【外国人労働者雇用のリスクとは】リスクを抑える方法や相談先などもご紹介

【外国人労働者雇用のリスクとは】リスクを抑える方法や相談先などもご紹介

外国人労働者を雇用するとなると様々なリスクが生じてきます。とはいえ人手不足が慢性化する日本においては、外国人労働者の活用は急務と言えます。そこでこの記事では外国人労働者雇用に関するリスクをご紹介した上で、リスクを抑える方法についても解説していきます。外国人労働者雇用におけるリスクを正しく把握し、適切な雇用に取り組みたいという方は、是非最後までご確認ください。

目次

外国人労働者の受け入れの現状

まずは外国人労働者の受け入れの現状についておさらいしておきます。

外国人労働者の増加推移

近年外国人労働者が増加傾向にあることはご存じでしょうか。

以下のグラフを見てください。 

在留資格別外国人労働者数の推移(2008年〜2020年)
グラフ引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在) 

2008年から2020年までの増加推移を表すグラフとなっていますが、2012年を境に急激に増加していることが見て取れます。

2012年に高度人材ポイント制度が導入されたことと、技能実習の増加によって、一気に外国人労働者の受け入れが加速したのでしょう。

2016年頃までが増加率のピークで、その後増加率としては減少傾向にあるものの、2020年10月末時点では約172万人もの外国人労働者が働いているのです。

現在はコロナの影響で受け入れが停滞気味ではありますが、コロナの状況次第でまた受け入れが再開されるでしょう。

その他、外国人労働者の雇用について、具体的な入社までの手続きなど、基本的な事項については以下の記事に取りまとめてありますので、併せてご覧ください。
▶︎【外国人労働者雇用の基本】入社までのステップや注意点などを簡単解説

外国人労働者の雇用メリット

このように増加の一途を辿っている外国人労働者ですが、雇用する企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。 

メリット①:人手の確保

一つ目に挙げられるメリットは人手が確保できるということでしょう。

日本は人手不足の問題が慢性化していますが、先ほど見ていただいた通り来日してくる外国人労働者の数は増加傾向にあります。

そのため外国人労働者の雇用に取り組むことで、人手を確保することができるのです。

メリット②:社内の活性化

社内が活性化するというメリットもあります。

外国人労働者を雇用することで、これまで社内にはなかった新たな視点や考え方がもたらされ、硬直化していた考え方が刷新されたり、活性化したりするケースがあります。

また多様性の向上といった効果も得ることができるでしょう。

多様性については、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
▶︎【ダイバーシティ&インクルージョン】意味や具体的な取り組みについて解説

メリット③:海外展開のきっかけとなる

また海外展開のきっかけとなるという点もメリットとして挙げられます。

進出を検討している国出身の外国人労働者を雇用すれば、現地の情報を入手できるだけでなく、現地拠点を設置する際に責任者として赴任させることもできるでしょう。

全くゼロの状態から海外展開を実施するよりも、スムーズに進めることができる点は利点と言えます。

外国人労働者を雇用する際のリスク

外国人労働者の雇用には先述の通り様々なメリットがありますが、その反面リスクも生じてきます。

ここからは法的なリスクと業務におけるリスクの2つのカテゴリーに分けて、代表的なリスクについてご紹介していきましょう。

法的なリスク

まずは法的なリスクについて確認していきます。

不法就労助長罪

外国人労働者を雇用する際の法的リスクとして、まず挙げられるのが不法就労助長罪でしょう。

不法就労助長罪とは、日本で働く資格を持たない人に就労させた場合に問われるものです。

不法就労助長罪に該当してくるのは以下のケースです。

  1. 不法滞在者を雇用して働かせる
  2. 就労が禁止されている人を働かせる
  3. 許可された仕事以外の業務に従事させる 

これらのケースに当てはまる場合は、不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科されます。

不法就労助長罪は仮に企業側がその事実を知らなかったとしても適用されるため、十分に注意する必要があるでしょう。

より詳細な内容を知りたい!という方は、ぜひ以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説

外国人雇用状況届出義務違反

外国人雇用状況届出義務違反もリスクの一つとして挙げられます。

外国人雇用状況届出とは、雇用対策法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援を目的として定められた制度です。

外国人労働者の雇用が発生した際に、雇用発生の翌月10日までに管轄のハローワークもしくは専用のオンラインシステムで提出する必要があります。

また、外国人労働者が退職する際も提出する必要があり、その場合は退職日の翌日から起算して10日以内に提出しなければなりません。

この届出義務を知らずに提出しなかったり、知っているものの提出を怠ったりした場合は、30万円以下の罰金が科されます。

より詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。
▶︎【外国人雇用状況届出とは】手続き概要や様式、提出方法などを解説

労働関連法令の違反

労働関連法令の違反などのリスクもあります。

外国人労働者との雇用契約の準拠法を日本の法律とした場合、当然労働基準法などの労働関連法令なども適用されるのですが、この点をしっかりと把握していない企業も中にはあります。

そういった場合、長時間労働に従事させたり、最低賃金を下回る賃金しか支払っていなかったりという事態に繋がりかねないのです。

特に労働基準法は罰則規定が設けられており、重いものであれば「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」が科されるため、知らなかったでは済まないと言えるでしょう。

