外国人の採用面接ではどんな質問をすべき?確認事項や注意点も含めて解説!

この記事では、外国人採用における面接でどんな質問をすべきなのか、具体的な質問例を交えつつ解説していきます。加えて、外国人特有の確認事項や注意点についても触れていますので、これから外国人雇用に取り組もうとご検討中の企業様は、ぜひご覧ください。

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外国人採用における書類選考と面接の重要性

初めに、外国人採用における書類選考と面接の重要性について、確認しておきましょう。

結論、外国人の採用においては、日本人を採用する以上に書類選考や面接が重要になってまいります。

なぜなら、外国人が日本で就労をするためには、在留資格を取得しなければならず、在留資格の範囲外の活動・業務に従事させていると、不法就労助長罪」が適用されてしまうためです。

この「在留資格」、日本では29種類存在し、以下のような項目が細かく規定されています。

  • どんな業務ができるのか
  • 取得するための要件
  • 何年日本に在住できるのか
  • 家族の呼び寄せ有無

違反が認められると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(将来的に5年以下の懲役・500万円以下の罰金に厳罰化される見込みです)が、受け入れ企業の経営者に課されてしまうため、面接に来た外国人は誰でも採用できるわけではなく、場合によっては法的なリスクが伴うという点はしっかりと認識しておきましょう。

そのため、繰り返しになりますが、日本人以上に書類選考や面接で何を確認するのかが極めて重要だと言えるでしょう。

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外国人との採用面接前(書類選考時)に確認するべきこと

さっそく、書類選考時に確認すべき点について見ていきましょう。

まずは「在留カード」の有無を確認する

まず、履歴書や職務経歴書の前に「在留カード」を確認するようにしましょう。

「在留カード」とは、3ヶ月以上の中長期在留者に対し、上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるカードのことを指しています。

この在留カードには、氏名や生年月日に加え、居住地や後に説明する在留資格・在留期間等、外国人本人の身分を確認するための情報が列挙されており、身分証に匹敵するものとなっています。

在留カードのサンプル画像
画像引用:出入国在留管理庁「在留カード」はどういうカード?

就労を希望される外国人の方は、基本的に中長期滞在者に該当するため、在留カードを持っているはずです。もし提示を求めた際に、在留カードの提出が見受けられない場合、不法滞在者の可能性がかなり高いため、選考ステップから排除した方が良いでしょう。(外国人材には、在留カードの携帯義務があるため、不携帯の時点で補導対象です。)

在留カードについては、「在留カードってパスポートと何が違う?偽造在留カードの確認方法も含めて解説!」でも詳しく解説しているので、ぜひ併せtご覧ください。

在留資格と在留期限

在留カードの中でも特に注意すべき点としては「在留資格」と「在留期限」です。

国内で既に働いている外国人労働者を雇用する場合は、必ず確認しておくべきでしょう。

「在留資格」については、採用しようとしている外国人が、自社で従事させようとしているポジション・業務に就くことができる在留資格を有しているか、確認する必要があります。

例えば、会計士などの業務に従事させようとしている場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では対応できず、「法律・会計業務」の在留資格が必要になるわけです。また、在留資格「介護」を有している外国人は、介護施設での就労は可能ですが、他業界に転職する際には、別のビザに切り替える必要が出てきます。

「在留期限」は、当該外国人がいつまで日本に在留できるのか、その期限が規定されています。こちらも在留カードに記載がありますが、仮に在留期限が切れている外国人の場合は不法滞在者になりますので、すぐに出入国在留管理庁へ通報してください。

不法就労を防止するためにも、在留資格と在留期限の2点はしっかりと確認しておくようにしましょう。

学歴や大学での専攻内容

次に確認すべき点は「学歴・専攻内容」です。

基本的なオフィスワーク系の業務に就く場合に必要になる在留資格は技術・人文知識・国際業務となりますが、この在留資格の取得要件には学歴要件があります。

具体的に言えば、従事予定の業務に関する知識や技術を学ぶ専門分野を専攻し、大学(短期大学や大学院)を卒業していることが求められるのです。

また大学でなくとも、従事予定の業務に関連のある専門分野を専攻し、専修学校などを卒業した上で、専門士・高度専門士の称号が付与されていれば取得可能となっています。

「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格にも、学歴要件がある在留資格はあるため、海外在住の外国人に来日してもらって採用する場合や留学生を新卒として雇用する場合は、学歴・専攻内容をしっかりと確認するようにしましょう。

