【建設業の人手不足】2025年問題や原因、対応策まで徹底解説!

【建設業の人手不足】2025年問題や原因、対応策まで徹底解説!

目次

建設業界において、人手不足・高齢化は非常に大きな問題となっております。

そこで、この記事では建設業界における人手不足の現状や原因、具体的な対策についてご紹介していきます。

最後に人手不足対策として有効な外国人労働者の活用についても触れていますので、人手不足でお悩みの建設事業者様は是非ご一読ください。

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建設業界の人手不足の現状

それでは、まず、建設業界の人手不足の現状からみていきましょう。

人手不足の現状

厚生労働省の発表する一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)によると、建設関連職種の有効求人倍率は、以下のように、軒並み高い倍率を誇っています。

  • 建築・土木・測量技術者:6.55
  • 建設躯体工事の職業:10.68
  • 建設の職業:5.07
  • 電気工事の職業:3.49
  • 土木の職業:6.40

全職業の平均有効求人倍率が1.24となっているため、その高さは明らかでしょう。

この人手不足の背景としては、「3K(きつい・汚い・危険)」と言われる労働環境のイメージから、若い労働力が圧倒的に不足していること、作業者・技術者の高齢化等があります。

グラフ_建設業で働く技能者の年齢構成
出典:国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状」

上記のように、10年後、多くの作業者・技術者が引退してしまうにも関わらず、若手の担い手が圧倒的に不足していることがお分かりいただけるかと思います。

建設業を取り巻く環境変化

加えて、建設業においては、大きな変化がここ数年で立て続けに発生してきているというのは見逃せません。

労働基準法の改正(36協定)

2019年4月、働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が規定されました。

労働基準法によると、労働時間は原則として「1日8時間・1週40時間」となっており、これを超える場合は「36協定の締結・労基署への提出」が必要でした。要は、時間外労働(残業)が発生する場合は、「時間外労働を行う業務の種類」や「時間外労働の上限」を規定しなければなりません。

労働時間・休日に関する原則
出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

とはいえ、繁忙期など、この「36協定」で規定した時間外労働時間を超えてしまうケースを想定して、「特別条項」というのを別途規定して36協定を締結しておけば、一定の基準まで限度時間を超えて時間外労働をさせることができました。

ところが、2019年4月以降、この時間外労働の上限が罰則つきで法律に規定されることとなります。

建設業においては、一部業種というカテゴリーに分類され、猶予期間が与えられておりましたが、それも2024年4月までとなっております。以降は、以下の規定へ変更されますので要注意です。

・時間外労働の上限は月45時間、年360時間まで
・特別条項を締結する場合でも
 ・時間外労働が年720時間以内
 ・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
 ・時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均〜6ヶ月平均」まで全て1ヶ月あたり80時間以内
 ・時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6回が限度
上限規制のイメージ図
出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

つまり、以降は上限規制が建設業においてもしっかりと適用され、違反の場合は罰則の対象(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)となってしまうのです。

建設キャリアアップシステムの導入

さらに、建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System,略称CCUS)の導入が本格化してきています。

こちらも2019年4月より運用がスタートしており、建設業で働く技能者の保有資格や社保加入状況、現場における就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積することのできるシステムのことを指します。

登録すると、IDカードが各従業員に付与される形となり、以下の2点を目的に運用されています。

  • 技能者の能力・経験等に応じた適正な処遇改善に繋げる
  • 技能者を雇用し、育成する企業が伸びていける業界環境をつくる

大手ゼネコンの現場では、CCUSを登録していないと現場に入れないなど、徐々に活用が進んできております。

2025年問題

2025年問題とは、2025年には団塊の世代の方々が75歳以上になり、その結果医療や介護などの社会保障費が急増し日本の財政上の課題が生じることをいいます。

前述のとおり、建設業では、建設業の作業者の高齢化が顕著である一方で建設需要は拡大しているという状況です。

そのため、建設業界においても、2025年には「約90万人の労働人口が不足する」と言われています。まさに、建設業における2025年問題と言えるでしょう。

人手不足の原因

では、ここからは建設業における人手不足がすすむ原因をみていきましょう。

【原因1】需要の増加と経験者の減少

建設業界における人手不足の主な原因の一つは、需要の増加と経験者の減少です。

近年、都市開発やインフラ整備の需要が急速に拡大していますが、同時に熟練した建設労働者の数が減少しています。高齢化による熟練技術者の引退や他職種への転職などが主な要因と言われています。

