「登録支援機関に在留申請までお願いしているけど、行政書士法の改正で違法になっていないだろうか?」
「採用エージェントに書類作成を頼んでいたが、施行後は要注意と聞いた」
「自社の人事担当で取次できるようにしたい。何をすればいい?」
「そもそも、行政書士は『代理』してくれるの?『取次』とどう違うの?」
2026年1月1日に改正行政書士法が施行されてから、外国人を雇用する企業の経営者・人事担当者から、こうした問い合わせが急増しています。
在留資格の申請には「申請取次制度」という仕組みがあり、外国人本人の代わりに行政書士・受入機関の職員・登録支援機関の職員などが入管に書類を提出できるようになっています。便利な制度ですが、誰がどこまでできるかは法律で厳格に定められており、知らずに違反してしまうと刑事罰の対象となる重大なリスクを抱えることになります。
特に2026年1月に施行された改正行政書士法では、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が業務制限規定に加わり、これまでグレーゾーンとされていた「支援委託費の中に含めて無償で書類作成」「コンサルティング料として書類作成代行」といった運用が、明確に違法であることが条文上も整理されました。さらに、両罰規定により、違反者個人だけでなく所属する法人にも罰金刑が科される仕組みになっています。
本記事では、申請取次制度の全体像から、誰がどこまでできるのか、改正行政書士法の施行後の運用と注意点、具体的な違反事例、企業がとるべき対応策まで、外国人雇用担当者が知っておくべきすべてを最新情報で解説します。
申請取次制度とは?なぜ必要なのか
申請取次制度とは、本来であれば外国人本人が出入国在留管理局(入管)に出頭して行うべき各種申請を、本人に代わって特定の資格者が書類の提出できるようにする制度です。1989年(平成元年)6月に入管法施行規則の改正によりスタートし、その後徐々に対象範囲が拡大されてきました。
制度ができた背景
在留資格の各種申請は、原則として外国人本人が入管に出頭して提出するルールです。しかし、現実問題として以下のような課題がありました。
・ 入管の所在地が外国人の居住地から遠い場合の負担
・ 日本語が十分でない場合の手続きの困難さ
・ 申請書類の不備による再来庁の手間
・ 就労中の外国人の場合、平日の手続きは仕事を休む必要がある
これらの課題を解決し、外国人本人と受入企業の負担を軽減するために、一定の専門知識を持った人や所属する企業の職員が「取次」できるようにしたのが申請取次制度です。
取次のメリット
申請取次を活用することで、以下のメリットがあります。
・ 外国人本人が入管に出頭する必要がない(原則)
・ 業務時間中に外国人スタッフを休ませる必要がない
・ 専門家が関わることで申請ミスを減らせる
・ 複雑な手続きをスムーズに進められる
・ 結果として在留資格の安定的な維持につながる
取次ができる人(取次資格者)6種類の比較
申請取次ができる人は、入管法および施行規則で厳格に定められています。誰でも取次できるわけではなく、以下の6種類に限定されています。

1. 行政書士・弁護士
もっとも幅広く取次ができるのが申請取次行政書士と弁護士です。所属する単位会(都道府県行政書士会または弁護士会)が実施する研修・効果測定を修了し、地方出入国在留管理局に届出をすることで「届出済証明書」(いわゆるピンクカード)が交付されます。
行政書士・弁護士は、書類の作成と取次の両方ができる唯一の資格者です。また、入管との交渉や追加資料の対応も含めて、一連の手続きを完結できます。改正行政書士法の施行により、書類作成を伴う在留手続きにおいては、行政書士・弁護士との直接契約が事実上の必須となっています。
2. 受入機関の職員
外国人を雇用している企業の人事担当者などが該当します。地方出入国在留管理局で承認を受け「申請等取次者証明書」を取得することで、自社で雇用している外国人(およびその配偶者・子)の取次ができるようになります。
注意したいのは、自社で雇用する外国人については「書類作成」も適法に行えるという点です。書類作成は行政書士の独占業務ですが、自社の従業員のための書類作成は「自己使用目的」として例外的に認められています。ただし、グループ会社の従業員や採用予定者の書類作成は対象外なので注意してください(後述の違反事例参照)。
3. 登録支援機関の職員
