過疎認定地域の介護事業所で初のミャンマー人雇用!働きぶりは日本人以上?! / きずなケアサービス荻野社長

過疎認定地域の介護事業所で初のミャンマー人雇用!働きぶりは日本人以上?! / きずなケアサービス荻野社長

目次

京都府北部、与謝野郡及び京丹後市にて介護施設を3施設運営しているきずなケアサービス様。現在、ミャンマー人の特定技能外国人を5名雇用していただいております。

過疎認定地域としても指定されている丹後地域にて、特定技能外国人の雇用に踏み切った背景や実際に受け入れてみてどうだったのか、同社代表取締役の荻野社長へお伺いしております。

本インタビューにつきましては、YouTubeでもご覧いただけますので、ぜひ以下の動画も合わせてご覧ください。

半年に1名応募が来たらラッキーなくらい、人材採用には課題があった

グループホームよさの_外観写真
グループホームよさの

ーーきずなケアサービスさんについてお伺いしてもよろしいですか?

弊社は京都府北部の丹後地域で3施設を運営している介護事業者になります。

与謝野郡与謝野町で、地域密着型サービスの認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、また京丹後市では、居宅介護支援事業所を併設した「デイサービスきらり」と「ももくろデイサービス」という施設を展開しています。

与謝野町の施設は、大体18名の利用者がいらっしゃり、9人で1ユニットずつで運営しています。3階建て施設で、2階及び3階に入居者さんが生活されてますね。

それでデイサービス自体が35人枠となっており、重度の方が「デイサービスきらり」、比較的軽度な方が「ももくろデイサービス」で受け入れている形となっております。

全職員合計すると、約47名ぐらいの規模感となっております。

私自身の経歴としては、実は介護施設を親の代から経営していて、31歳で家業を継がせてもらった形になります。高校卒業後の18歳からみねやま福祉会さんの「はごろも苑」さんでこの業界に入り、業界歴で言ったら、もう約36年ぐらいですかね。

ーー介護施設を運営する中で、人材採用面で課題感はありましたか?

この業界で働くには、人の死にも向き合っていかないといけないので、やっぱり緊急対応や現場における咄嗟の判断力、医療知識の有無など、どうしても経験がある方が重宝される傾向にあります。

多くの人が田舎から都会に出て行く一方で、お年寄りの方がまだまだ地元にいらっしゃって、もう丸投げされる方がいらっしゃったり。だからこそ僕らがしっかりと介護事業を担わないとと思う一方で、従業員側にはモチベーションもないと、やりづらい仕事なのかなって言うのは結構感じますね。

ただ、なかなか人手不足のご時世になってきて、経験者の方の採用は、特に与謝野郡や京丹後市のような少子高齢化が進んでいる地方では難しいのが現状です。

昔と比べて、介護報酬が全く上がってない中、賃金と割に合わないっていうのを結構言われる業種になっていて、不人気職種になってるのは、強烈に感じています。

なので、人材採用については、常に課題感を感じていましたね。

ーー特定技能外国人を雇用するに至る背景・きっかけは何かありましたか?

結局、募集をしても半年に1人来たらラッキーで、その方がしっかりされているかどうかと選んでいったら、人材の取り合いにやっぱりどうしても負けてしまいます。繰り返しになりますが、私どもの介護業界の不人気+地域における少子高齢化もどんどん進んでいますし。

ふるさとだから頑張って事業を継続させようと思っているんですが、いろいろと活動もしてる中でやっぱり外国人の方に世話にならないと、もうこの業界駄目かなと。そう思い始めたタイミングで、先に外国人雇用を始めていた経営者に話を聞いて、受け入れを決意しました。

どの国の人材が一番適してるのかなと、フィリピンやミャンマー、インドネシアなどその国の国民性などをいろいろ調べる中で、ミャンマーの方がいいのかなと思い、現在5名のミャンマー人を受け入れています。仏教国なので、介護で根気強くやってくれるんじゃないかと。

下手な会話をしなくても、利用者さんとうまくコミュニケーションが取れる?!

敬老会での一コマ
敬老会での一コマ

ーー外国人を受け入れる際に、社内から反発とかなかったですか?

正直ありましたね。

ただ、ベテランの社員が急遽家庭の事情で退職してしまったり、おめでたい話ではあるんですが、若い子らがちょうど同じタイミングに何人か抜けないといけない、なんていうことが重なってしまった時期があったんですね。

しかも弊社の施設は24時間365日営業しているので、早いとこ対応しないといけない。切迫した状況だったので、社内抵抗はありましたが、特定技能外国人の採用に踏み切って行きましたね。抵抗されたとしても、やっぱり体験しないとまだわからないですしね。

今、私自身が体験してる途中で全然先輩的なところではないんですが、コミュニケーションを取る上での受け止め方とか伝え方っていうのが、結構重要なんだなっていうのは勉強になりましたね。やはり、日本語能力も各個人で差がありますので、相手に伝わっているのか、理解してもらえているのかはしっかりと確認する必要がありますね。ネガティブに捉えられたりして、メンタルが悪くなってしまう方もいるので、気をつけています。

とは言っても、私の感想としては、なかなかやってくれるなって思っています。やっぱ仏教国ですし、しっかりされてるかなと、ありがたいなと思ってます。

ーー具体的にはどのような業務を特定技能外国人へ任せていますか?