オフィスワークでの外国人採用については、「技術・人文知識・国際業務とは?技人国ビザの職種一覧や許可/不許可事例も!」の記事も併せてご覧ください。

母国・日本での職歴

学歴・専攻内容と同じく「職歴」も確認すべきでしょう。

学歴・専攻内容と同様に実務経験も、在留資格の取得要件に含まれていることが多いためです。

例えば先に挙げた「技術・人文知識・国際業務」においては、実務経験要件として従事予定の業務について10年以上の実務経験が必要となっています。

ここでいう10年には大学や専修学校などでの専攻期間も含まれるので、実質の実務期間は4~6年という形になるでしょう。

ただし、あくまで従事予定の業務に関する実務経験が必要になるので、大学などを卒業した後、専攻した内容とは全く関係のない業務に就いていた場合は、実務経験としてカウントされないため注意してください。

特に、海外在住の外国人に来日してもらうケースでは、学歴と同様に重要なポイントとなります。

職歴に空白期間はないか

また、職歴に空白期間がないかの確認もすべきでしょう。

外国人労働者の在留資格は、仮に失業したとしても在留期間が満了するまでは有効ですが、正当な理由なく就労していない状態が3か月続くと、在留資格が取り消されてしまいます。

そのため既に日本で働いている外国人労働者を採用しようとする場合は、「空白期間はないか、空白期間の長さはどれくらいか」といった点を確かめる必要があるのです。

もし3か月以上の空白期間がある場合、不法滞在などの恐れがあるので注意しましょう。

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外国人との採用面接時における注意点

続いて外国人労働者の面接時のポイントについて押さえていきましょう。

文化的な慣習の違いがあることを理解しておく

大前提として、日本と異なる文化圏出身者の場合、文化・慣習が大きく異なる点は考慮しておくべきでしょう。

一例を挙げると、面接時の「服装」「時間」。日本人感覚であれば、スーツで挑む方がほとんどだと思います。ところが、面接時の服装がTシャツにサンダルという方がいたり、平気で5分遅刻し謝罪もないケースがあったりします。

「履歴書」についても、実は記載のない経歴が隠されていたりする場合もあります。そのため、履歴書や職務経歴書の内容についても面接時に本人へ直接確認しておいた方が良いでしょう。

また、当日の選考に少し遅れるくらいならまだ良いですが、何の連絡もなしにキャンセルされるケースも散見されるので、なるべく多くの候補者と同時並行で選考調整していくことがおすすめです。

会話の発音スピードとわかりやすい日本語を意識する

面接時に一番重要になってくるのは、「候補者とのコミュニケーション」です。しっかりと質問・回答の繰り返しで、その候補者の人となりを理解するのは、面接官の必須能力だと思います。

ただし、外国人材の場合は、日本語能力がまだまだ日本人のネイティブレベルに至っていない方がほとんど。そのため、会話の発音スピードは極力ゆっくりするのに加え、優しい日本語を使用することを心がけることが非常に大切です。

特に、特定技能等の在留資格を希望される候補者は、日本語能力N5〜N4相当の方が多く、母国語の通訳を介在しないと面接自体が成り立たないというケースもあります。

そのため、可能な限り母国語や英語対応できるスタッフを確保した上で選考へ臨んだ方が無難でしょう。

オンライン面接のツールや通信環境

昨今、オンラインで面接を実施する企業が増えてきています。この傾向は、外国人材採用面接でも同様です。

一方で、オンライン面接で使用するWeb会議ツールの使用にまだまだ慣れていない外国人材は多くいらっしゃり、とりわけ「特定技能」などの現場職を志望される方に多い印象です。そのため、具体的なアクセスの仕方や万が一アクセスできなかった場合はどこに連絡すべきか等、事前にアナウンスしておいた方が良いでしょう。

また、国外に在住する候補者については、時差が発生しているケースもあるので、「日本時間で〇〇時に以下のURLへアクセスください」等、日本時間なのか、現地時間なのかを明示しておいた方がベターです。

加えて、通信環境の整備が追いついておらず、途中音声が途切れてしまったり、急なリスケジュールになってしまうこともあります。実際に私が体験した事例だと、現地で大雨が発生した影響で停電になってしまい、選考日時をリスケジュールしたこともありますので、都度柔軟な対応が必要になると言えるでしょう。

内定通知までのスピード感を意識する

こちらは、とりわけ特定技能」の採用面接において気をつけるべきポイントと言えます。

特定技能外国人は、在留カードを1年ごとに更新しなければ不法滞在になってしまうリスクを抱えており、常に「在留期限」を意識しています。

加えて、転職するたびにビザ申請を実施しなければならないため、「とにかく早く内定を獲得し、ビザ申請を進めていきたい」と考える方が大半。

そのため、内定が一番最初に出た会社に就職する傾向が強く、面接日程の調整や面接後の合否連絡を1週間以上待たせる等、スピード感が遅いと判断されると、他社へ流れていってしまう可能性があります。

