【在留資格「研修」とは?】概要や取得要件、取得までの流れを解説

外国人労働者の在留資格

外国人労働者が日本で働くためには、その活動内容に応じて適切な在留資格を取得する必要があります。

在留資格には就労制限の範囲に基づいて以下の3つのカテゴリーが存在します。

  • 就労制限のない在留資格:定住者や永住者など
  • 就労制限のある在留資格:技術・人文知識・国際業務や技能など
  • 就労不可の在留資格:短期滞在や留学など 

今回はこの3つのカテゴリーのうち、就労不可のカテゴリーに属する在留資格である「研修」について詳しくお話していきたいと思います。

なお、在留資格の概要については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説

在留資格「研修」とは

まずは在留資格「研修」の基本的な情報について確認していきましょう。

概要

在留資格「研修」とは、本邦の公私の機関に受け入れられて、技術や技能、又は知識を習得する活動を行うために必要となる在留資格です。

ただし「技能実習」や「留学」に係る活動は除きます。

一般企業においては、原則実務研修を伴わない非実務研修のみが対象となり、公的機関が行う研修については実務を伴う研修が可能となっています。

雇用形態・報酬

在留資格「研修」で来日する外国人は基本的に労働者として扱われません。

そのため受け入れ側(研修を実施する)企業と、研修で来日する外国人との間において、雇用契約を締結する必要はなく、賃金を支払う必要もないのです。

ただし生活費として研修手当などを支給する形になります。

労働者として扱われないため、日本の労働関連法令は基本的に非適用となる点もポイントと言えるでしょう。

在留期間

在留資格「研修」で来日する外国人の在留期間としては3つのパターンが設けられています。

  • 1年
  • 6か月
  • 3か月 

上記の中から出入国在留管理庁が、在留資格の申請書に記載する研修期間などを考慮し、決定する形となるのです。

家族帯同の可否

在留資格「研修」は、最長1年の在留期限があり、かつ日本で学んだ後帰国することを前提としている在留資格です。

そのため在留資格「家族滞在」の対象となっておらず、家族帯同はできません。 

在留資格「研修」の取得要件

在留資格「研修」を取得するための要件について確認しておきましょう。

取得要件

取得要件については非実務研修の場合と実務研修の場合に分けて、確認していきましょう。

非実務研修の場合の要件

まずは非実務研修の場合の要件から確認していきます。
非実務研修で来日するには、以下の6つの要件を満たす必要があります。

要件①

申請人が修得しようとする技能等が、同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと。

要件②

申請人が18歳以上であり、かつ国籍又は住所を有する国に帰国後、本邦において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。 

要件③

申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること。

要件④

申請人が受けようとする研修が研修生を受け入れる本邦の公私の機関(以下、受入れ機関)の常勤の職員で、修得しようとする技能等について5年以上の経験を有するものの指導の下に行われること。

要件⑤

受入れ機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置を講じていること。 

要件⑥

受入れ機関が研修の実施状況に係る文書を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、当該研修の終了の日から1年以上保存することとされていること。 

実務研修を行う場合の要件

申請人が本邦において受けようとする研修の中に実務研修が含まれている場合、先の要件に加えて以下の「追加要件①~⑤」のいずれかに該当する必要があり、さらに状況に応じて「その他の要件①~③」も満たす必要があります。 

追加要件①

申請人が、我が国の国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修を受ける場合

追加要件②

申請人が独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修を受ける場合

追加要件③

申請人が独立行政法人国際協力機構の事業として行われる研修を受ける場合 

追加要件④

申請人が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術センターの事業として行われる研修を受ける場合 

追加要件⑤

申請人が国際機関の事業として行われる研修を受ける場合 

その他の要件①

追加要件①から④に掲げるもののほか、申請人が我が国の国・地方公共団体又は我が国の法律により直接に設立された法人、もしくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人、もしくは独立行政法人の資金により主として運営される事業として行われる研修を受ける場合で受入れ機関が次のいずれにも該当するとき。 

(1) 研修生用の宿泊施設を確保していること(申請人が受けようとする研修の実施に
    ついてあっせんを行う機関が宿泊施設を確保していることを含む)。
(2) 研修生用の研修施設を確保していること。
(3) 申請人の生活の指導を担当する職員を置いていること。
(4) 申請人が研修中に死亡し、負傷し、又は疾病に罹患した場合における保険(労働者
    災害補償保険を除く。)への加入その他の保障措置を講じていること(あっせん機    関が当該保障措置を講じていることを含む。)。
(5) 研修施設について労働安全衛生法の規定する安全衛生上必要な措置に準じた措置を    講じていること。 

その他の要件②

申請人が外国の国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる機関の常勤の職員である場合で、受入れ機関が「その他の要件①」の(1)から(5)までのいずれにも該当するとき。
申請人が外国の国又は地方公共団体の指名に基づき、我が国の国の援助及び指導を受けて行う研修を受ける場合で次のいずれにも該当するとき。

(1) 申請人が外国の住所を有する地域において技能等を広く普及する業務に
    従事していること。
(2) 受入れ機関が「その他の要件①」の(1)から(5)までのいずれにも
    該当すること。

