【事例インタビュー】神戸の介護施設で80名の外国人雇用 | やすらぎ福祉会 春日様

【事例インタビュー】神戸の介護施設で80名の外国人雇用 | やすらぎ福祉会 春日様

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神戸市北区を中心に約10拠点の介護福祉施設を展開する「社会福祉法人やすらぎ福祉会」。約850名のうち10%を8カ国もの外国人社員が占めており、介護福祉士国家試験への合格者も排出するなど、先進的な取り組みをされています。今回は、法人本部本部長春日様に、介護業界における外国人雇用のTipsをお伺いしてきました。

なお、YouTubeでも動画形式でインタビューをご覧いただけますので、ぜひ合わせてご覧ください。

将来的にはほとんどが外国の方になってくると思うんです

やすらぎ福祉会「恵風園」

ーーまず、初めに春日さん及びやすらぎ福祉会様について教えていただけますか?

春日部長:

私が介護業界に入ったのは平成11年で、非常に景気が悪く、同時に介護保険制度が始まる前年度のタイミングでした。平成12年から介護保険制度が始まって、ちょうど介護に人が集まりだした頃ですね。新卒の大学生も多く就職したり、これから介護業界が盛り上がっていくぞという時代に、ちょうど入職しました。

当時は無資格・未経験で本当に何も知らなかったので、初めはパートで働いて、それで資格を取ってとか、いろいろ経験させてもらって、今はやすらぎ福祉会の法人本部長という職に就いています。

やすらぎ福祉会については、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービス、中にはサービス付き高齢者向け住宅や、ケアハウス・訪問系など、総合的な介護サービスを展開しています。

ーー施設数や従業員の方は何名ぐらいいらっしゃいますか?

春日部長:

大体10拠点ほどあります。職員は約850人ぐらいですね。やすらぎ福祉会だけでそのぐらいですね。神戸と、ちょっと離れた大野にもあるので、合わせてという形になりますけど。

そのうち、やすらぎ福祉会単体では約50名ほど、グループ入れたら大体8カ国80名ぐらいの外国人材が働いています。

今は、訪問系サービスに従事させることはできませんが、将来的には、特養で基本的な介護を覚えて、そして日本語の上達度合いによってはいろいろなヘルパーに行ってもらうということも想定しています。どんどんいろんな経験をしてもらって、知識を増やし、経験を増やしてもらうというのが一番いいと思っています。

ーー多くの施設さんは国籍を限定して増員しているイメージですが、どういう基準で採用しているのですか?

春日部長:

初めは施設によって、「この施設はベトナム人」「この施設はミャンマー人」というふうに分けていたこともあるんですが、今は、特に大きい施設ではもうどこの国の方でも構わないとなっていますね。公用語は日本語なので、もう国は特に選んでないです。

中村:

複数の国籍を扱う上でのメリットとして、人を集めやすいところがあると思うんですよね。国籍を限定させていくと、特定技能として働ける方の数も限定されていくので、そこを広げていくっていうのは非常に採用面としては強いのかなと思います。

ーーただ、一方でデメリットはあったりしませんでしたか?

春日部長:

やっぱり母国に帰りたいという人も中に出てきていますね。今だと円安などの影響で国に帰った方がいい、そういった考えを持つ人も出てきているので、多少デメリットも出てきましたね。

中村:

ベトナムでは、最近は韓国が一番人気でよく流れていくであったり、今はストップしているんですが、オーストラリアがベトナムと協定を結んで、ベトナムからオーストラリアに出稼ぎで就労しているっていうケースもありますね。

このパターンだと月給は日本よりも倍ぐらい稼げたりするので、能力をつけたい、成長したいとかではなくて、単純にお金を稼ぎたいという人においては、そういう方向に流れていってるのはありそうですね。

ーー日本人の採用は、求人媒体掲載ですか?人材紹介は使われていますか?

春日部長:

色々使いますね。ただ、まちまちなところがあるっていうのが現実です。

やっぱり介護に合ってない方もいらっしゃるので。そういった意味で、無資格未経験で来てもやっぱり合わないという人もいますし、年を重ねている人でも初めて介護に来て、上手いこと続ける人もいますので。

中村:

全体で850人の職員がいらっしゃって、そのうち80人ぐらいが外国籍となると、約10%の割合だと思うんですが、やっぱり外国人側の方がどんどん増えていってるんですか? 