その他、外国人労働者を雇用する際に押さえておくべき法律は、以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【外国人労働者の雇用時に押さえておくべき法律】労働基準法などを簡単解説 

業務上のリスク

続いて業務におけるリスクを見ていきましょう。

労働災害

業務上のリスクとしてまず挙げられるのは労働災害でしょう。

以下のグラフを見てください

休業4日以上の死傷者数(外国人労働者)_2015年〜2020年
グラフ:外国人労働者(技能実習生含む) 休業4日以上の死傷病者数 

このグラフは厚生労働省が公表している労働災害発生状況の資料を基に当社が作成したものですが、年々外国人労働者の死傷病者が増加していることがわかります。

外国人労働者は日本語能力が十分でないケースが多く、安全衛生における業務指示や標識などを正しく理解できない場合があります。

また、日本の労働慣習を知らず、日本人なら当然注意するような危険があっても、外国人労働者にはそれが理解できずに、労働災害に繋がってしまうというケースもあるのです。

そのため外国人労働者の雇用に取り組む場合は、日本人社員以上に安全衛生教育に取り組まなければなりません。

以下の記事でも安全衛生教育や労災について解説していますので、ご参考までにご覧ください。
▶︎【外国人労働者の安全衛生教育の基本】各労災への対応ポイントや教材もご紹介

従業員同士の衝突

また日本語によるコミュニケーションが十分でないことや、価値観などの相違により、従業員同士の衝突が起こるというリスクもあります。

日本と海外ではそもそもコミュニケーションにおける責任の所在が異なる場合があり、「聞き手側の理解力に重きを置く日本」と、「話し手側のわかりやすさを重視する海外」では、コミュニケーション上の支障が発生しやすいのです。

そのため業務指示がきちんと伝わっていなかったり、注意したことを外国人労働者が何度も繰り返してしまったり、といったこともあります。

そうなると、当然現場の日本人社員のフラストレーションがたまり、外国人労働者と衝突しても不思議ではないのです。

従業員同士の衝突を避けるには、現場で外国人労働者と働く上で必要な考え方を理解してもらう必要があるでしょう。

外国人とのコミュニケーションに関しては、以下の記事もぜひご覧ください。
▶︎異文化コミュニケーションって何?よくある問題からポイントまでを解説!

リスクを抑えて外国人労働者を雇用するには

ここまで外国人労働者雇用におけるリスクをご紹介してきましたが、これらのリスクを抑えて雇用するにはどうすれば良いのでしょうか。

外国人労働者雇用についての正しい知識を得る

リスクを抑えて外国人労働者を雇用するには、大前提として正しい知識を得るということが挙げられます。

  • どういったケースが不法就労になるのか
  • 適用される労働関連法令
  • 雇用対策法における必要な手続き
  • 外国人労働者への正しい接し方(異文化コミュニケーションなど) 

といった知識を、現場含めて事前に勉強しておく必要があるのです。

外国人労働者に関するリスクは、企業側のリテラシーの低さに起因しているものも多いため、正しい知識を得ることで、リスクを大幅に低減することができるでしょう。

人材紹介サービスを活用する

知識を得ると言っても自社だけでは限界があります。

そこで役立つのが外国人労働者を専門とする人材紹介サービスです。

外国人労働者の人材紹介サービスを活用すれば、外国人労働者の雇用に関する様々な注意点や知識を提供しつつ、外国人労働者を紹介してくれます。

また外国人労働者の職場定着のために、受け入れ体制の支援などをコンサルテーションしてくれるサービスもあるため、これらを上手く活用することでリスクを抑えることができるのです。

外国人労働者雇用に関する相談先

最後に外国人労働者雇用に関する相談先をご紹介しておきます。

外国人雇用管理アドバイザー

一つ目が外国人雇用管理アドバイザーです。

全国のハローワークに設けられており、外国人雇用に関する相談対応を無料で行っています。

相談してきた企業に対して、ハローワークから外国人雇用管理アドバイザーが派遣され、様々な観点でのアドバイスをもらうことが可能となっています。

詳しい内容を知りたい方は厚生労働省の案内ページをご参照ください。

外国人雇用サービスセンター

もう一つの相談先が外国人雇用サービスセンターです。

外国人雇用サービスセンターは東京、名古屋、大阪、福岡に設置されており、外国人労働者に対して無料で求人を出すことができます。

加えてハローワークと提携しているため、外国人雇用管理アドバイザーも活用することができ、外国人雇用における相談をしながら、採用活動を進めることができるでしょう。

詳細はコチラのページからご確認ください。

まとめ

今回は外国人労働者を雇用する際に発生するリスクについてお話してきましたが、いかがでしたか。

ここで取り上げたようなリスクを懸念して、外国人労働者の活用に興味があるものの、なかなか実際に取り組むには至っていないという企業様も多いでしょう。

当社はそういった企業様を支援すべく、本文でも取り上げた外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

人材紹介サービスだけでなく、受け入れ体制構築に対するコンサルテーションなども提供しており、募集から入社後の定着に至るまで、トータルで支援しております。

リスクを抑えた上で、外国人労働者雇用に取り組みたいという方は、是非一度お気軽にご相談ください。

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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。