特定技能制度における登録支援機関の職員も、地方出入国在留管理局の承認を受けることで申請取次者になれます。取次の対象は、自社が支援委託契約を結んでいる特定技能外国人に限定されます。
登録支援機関の職員ができるのは「申請の取次」と「書類の点検」のみで、書類の作成は行政書士の独占業務です。改正行政書士法の施行により、この点の運用がさらに厳格化され、「支援委託費の対価に書類作成が含まれている」と評価されるリスクが顕在化しています。
4. 監理団体の職員
技能実習における監理団体の職員も、承認を受けることで取次ができます。対象は実習監理を行っている技能実習生のみです。なお、団体監理型技能実習の在留資格認定証明書交付申請については、監理団体は「代理人」として申請できるため、取次資格は不要です。一方、更新申請等は取次として行います。
監理団体は2027年の育成就労制度開始により「監理支援機関」へと役割が変わる予定です。それに伴い、申請取次の運用も見直される可能性があります。
5. 公益法人の職員
外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益財団法人・公益社団法人の職員も取次資格者になれます。例として国際人材協力機構(JITCO)などがあり、JITCOは技能実習・特定技能の申請取次業務を有償で行っています。
公益法人の特徴は、行政書士・弁護士と同様に在留資格の種別を問わず取次ができる点です。なお、JITCOが提供しているのは「書類の点検」と「申請の取次」であり、書類作成自体は行っていません。これは公益法人であっても書類作成は行政書士の独占業務であるという立場を反映しています。
6. 旅行業者の職員
外国旅行業務を取り扱う旅行業者の職員も、限定的に取次ができます。ただし、取次できるのは旅行手続きを依頼した外国人の「再入国許可申請」のみで、その他の申請はできません。
なお、出入国在留管理庁より承認を受けるには「外国人の入国と在留の手続きに関する知識を有していること」が必須となります。一般的にはこちらを証明するために出入国在留管理庁が指定した出入国在留管理行政に関する研修会を受けて修了証等の交付を受ける必要があります。
取次できる範囲|誰がどこまでできるか
取次資格者によって、取次できる申請の種類と範囲が異なります。主な申請種類について比較すると以下のようになります。

もっとも重要な違い:書類作成の可否
上の表で最も重要なのが最後の行「書類の作成」です。書類作成ができるのは行政書士・弁護士のみで、登録支援機関の職員は書類作成ができません。受入機関の職員は自社雇用の外国人に限り適法ですが、他社の外国人の書類作成は違法です。
これは行政書士法第1条の二・第19条で定められた「行政書士の独占業務」であり、無資格者が報酬を得て官公署提出書類を作成すると行政書士法違反となります。仮に登録支援機関の職員が無償で行っていたとしても、他の項目で金銭の授受(支援委託費や人材紹介料など)があった場合、報酬を得て書類を作成しているとみなされる可能性もございます。
「申請取次」「申請代理」「書類作成代理」の違い
在留資格申請をめぐっては「取次」「申請代理」「書類提出代理」といった似た言葉が混在しており、混乱の原因になっています。さらに、改正行政書士法では行政書士の「代理権」も拡張されているため、ここで整理しておきましょう。

申請取次とは
申請取次は、本人または代理人が作成した申請書類を、本人に代わって入管に提出する行為のみを指します。書類への記名や意思表示はあくまで本人(または代理人)が行います。
取次者ができるのは、書類の物理的な提出と、入管からの追加資料要求への対応窓口になることが中心です。申請内容の決定権は持ちません。行政書士・弁護士が在留申請を扱う場合の業務形態がこの「取次」です。
申請代理(入管法上の代理)とは
申請代理は、本人に代わって申請内容を決定し、自らの意思で申請する行為です。代理人として認められるのは、入管法施行規則別表第4で定められた一定の範囲の親族や所属機関等に限られています。
代理人として認められる主な例は以下の通りです。
・ 外国人の配偶者または子(法定代理人)
・ 団体監理型技能実習における監理団体
・ 家族滞在の在留資格認定証明書交付申請における扶養者
・ 一部の在留資格における所属機関の職員
なぜ行政書士は「申請代理」ができないのか