その他の要件③

申請人が本邦において受けようとする研修の中に実務研修が含まれている場合は、当該実務研修を受ける時間(2つ以上の受入れ機関が申請人に対して実務研修を実施する場合にあっては、これらの機関が実施する実務研修を受ける時間を合計した時間)が、本邦において研修を受ける時間全体の3分の2以下であること。 

ただし申請人が次のいずれかに該当し、かつ実務研修の時間が本邦において研修を受ける時間全体の4分の3以下であるとき、又は次のいずれにも該当し、かつ実務研修の時間が本邦において研修を受ける時間全体の5分の4以下であるときは、この限りでない。

申請人が本邦において当該申請に係る実務研修を4か月以上行うことが予定されている場合

申請人が、過去6か月以内に外国の公的機関又は教育機関が申請人の本邦において受けようとする研修に資する目的で本邦外において実施した当該研修と直接に関係のある研修(実務研修を除く。)で、1か月以上の期間を有し、かつ160時間以上の課程を有するもの(受入れ機関においてその内容が本邦における研修と同等以上であることを確認したものに限る。)を受けた場合

不許可になるケース

在留資格「研修」が不許可となるケースとしては、一般企業が受け入れる際に実務研修を伴う内容としてしまう場合などが挙げられます。

先の要件で挙げた通り、一般企業においては非実務研修のみに限定されているため、実務研修を伴う活動は認められていません。

実務研修を伴う場合は、技能実習などの在留資格の対象となるため、この辺りの線引きを理解しておく必要があると言えるでしょう。

在留資格「研修」の注意点

次に在留資格「研修」に関する注意点について、ご紹介しておきます。

注意点①:在留資格変更は原則不可

一つ目に挙げられるのは、在留資格「研修」から別の在留資格への変更手続きは認められていないという点です。

先の要件でも上げた通り、在留資格「研修」は、帰国後習得した技能を活かした業務に従事するということを前提としています。

そのため基本的に就労系在留資格などへの変更は認められず、最初に定められた研修期間を終えれば帰国しなければなりません。

ただし研修中に日本人と結婚したり、日本で働く外国人労働者と結婚したりした場合などは、「日本人の配偶者等」や「家族滞在」といった在留資格への変更が認められるケースはあります。

注意点②:資格外活動も不可

また資格外活動も不可となります。

在留資格「研修」で来日する外国人は研修に専念することが求められ、資格外活動の対象外となっているのです。

生活費についても先述の通り研修手当が支給される形になるため、アルバイトなどに従事する必要がないのも理由として挙げられるでしょう。

なお、資格外活動許可については、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶︎【在留資格における資格外活動とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説

在留資格「研修」の取得申請

最後に在留資格「研修」の取得申請について、流れや必要な書類についてご紹介していきます。

手続きの流れ

在留資格「研修」の取得手続きの流れとしては、以下のようになります。

ステップ①:必要書類の準備

まずは在留資格認定証明書交付申請のために必要な書類を準備しましょう。
必要書類については後ほど触れます。

ステップ②:在留資格認定証明書交付申請

必要書類が揃えば、出入国在留管理庁にて在留資格認定証明書交付申請を実施します。

ステップ③:在留資格認定証明書を当該外国人に郵送する

申請が許可され、在留資格認定証明書が交付されれば、その在留資格認定証明書を当該外国人まで郵送することになります。

ステップ④:ビザ申請の実施

次に、外国人側で在留資格認定証明書を含めた必要書類を準備し、在外公館にてビザ申請を実施します。

ステップ⑤:来日・研修開始

ビザ申請が無事完了すれば来日でき、研修を開始する運びとなるのです。

取得申請に必要な書類

在留資格「研修」の在留資格認定証明書交付申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真
  • 返信用封筒
  • 研修の内容や必要性、実施場所、期間及び待遇を明らかにする文書
  • 帰国後本邦において習得した技能などを要する業務に従事することを証する文書
  • 申請人の職歴を証する文書(職務経歴書)
  • 研修指導員の当該研修において習得しようとする技能等に掛かる職歴を証する文
  • 送り出し機関(準備機関)の概要を明らかにする資料
  • 受入れ機関の登記事項証明書、損益計算書の写し
  • あっせん機関がある場合は、その概要を明らかにする資料
  • 身分を証する文書(代理人や申請取次人が代理申請する場合) 

詳細についてはこちらの出入国在留管理庁のページも併せてご確認ください。

更新の手続き

在留期間を更新する場合は、在留期間更新許可申請が必要です。

手続きの流れとしては

  • ステップ①:必要書類を準備
  • ステップ②:出入国在留管理庁にて在留期間更新許可申請の実施
  • ステップ③:在留期間の更新

という形になります。

詳細については、こちらの出入国在留管理庁のページからご確認ください 

まとめ

今回は在留資格「研修」について詳しくお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しており、企業様の外国人労働者活用の支援をさせていただいております。

外国人労働者の受け入れに取り組みたいという方は、是非一度お気軽にお問い合わせください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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