外国人雇用の基本!採用方法/メリット/手続き/注意点を徹底解説!

外国人雇用の基本!採用方法/メリット/手続き/注意点を徹底解説!

「外国人労働者の雇用を検討しているけど、どういった流れで雇用すればいいの?」といった疑問を持たれている方に向けて、外国人労働者の雇用ステップを中心に解説していきます。外国人労働者の雇用メリットや注意点も併せて解説していますので、是非最後までお読みください。

目次

外国人労働者雇用の現状はどうなっている?

はじめに外国人労働者の現状について見ていきましょう。

外国人労働者数は右肩上がりで増加中

外国人労働者の受け入れの現状について、まずは以下のグラフを見てください。

在留資格別外国人労働者数の推移
引用:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)より抜粋

こちらは厚生労働省が発表している2008年から2022年までの外国人労働者の推移です。

見て分かる通り、年々増加傾向にあり、2022年は前年と比べ約9.5万人増加し、過去最高の182.3万人もの外国人労働者が在留しています。

特に、2008年から2012年にかけては緩やかに増加していくのみでしたが、2012年以降、一気に受け入れが加速し2022年までの10年間で約3倍にも増加していることがわかります。

どうして外国人労働者数は増えている?

では、どうして外国人労働者がここまで増えているのでしょうか?

増加している要因は様々ありますが、大まかな背景としては、日本の少子高齢化による労働人口の減少に対する政府の積極的な支援や受け入れ強化があります。

前述の、外国人雇用状況の届出状況のグラフで在留資格別に増加数を見ていくと、2010年から2022年で以下のようになっています。

  • 身分に基づく在留資格:
    2010年29.7万人⇒2022年59.5万人(+29.8万人)
  • 資格外活動(留学生等):
    2010年10.8万人⇒2022年33.1万人(+22.3万人)
  • 技能実習の在留資格:
    2010年1.1万人⇒2022年34.3万人(+32.2万人)
  • 専門的・技術的分野(高度外国人材)の在留資格:
    2010年1.1万人⇒2022年48.0万人(+46.9万人)

このように、身分系在留資格を持つ外国人の増加や、人手不足が深刻なブルーワーク職種の対策として技能実習」の受け入れ促進、在留資格特定技能」の新規創設、ホワイトカラー層の人手対策としては留学生40万人計画」「高度人材ポイント制の緩和など、日本の少子高齢化による人手不足に対応するため、日本政府が国策として外国人労働者の受け入れを後押ししていることが、増加の背景にあります。

企業が外国人を採用するメリットは何かある?

続いて外国人労働者を雇用するメリットとデメリットについて見ていきましょう。

外国人雇用のメリットは?

外国人労働者を雇用するメリットは大まかに言うと以下の4つが考えられます。

メリット①:人手不足の解消

日本では1995年以降生産年齢人口が減少しており、あらゆる業界において人手不足が慢性化しています。

そういった人手不足を解消するための対策として、外国人労働者の雇用は有効なのです。

メリット②:貴重な若手人材の確保

2020年における日本人の平均年齢47.2歳に対して、在留外国人は平均年齢が35.4歳となっています。

この平均年齢は労働に従事していない外国人も含めたデータではありますが、かなり若いことは明確です。

メリット③:社内の活性化

外国人労働者を雇用することで、社内にこれまでにない新たな価値観や視点が持ち込まれ、社内が活性化します。

また、外国人労働者の割合が増えればグローバル化も進み、多様性も増していくことでしょう。

メリット④:海外展開のきっかけになる

雇用した外国人労働者の母国に、支店やサテライトなどを設立し、その外国人労働者に責任者として赴任してもらうといった形で、海外展開のきっかけとすることができます。

実際の進出前に現地に関する情報を集めるという意味合いでも役立つでしょう。

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外国人雇用のデメリットは?