「行政書士に依頼すれば代理してくれる」と思っている方も多いですが、実は入管法上は行政書士・弁護士であっても、委任契約に基づく「任意代理」で在留申請をすることはできません。これが「申請代理行政書士」ではなく「申請取次行政書士」と呼ばれている理由です。
入管法は「在留資格は外国人本人の身分に関する重大事項だから、本人または法定の代理人しか申請内容の代理決定はできない」という考え方を採っています。そのため、行政書士・弁護士には「代理人」ではなく「取次者」という枠組みで業務をできるようにしているのです。
ただし、実務上は行政書士が書類作成・取次・入管対応のすべてを一貫して行うため、感覚的には「代理してもらった」のと変わりません。法的な位置づけが「代理」ではなく「取次」であるという点が重要です。
行政書士法上の「代理」 - 書類提出手続の代理
一方で、行政書士には「行政書士法上の代理権」があります。これは行政書士法第1条の三で定められており、自ら作成した書類について、その提出手続を代理することができる権限です。
入管法上の「申請代理」とは別の概念で、こちらは「書類作成代理」「提出代理」と呼ばれます。この権限により、行政書士は次のことができます。
・ 自ら作成した申請書類を入管に提出する手続を代理
・ 入管からの追加資料要求への対応窓口になる
・ 意見陳述の手続において官公署に対して行為する代理
つまり、行政書士は「申請内容の意思決定の代理(入管法上の代理)」はできませんが、「書類提出手続の代理(行政書士法上の代理)」は可能ということになります。
特定行政書士の不服申立て代理 - 改正法で範囲が拡大
2026年1月の改正行政書士法では、もう一つの「代理」も拡張されました。特定行政書士(法定研修を修了した行政書士)による「不服申立て代理」です。
改正前は「自分が作成した書類」の不服申立てしか代理できませんでしたが、改正後は「行政書士が作成できる書類」全般について代理が可能になりました。これにより、在留申請が不許可になった場合、別の特定行政書士に審査請求の代理を依頼することもできます。
まとめ:行政書士は何ができる?
結局のところ、行政書士には在留資格申請において以下の業務を一貫して任せられます。
・ 申請書類の作成(行政書士の独占業務)
・ 申請の取次(入管への提出)
・ 書類提出手続の代理(行政書士法上の代理)
・ 入管からの追加資料要求への対応
・ 不服申立て代理(特定行政書士に限る)
ただし、申請内容の最終的な決定権(意思決定)は外国人本人にある、という法的構造になっています。実務上は行政書士が一貫して対応するため、依頼者目線では「すべて任せられる」と考えて差し支えありません。

【最新】2026年1月施行の改正行政書士法|3つの変更点
2025年6月13日に「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号)が公布され、2026年1月1日に施行されました。本改正は外国人雇用に関わる企業・登録支援機関・監理団体に大きな影響を与えており、これまでグレーゾーンとされてきた運用が、明確に違法と判断されるようになっています。
変更点1:「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」が明文化
改正法では、行政書士法第19条(業務制限規定)に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わりました。これにより、書類作成の対価が「会費」「コンサルティング料」「サポート料」「支援委託費」「リロケーションサポート料」などの名目であっても、実質的に書類作成の対価を含む場合は行政書士法違反として規制対象になります。
これまでは「支援委託費の中に含めて無償で書類作成」という運用が広く行われていましたが、改正後はこれが明確に違法となります。重要なのは「名称ではなく実質」で判断されるという点です。総務省の解説でも「手数料」や「コンサルタント料」等いかなる名目であっても、対価を受領して業として行うことはできないと明示されています。
*総務省通知「行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」
変更点2:両罰規定の整備により法人にも罰金
改正法では「両罰規定」(行政書士法第23条の3)が整備され、違反行為を行った職員個人だけでなく、所属する法人にも罰金刑が科される可能性が明確化されました。組織としてのコンプライアンス体制が問われる時代になっています。
