などだけでなく、納税義務などの公的義務を果たしているかなども素行善良の要件を満たしているかが判断されます。年金や健康保険などの滞納がないかも調べられることがあります。

ウ:現在有している在留資格の最長の在留期間をもって在留している必要があるということです。今では多くの在留資格で在留期間の最長期間が5年となっていますが、審査上、当面の間は、在留期間が3年の在留資格でも最長の在留期間として取り扱うこととなっております。

エ:永住権を希望する外国人本人が、何らかの感染症にかかっていないかなど、公衆衛生上で問題がない必要があります。

10年未満でも取得できる特例がある?

前述の国益適合要件として、10年間以上連続で日本に居住している必要がありますが、これには特例があります。

こちらも出入国在留管理庁の永住許可に関するガイドラインの記載の一部抜粋と共に簡単に解説していきます。

(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること

日本人または永住者の配偶者である場合で、婚姻期間中に別居などがなく実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していれば、1年日本に在留していれば永住申請が可能です。日本人または永住者の子供の場合は、1年以上日本に在留していれば永住申請が可能になります。

(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること

定住者」の在留資格の外国人は、定住者の在留資格で5年以上途切れることなく日本に住んでいれば永住申請が可能です。

(3)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること

難民申請をしている外国人が難民認定を受けた場合、認定の日から5年以上日本に在留していれば永住申請が可能になります。難民申請の審査期間は長いですが、審査期間中の在留については5年にカウントされません。

(4)外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること

「外交・社会・経済・文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者」に該当する場合には、10年以上でなく5年以上日本に在留していれば良いという特例です。また、期間が5年以上に短縮されているだけでなく、「継続して」の在留でなくともよいことがポイントとなります。

「貢献があると認められる者」については、出入国在留管理庁が発表している「我が国への貢献」に関するガイドラインを参照して下さい。

(6)出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。) に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの

ア 「高度人材外国人」として必要な点数を維持して3年以上継続して本邦に在留していること。

イ 永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められ、3年以上継続して70点以上の点数を有し本邦に在留していること。

(7)高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの

ア 「高度人材外国人」として必要な点数を維持して1年以上継続して本邦に在留していること。

イ 永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められ、1年以上継続して80点以上の点数を有し本邦に在留していること。

高度専門職」の在留資格を保有している場合は、在留資格を取得した時から3年以上日本に在留していれば永住申請が可能という特例です。

また、他の在留資格で在留している場合でも、永住許可申請日から3年前の時点を基準として、高度専門職ポイント計算表で計算をおこなった場合に、70点以上の点数を有していたことが認められれば、永住申請が可能になります。

さらに、80点以上の高度人材在留資格を保有している場合は、1年以上日本に在留していれば永住申請が可能で、 上記同様に、他の在留資格以外で在留している場合でも、永住許可申請日から1年前の時点を基準として、高度専門職ポイント計算表で計算をおこなった場合に、80点以上の点数を有していたことが認められれば、永住申請が可能になるのです。

また、原則10年在留の特例以外にも、日本人または在留資格「永住者」「特別永住者」の配偶者か子供である場合は、

  • 素行善良要件
  • 独立生計要件

の2つが免除される特例もあります。

永住許可申請は2パターンある

ここからは永住権申請(永住許可申請)について見ていきます。

永住権申請の方法は2パターンあり以下の通りです。また、この申請手続きは原則本人が行うものとされております。

①現在持っている在留資格から永住者の在留資格へと変更したい場合

②出生などによって永住者の在留資格を取得する場合

①在留資格の変更

在留資格の変更にて永住許可申請をする場合、在留期間の満了する日までが期日です。

ただし、永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可申請をする必要があります。在留期間更新許可申請は、在留期間の満了する日までに行います。

申請費用は、許可された場合に8,000円かかります。

②出生による永住資格の取得

出生による永住資格の取得については、出生その他の事由発生後30日以内に申請しなくてはなりません。この取得の場合は、費用はかかりません。

出生の場合においては、本人が申請することはできないため、その親族又は同居者若しくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認めるものの申請が認められています。

永住許可申請のポイント

ここでは、永住許可申請の方法やポイントなどを見ていきましょう。

申請時期と申請先

申請期間

重複しますが、申請期間は上記①②それぞれ次の通りです。

①変更を希望する場合、在留期間の満了する日まで。ただし、永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可申請をすることが必要。

②取得を希望する場合は、出生やその他事由発生後30日以内。

申請先

居住する地域を管轄している地方出入国在留管理官署、または、外国人在留総合インフォメーションセンター

H3:審査期間と申請できる人

審査期間

出入国在留管理庁のWEBサイトでは、申請〜結果が出るまで4ヶ月とされています。ただ、永住権の審査は厳しいため、他の在留資格より時間がかかるため、6ヶ月以上かかることもあります。