一方で、デメリットとしては以下の3つのことが考えられます。

デメリット①:コミュニケーションの問題

来日する外国人労働者は基本的に日本語を学習していますが、どうしてもうまくコミュニケーションを取れないというケースは往々にして発生します。

デメリット②:在留資格手続きが面倒

外国人労働者を雇用するためには、職種に応じた在留資格の取得や変更など外国人雇用特有の手続きが必須なため、その手続きに工数が掛かってくる点はデメリットと言えます。

デメリット③:文化や宗教によっては制約がある

また、雇用した外国人労働者の母国の文化や信仰している宗教によっては、一日にお祈りの時間が必要であったり、特定の食べ物が食べられなかったりといった制約はあまり日本人に馴染みがないため、デメリットと感じられる方もいるでしょう。

外国人労働者を雇用するにはどうする?(入社まで)

外国人労働者を雇用するには、具体的にどのようなことが必要なのかを見ていきます。

まずは在留資格についてしっかりと理解しておく

外国人労働者を雇用する際に、受け入れ企業様が必ず確認しなければならないこと、それが在留資格です。

「在留資格」とは、外国人が日本に滞在し、何かしらの活動を行うために必要となる資格のことを指しています。

この在留資格は全部で29種類あり、外国人が有している資格によって就労の可否や就労可能でも業務内容などに制限があります。そのため、外国人労働者を雇用する前に、まずこの在留資格についてしっかりと理解しておく必要があります。

以下に、就労可能(雇用できる)在留資格とその確認方法について記載します。

就労制限がない在留資格

就労制限がない在留資格は居住資格の4つです。

この在留資格を持っている外国人は、資格外活動許可なしに就労が可能となります。日本人もしくは永住者の配偶者や子供など身分に関係するので「身分系の在留資格」とも言われています。

在留資格該当例在留期間
永住者法務大臣から永住の許可を受けた者無制限
日本人の配偶者等日本人の配偶者・子・特別養子5年、3年、1年、6月
永住者の配偶者等永住者・特別永住者の配偶者、日本で出生し引き続き在留している子5年、3年、1年、6月
定住者第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人など5年、3年、1年、6月、または法務大臣が指定する期間(5年以下)

就労制限がある在留資格

就労が可能な在留資格は全部で19種類あり、一般的に「就労ビザ」とも言われています。これらの在留資格を有している外国人は、国で定められた範囲内で就労可能です。

在留資格該当例該当職業在留期間
外交外国政府の外交使節団や領事機関の構成員、条約や国際慣行により外交使節と同様の特権と免除を受ける者、または彼らと同一の世帯に属する家族の構成員としての活動。外国政府の大使や公使、およびその家族「外交活動」を行う期間
公用外国政府や国際機関の公務に従事する者、または彼らと同一の世帯に属する家族の構成員としての活動外国政府の大使館や領事館の職員、およびその家族5年、3年、1年、3月、30日、15日
教授日本の大学や高等専門学校において研究、研究指導、教育をする活動大学や専門学校の教授や研究者5年、3年、1年、3月
芸術収入を伴う音楽、美術、文学などの芸術上の活動作曲家や小説家など音楽、美術、文学の仕事を従事する者5年、3年、1年、3月
宗教外国の宗教団体によって、布教や宗教上の活動布教や宗教活動を行う者5年、3年、1年、3月
報道外国の報道機関との契約に基づいて行う取材のような報道上の活動記者やカメラマン5年、3年、1年、3月
高度専門職1号:日本の公私の機関で研究、研究指導、教育をする活動、またはて自然科学や人文科学の分野に属する知識・技術を要する業務に従事する活動、または経営・管理を行う活動1号:法務省令で決める基準に適合する高度人材5年
2号:1号に掲げる活動を行った者であって、その在留が日本の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う活動2号:法務省令で決める基準に適合する高度人材無期
経営・管理企業の経営や管理する活動企業の経営者や管理者5年、3年、1年、3月
法律・会計業務外国法事務弁護士や外国公認会計士など、法律上資格を有する者が法律・会計に係る業務に従事する活動弁護士や公認会計士5年、3年、1年、3月
医療医師や歯科医師など、法律上資格を有する者が医療に係る業務に従事する活動医師や歯科医師や看護師5年、3年、1年、3月
研究大学以外の公私の機関で研究を行う活動政府機関や私企業の研究者5年、3年、1年、3月
教育日本の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校で語学教育を行う活動教育機関での語学教師5年、3年、1年、3月
技術・人文知識・国際業務日本で理学、工学、自然科学の分野、または法律学、経済学、社会学などの人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する活動通訳や技術者や私企業の語学講師など5年、3年、1年、3月
企業内転勤日本に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所に期間を定めて、転勤して当該事業所において行う「技術・人文知識・国際業務」の項に掲げる活動日本企業の海外支店から日本への転勤者5年、3年、1年、3月
介護日本で介護や介護の指導を行う業務に従事する活動介護福祉士5年、3年、1年、3月
興行演劇、演芸、演奏、スポ―ツなどの興行に係る活動や芸能活動俳優、歌手、スポーツ選手など3年、1年、6月、3月、15日
技能産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動外国料理の調理師など、産業上の特殊な分野に熟練した技能を要する業務を従事する者5年、3年、1年、3月
特定技能人材を確保することが難しい、特定産業分野において相当程度の知識・技能を要する業務に従事する活動1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人1年、6月、4月(最長通算5年)
人材を確保することが難しい、特定産業分野において熟練した技能を要する業務に従事する活動2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人3年、1年、6月
技能実習技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動1号:技能実習生の1年目法務大臣が個々に指定する期間(1年以下)
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づいて、技能を要する業務に従事する活動2号:技能実習1号を修了して、評価試験に合格した2・3年目の技能実習生法務大臣が個々に指定する期間(2年以下)
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づいて、技能を要する業務に従事する活動3号:技能実習2号を修了して、評価試験に合格した4・5年目の技能実習生法務大臣が個々に指定する期間(2年以下)