【原因2】若者の建設業界への興味減少

若者の建設業界への興味減少も人手不足の原因です。

建設業は過酷な労働環境や厳しい現場の要求に直面するため、若者の中には他の魅力的な職種を選ぶ傾向があります。また、建設業界へのイメージの誤解や情報の不足も、若者の関心を減少させる要因となっています。

【原因3】労働環境の改善の遅れ

最後に、労働環境の改善の遅れも人手不足の要因です。

建設業界は、3K(きつい・汚い・危険)に代表されるように、過労や労働条件の厳しさが指摘されており、これらの問題が解消されない限り、若者や中途採用者が業界に参入する意欲が向上することはないでしょう。労働時間の見直しや安定した雇用条件の提供など、労働環境の改善が求められていると言えます。

建設業界における人手不足対策

業界の取り巻く環境や人手不足の原因がわかったところで、今後どのような対策を打っていけば良いのでしょうか。ざっくりと4つの解決策を取り上げ、解説していきます。

【解決策1】需要対応と熟練工の育成

需要の増加に対応するためには、若者への魅力的なキャリアパスの提供と熟練工の育成が重要です。

職業体験やキャリアイベントの開催、SNSやウェブサイトを活用した情報発信などを通じて、建設業界の魅力を伝える取り組みが求められます。

また、計画的な技術訓練及びキャリアパスを明示し、中長期で熟練工を育成していく取り組みも必須です。各種資格の取得サポート等、積極的な介入を行うことで、将来への不安を解消することが可能になるでしょう。

【解決策2】ITやDXツールの活用

人手不足対策として次に挙げられるのは、ITやDXツールの導入です。

事務やバックオフィス作業を効率化したり、自動化したりできるITツールは勿論、様々な建設業務を支援してくれる建設作業ロボットが注目を集めています。

これらを有効に活用することができれば、より少ない人手で業務を遂行することができるようになるでしょう。

AI・ロボットに置き換えられない職種マトリクス図
出典:東洋経済オンライン「AI時代に強みを発揮、10年後に勝ち残る職業

しかし、建設業における現場作業の大半、特に職人と言われるポジションについては、ITやロボットによる代替は難しいとも言われています。

やはり、細かく複雑な現場作業においては、ロボットが一部介助してくれる未来が到来する可能性はありますが、大部分の作業については以前として人が実施しなければならない点は留意しておきましょう。

【解決策3】労働環境の改善と働き方の柔軟化

労働環境の改善と働き方の柔軟化も重要な解決策です。

労働時間の見直しや労働条件の改善、安定した雇用制度の導入など、働く人々の待遇や働きやすさを向上させることが必要です。

また、働き方改革の導入や労働生産性の向上に向けた取り組みも重要であり、働く人々のワークライフバランスを重視することで、建設業界への魅力を高めることができます。

【解決策4】外国人材の活用

昨今国内の人手不足が過酷化していく一方で、日本で働きたいという外国人労働者の数は年々増加しています。

これまで採用候補として考えていなかった外国人労働者を視野に入れることで、人手不足の解消に繋げていくことができるのです。

次項からは建設業における外国人労働者の活用について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

外国人労働者の活用について

最後に先ほど触れた外国人労働者の活用について、もう少し詳しく話しておきたいと思います。

外国人労働者の活用メリット

外国人労働者を活用するメリットから見ていきましょう。

活用メリット①:人材を確保しやすい

まず挙げられるメリットは人材を確保しやすいという点です。

日本では少子高齢化の影響で、生産年齢人口が減少し続けている一方で、来日する外国人労働者は増加傾向にあるので、人材も確保しやすいと言えるでしょう。

以下の表をご覧ください。

特定技能外国人の在留者数(令和4年12月末)
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表 令和4年12月末

