【在留資格「経営・管理」とは】概要や取得要件、取得までの流れを解説

【在留資格「経営・管理」とは】概要や取得要件、取得までの流れを解説

この記事は在留資格「経営・管理」が従事できる業務や在留期間、家族帯同の可否など、基本的な事項について解説していきます。取得のための要件や在留資格申請の流れについても解説していきますので、在留資格「経営・管理」の基本を押さえたい方は、是非最後までご確認ください。

目次

外国人労働者の在留資格

外国人労働者が日本で働くためには、就労が認められている在留資格を取得する必要があります。

2022年4月現在において、在留資格は29種類ありますが、このうち24種類の在留資格が就労を認められているのです。

またこの就労が認められている在留資格にも

  • 就労制限のない在留資格:永住者や定住者など
  • 就労制限のある在留資格:技術・人文知識・国際業務や技能など

の2カテゴリーあります。 

今回は就労制限のある在留資格のカテゴリーから、経営・管理を取り上げて、詳しくお話していきたいと思います。

在留資格に関する基本的な事項に関しては、以下の記事で解説しています。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説

在留資格「経営・管理」とは

まずは在留資格「経営・管理」の基本的な内容から確認していきましょう。

概要

在留資格「経営・管理」とは、日本において貿易その他の事業の経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動を行うための在留資格のことです。

2021年末時点で27,197人が在留しており、いわゆる就労系在留資格と呼ばれる専門的・技術的分野の在留資格においては、「技術・人文知識・国際業務」と「技能」に次いで、3番目の人数を誇ります。

在留資格「経営・管理」で従事できる業務

在留資格「経営・管理」で従事できる業務についても確認しておきましょう。

具体的な職種例としては、以下のような事業を経営する立場や管理する立場にある職種が挙げられます。

  • 代表取締役や取締役
  • 監査役
  • 部長や支店長
  • 工場長

業務分野として「技術・人文知識・国際業務」に該当していたとしても、役職付きなどのポジションとなる場合は、「経営・管理」の該当性が優先されることになります。

在留資格「経営・管理」の報酬

報酬については、経営・管理の取得要件に報酬要件が含まれており、日本人が従事する場合の報酬と同等以上の報酬を受けることとなっています。

つまり部長のポジションで雇用する場合、同じく部長として業務に従事している日本人社員と同等額以上の報酬を用意する必要があるのです。

在留資格「経営・管理」の在留期間

在留資格「経営・管理」の在留期間についても確認しておきましょう。

経営・管理の在留期間としては以下のいずれかのパターンとなります。

  • 5年
  • 3年
  • 1年
  • 6か月
  • 4か月
  • 3か月 

上記いずれかの在留期間については、在留資格を申請する外国人労働者や雇用企業側が任意で設定できるわけでなく、出入国在留管理庁側の審査によって決定されることになる点は留意しておきましょう。

また経営・管理において、在留期間の通算上限などは設けられておらず、期間更新の手続きを行うことで長期に渡り在留することが可能となっています。

家族帯同の可否

在留資格「経営・管理」を有する外国人労働者は、家族の帯同が可能となっています。

外国人労働者の家族が日本に在留するための在留資格として、「家族滞在」というものがあり、経営・管理も対象の在留資格となっているのです。

そのため経営・管理の在留資格を有する外国人労働者は、配偶者や子供の呼び寄せができます。

ただし外国人労働者やその配偶者の両親、親戚、兄弟などは帯同することはできませんので、その点は留意しておきましょう。

家族滞在に関しては、以下の記事でも解説していますのであわせてご確認ください。
▶︎在留資格「家族滞在」で働けるって本当?制限や取得要件などを解説!

在留資格「法律・会計業務」との違い

在留資格「経営・管理」の活動内容において、よく混同されるのが在留資格「法律・会計業務」です。

法律・会計業務とは弁護士や公認会計士などの活動をするための在留資格のことを指します。

法律・会計業務では法律事務所や会計事務所などの経営活動なども対象となるため、経営・管理における活動と重複するのでは、と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、「経営・管理」では、在留資格「法律・会計業務」に該当するような、資格を有しなければ行うことができない事業の経営又は管理に従事する活動は除く形になります。

そのため弁護士事務所や会計事務所の経営者や管理者として従事するためには、経営・管理ではなく、法律・会計業務を取得する必要があるのです。

在留資格「経営・管理」の取得要件

続いて、在留資格「経営・管理」の取得要件について確認していきます。

取得要件

「経営・管理」は経営者になる場合と管理者になる場合で、満たす必要のある要件が異なります。

経営者になる場合は以下の要件全てを、管理者になる場合は要件③を満たす必要があるのです。

要件①:事務所要件

一つ目の要件として挙げられるのは「事業を行うための事務所が日本に存在すること」が挙げられます。

ここでいう事務所とは、賃貸借契約書において事業用となっており、自宅兼用などとなっていない事務所のことを指します。

またバーチャルオフィスなども認められないので注意しましょう。

要件②:事業規模要件

続いて挙げられる要件は事業規模に関する要件です。

事業規模に関しては、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 常勤職員を2名以上雇用している
  • 資本金もしくは出資金の総額が500万円以上である 