資格外活動許可によるアルバイト

就労不可の在留資格であっても、「資格外活動許可」を申請・取得していれば、決められた制限内での就労が可能です。

この資格外活動許可は大きく分けて次の2つの通りです。(参考:出入国在留管理庁 | 資格外活動許可について

1. 包括許可:勤務先や業務内容が指定されていなく、週28時間以内の就労が可能。

対象例:
  • 「留学」の在留資格の方
  • 「家族滞在」の在留資格の方
  • 外国人の扶養を受ける配偶者で「特定活動」の在留資格の方
  • 就職活動中や内定後就職までの「特定活動」の在留資格の方
  • 「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能(スポーツインストラクターに限る)」で地方自治体と雇用契約をしている方


2. 個別許可:具体的な就労先や業務内容が個別に特定・指定されている許可。

対象例:
  • 就業体験の目的でインターンシップに参加し、週28時間を超える資格外活動を行う「留学生」の方
  • 大学で勤務する「教授」の在留資格の方が、民間企業で語学講師として稼働する場合
  • 個人事業主として活動する場合や客観的に稼働時間を確認することが困難である活動の場合

在留資格は在留カードで確認する

就労不可の在留資格や資格外活動許可を受けていない外国人を雇用してしまった場合、不法就労助長罪となり罰せられる可能性があります。そうならないために、雇用前に「在留カード」を必ず確認する必要があります。

在留カードとは、日本に滞在する外国人のうち、旅行などの短期滞在者を除く中長期在留者に対して交付されるカードで、外国人にとってはパスポート等に匹敵するほど重要なもので、外出時には常に身につけている方がほとんどです。

在留カードのサンプル画像
出入国在留管理庁「在留カード」はどういうカード?を元にジンザイベースが作成

例えば、上図の在留カードを持っている外国人材が面接に来た場合は、以下のような項目を確認し、自社で雇用可能かどうかを判断します。

① どんな「在留資格」を有しているか(上図の場合は在留資格「留学」)
② その「在留資格」が就労可能か(「留学」は就労不可です)
③ 雇用する上で十分な在留期間が残っているか
④ 資格外活動許可を取得しているか(「留学」は資格外活動許可があれば週28時間のアルバイトが可能)

在留カードについては、「在留カードとは?確認すべきポイントや偽造在留カードとの違いを解説!」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

外国人の母集団を形成 | 募集するための方法を把握する

次に、実際に採用する際の募集手法について見ていきます。

細かく見ると様々ありますが、大きく分けると以下の4つが効果的です。

求人サイト等で募集する

最もスタンダードな手法としては、求人サイト等のメディアに掲載することです。

外国人労働者の増加と共に外国人採用専門の求人広告メディアも増加傾向にあり、これにより国内在住の外国人にアプローチが可能になりました。

一方で、求人票の作成、多国言語への翻訳や応募対応など、工数がかかる点に注意が必要です。

SNSを活用した集客

近年は日本人同様に、外国人も広くSNSを利用しています。

特に、Facebookにはグループ機能があり、一定の興味関心が近い方同士がFacebook上でコミュニケーションを形成することが可能で、この中には求人情報が投稿可能なグループが存在します。

こういった、国籍別の求人グループへ自社の求人票や募集要項を投稿することは、投稿や対応に工数がかかる可能性もありますが、費用をかけずに応募者を集める手段として有効です。