そのため、面接終了直後に合否を通知する企業もあるくらいなので、内定通知までのスピードは極力意識した方が、辞退者を最小限に止めることができるでしょう。

募集条件を明示する

外国人材の早期離職理由として、「事前に聞いていた募集条件と、入社後の現実に大きなギャップがあった」というのがよくあげられます。

とりわけ、従事する業務内容や昇給・賞与、勤務地等に関しては、とりわけ揉める、もしくは不信感につながり、早期離職へつながりやすい傾向があります。

そのため、どんな業務を任せるのかは、求人票に明記するのみならず、しっかりと面接時にも直接お伝えしておいた方が良いでしょう。また、昇給・賞与についても、「どういった条件でどのくらい支給される見込みがあるのか」等、具体的に説明し、イメージを持ってもらいましょう。特に、評価制度を組み込んで、運用されている会社さんについては、なるべく事前に伝えておいた方が無難です。

「転勤」については、想定されていない外国人材の方が大半ですので、もし仮に居住地の変更が発生しうるのであれば、具体的にいつ・どこに転勤の可能性があるのか、また、転勤に対して会社からのサポートはどの程度受けることができるのか等、詳しく説明しておきましょう。

面接の最後には、外国人候補者からの逆質問も募り、しっかりと不明点を解消する時間を設けることも有効です。

外国人採用で役立つ質問例

最後に、実際に外国人採用で役立つ質問例をいくつかピックアップしていきます。

ぜひ、ご参考にいただきながら、面接に役立ててもらえればと思います。

また、実際に弊社がご支援している飲食店事業者様において、特定技能外国人の採用面接風景を録画させていただいております。ぜひイメージを持ってもらうために、以下のYouTubeをご覧ください!

来日の目的・将来のキャリア

まず最初に、来日した理由を確認することから始めると良いでしょう。

来日した理由を確認することで、外国人労働者の日本で働く上でのモチベーションや意識、キャリアビジョンなどを確かめることができるでしょう。

回答によって、採用予定の外国人労働者の持つ

  • 近い将来母国に帰ることを想定している
  • 日本で働き続けたい
  • 実現したいキャリアビジョン

といった将来プランをある程度想定することができます。 

それを基に自社の採用方針や、募集しているポジションに求める役割に合うかどうかを判断すれば、採用後のミスマッチのリスクも低減することができるはずです。

具体的な質問フレーズとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • どうして日本に来ようと思ったのですか?
  • 何を求めて日本に来たんですか?
  • どうして日本の大学(専門学校)に入学しようと思ったのですか?

前職での業務内容や組織体制・環境

履歴書記載の経歴が正しいかを確認するための質問も、項目に入れておいた方が良いでしょう。

加えて、組織体制や環境についてヒアリングすることで、その人が前職の職場環境についてどの程度理解していたか、どんな印象を持っていたのかを推察できるようになります。この質問に、曖昧な回答しか得られない場合は、特に目的意識を持ち、意欲高く仕事に取り組むタイプではないかもしれません。

具体的な質問項目としては以下のようなものが挙げられます。

  • 一番最近の仕事について、具体的にどんな業務をやっていたのか教えてください。
  • 前職の従業員数やチームメンバーについて、具体的に教えてください。
  • 前職の職場で、良いことと悪いことをそれぞれ一つずつ教えてください。

退職・転職の理由

日本人でも同様ですが、退職・転職の理由については、とりわけ注意深く聞いていった方が良いでしょう。

例えば、「忙しすぎて休みが取りづらくて転職を希望している」と回答があった際に、どの忙しさまで許容できる範囲なのか、具体的に聞いていった方が良いでしょう。

何がどの程度まで我慢できて、どのラインからは我慢できないのかを明確にすることで、どの程度自社にフィットする人材なのかを判断できるようになります。具体的には、以下のようなフレーズを活用してみてください。

  • どうして転職しようと思ったんですか?
  • 残業が多すぎるとのことですが、具体的に月間で何時間くらいの残業があったんですか?

志望動機

退職理由と一緒に確認すべきなのが「志望動機」です。

先ほどの退職・転職理由があった中で、自社の何を求めて応募してきたのか、そこに一貫性がない場合は結構あります。

中には、会社概要すら調べずに応募してくる人材も稀にいます。こういった人材は、求人票に記載の表面的な情報(給与等)のみで、転職先を判断している可能性があり、仮に入社したとしても、何かあったらすぐに辞めてしまう可能性が高いでしょう。

例えば、以下のようなフレーズが有効です。

  • 率直に、何を求めて弊社の求人にご応募いただきましたか?
  • 弊社以外に、どのような会社の面接を受けてるんですか?
  • 弊社の求人の何が一番魅力的でしたか?

まとめ

今回は外国人労働者を採用する場合の書類選考や面接において、注意すべきポイントをテーマにお話してきましたがいかがでしたか。

当社は最後にご紹介した外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

書類選考や面接におけるサポートも実施しておりますので、自社だけで対応するのが不安という方は、是非一度お気軽にご相談ください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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