登録支援機関や監理団体が「うちの社員がやってしまった」と言い逃れることはできず、組織全体として規制を遵守する必要があります。具体的な罰則は以下の通りです。

変更点3:特定行政書士の業務範囲拡大
改正法では、特定行政書士の業務範囲も拡大されました。これまで「自分が作成した書類」しか不服申立て(審査請求)の代理ができませんでしたが、改正後は「行政書士が作成できる書類」全般について代理が可能になりました。
これは企業にとっても朗報です。例えば、在留資格申請が不許可になった場合、別の特定行政書士に審査請求を依頼することができるようになりました。セカンドオピニオン業務や、不許可案件の救済(リカバリー)が活発化することが見込まれます。
違法と判断される具体的な事例
改正法施行後、行政書士法違反として違法と判断される可能性が高いケースを具体的に紹介します。これらは多くの関連団体などの解説で繰り返し指摘されている典型例です。
事例1:登録支援機関による支援委託費名目の書類作成
「支援委託費」「管理費」「サポート費」「事務手数料」といった費用に含める形で、在留資格申請の書類一式を作成しているケースです。書類作成が「無償サービス」として説明されていても、登録支援機関が外国人雇用関連業務全体で報酬を受け取っている以上、実質的には書類作成の対価が含まれていると評価されます。
対外的には「入力支援のみ」と説明しながら、実際には内容を判断しながら書類を完成させている場合も同様に違法と評価される可能性が高いです。
事例2:採用エージェントによる「リロケーションサポート料」での書類作成
行政書士または行政書士法人ではない採用エージェントが、自社で雇用する予定の内定者「以外」の内定者の在留資格に係る申請書類を作成し、「リロケーションサポート料」「オプションサポート料」「手続き代行料」といった名目の報酬を受け取る場合も違法です。
採用エージェントが提供する「人材紹介」業務と「書類作成」業務は明確に区別する必要があります。書類作成については、必ず行政書士に直接契約させる体制が求められます。
事例3:グループ会社間での書類作成業務委託
本社の人事・総務部署が、本社で雇用される社員ではなくグループ会社(別法人)の従業員の在留手続きに係る申請書を作成し、グループ会社から「業務委託費」等の報酬を受領する場合も違法と判断される可能性が高いケースです。
「同じグループだから問題ない」と考えがちですが、別法人である以上、行政書士法上は他人の依頼を受けて報酬を得て書類作成をしている構造になります。グループ会社間でも、書類作成を伴う在留手続きを集約する場合は、行政書士法人を設立するか、外部の行政書士と直接契約する体制が必要です。
事例4:オンライン申請の入力代行を有償で請け負う
「IT代行」「事務代行」といった名目で、在留申請オンラインシステムへの入力業務を有償で請け負うケースも違法です。電子申請であっても、申請書を完成させて提出する行為が含まれる以上、書類作成と同視されます。
入管庁も「弁護士または行政書士以外の方が有償でオンラインシステムに申請情報を入力した場合、弁護士法違反または行政書士法違反となる可能性がある」と注意喚起を出しています。
事例5:行政書士の名義貸し
行政書士が申請書などを実質的に作成せず、名義だけ貸して登録支援機関等に書類作成をさせる「名義貸し」も違法です。行政書士本人が懲戒処分(行政書士登録取消等)を受けるとともに、刑事罰の対象となる可能性があります。
登録支援機関を選ぶ際に「提携行政書士」を確認する場合は、その行政書士が実際に書類作成に関与しているかも併せて確認することが重要です。
企業がとるべき対応策|外注先のチェックと内製化の見直し
改正行政書士法施行後、外国人を雇用する企業がとるべき対応策は、外注している場合と内製化している場合で異なります。
外注している場合|委任先の適法性を確認する
書類作成を伴う在留手続きを依頼している先が「行政書士」または「行政書士法人」であるかを必ず確認してください。確認すべきポイントは以下の通りです。
・ 委託先が行政書士登録または行政書士法人登録をしているか
・ 行政書士・行政書士法人ではない事業者が、入管庁提出書類を作成し、行政書士に「再委託」していないか
・ 外国人・企業と行政書士・行政書士法人が「直接」契約しているか