リファラル採用

リファラルとは既存従業員からの紹介を指します。

上記のSNSコミュニティなども含め、在住外国人は特に出身国同士の横のつながりがとても強いのが特徴です。

既に外国人を雇用している企業は、その横のつながりを活用し、既存社員やアルバイトから知人を紹介してもらうリファラル採用も有効な手段です。

知っている人からの紹介であることから事前に人となりを把握でき、コストを掛けずに採用することも可能なのがメリットです。

人材紹介会社の活用

最後は、人材紹介会社・登録支援機関への紹介依頼です。

求人サイト同様に、近年では外国人の紹介サービスを提供する企業が一気に増えました。

人材紹介会社を利用すれば、こちら側の求人内容や人物要望などを踏まえた上で、最適な人材を紹介してくれます。

外国人のマッチングを行う人材紹介会社は、紹介だけでなくその他在留資格取得等のサポートまで対応してくれるサービスもありますので、工数を押さえつつ優秀な外国人労働者を採用したい場合はオススメです。

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特有の手続き(労働契約と在留資格申請)を漏れなく実施する

ここからは外国人労働者を雇用する際の手続きについて見ていきます。

労働契約の締結

外国人の雇用が決まったら、まず最初にすることは労働契約の締結です。

この次のステップである在留資格を申請する際に、雇用契約書もしくは労働条件通知書が必要になるため、必ず最初にやらなくてはなりません。

さらに、日本人と同様に「法律上問題がないか」や「条文等が二重の意味に捉えられないか」などの確認だけでなく、トラブル防止の観点からも、母国語で書類を作成・交付する必要があります。

在留資格の申請

次に在留資格の申請手続きに移ります。

在留資格の申請には主に以下の3つのパターンがあるので、どのケースに該当するのかを確認して、適切な手続きを実施しましょう。 

また、それぞれのケースや在留資格によっても手続きに要する日数が異なり、ざっくりと、それぞれ以下の期間を要します。

  • 「在留資格認定証明書交付申請」は交付まで約1~2ヶ月
  • 「在留資格変更許可申請」は告知まで約1~2ヶ月
  • 「在留期間更新許可申請」は告知まで約1~1.5ヶ月

手続き、在留資格ごとの最新の在留審査処理期間については、出入国在留管理庁のホームページでご確認下さい。(参考:出入国在留管理庁|在留審査処理期間

外国人労働者の入社前後で準備しておくことはある?

ここからは外国人労働者の入社前後で企業がサポートすべきことについて見ていきます。

海外在住者の場合に準備するべきこと

入社予定の外国人が海外在留者である場合は、入国前、入国後それぞれでやっておくべきことがあります。

しかし、海外在住者で日本で生活をしたことがない外国人は、全てを自分で手配、準備するのは相当困難なため、受け入れ企業がサポートをしてあげる必要があります。

具体的には以下のサポートをしてあげると良いでしょう。

入国前の準備

印鑑の作成

昨今は電子サインなども進んでいますが、日本の生活で「印鑑」はまだ必要不可欠です。

しかし、ほとんどの外国人は印鑑を持っておらず、仮に持っていたとしても、実印として登録するのには不適合の場合もあります。そのため、契約に用いるための印鑑は日本で作成してあげるのが良いでしょう。

住居の手配

技能実習などの在留資格でなければ、外国人労働者の住居を企業が用意する必要はありませんが、海外在住者が入国前に前もって住居を手配するのは非常に困難なため、受け入れ企業側が前もって手配することをオススメします。

受け入れ企業が手配する場合、敷金・礼金について企業が補助するケースも多いです。また、家賃は一般的に前月に翌月分が定期的に引き落とされるので、それも理解をしてもらっておくと良いでしょう。

入国後の準備

携帯電話の手配

海外にある使い切りのSIMカードとは異なり、日本の携帯電話契約のほとんどが月額制です。そのため、「月額でお金を払っていくもの」という点をきちんと説明する必要があります。

市区町村役所への住民登録

日本に3ヶ月以上滞在する外国人は「住民登録」が必須です。各市区町村の住民登録を受付窓口で、登録をしましょう。またその際は、マイナンバーカードも同時に申請しておくと良いです。

銀行口座の開設

日本での給与を受け取るためや生活費の引き落としするための銀行口座も必須です。外国人が新規口座開設をするのは大変なことも多いので、受け入れ企業がサポートしてあげると良いでしょう。

