建設業界では深刻な人手不足が続いており、中でも若者離れは業界の存続を左右する大きな課題となっています。29歳以下の就業者は全体の約11%まで減少し、一方で65歳以上が約80万人と高齢化が進行。今後10年で熟練技能者の大量退職が見込まれる中、若手人材の確保は待ったなしの状況です。
インターネット上では「建設業の若者離れは当たり前」「建設業はオワコン」といった厳しい声も聞かれます。長時間労働や休日の少なさ、3K(きつい・汚い・危険)のイメージが根強く残り、若者が建設業を就職先として選ばない傾向が強まっています。
本記事では、建設業の若者離れの実態をデータで確認したうえで、若者が建設業を敬遠する5つの原因を詳しく解説します。さらに、採用を増やすための施策と定着率を高める具体的な対策をご紹介。「対策を講じても若者の応募が増えない」とお悩みの企業様には、外国人材の活用という現実的な選択肢についても解説します。
建設業の人手不足解決に向けて、ぜひ最後までお読みください。
建設業界の若者離れの実態
建設業界では深刻な人手不足が続いていますが、中でも若年層の減少は業界の将来を左右する大きな課題となっています。ここでは、建設業界における若者離れの実態をデータで確認していきましょう。
2024年には29歳以下の就業者が約11%まで減少
そもそも、建設業界での就業者数はどのような推移を辿っているのでしょうか。

日本建設業連合会の資料によると、1997年の685万人をピークに減少が続いており、2024年時点では477万人と、ピーク時比で69.6%もの就業者数が減っていることが伺えます。

年齢階層別に見ると、29歳以下の若年層は2005年の約88万人から、2024年には約56万人と大幅に減少していることが伺えます。
一方で、65歳以上の就業者は2005年の約37万人から2024年には約80万人へと大幅に増加しており、歪な状況となっています。建設業全体で若年者の参入促進と定着による円滑な世代交代が急務となっています。
高齢化と一斉退職で人手不足が深刻化
建設業界の高齢化は他業界と比較しても顕著です。先に言及した通り、約80万人もの就労者が65歳以上となっており、彼らが今後10年で一斉に引退時期を迎えます。

国土交通省の試算では、2025年移行も5年ごとに約7〜8%ずつ建設技能労働者数が減少していく見込みとなっています。若者の入職が少ないまま熟練技能者の大量退職が進めば、技術継承が途絶え、建設プロジェクトの遂行自体が困難になる「担い手の空洞化」が現実のものとなります。
「若者離れは当たり前」と言われる理由
インターネット上では「建設業の若者離れは当たり前」「建設業はオワコン」といった厳しい意見も見られます。
背景にあるのは、長時間労働や休日の少なさ、収入の不安定さといった労働環境への不安です。実際に建設業で働いた経験のある若者からは「想像以上にきつかった」という声が多く、業界未経験者も「3K(きつい・汚い・危険)のイメージが強く、最初から選択肢に入らない」と語ります。
こうしたネガティブな評判が、若者の業界離れをさらに加速させています。

建設業で若者離れが進む5つの原因
建設業界で若者離れが深刻化している背景には、労働環境や業界イメージに関する複数の要因が絡み合っています。ここでは、若者が建設業を敬遠する主な理由を5つに分けて解説します。
①労働環境の厳しさ(長時間労働・休日の少なさ)
建設業の労働時間は時間外労働時間の上限規制適用の影響等により、減少傾向が近年継続しています。

しかしながら、工期の遅れや天候不良による工程調整で休日出勤が発生しやすく、週休2日制が徹底されていない現場もいまだに少なくありません。
結果、労働時間は減少トレンドであるとはいえ、全産業平均の1,714時間と比較すると、以前として年間約230時間も長くなっているのが実情です。
ワークライフバランスを重視する若者にとって、こうした長時間労働と休日の少なさは大きな就職障壁となっています。
②収入の不安定さ(日給制・天候による影響)
建設業では日給月給制を採用している企業が多く、雨天などで現場が休みになれば収入が減少します。
また、繁忙期と閑散期の差が大きく、年間を通じて安定した収入を得にくい構造も問題です。正社員雇用でも日給制ベースの給与体系が残っており、若者が将来設計を描きにくい要因となっています。
③根強い3K(きつい・汚い・危険)のイメージ
建設業には「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージが長年定着しています。
重い資材の運搬や高所での作業、夏場の炎天下や冬場の屋外作業など、肉体的負担の大きさは事実として存在します。