行政書士・行政書士法人ではない事業者(コンサルティング会社、人材紹介会社等)が書類作成を受注し、行政書士に再委託する形態は認められていません。在留手続きについては、外国人または企業が行政書士・行政書士法人と直接契約する必要があります。
内製化している場合|書類作成範囲を厳密に見直す
自社で書類作成と取次を行っている場合は、書類作成の範囲を厳密に見直す必要があります。
・ 自社で雇用している(または雇用予定の)外国人の書類作成のみを行う
・ グループ会社や関連会社の従業員の書類作成は行わない
・ 「業務委託費」等で対価を受領する形でグループ間の業務集約をしない
・ 自社雇用以外の書類作成は、行政書士または行政書士法人に外注または本人作成に切り替える
また、取次資格者証明書(申請等取次者証明書)を持つ社内担当者を継続的に育成する体制も重要です。研修受講と承認手続きを経て、適法に取次ができる体制を作りましょう。
登録支援機関と契約している場合|契約内容を再確認
特定技能外国人を雇用していて登録支援機関と契約している場合は、契約内容を再確認してください。
・ 支援委託契約の中に「在留申請の書類作成」が含まれているか
・ 書類作成と取次の役割分担が契約書で明確になっているか
・ 登録支援機関が行政書士法人を兼ねている、または行政書士と直接の業務提携があるか
・ 改正行政書士法に対応した運用フローを構築しているか
優良な登録支援機関は、すでに改正行政書士法への対応を進めています。書類作成は提携行政書士または企業側で行い、登録支援機関は点検と取次に専念するという運用フローを示してくれる機関を選びましょう。
自社で取次する vs 行政書士に依頼するの判断基準
外国人雇用を進める企業では、申請取次の依頼先を3つの選択肢から選ぶことになります。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

自社で取次する場合のメリット・デメリット
自社の人事担当者が申請取次者の承認を受けて取次する場合のメリットは、外部費用がかからない点と、案件のスピード感を社内でコントロールできる点です。複数名の外国人を継続的に採用する企業では、コスト削減効果が大きくなります。また、自社雇用の外国人の書類作成は適法に行えるため、書類作成と取次を一体で行えるのも強みです。
一方デメリットは、申請取次者証明書の取得に研修受講と承認手続きが必要で、最初のハードルがある点。また、入管法の知識が浅いと申請ミスが発生し、不法就労リスクや在留資格不許可のリスクを抱えます。改正行政書士法施行後は、グループ会社間での書類作成業務の取り扱いに特に注意が必要です。
行政書士に依頼する場合のメリット・デメリット
行政書士に依頼するメリットは、書類作成から取次まで一貫して任せられることと、専門家としての法的知識による安心感です。改正行政書士法のもと、もっとも法的リスクが低い選択肢でもあります。不許可になった場合の対応(審査請求)も特定行政書士に依頼でき、リカバリー体制も整っています。
デメリットは案件ごとに報酬が発生する点ですが、不許可リスクの低減や手続きの効率化を考えると、長期的にはコストパフォーマンスが高いケースが多くあります。特に技人国の専門性判断や、特定技能の分野ごとの細かい要件など、複雑な案件では行政書士の専門知識が価値を発揮します。
判断基準のフレームワーク
どの選択肢が最適かは、以下のチェックポイントで判断するとよいでしょう。
・ 外国人雇用の数:多い場合は自社取次が経済的
・ 在留資格の複雑さ:技人国・特定技能2号など複雑なものは行政書士推奨
・ 社内の入管法知識:浅い場合は専門家に依頼が安全
・ スピード重視:行政書士または社内取次が速い
・ コンプライアンス重視:行政書士が最も安全
・ グループ会社の従業員も対応する場合:必ず行政書士へ
迷ったときの基本姿勢としては、「書類作成は行政書士または自社(自社雇用に限る)、取次は社内または登録支援機関」という分業が、改正行政書士法のもとで最も法的リスクの低い運用となります。
登録支援機関に取次を依頼する場合の注意点
特定技能外国人を雇用している企業の多くは、登録支援機関に支援業務を委託しています。その流れで申請取次もお願いしているケースが一般的ですが、改正行政書士法のもと、運用には十分な注意が必要です。
登録支援機関ができること・できないこと
改正行政書士法施行後、登録支援機関の職員ができることは以下の3点に限定されます。