ライフライン、インターネットの開通

電気、水道、ガスなどのライフラインの契約・開通に加え、昨今ではインターネットも生活する上で不可欠です。

それぞれ、契約書類などは理解が難しい場合もあるため、それぞれ開通するまでサポートしてあげるのが良いでしょう。

また、それぞれの支払日や支払い方法も明確にしてあげると良いでしょう。

法定健診の受診

法定健診は、労働安全衛生法で義務付けられた定期健康診断で、 雇い入れ時の健康診断年に1回の「定期健康診断」を実施することが、事業者には義務づけられています。 

「任意」と勘違いしている外国人もいるかもしれませんので、しっかりと説明をしてあげましょう。

国内在住者の場合に準備するべきこと

海外在住者と比べ、既に日本国内に在住している場合は圧倒的にやることは少なくなります。

企業としては、以下にあげることが済んでいるかを確認し、もし済んでいないものがあればサポートしてあげましょう。

  • 住民登録 ※引っ越しが発生する場合は注意
  • 銀行口座開設
  • インターネット環境の手配
  • 法定健診の受診

外国人はすぐ辞める?定着のために職場環境を整える

せっかく様々準備し入社してもらった外国人労働者がすぐ辞めてしまう、、、というケースは少なくありません。

これには色々な要因が考えられますが、そうならないために受け入れ企業がやるべきこと、注意することについて見ていきましょう。

経営層のみならず、現場としっかりと合意形成を得ておく

まず大事なのは、実際に外国人労働者と接する社員や、関連部署とのコンセンサスをしっかりと取っておくことです。

外国人の雇用を決めるのは経営層であったりもしますが、実際に毎日外国人と一緒に働くのは現場の社員達でしょう。

トップダウンのみでコトが進んで共有がないと、現場では心理的・環境的に準備が整わず、混乱を招く恐れがあります。

できれば雇用前の段階から「外国人労働者の採用」についてのコンセンサスを取り、採用後に「どのような役割を期待して採用するのか」の理解を得ておきましょう。

文化的な違い、特にコミュニケーションの取り方に注意する

文化的な相違点を理解をし、コミュニケーションの取り方に注意をすることも大切なことの一つです。

国が違えば文化的なギャップが生まれるのは当然のことです。日本にいるのだから日本の文化が良く、他方が悪いと考えるのではなく、相違点を理解しどう接するべきなのかを考えましょう。

例えば、時間厳守が当たり前の日本で良くある「5分前行動」という考え方は外国人には全く馴染みがありません。しかし、「余裕を持って行動をする」という点では仕事においてもミスが減ったりなど、良いこともあります。

いつもギリギリの行動でミスが多い外国人社員がいれば、「5分前行動」を強要するのではなく「余裕を持って行動をすることでミスが減る」ことを教えてあげましょう。

また、海外には日本のような「察し」や「阿吽の呼吸」はありません。そのため、外国人労働者と接する社員には、「言葉ではっきり伝えることが大事」ということを周知しておくべきでしょう。

さらには、外国人労働者の母国の文化、風習、宗教について、既存社員が理解を深められる機会を作るのも良いでしょう。

評価制度を運用し、能力に応じて抜擢していく

日本ではまだまだ根強く残っている「年功序列型の昇給や昇進」ですが、外国人にとっては理解がし難い人事制度です。

転職を繰り返してステップアップをすることが一般的な彼らは能力主義・成果報酬の考え方が強いため、受け入れ企業が年功序列制度を採用していたり、インセンティブや賞与などがない場合、優秀な外国人ほど転職を考えてしまうでしょう。

また、明確な評価基準がない場合も同様です。

ひとりひとりの貢献度・能力を評価する基準をしっかりと設け、処遇の根拠をはっきりと説明がつけられるようにすることは、外国人労働者の離職対策だけでなく、企業組織の目標達成に向けた戦略的な人材マネジメントに欠かせないものでしょう。

そして、外国人でも優秀な人材には、積極的にマネジメント業務や難易度の高い業務や役割を与えることも重要です。

役割変更や条件変更については慎重に

外国人労働者に限らずですが、雇用前の内容と実際の条件が異なる場合は退職に繋がってしまうことがあります。

例えば、

  • 入社後3ヶ月は現場研修として工場勤務、その後は本社での勤務という条件にも関わらず、4ヶ月目以降も変わらず工場勤務が続く
  • 昼勤務が中心という条件だったが、実際は夜勤がほとんど
  • 配属先の勤務地は東京近郊という条件だったが、会社の都合で急遽勤務地が石川県に変更された

など、本人から入社前に了承を得ていない役割や条件の変更は慎重に行う必要があります。

外国人を雇用する際の注意点は?