また、労働災害の発生率、特に死亡者数を見た時には全産業の中で約30%近くを占めており、安全面での不安も払拭できていません。
SNSやインターネット上でもこうしたネガティブな情報が拡散されやすく、建設業界で働いた経験のない若者にとって「最初から選択肢に入らない業界」となっています。
④旧態依然とした組織風土(見て覚える文化・厳しい上下関係)
建設業界には「技術は見て盗め」という職人気質の文化が根強く残っており、体系的な教育・研修制度が整っていない企業も多く存在します。
先輩の仕事を観察しながら自ら学ぶことを求められるため、若手が成長を実感しにくく早期離職につながるケースがあります。また、年功序列や厳しい上下関係が色濃く残る現場では、若者の意見が通りにくく、風通しの悪さを感じることも少なくありません。
こうした古い組織風土が、現代の若者の価値観と合わない要因となっています。
⑤建設業の魅力が若者に伝わっていない
建設業には「社会インフラを支える」「ものづくりの達成感がある」「手に職をつけられる」といった魅力がありますが、それらが若者に十分伝わっていません。
多くの建設企業が採用広報に力を入れておらず、企業ホームページやSNSでの情報発信も不足しています。学校での職業教育でも建設業の仕事内容が詳しく紹介されることは少なく、若者が業界の実態を知る機会が限られています。
その結果、ネガティブなイメージだけが先行し、建設業の本当の魅力が認知されないまま就職先の候補から外されてしまうのです。

建設業の若者離れ対策【採用編】
若者離れを食い止めるには、建設業の魅力を効果的に伝え、応募のハードルを下げる取り組みが必要です。ここでは、若者の採用を増やすための具体的な施策を解説します。
SNS・動画で建設業の魅力を発信する
若者の情報収集手段はインターネットやSNSが中心です。InstagramやYouTube、TikTokなどで現場の様子や先輩社員のインタビュー動画を発信することで、建設業のリアルな姿を伝えられます。
実際の作業風景や完成した建物の紹介、若手社員の1日のスケジュールなど、具体的なイメージが湧く内容が効果的です。
また、企業の公式サイトに採用ページを充実させ、職場の雰囲気や福利厚生、キャリアパスを明確に示すことも重要です。
過去、当メディアにて取材させていただいた株式会社井上技研様では、YouTube「建設チャンネル」での情報発信にて、職人さんの採用に成功されています。ぜひ以下の同社井上社長へのインタビューコンテンツもご覧ください。
▶︎ 【建設業界の人手不足】現状打破にはSNSを活用した人材採用戦略がカギ?!|株式会社井上技研 井上様
給与・休暇・希望(新3K)を明確にアピール
従来の「きつい・汚い・危険」という3Kに対し、近年は「給料・休暇・希望」という新3Kをアピールする動きが広がっています。
具体的には、初任給や年収モデルを明示し、他業界と比較して遜色ない待遇であることを示します。週休2日制の導入状況や年間休日数、有給休暇の取得実績なども数値で公開することで、働きやすさを客観的に伝えられます。
さらに、資格取得支援制度やキャリアアップの道筋を示すことで、将来への希望を持てる環境であることをしっかりと求人募集欄でアピールしましょう。
未経験者・女性が応募しやすい環境づくり
建設業界への入職を増やすには、経験者だけでなく未経験者や女性にも門戸を広げることが重要です。

統計では、女性就業者は2018年以降、約80万人台で推移していますが、技術職に絞ると2024年に過去最高の約4万人を突破しています。建設業において、女性の力を発揮できる土壌があることは確かです。
更衣室やトイレなどの設備整備、育児休暇・時短勤務制度の充実、女性社員の活躍事例の発信が効果的です。また、未経験者向けには、入社後の研修制度や資格取得サポート、先輩によるOJT体制を整備し、「未経験OK」と明記することで応募しやすくなります。
多様な人材を受け入れる姿勢を示すことで、採用の間口を広げ、人材確保につながるのです。