ここでいう常勤職員とは日本人以外に永住者、日本人・永住者の配偶者等、定住者の在留資格を有する外国人労働者が対象となります。

要件③:実務経験・報酬要件

最後に挙げられる要件は実務経験と報酬に関する要件です。

具体的には以下の2つを満たす必要があります。

  • 事業の経営又は管理について3年以上の経験があること
    (大学院において経営や管理に係る科目を専攻した期間を含めることが可能)
  • 日本人が従事する場合の報酬と同等以上の報酬を得ること

不許可になるケース

在留資格「経営・管理」の取得や更新などにおいて不許可になるケースとして、事業所要件を満たしていないことなどが挙げられるでしょう。

先述の通り自宅の一部を事務所としたり、バーチャルオフィスを借りていたりする場合は、事務所要件を満たすことはできません。

また事務所の玄関に、事務所であるとわかる表札や標識がないなど、事務所として認識できない場合も要件に該当しないと判断されるケースがあるでしょう。

その他、事業規模要件を満たしていないケースも考えられます。

例えば常勤職員に対する解釈を間違え、アルバイトを2名雇用したり、対象外の在留資格を持つ外国人労働者を2名雇用したり、といったケースは当然不許可となるのです。

在留資格「経営・管理」の取得申請

最後に在留資格「経営・管理」の取得申請の流れなどについて確認しておきましょう。

ここでは企業が管理者として外国人労働者を海外から呼び寄せるケースと、既に雇用している外国人労働者が昇進した場合のケースについて確認していきます。

手続きの流れ

海外から呼び寄せるケース

海外から外国人労働者を呼び寄せて雇用する場合、在留資格認定証明書交付申請を行う形になります。

在留資格認定証明書交付申請の流れは以下の通りです。

・ステップ①:必要書類を準備

まずは在留資格認定証明書交付申請に必要な書類を、雇用企業側が手配します。

必要書類については、後ほどご紹介します。

・ステップ②:出入国在留管理庁にて申請を実施

必要書類を揃えたら、出入国在留管理庁にて在留資格認定証明書交付申請を実施します。

在留資格認定証明書交付申請の処理期間は1~3か月程度となるため、ある程度余裕を持って対応しておくことをオススメします。 

なお申請に手数料は掛かりません。

・ステップ③:証明書を外国人労働者に送付

在留資格認定証明書が交付されれば、その証明書を雇用する外国人労働者まで送付します。

・ステップ④:ビザ申請の実施

続いて外国人労働者側で、在留資格認定証明書とその他の必要書類を準備し、現地の在外公館にてビザ申請を実施することになります。

・ステップ⑤:来日・就業開始

ビザ申請が許可されれば、無事来日可能となり、就業することができます。

就業開始後は日本人社員と同じく各種保険の加入は勿論のこと、外国人雇用状況届出を忘れず対応するようにしましょう。

外国人労働者が昇進したケース

既に「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を有する外国人労働者を雇用しており、当該外国人が昇進により取締役や部長などになった場合について、見ていきましょう。

この場合、在留資格変更許可申請を実施することになります。

ただし昇進日に合わせて変更する必要はなく、現在の在留資格の在留期間が満了するタイミングで実施すればOKです。

在留資格変更許可申請の流れは大きく以下のようになります。

・ステップ①:書類の準備

必要書類を外国人労働者本人、もしくは企業側で準備します。

必要書類については後ほどご紹介します。

・ステップ②:出入国在留管理庁にて申請を実施

その後必要書類を持参し、出入国在留管理庁にて在留資格変更許可申請を実施します。

在留資格変更許可申請はおおよそ2週間から1か月程度掛かりますので、申請中に在留期間が切れることがないようにスケジュールを管理しましょう。

・ステップ③:在留資格の変更が完了

審査が無事通れば、収入印紙にて4,000円を納付し、在留資格変更の手続きが完了となります。

取得申請に必要な書類

在留資格認定証明書交付申請に必要な書類

在留資格認定証明書交付申請において必要となる書類は以下の通りとなります。

  • 在留資格認定証明書交付申請
  • 写真
  • 返信用封筒
  • 各カテゴリーに該当することを証明する文書 

カテゴリーは、雇用元企業が証券取引所に上場しているか、源泉徴収税が1,000万円以上あるかといった条件をもとに4つ設けられています。

それぞれ必要な書類が異なるため、詳細はこちらの出入国在留管理庁のページからご確認ください。 

在留資格変更許可申請に必要な書類

在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真
  • パスポート及び在留カードの提示
  • 各カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 

詳細についてはこちらの出入国在留管理庁のページも併せてご確認ください。

更新の手続き

在留資格を取得した後、在留期間を更新する場合は在留期間更新許可申請を実施することになります。

在留資格認定証明書交付申請と比べ、手続きの手順としては単純で

  1. 必要書類を準備
  2. 出入国在留管理庁にて申請を実施
  3. 審査後、問題なければ更新が許可される

という形になります。 

在留期間更新許可申請に必要な書類については、こちらの出入国在留管理庁のページからご確認ください。

まとめ

今回は在留資格「経営・管理」について詳しくお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は経営・管理を含め、外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しており、外国人労働者を活用したいという企業様のサポートをさせていただいております。

人材紹介サービスだけでなく、受け入れ体制構築の支援なども行っておりますので、少しでもご興味ありましたら、一度お気軽にご相談ください。

カテゴリ:
在留資格
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。