介護業務全般に従事してもらっていますね。

具体的には、排泄介助・食事介助・入浴介助等はもちろん、レクリエーションやリハビリテーションなど。夜勤もお願いしています。ただ、特定技能1名というわけではなく、日本人スタッフがもう1名いる状態で、何かあったらすぐ聞ける状態を作りながらではありますが。

今のところ、スムーズに仕事を覚えてもらってはいますね。特定技能外国人が入社してからは、マニュアル化も進めて、業務をより効率的に覚えてもらえるような体制も築いています。

ただ、ちょっと医療的なケアが多い方の場合は、日本人スタッフ中心に対応してもらっていますね。やはり、医療的な知識がないと対応は難しいので。

ーー特定技能外国人の方の働きぶりは率直にいかがですか?

先にも少し言いましたが、想像以上に、しっかりとやってくれるなって思っています。自己主張は一定ある一方で、少し引いて待てると言いますか、お互い仏教国なので、日本人と感覚は少し似てるんじゃないかなと。

あんまり、前にどんどん出てくるわけでもないですね。もうちょっと主体性は持ってもらってもいいのかなって思うこともあるんですが。すごい真面目に取り組まれるので、自信をつけていくことが次の課題なのかなって今考えてるとこですかね。

ただ、食べ物が全然違うので、ホームシックになってしまうんじゃないかちょっと心配ですね。なので、たまに大阪までミャンマー料理を食べに連れて行ったりして、日本文化ばっかりじゃなくて、多様性みたいなところを日本人スタッフにも、意識してコミュニケーション取ってもらっていますね。

ーー日本語の部分はどうでしたか?

語学の部分は、正直個人差はありますね。普通に日常会話程度であれば、問題なく通じるような日本語力の高い方もいますし、一方でちょっと慣れてない方もいらっしゃいます。

ただ、外国人雇用をして一つ気がついたのは、私ら日本人の方がちょっと汚れてしまったんかなっていうぐらい、外国人の方が笑顔がすごい全面に出されていて。下手な会話をしなくても、お年寄りの利用者さんとすごいマッチングするっていうところが大きな発見でした。

僕らの仕事はボディーランゲージ的なスタイルでコミュニケーション取ることがあるので、すごい向いているのかなって思います。

なので、単純に語学力がまだまだだったとしても、不思議とうまくコミュニケーションは取れていますね。

外国人を使い捨てるようなことはしない

ーー人材が定着するために、何か取り組まれていることってありますか?

弊社は特定技能外国人をパートナーだと思って受け入れています。本人がどういう希望や思いを持っているのか、よく注視していますね。

先ほども言ったように、プライベートで一緒にミャンマー料理を食べに出かけたり、定期的にプレゼントなどをしたりしてます。外国人を使い捨てるみたいな形ではなく、大事にしていきたいと思ってますので、少しでもそう言った思いが伝わるようなことをしたいなと。

また、外国人の方が楽しい環境っていうのは、地域も含めて作っていかないといけないと思っています。そういう意味で、地域的な交流みたいな場に参加もしてもらっています。

例えば、役場の職員さんや区長さんなどが参加する会議があって、そこで我々のような介護施設に対して利用者さん側から見た時の改善点や注意点を話し合う機会が2ヶ月に1回開催されているんですが、弊社の特定技能外国人にも同席してもらっていますね。

今後については、やはり田舎ですと移動が不便になってくるので、原付の免許などを取得できるようなサポートは、会社としても実施していけたらと考えています。移動のハンディキャップが解消されれば、より行動範囲が広くなって、日本の生活も楽しめると思うので。

あと、地方では今後空き家がいっぱい増えてくると思うんですね。住宅についても、都心部と比べるとはるかに安く手に入るというメリットもあるのかなと思ったりしてます。田舎自体が人材不足を感じてるので、外国人の方が住環境含めて整備して、地方ライフに満足していただければ、定住にも繋がっていくんじゃないかなと。

ーー最後に、逆にイメージとちょっと違ったな・がっかりしたなというポイントがあったら教えてください。

意外といいところばっかり言ってるような感じですが、そんなに悪いところがあんまりないっていうのが正直なところですね。

強いていうなら、受け止め方がネガティブな方だったらネガティブに取っちゃうので、コミュニケーションについては、結構気を使うくらいですかね。

例えば、うちの地域でも大阪から来られたりする利用者さんやスタッフもいるんですね。方言があるので、言葉がやっぱり違うじゃないですか。外国人の方は標準語を覚えていらっしゃるので、関西弁でまくし上げられるように話されたり、あとは、人前で叱られたり。基本外国人の方は人前で叱られることがなくて、大きく傷つくと聞いているので、そういうことが原因で退職につながるっていうのは、無くしたいなと思っています。

なので、自分のいない場面でそういうことがあったら、裏側でフォローしたりは結構頻繁に実施してますね。最終的には、介護福祉士を取得して、リーダー的な立ち位置にもなって欲しいなとは思いますね。

ーーありがとうございました!

編集後記

今回は、丹後地域で介護施設を経営するきずなケアサービス荻野社長にお伺いしてきました。地方における人手不足は深刻化していると強烈に感じる一方で、ボディランゲージや笑顔など、下手な会話がなくても利用者さんとの会話が成立するという、意外な一面も発見できました。

弊社では、全国の介護施設様に特定技能外国人をご紹介しております。もし人手不足でお困りの事業者様がいらっしゃいましたら、ぜひ問い合わせフォームより無料相談いただければ幸いです。

記事内CTA_問い合わせフォーム誘導
カテゴリ:
インタビュー
タグ:

中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。