申請できる人

  • 申請人本人(日本での滞在を希望している外国人本人)
  • 申請人本人の法定代理人
  • 取次者

前述の通り、申請手続きは原則本人とされておりますが、本人以外でも、申請人本人の法定代理人と、以下に記載の取次者は代理で申請を行うことが可能です。

取次者とは以下の通りです。

(1)地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けている次の者で、申請人から依頼を受けたもの

  • 申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
  • 申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
  • 外国人が行う技能、技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
  • 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員

 (2)地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で、申請人から依頼を受けたもの

 (3)申請人本人が16歳未満の場合又は疾病(注1)その他の事由により自ら出頭することができない場合(注2)には、その親族又は同居者若しくはこれに準ずる者(注3)(注4)で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの

  (注1)「疾病」の場合、疎明資料として診断書等を持参

  (注2)理由書(参考様式)等を持参

  (注3)申請人との関係を証明する資料(住民票等)を持参

  (注4)例として、以下の場合が認められます。

  • 在留資格「特定活動」告示第25号(医療滞在)に該当する活動を行う者に代わって申請等を行う同告示第26号(同行者)に該当する者
  • 代理人等他に申請等を行う者がおらず、中長期在留者本人が、刑事施設等に収容されている、児童相談所又は婦人相談所等に入所している等の理由により出頭できない場合におけるこれらの施設の職員
  • 代理人等他に申請等を行う者がいない老人ホーム等にいる中長期在留者に代わって申請等を行う当該老人ホーム等の職員等
  • 留学等の在留資格を有し、単身で本邦に在留するなど代理義務者が存在しない16歳未満の中長期在留者については、当該中長期在留者が所属する教育機関等の職員等
  • 児童養護施設等に所属する、同居する代理義務者が存在しない16歳未満の中長期在留者については、当該中長期在留者が所属する児童養護施設等の職員等

出典:出入国在留管理庁|永住許可申請

必要書類の準備

必要書類は、申請人の在留資格や身分・地位によって異なりますが、在留資格変更の場合の必要書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 写真 1葉(縦4cm×横3cm。写真の裏面に氏名を記入し、申請書に添付して提出)
  • 16歳未満の方は写真の提出は不要です。
  • 立証資料(元の在留資格によって異なります。詳細は法務省のホームページをご覧ください。)
  • 在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。以下同じ。)を提示
  • 資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限ります。)
  • 旅券又は在留資格証明書を提示
  • 旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは、その理由を記載した理由書
  • 身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)

変更前の在留資格などによっては書類が異なるため、詳細は以下からご確認下さい。

▶1:申請人の方が、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者又はその実子等である場合
▶2:申請人の方が、「定住者」の在留資格である場合
▶3:申請人の方が、就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」など)及び「家族滞在」の在留資格である場合
▶4:申請人の方が、「高度人材外国人」であるとして永住許可申請を行う場合

永住者、特別永住者および帰化の違い

ここからは、先程から出てきた「特別永住者」や、「帰化」と永住者の違いについて見ていきます。

帰化との違い

まず、帰化との違いを見ていきましょう。

簡単に説明すると、

「帰化」とは外国人(外国籍の方)が日本国籍を取得し日本人になること、対して、「永住者」は外国籍のまま日本で永久的に住むことができる権利(永住権)がある在留資格とその資格を持っている方

のことを指します。

「帰化」は外国籍ではなくなり日本人になるので、在留資格制度からは外れ、日本人が受ける社会保障などの様々な権利も、全て同じように受けられることになります。

永住者の在留資格を取得するよりも、帰化の申請・承認のハードルは更に高くなります。

また、日本では二重国籍が認められていないため、帰化をし日本国籍を取得したい場合は元々の国籍を手放す必要があります。もし、元の国籍に戻したいと思った時に、国籍を取り直すことが困難な国もあるので、帰化には十分な検討が必要なのです。

特別永住者との違い

「特別永住者」とは、1991年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に定められた在留資格を持っている外国人のことを指します。

永住者も特別永住者も、日本において永住を許可された資格であるという点では同一ですが、

  • 「永住者」は「出入国管理及び難民認定法」に基づく在留資格
  • 「特別永住者」は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」を根拠とした在留資格

となっており、両者は根拠となる法が異なっております。

上記の、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等とは、第二次世界大戦の以前から日本に居住して日本国民として暮らしていた外国人で、戦後、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った方々のことを指し、主に韓国・朝鮮、台湾出身の方が占めております。

戦後も母国に帰らず日本で生活している人が多くいたため、その方々やその子孫が日本へ定住することなどを考慮した上で、永住する権利を与えたのが特別永住者です。

そのため、永住者との審査基準や法律上での義務も異なります。

また、永住者と特別永住者の大きな違いは、「在留カードの有無」「外国人雇用状況届出の要否」です。

  • 永住者:在留カードの交付あり、かつ、カード携帯の義務あり。就労時は外国人雇用状況届出が必要。
  • 特別永住者:在留カードの交付はなく、代わりに特別永住者証明書が交付されるが、これらの携帯義務はなし。

その他にも、特別永住者は「外国人雇用状況届出」の提出が不要であったり、許可申請は入管ではなく住民票のある自治体にする等の違いもあります。

在留カードについての詳細を知りたい方は是非以下の記事もご覧ください。

在留カードってパスポートと何が違う?偽造在留カードの確認方法も含めて解説!