建設業の若者離れ対策【定着編】
若者を採用できても、早期離職してしまっては意味がありません。入社後の定着率を高めるには、労働環境の改善と働きやすい職場づくりが不可欠です。ここでは、若手社員の定着を促進する具体的な取り組みを解説します。
労働環境の改善(週休2日制・給与体系の見直し)
若者の定着には、労働環境の抜本的な改善が必要です。週休2日制の導入は最優先課題で、4週8休を確実に実施することで他業界並みの休日を確保できます。
国土交通省も建設業の働き方改革を推進しており、週休2日制を実現する企業への発注者評価の加点などの支援策を打ち出しています。
また、日給月給制から月給制への移行や、天候に左右されない安定的な給与体系の構築も重要です。残業代の適正な支払いや各種手当の充実により、若者が安心して働ける環境を整えましょう。
業務効率化とデジタルツール活用
長時間労働を解消するには、業務の効率化が欠かせません。施工管理アプリやクラウド型の工程管理システムを導入することで、書類作成や情報共有の時間を大幅に削減できます。
ドローンやICT建機の活用により測量や施工の効率が向上し、現場の負担軽減につながります。また、BIM/CIMなどのデジタル技術を活用した設計・施工により、手戻りを減らし工期短縮も実現できます。
こうしたデジタルツールの導入は若者にとって魅力的な職場環境となり、定着率向上にも寄与します。
時代に合わせた教育・育成体制の構築
「見て覚えろ」という従来の育成方法では、若者は成長を実感できず早期離職につながります。
入社時の導入研修、段階的なOJT、定期的なフォローアップ面談など、体系的な教育プログラムを整備することが重要です。資格取得支援制度を設け、受験費用の補助や勉強時間の確保など、キャリアアップを後押しする仕組みも効果的です。
また、年齢や経験に関わらずコミュニケーションが取りやすい風土づくりや、若手の意見を取り入れる機会を設けることで、働きがいのある職場環境を実現できます。
それでも、若者採用が難しい企業が検討すべき選択肢
ここまで若者離れ対策を解説してきましたが、労働環境の改善や採用活動の強化には時間とコストがかかります。「対策を講じても若者の応募が増えない」「すぐに人手を確保したい」という企業には、別の選択肢も検討する必要があります。
ここでは、建設業の人手不足を解決する現実的な手段として、外国人材の活用について解説します。
外国人材の活用が建設業の人手不足解決策になる理由
外国人材の雇用は、若者採用が難しい建設業にとって有効な選択肢です。
日本で働くことを希望する外国人材は多く、特に東南アジア諸国では建設技能を身につけて日本で就労することへの関心が高まっています。

実際に、建設分野で活躍する外国人材は右肩上がりで増加中です。2024年10月末時点では、約17万人もの外国人労働者が建設業界で就労しており、全産業の中で7.7%を占めています。加えて、年齢層としても20〜30代と若く、やる気に満ち溢れた人材が多くいらっしゃいます。
日本人の若者を採用するのに苦戦する建設事業者にとって、外国人材の活用は現実的な解決策となっているのです。
建設業で雇用できる外国人材の在留資格
建設業で外国人を雇用する際は、就労可能な在留資格を持つ人材を採用する必要があります。
主な在留資格は「特定技能」で、建設分野では型枠施工・左官・とび・建築大工など多くの事業者で受け入れが可能です。また、最長5年間就労でき、一定の要件を満たすことで、在留期間の制限がなくなり、家族の呼び寄せも可能になるため、中長期での就労も可能となります。加えて、「技能実習」からの移行者も多く、すでに日本語能力と基礎的な技能を持っている人材を採用できます。
さらに、大卒以上の学歴があれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で施工管理やCAD・設計、積算など、オフィスワーク業務に従事することも可能です。ただし、「技術・人文知識・国際業務」では、現場作業を担わせることができないため、現場の作業員が足りなくて困っているという事業者様については、「特定技能」での採用が一般的です。
在留資格に応じた業務範囲を正しく理解し、適切に雇用することが重要です。というのも、在留資格で規定されている範囲外の業務を実施させた場合に、雇用主側に罰則が課されてしまう可能性があるためです(不法就労助長罪)。
もし、自社でどの在留資格で雇用できるのか、詳しく知りたいという方は、ぜひ以下のYouTubeでも解説していますので、併せてご覧ください。
外国人材を受け入れる際の注意点
外国人材の受け入れには、いくつかの注意点があります。
まず、繰り返しにはなりますが、在留資格で認められた業務範囲内での就労が法律で定められており、資格外の業務をさせると不法就労となります。
また、雇用契約書や労働条件通知書は母国語での交付が望ましく、日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。
生活面では、住居の確保や銀行口座開設のサポート、日本語教育の提供など、受け入れ環境の整備も求められます。文化や習慣の違いから誤解が生じることもあるため、コミュニケーションを丁寧に取ることが重要です。
適切な受け入れ体制を整えることで、外国人材が長く活躍できる環境を作れます。
その他、外国人材の受け入れ・準備については「外国人労働者の受け入れ方法とは?事前準備・手順・採用方法を徹底解説」の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

まとめ:若者離れ対策と並行して外国人雇用も検討を
建設業界の若者離れは、業界全体の喫緊の課題です。
各種対策を解説してきましたが、時間とコストがかかり、すぐに効果が出るとは限りません。人手不足が深刻化する今、若者採用だけに頼るのではなく、外国人材の活用も現実的な選択肢として検討すべきです。特定技能などの在留資格を持つ外国人材は、建設業の即戦力として期待できます。
当社では、建設業での外国人材雇用をトータルでサポートしています。特定技能外国人の紹介から受け入れ手続き、入社後の定着支援まで、1,500件以上のマッチング実績に基づいた支援を提供しています。「外国人雇用に興味はあるが、何から始めればいいかわからない」「在留資格や手続きが複雑で不安」といったお悩みをお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。