続いて外国人労働者を雇用する際の注意点をいくつかご紹介します。

労働法(同一労働同一賃金/最低賃金)を守る

まず、大前提に、日本人・外国人に関わらず適用される基本的な労働関連法を遵守する必要があります。

特に注意が必要なのが「同一労働同一賃金制度」「最低賃金制度」の2つです。

「同一労働同一賃金制度」とは、正社員であるか、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者であるかにかかわらず、企業・団体内で同一の仕事をしていれば、同一の賃金を支給するという考え方で、不合理な待遇差の解消を図るものです。

外国人だからといって、同じ業務をしている日本人と比べて、低い賃金で雇用することは認められていません。また、給与水準が日本人より劣っている場合、在留資格が取得できないこともありますので注意が必要です。

「最低賃金制度」は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、雇用主は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない とする制度です。

同一労働同一賃金と同じで、外国人だからといって日本の最低賃金を下回って雇用することは認められていません。日本で働く以上は日本の最低賃金が提供されることを理解しておきましょう。

外国人特有の法令や届出を忘れずに実施する

外国人労働者の場合は、外国人特有の法令や届出を実施する必要もあります。

例えば、外国人を雇用したら行う「外国人雇用状況の届出」です。

これは外国人を雇用する事業主に提出が義務付けられている手続きで、一部の在留資格を除き、正社員かアルバイトかなどの雇用形態に関係なく対象となります(ただし、雇用する外国人が雇用保険の被保険者になる場合、「雇用保険被保険者資格取得届」が外国人雇用状況の届出を兼ねるため不要)。

届出を怠ったり、虚偽の報告を行ったりすると30万円以下の罰金が科されます。

また、雇用した外国人が有している在留資格が就労可能であること、就労可能でも認められている業務かどうかを理解し、守る必要があります。

違反した場合は、「不法就労助長罪」に問われる可能性がありますので注意しましょう。

不法就労助長罪には注意する

不法就労助長罪とは、外国人に不法就労(本来就労が認められていない外国人が業務に従事すること)をさせたり、不法就労をあっせんしたりした者を処罰するもので、入管法73条の2に規定されています。

就労不可の在留資格を有する外国人と知りながら雇用したり、もし知らなかったとしても身分の確認を怠って雇用していた場合に罰せられるというものです。処罰の対象は、不法就労していた本人はもちろん、雇用した企業も対象となります。

  • 本来の業務とは異なる内容を申請
  • 認められていない単純労働や現場業務に従事させる
  • 週28時間の就労上限を無視して勤務させる
  • 在留資格や身分をしっかり確認せずに雇用をする

などは、不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役もしくは300万円以上の罰金・その両方が科されることがあります。

※ 実際に不法就労助長罪で逮捕された事例「朝日新聞デジタル(2022年11月15日):ラーメンチェーン「もっこす」社長を逮捕 留学生を働かせすぎた疑い

最近注目を集める「特定技能」って?

最近注目を集める「特定技能」という在留資格があるのをご存知でしょうか?

在留資格「特定技能」は、日本の深刻な人手不足に対応するため、「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる」ことを目的に単純労働を含めた業務に外国人が従事できる初めての在留資格で、2019年4月に新たに創設されました。

この特定技能制度は、特定の業種における外国人労働者の受け入れを対象としており、例えば外食業・建設業・農業・宿泊業・製造業など、労働力需要が高い12業種が該当します。

外食業で現場の人手不足に困っている、留学生アルバイトだけでは週28時間制限があり正社員登用を検討したい、、、などの企業は「特定技能」の外国人雇用を検討してみてはいかがでしょうか?

特定技能制度について詳しく知りたい方は是非「特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説」もあわせてご覧ください。

また、弊社は特定技能外国人の紹介からフォローまでワンストップでやっております。一度詳細を聞いてみたい、、、などございましたら、以下からお気軽にお問い合わせ下さい。

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まとめ

今回は外国人労働者を雇用する上での基本的な知識を解説してきましたが、いかがでしたか。

当社は本文中でもご紹介した外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

受け入れ後の定着率向上を目的とした各種支援サービスも提供しておりますので、外国人労働者の雇用に興味がある方は、一度お気軽にお問い合わせください。

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採用ノウハウ
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。