永住権取得者の採用に関するポイント

最後に、永住権取得者の採用に関して見ていきましょう。

採用時の留意点

「永住者」は就労制限等はなくどのような仕事にも就くことができますが、雇用時に「外国人雇用状況の届出」は他の外国人と同様に義務となっています。正社員かアルバイトかなど雇用形態に関係なく必要な届出で、届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。

また、犯罪に手を染めてしまったなど、永住に相応しくないと判断された場合は永住者の在留資格を取り消されてしまう可能性があります。本人の責任ではありますが、企業としても犯罪に巻き込まれないように注意喚起をした方が良いでしょう。

企業側が負担する費用

永住権取得の費用など、企業側が負担をする費用は特にありません。

ただ、就労制限のない永住者はどこの企業でもニーズがあるため、福利厚生面など他社との差別化は検討しても良いでしょう。

永住許可を持つ人を採用するメリット

永住権所有者を採用するメリットは大きく2つあります。

①在留期間の制限がない

永住権に紐づく永住者の在留期限は「無制限」です。そのため他の在留資格と異なり在留資格自体の更新の必要がありません。

しかし、永住者を含むすべての中長期在留者に発行される「在留カード」には有効期間があります。そのため、定期的に在留カードの更新の手続きが必要です。

更新は有効期間の2ヶ月前から可能で、感覚的には運転免許証の更新に近いです。

②就労の制限がない

他の在留資格は資格の種類ごとに就労できる業務、内容に制限がありますが、永住権を持つ永住者の在留資格はこの制限がありません。

そのため、日本人と同じように就きたい職業をいつでも自由に選択することが可能です。

また、企業側のメリットではないですが、永住権保有者は日本人同等の社会的信用を得ている方のため、住宅ローンが組みやすくなったり、ハイクラスのクレジットカードが作りやすくなったりする本人たちのメリットもあります。

海外転勤と永住権申請に関する注意点

もし、永住者を有する外国人が海外へ長期出張や転勤、一時帰国などで1年以上日本を離れる場合は注意が必要です。

その理由としては以下の2つがあります。

①出国時に再入国許可が必要

再入国許可とは、日本に在留している外国人が一時的に出国した後に再入国をする場合、入国手続きを簡素化するために先立って与える許可のことです。

もし、この再入国許可を受けずに出国をした場合は、その外国人が有していた在留資格と在留期間が消失してしまうため、海外への長期出張や転勤、一時帰国の場合にはこの再入国許可出国当日までに受ける必要があります。

再入国許可には、1回限り有効のものと有効期間内であれば何回も使用できる数次有効のものの2種類があり、その有効期間は、その外国人が有している在留期間の範囲内で最長5年間(特別永住者の方は6年間)で、その期間は海外に滞在することができます。

②海外滞在中に再入国許可(在留期間)が切れてしまうと永住者の地位が喪失

もし、海外滞在中に再入国許可の期限(在留期間)を超過してしまった場合、日本における永住者としての地位は喪失してしまいます。

これは救済措置などもないため、改めて永住権の申請が必要になるのです。

再入国許可の期限については、有効期限内に再入国できないことに相当な理由がある場合には、1回に限り延長できる場合があります。その際は、有効期間は1年を超えず、かつ、当該許可の効力発生の日から6年(特別永住者の場合は7年)を超えない範囲内での許可とされており、日本を出国する前に与えられていた在留期限を超えて有効期間を延長することはできません。

また、永住権を申請する予定の外国人が日本から出国をする場合、永住権申請に必要な在留年数がリセットされてしまいます。そのため、永住権をとりたい外国人を社員として雇用している場合は、海外転勤を打診しても断られることもあるでしょう。もし採用後に、長期の海外出張や転勤の可能性がある場合には注意が必要です。

まとめ

今回は外国人労働者の永住権について、基本的な内容をお伝えしてきましたが、いかがでしたか。

永住権を持つ外国人労働者は、企業にとっても非常に魅力的な人材であることは間違いありません。

是非この記事を参考に、永住権を持った外国人労働者の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者
編集
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
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