【移民と外国人労働者】定義の違いや受け入れの現状などをわかりやすく解説

【移民と外国人労働者】定義の違いや受け入れの現状などをわかりやすく解説

目次

移民と外国人労働者の違いをご存じでしょうか。

この記事では移民と外国人労働者それぞれの定義の違いや、受け入れの現状などを解説していきます。

外国人労働者の受け入れ方法などもご紹介していますので、外国人労働者の雇用を検討されている方は、是非最後までご確認ください。

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移民とは?

まずは移民とは何かについて、基本的な内容を確認していきましょう。

移民の定義

移民の定義については、国連機関の一つである国際移住機関(IOM)が以下のように述べています。

【IOMによる移民の定義】
“「移民」とは国際法などで定義されているものではなく、一国内か国境を超えるか、一時的か恒久的かに関わらず、またいかなる理由であれ、本来の住居地を離れて移動する人という一般的な理解に基づく総称”

つまりこの意味合いによれば、移民とはあらゆる移動の形を網羅しており

  • 旅行者
  • ワーキングホリデー
  • 留学生
  • 技能実習生
  • 移住労働者

などは全て移民と言うことができます。

とはいえ、これはあくまでIOMが自分たちの活動を推進していく上で、便宜上定めている定義です。

現時点では国際的に広く認知されている移民の定義は存在しないという点は留意しておきましょう。

移民と難民の違い

移民と似たような概念として難民がありますが、この両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

難民とは紛争や迫害、人権侵害などの自発的ではない理由で、移動を強いられる人々のことです。

1951年に定められた「難民の地位に関する条約」においては、「人種、宗教、国籍、政治的意見や又は特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義されています。

移民は先ほどの意味合いで捉えると、あらゆる形の移動を網羅しているわけですから、自発的でないにせよ国外へ移動している難民も当然移民の一部ということになるでしょう。

不法移民とは

移民のなかには、不法移民と呼ばれる人たちも存在しています。

不法移民には主に以下の2パターンあります。

  • 在留資格を持っていないのにもかかわらず、密入国し、そのまま国に留まっている人
  • 許可された在留期間を過ぎたにもかかわらず、在留している人

つまり一般的な言葉で言うところの不法滞在者のことと考えていただいて構いません。

当然、不法移民は法的な取り締まり対象となっており、刑事処分として3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金が科されます。

それらに加えて行政処分として強制送還や国外追放の対象となるのです。

なお、「在留資格」については、「【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

日本における移民受け入れの問題

現在の日本は、原則労働力の供給源として移民を扱っています。

そのため専門的・技術的分野の外国人労働者の受け入れは拡大していくものの、難民やそのほかの移住者を積極的に受け入れていく方針を取ってはいません。

なかでも難民については、主要な先進国と比べその受け入れ数が少ない点が指摘されています。

記事資料_グラフ_世界各国と日本の難民認定率
出典:法務省発表資料及びUNHCR Refugee Data Finderからジンザイベースが作成

2020年、日本において難民認定申請数は5,439件ありましたが、実際に認定がおりた数はたったの46件です。

認定率にすると、0.5%となっており、上図からも、日本がいかに認定数・認定率ともに低いかがお分かりいただけると思います。

日本の難民認定の厳しさについては国連からも指摘され、改善を促されている状況となっています。

外国人労働者とは?

ここからは外国人労働者について見ていきましょう。

外国人労働者の定義

外国人労働者もIOMが提唱する移民の定義で見ていくと、移民に含まれる形になります。

とはいえ日本における外国人労働者の定義についても念のため確認しておきましょう。

外国人労働者の定義は、厚生労働省が発行している「外国人労働者の雇用管理の改善などに関して事業主が適切に対処するための指針」に求めることができます。

【厚生労働省による外国人労働者の定義】
“この指針において「外国人」とは、日本国籍を有しない者をいい、特別永住者並びに在留資格が「外交」及び「公用」の者を除くものとする。また、「外国人労働者」とは、外国人の労働者をいうものとする。なお、「外国人労働者」には、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第二条第一項に規定する技能実習生(以下「技能実習生」という。)も含まれるものである。“

 外国人労働者受け入れの歴史

外国人労働者の受け入れの歴史は、在日韓国人や中国人への対応を中心に始まります。

1960年に入ってから、人手不足を理由に単純労働者の受け入れ要請が産業界から出されたものの、基本的に受け入れが許容されることなく、1980年代前半までその傾向が続きます。

その後、1988年の第六次雇用対策基本計画において、外国人労働者の内、「専門的・技術的労働者」については可能な限り受け入れていくという方針が示され、1993年には技能実習制度が設けられました。

そこから徐々に外国人労働者の数が増えていくことになるのです。

技能実習制度については、「技能実習制度とは?受け入れ方法から注意点まで基本を徹底解説」をぜひあわせてご覧ください。

外国人労働者の区分

外国人労働者には主に以下のような区分があります。

区分①:専門的・技術的分野の在留資格

いわゆる就労系在留資格で来日してくる外国人労働者で、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」などが挙げられます。

区分②:身分に基づく在留資格

身分に基づく在留資格には永住者定住者などがあり、これらの在留資格は活動制限がないため、あらゆる業務に従事することが可能です。

区分③:技能実習生

発展途上国から技術習得のために訪れる技能実習生も区分として挙げられます。

区分④:特定活動の在留資格

ワーキングホリデーEPA介護福祉士候補者などが該当してくる形になり、専門的・技術的分野の在留資格では対応できない範囲で適用される形になります。

区分⑤:資格外活動

本来の在留資格で指定されている活動以外の活動をするための資格であり、具体的に言えば留学生のアルバイトなどが該当します。

資格外活動許可については、「【資格外活動許可とは?】概要や申請方法などをわかりやすく解説」をぜひあわせてご覧ください。

外国人労働者の受け入れの現状

外国人労働者の受け入れの現状については、厚生労働省が発行している「外国人雇用状況の届出状況まとめ」のグラフに求めることができます。 

 記事資料_グラフ_在留資格別外国人労働者数の推移
グラフ引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在) 

