【ミニコラム】日本語能力「N2」の背景にある世界標準。外国人採用の新常識「CEFR(セフル)」とは?

最近、技術・人文知識・国際業務に「N2以上」の要件が追加されるというニュースが話題ですが、その議論の中で頻繁に登場するのがCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)です。

これまで日本の採用現場では「JLPT(日本語能力試験)のN1かN2か」という基準が一般的でしたが、今後は「CEFRでいうB1〜B2レベルかどうか」という視点が重要になります。

そもそもCEFRとは?

CEFRは Common European Framework of Reference for Languages の略で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれます。

レベルは A(初級)から C(上級)まで、大きく3つの段階、細かく6つのレベルに分けられています。

(文部科学省公表「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」を参考に筆者作成)

一般的にはB以上あればビジネス上でも通用すると考えられています。

ビジネスレベルとされるB1とB2の違いは?

では、今回の通達でも注目されている熟達度BにおけるB1レベル及びB2レベルについて比較してみたいと思います。

実は特定技能2号でもCEFR B1以上の日本語能力が必要となりました。

出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」より抜粋

*2026年4月15日現在、特定技能2号変更及び認定申請には外食業及び漁業分野のみ日本語資格が必要書類となっておりますが、今後追加の可能性は多いにあります。

B以上あればビジネス上で通用すると言われていますが、B1とB2では大きな差があります。

端的にまとめると「B1であれば業務のスタートラインに立てるが、複雑な交渉や高度な判断を伴うビジネスならB2が必要」になるかと思います。

以下は、B1とB2をまとめた簡単な対比図です。

一概には言えませんが、採用するポジションなどによって「Bレベル」の中でも必要とする階級が違ってきます。

B1レベルが適しているケース

  • 現場監督やリーダー、または責任者が近くにいる環境: 「何をすべきか」が明確なマニュアル化された業務。
  • ITエンジニア(開発専念): 仕様書が定義されており、チーム内での進捗報告がメイン。
  • 技能実習からのステップアップ: 日常会話には困らず、現場での実作業が中心の職種。

B2レベルが必要なケース

  • 顧客対応・営業: 相手の意図を汲み取り、柔軟な切り返しや提案が求められる業務。
  • PM(プロジェクトマネージャー): ステークホルダーとの調整や、会議のファシリテーションが必要な場合。
  • 高度な事務・法務: 複雑な契約書の内容を理解し、社内にリスクを説明する必要がある場合。

なので、現場レベルでの責任者が想定されている「特定技能2号」がB1以上の水準、それよりもより高度な業務や知識が求められる「技人国」でB2以上が求められるのも納得いくかと思います。

ワンポイントアドバイス

「あれ?この人B1レベルかB2レベルかな?」と思った際は、「直近で発生したトラブルにどのように対処しましたか?」と聞いてみてください。

B1判定なら事実を順番に説明できるレベル。B2判定ならなぜそのような対応をしたのか、理由と根拠を論理的に説明できるレベルです。

記事内cta_ホワイトペーパー誘導_外国人採用のキホン

なぜ今CEFRなのか?JLPTとの比較

従来の「JLPT(N1〜N5)」は、語彙や文法の知識を問う「ペーパーテスト」としての側面が強い傾向がありました。一方で、政府や企業が今求めているのは、「職場で円滑にコミュニケーションが取れる能力」です。そのため、単なる試験の級だけでなく、「CEFRのB2レベルなら、会議で議論ができるはずだ」といった、実務能力の指標としてCEFRが採用され始めています。

では双方を比較してみましょう。

まず、双方とも語学力を測る指針としては一致しておりますが、方向性が違ってきます。

JLPTが語彙・文法・読解の「知識」を測る点に重点を置いているのに対して、CEFRは会議での発言、交渉、報告といった現場での「運用力」を測る指針となっております。

では、CEFRを測るために試験を受ける必要があるのでしょうか?

こちらに関しては日本語のCEFRレベルを判定する試験は実施されておりません。そのため、先ほどの話と矛盾はしてしまうのですが、JLPTの結果でCEFRの参考レベルの算出が可能です。

JLPTでは2025年の第2回試験より合格者に対してCEFRレベルの参考結果の表示を開始しております。以下が、JLPTの点数とCEFRをまとめたものです。

出典:日本語能力試験(JLPT)公式サイト

このように単にN3であってもA2とB1の人材がいたり、N2であってもN3を持っている人材と同等のCEFRレベルの方もいることがわかります。

そのため単に「N2を持っているから凄い! 」と判断するのではなく、「N2は持っているが、CEFRはB1レベルか。現場での応用力はどうだろうか?」とより実務に沿って考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ:今後の外国人採用に向けて

「N2という資格を、CEFRというフィルターで読み解く。このひと手間が、外国人採用の質を劇的に変えます。」

とはいえ、実務の中で「このスコアの人材が自社の現場で本当に通用するか」を客観的に判断するのは容易ではありません。当社では、豊富な紹介実績に加え、自社の外国人従業員比率も80%を超えるという実践的な知見を元に、CEFR基準に基づいた「日本語能力の見極め支援」や「N2要件化を見据えた採用戦略の再構築」のコンサルティングも行っています。

「選考基準をアップデートしたい」「CEFR B以上の人材を採用したい」とお考えの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。現場を知り尽くした私たちと共に、最適な人材獲得を実現していきましょう。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。2021年に株式会社ジンザイベースを創業。海外の送り出し機関を介さず、直接マッチングすることで大幅にコストを抑えた特定技能人材の紹介を実現。このシステムで日本国内外に住む外国人材と日本の企業をつなぎ、累計3000名以上のベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール等の人材採用に携わり、顧客企業の人手不足解決に貢献している。著書「日本人が知らない外国人労働者のひみつ(2024/12/10 白夜書房 )」
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