・ 申請等取次者の承認を受けた職員による「申請の取次」
・ 提出書類の「点検」(書類作成ではない)
・ 在留カードの受領
一方、登録支援機関ができないことは以下の通りです。
・ 申請書類の「作成」(行政書士の独占業務)
・ オンライン申請への入力代行(有償の場合は書類作成と同視)
・ 支援委託費の中で「無償で書類作成」とする運用
・ 入管との交渉(本人または代理人・行政書士のみ)
契約書で確認すべきポイント
登録支援機関と支援委託契約を結ぶ際は、契約書で以下を確認してください。
・ 在留申請の書類作成業務が含まれていないか(含まれている場合は要注意)
・ 支援委託費の対価に「入管申請書類の作成」を含めないことが明記されているか
・ 行政書士法人の登録または行政書士との直接提携があるか
・ 書類作成と取次の役割分担が明確か
・ 改正行政書士法に対応した運用フローを構築しているか
万一、登録支援機関が違法な書類作成を行っていた場合、依頼した企業側にも社会的信用の失墜や、最悪の場合は虚偽申請として在留資格の不正取得とみなされるリスクがあります。
オンライン申請における取次の運用
入管庁の「在留申請オンラインシステム」を利用することで、入管に出頭せずに申請ができます。取次の運用も少し異なるため確認しておきましょう。
オンライン申請の利用申出
オンライン申請を利用するには、申請主体ごとに「利用申出」が必要です。
・ 行政書士・弁護士:利用申出のみで複数の依頼者の申請が可能
・ 受入機関の職員:所属機関ごとに利用申出が必要
・ 登録支援機関の職員:登録支援機関単位で利用申出
行政書士・弁護士は、新たな依頼者ごとに利用申出をやり直す必要がない点が大きなメリットです。
オンライン申請の対象範囲
現在、オンライン申請が可能な主な手続きは以下の通りです。
・ 在留資格認定証明書交付申請
・ 在留期間更新許可申請
・ 在留資格変更許可申請
・ 再入国許可申請
・ 資格外活動許可申請
・ 就労資格証明書交付申請
ただし、在留期限の最終日(満了日当日)にオンライン申請はできない、永住許可申請は対象外など、いくつかの制限があるため、最新の対象範囲は入管庁HPで確認してください。
オンライン申請でも法律違反のリスクに注意
入管庁は、弁護士・行政書士以外の方が有償でオンラインシステムに申請情報を入力した場合、弁護士法違反または行政書士法違反になる可能性があると注意喚起しています。
*出入国在留管理庁通達:「在留申請オンラインシステムの利用申出を行う皆様へ」
特に登録支援機関や監理団体の職員がオンライン入力代行を業務として行う場合は、改正行政書士法のもとで違法と判断されるリスクが高いため、必ず行政書士との連携体制を構築してください。
まとめ:適法な取次でリスクを回避する
申請取次制度は、外国人雇用の手続きをスムーズにする便利な制度です。しかし、誰がどこまでできるかは厳格に定められており、特に2026年1月施行の改正行政書士法によって運用がさらに厳格化されました。本記事のポイントをおさらいします。
・ 申請取次ができるのは6種類の取次資格者のみ
・ 書類作成は行政書士・弁護士のみ可能(行政書士の独占業務)
・ 受入機関職員は自社雇用の外国人に限り書類作成可能
・ 登録支援機関職員ができるのは「点検」と「取次」のみ
・ 2026年1月改正で「いかなる名目でも報酬を得て書類作成」は明確に違法化
・ 両罰規定により、職員個人だけでなく法人にも100万円以下の罰金
・ 違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
・ 外注している場合は外注先が行政書士・行政書士法人かを必ず確認
・ グループ会社間の書類作成業務は新たなリスクとして注意
外国人雇用は手続きが複雑で、知らずに法律違反を犯してしまうリスクが常に付きまといます。少しでも不安があれば、必ず申請取次行政書士などの専門家に相談してください。適切な取次運用は、企業のコンプライアンス体制と、雇用する外国人スタッフの安定した在留を守る基盤となります。
もちろん株式会社ンザイベースは行政書士事務所と連携し、法律に則った運用をしております。外国人雇用の手続きについてお悩みの方は、ジンザイベースまでお気軽にご相談ください。


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