このグラフは2008年から2020年にかけての外国人労働者の増加推移を示しています。

かなりの増加率で推移していることがおわかりになるのではないでしょうか。

コロナの影響もあり、増加率としては減少傾向にありますが、長期的に見て右肩上がりの傾向であることは間違いないでしょう。

外国人労働者の受け入れに関する問題

外国人労働者の受け入れが加速したことに比例して、様々な問題も指摘されています。

代表的なものを見ていきましょう。

問題①:安価な労働力としての認識

一つ目の問題として挙げられるのは、企業側が外国人労働者のことを安価な労働力として認識していることでしょう。

労働基準法や最低賃金法などの労働関連法令は適用されるにもかかわらず、低賃金で働かされている外国人労働者も残念ながら多いのです。

問題②:劣悪な環境

劣悪な環境で労働に従事している外国人労働者も少なくありません。

賃金だけでなく、長時間労働を強いられた上割増賃金が支払われなかったり、適切な安全衛生が確保されていない現場で働かされたりといったケースもあります。

問題③:不法就労などのリスク

また不法就労などのリスクが高まっていることも問題でしょう。

昨今偽造在留カードなども横行しており、不法就労を目論む外国人労働者も残念ながら一定数いるのです。

その他の代表的な問題点については、「【外国人労働者の雇用における問題とは】原因や対策を含めて解説」でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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外国人労働者を受け入れるメリットとデメリット

続いて、外国人労働者を受け入れるメリットとデメリットについてご紹介していきます。

メリット

メリット①:人手不足の解消

一つ目のメリットは人手不足の解消です。

日本国内における生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は1995年に8,726万人をピークに年々減少しており、2040年には6,000万人を下回ると推測されています。

国内での日本人労働者が減少していくため、外国人の採用をすることで、人手不足の解消に取り組む企業様は増えてきています。

メリット②:海外展開のきっかけになる

グローバル化がますます拡大する現代において、外国人労働者の採用が海外展開のきっかけになるという点も見逃せません。

外国人労働者の母国に関する情報収集はもちろん、進出時の責任者を任せることなどもでき、ゼロから始めるよりも海外展開に取り組みやすいと言えます。

メリット③:社内の活性化

社内の活性化もメリットとして挙げられます。

外国人労働者を雇用することで、社内にはない価値観や視点などが入ることになり、その結果イノベーションが生まれる場合があります。また、外国人労働者の声から様々な組織内制度改革に取り組まれている企業様も実際にいらっしゃいます。

デメリット

デメリット①:コミュニケーションが取りづらい

デメリットとしては「コミュニケーションが取りづらい」という点がまず挙げられます。

外国人労働者は来日するにあたって日本語を学習してくるとはいえ、ビジネスにおける細かなコミュニケーションが難しい場合があります。

デメリット②:在留資格手続きなどが複雑

在留資格手続きなどが複雑であるという点もデメリットでしょう。

外国人労働者を雇用するには、職種に応じた在留資格が必要であり、それぞれ取得要件なども変わってくるため、ハードルは高めと言えます。

デメリット③:価値観や商慣習の違いによるトラブル

外国人労働者の母国や育ってきた環境は、当然日本のそれとは異なるため、価値観や商慣習なども違ってきます。

そのためそれらを起因とした従業員同士の衝突といったトラブルも起こりうるのです。

外国人労働者を受け入れるには

最後に外国人労働者を受け入れる方法について簡単に確認していきましょう。

受け入れる方法

受け入れる方法としては、以下のステップを踏むことになります。

  • ステップ①:募集
  • ステップ②:書類選考
  • ステップ③:面接
  • ステップ④:内定と雇用契約書の作成
  • ステップ⑤:在留資格の申請手続き
  • ステップ⑥:入社 

大まかな流れとしては上記のようになりますが、海外から外国人労働者に来日してもらう場合と、既に日本に在留している外国人労働者を雇用する場合では、細かな手続きなどは異なるため注意してください。

受け入れる際の注意点

外国人労働者を受け入れる際の注意点もいくつか確認しておきます。

注意点①:外国人雇用状況届出の対応

外国人労働者を雇用した場合、外国人雇用状況届出の対応を忘れないようにしましょう。

基本的には雇用した翌月の10日までに管轄のハローワーク窓口もしくは、専用のオンラインシステムを用いて、提出する必要があります。

もし提出を忘れた場合、30万円以下の罰金が科されるため注意しましょう。

注意点②:受け入れ体制の整備

また外国人労働者を雇用する際は、受け入れ体制の整備も欠かせません。

簡単な日本語や母国語で作成したマニュアルを用意したり、メンターを配置したりするなどの体制整備は外国人労働者の定着のために重要です。

受け入れ体制の整備は採用を担当する人事だけでなく、受け入れ現場も巻き込んで実施していくことがポイントになるでしょう。

まとめ

今回は外国人労働者と移民の違いをテーマにお話してきましたが、いかがでしたか。

日本において移民はほとんど外国人労働者のことを指しているということがご理解いただけたと思います。

当社は、外国人労働者、特に「飲食店」や「ホテル・旅館業」、「食品製造」などの業種で働ける人材の紹介及び定着支援に力を入れています。もし、「外国人雇用に興味がある」もしくは、「外国人雇用に興味があるけど、手続きや日本語能力など不安がある」という方は、ぜひこちらのフォームからお問い合わせください!

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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。