春日部長:

日本人が退職して、そこを募集していたら、なかなか日本人も見つからないというのがありますから、外国の方から応募があると、どんどん積極的に採用しますね。

中村:

日本人と外国人のバランスはどのくらいが適切なのかってよく聞かれたりするんですが、大体ここまでが外国籍のように、区分けというか、方針はあったりしますか?

春日部長:

今は特定技能なので半分までは大丈夫だと思うんですけど、将来的にはほとんどが外国の方になってくると思うんですね。

中村:

在留資格を「介護」に変えてということですよね。

春日部長:

そうですね。

中村:

すごい先進的なお考えの施設さんですよね。なかなかいらっしゃらないですね。

春日部長:

たまに冗談で言うのは、外国人スタッフに日本人が漢字間違っているよ、お箸の使い方おかしいよと言われる時代も来るんだと思っていますね。

中村:

「人によって」というのはあると思いますが、やはりちゃんとした文法を学んだり、N1・N2持っている人であれば、実は読み書きに関しては、一般の日本人より外国人の方が強い、「逆転現象」が起きている部分もあったりしますしね。

介護福祉士試験に5名全員一発合格

やすらぎ福祉会では、ブログの更新も外国人社員が担当している

ーーちなみに、登録支援機関から特定技能外国人を紹介してもらったのがスタートですか?

春日部長:

実は、監理団体からたまたま手紙が届いたのがきっかけで、技能実習生の受け入れからスタートしています。当時、EPA制度が先に始まっていたんですけど、弊社はとりあえずそれに乗らなかったんですね。

一方、これから人が足らなくなるだろうなという思いがあったので、少し乗り遅れた感もあったので、技能実習はいち早くしようと思い、受け入れを始めました。神戸市内の特養では一番、もしくはトップクラスに雇用した施設じゃないかなと思いますね。

中村:

人数としても10%を超える水準で、外国人の方が日本人を徐々に凌駕してきている施設さんは、まだまだ数は少ないかなとは思うんですよね。

ーー今は複数の登録支援機関を活用されてると思うのですが、選ぶときのポイントは何かありますか?

春日部長:

ちゃんと支援してくれるところですね。きっちりできるところじゃないと長くお付き合いはお互いできないんじゃないかなと思うんですね。

中村:

この(登録支援機関の)許認可だけでいくと約1万を超えるような状態で、ますます増え続けているんですよね。一方で、驚くべきデータがあるんですが、全登録支援機関のうち、たかだか100名ぐらいを管理しているだけで、この業界のトップ5%に入るんですよ。

つまり、1万社あっても、ほとんどは真面目に経営していなくて、本当にちゃんとやってるのは日本全国の中でも3、400社程度。その中で、ちゃんと事業を伸ばしているのは、おそらく10%にも満たないとは思うんですよね。なので、20-30社くらいかなと。まさに春日さんおっしゃったような、基本をちゃんとやっている支援機関を見極めるのは、非常に大切かなと思いますね。

あと、結局は海外の送り出し機関の営業代行でしかないようなケースも多い印象ですね。「面接しましょう」となったときに、蓋開けてみたらどこかの日本語学校で学んでいる方のマッチングだったりして、このパターンだとやはり日本語力はあまり高くないケースが多かったりします。雇ったは良いものの、なかなか現場では使いきれない。利用者さん側にも結果として迷惑かける、みたいな話はよく聞いたりします。その辺も加味した上で選定をしていくといいのかなというふうには思いますね。

ーー日本語力はどれくらいのレベルの方が多かったんですか?

春日部長:

一番初めは、2人採用したのですが、1人は本当に優秀で、言葉を聞き取れて、日本語で喋って、メモは全部ひらがな・カタカナ使って、漢字も多少使えていましたね。N3だったかな、でもすぐN2を取りましたね。

中村:

なるほどですね。全体的に80名の方の内訳をざっくり見ると大体N1が何%ぐらいとかありますか。

春日部長:

N1はいないですね。N2は10人もいないと思いますね。

中村:

介護福祉士に合格された方もいらっしゃるのですか。 

春日部長:

いますね。N2の方で、一発合格ですね。

中村:

そういう方々というのは、面接時の段階から一定の語学力を持っている方だったのですか。

春日部長:

去年、介護福祉士を5人受けて5人通ったのですけど、技能実習で3年働いて途中で特定技能に変えて、試験を受けて一発目で2人とも通っていますね。

中村:

実務者講習を実施したり、その費用負担するとかそういうのはありますか。

春日部長:

あります。実務者講を施設内でやっていますね。

講師の先生に来ていただいて、施設に集まって、取るような形ですね。補助も出ますので、負担なしで取れる場合もあります。取ってすぐやめると返金とか、そういったのもあるのですけど、長く働いてくれるとそういった負担なしで働けるっていう形になります。

ーーいい人を見極めるポイントってありますか?

春日部長:

なかなか難しいですよね。

ただ、今は特定技能に絞って、日本語力はN2以上、もしくは技能実習経験者を中心に採用してますね。技能実習経験者であれば、N3でも合格する場合はありますが。 

中村:

この介護福祉士に合格された方というのは、もうほぼ元技能実習生系ですか。

春日部長:

そうですね。

中村:

となると、技能実習生系で結構未来がある話ですね。

今後は育成就労がスタートするので、あまり使えなくなるかもしれないですが、語学が一定以上のレベルであれば、新卒であったとしても、入植して最低3年働いて、ちゃんと講習を受けてというふうなステップを踏んでいけば、全然介護福祉士突破というのは、希望を持ているような感じですね。

春日部長:

希望を持てますね。N2を持ってる方は大体通ると思いますね。

ーーぶっちゃけ日本人と、比較をして働きぶりとかというのはどうですか。

春日部長:

非常に真面目でよく働きますね。

中村:

利用者さん側の評価としてはいかがですか。

春日部長:

全然悪いことは聞いたことないですね。

中村:

実際の実務で業務に支障が出てくることってあるんですか。

春日部長:

入って間もない方は、やっぱり日本語の聞き取る能力も低かったりとか、理解力もやっぱりわかってないこともあるので、そこはその都度経験して教えていかないとわからないので、時間がかかってもしょうがないと思うのですね。

ーー定着率を高めるために取り組まれてきた福利厚生などはありますか?

春日部長:

介護福祉士を取ると資格手当で給与が増えるというのはありますね。

中村:

素晴らしいですね。

春日部長:

これからまた考え直さないといけないところがありますね。新しい処遇改善の補助金が出たりしますので、どういうふうに変えていくかというのをちょっと今悩んでいるところなんです。

毎月もらえる額をどう増やすかとかいうのもありますので、そこをどういうふうに反映させていくかというのがちょっと今悩んでいるところです。

中村:

(一方で)この施策は失敗作だったなみたいなものも、もしあれば。

春日部長:

いろいろあるのだと思うんですよ。面接したときと時間が経つと、やっぱり雰囲気が変わっていたりとか、やっぱりWEBの面接だけだとわからない点があるので。

実際働いてみて、ちょっと感じが違ったなというのはあると思いますね。

中村:

とはいっても日本人の方と相対的に見たときに働きぶりも良くて、定着率としても高い傾向にあるっていうとこなんですかね。

春日部長:

そうですね。外国人スタッフ同士、仲良くなったりしますね。本来なら元々はベトナムチームみたいなのがあったり、ミャンマー人が集まったり、ただやっぱりいろんな国の人が集まると、いろいろとコミュニケーションをとってくれているので、その辺はありがたいですね。

ーー最後に、人手不足にお困りの介護施設を運営している会社さんに向けて一言お願いできますか?

春日部長:

どんどん日本人の若い方の人口が減ってきているので、その反対に高齢者がどんどん増えていくと、そういった中で働き手をどう確保するかっていうのはやっぱり外国人スタッフに助けてもらわないといけないと思います。

助けてもらうというより同じパートナーとして働くことが一番重要だと思っていますので、ぜひ早めに試してみてもらえればなと思います。  

ーー本日はありがとうございました。

編集後記

今回は、社会福祉法人やすらぎ福祉会春日様に介護業界における外国人雇用をお伺いしてきました。技能実習からスタートし、様々な定着施策(実務者講習の受講や資格手当など)を駆使し、全社員10%の外国人雇用を拡大されております。もし外国人雇用をご検討中の介護施設の皆様いらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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インタビュー
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。