実際に日本の建設業界で就労する外国人については増加傾向にあります。

特定技能制度にフォーカスしても、2022年12月末現在では、12,768人、2022年6月末では、8,492人であったことから、半年で4,000人も増加しているのです。今後もこの傾向が続くことが予測されます。

活用メリット②:若手人材が豊富

また若手人材が豊富であるという点も見逃せません。

来日してくる外国人労働者の平均年齢は30代半ばとなっているので、日本では確保しにくい若手人材も採用できる可能性が高いのです。

特に今注目集めている、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、ネパールについて、どの国も平均年齢も非常に若くなっております。

弊社のYouTubeチャンネルでは、日本で働く外国人の特徴について解説しております、以下の表の各国にURLを貼っておりますので、興味ある方は、ぜひご覧ください。

活用メリット③:労働意欲が旺盛

外国人の皆様は、働くために日本に来ているため、労働意欲が旺盛です。

昨今の働き方改革やプライベートを重視するなどの価値観が日本人の若者を中心に増えてきておりますが、その点、外国人労働者は非常に貪欲です。

実際に外国人を雇用されている企業様からは、日本人よりも頑張ってくれるから非常に助かるという言葉もいただいており、中には今後は日本人は雇わないとまでおっしゃられる経営者様もいらっしゃいます。

外国人労働者の活用における注意点

外国人労働者を活用する上で注意すべき点としては、不法就労助長罪が挙げられます。

不法就労とは、本来就労が認められていない在留資格で働いたり、許可された活動範囲を超えた業務に従事したりすることを指します。

外国人労働者が不法就労に該当した場合、雇用している企業側もその責任を負わなければならず、不法就労助長罪が適用されることになるのです。

不法就労助長罪に該当した場合、最長3年の懲役、もしくは最大300万円の罰金が科されることになります。

不法就労助長罪は、その事実を企業側が認識している・いないに関わらず適用されるため、注意する必要があるでしょう。

不法就労助長罪については、以下の記事で詳しく紹介しておりますので、興味のある方は、ぜひご一読ください。▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説

外国人労働者を雇用するには

ここまで外国人労働者の活用メリットや注意点について確認してきましたが、最後に外国人労働者を雇用するための方法についてご紹介したいと思います。

外国人労働者の雇用に初めて取り組まれるのであれば、人材紹介サービスの利用をオススメします。

外国人労働者を専門としている人材紹介サービスを活用すれば、優秀な外国人労働者を紹介してくれるだけでなく、在留資格に関する申請についてサポートをしてくれたり、受け入れにあたって必要な知識を提供してくれたりします。

先に挙げた不法就労助長罪に該当しないようにするにはどうすればよいか、といった点もしっかりと押さえた上でサポートしてくれるため、強力な味方になるでしょう。

外国人労働者雇用については、以下の記事で入社までのステップや注意点などを解説しております。▶︎【外国人労働者雇用の基本】入社までのステップや注意点などを簡単解説

また、現在非常に注目を集めている特定技能については、以下の記事で解説しておりますので、ご一読ください。▶︎特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説

まとめ

今回は建設業界における人手不足について取り上げ、現状や対策についてお話してきましたが、いかがでしたか。

建設業界に限った話ではありませんが、今後さらに働き手が減少していくことになるため、人手不足の対策を講じていくことは今や喫緊の課題と言えるでしょう。

当社は最後にご紹介した外国人労働者を専門とする人材紹介サービスを提供しており、人手不足の課題に取り組まれている企業様の支援をさせていただいております。

もし少しでもご興味ありましたら、一度お気軽にお問い合わせください。

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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。