近年フロントエンドエンジニアの需要が高まる一方で、人材確保に苦戦する企業が多いのも現状です。
本記事では、国内におけるフロントエンドエンジニア採用の現状と課題から、海外IT人材を活用すべき理由、採用時の注意点やポイントについて解説します。
なお、YouTube動画では、外国人エンジニアの給与水準も紹介しています。あわせてご覧ください。
国内におけるフロントエンドエンジニアの現状と課題
スマートフォンなどのIT技術の普及に伴い、フロントエンドエンジニアの需要は依然として高い傾向です。一方で、人材不足による供給課題が続いています。
モバイル向け最適化技術の高度化によって、フロントエンジニアに求められるスキルがあがっていることも原因にあげられます。即戦力となる人材が限られることから、企業も人材確保に苦戦しているのが現状です。
海外フロントエンジニアが注目される理由
人材不足が騒がれる日本のIT市場とは対照的に、世界のITエンジニアの数は近年増加しています。
ヒューマンリソシア株式会社による調査によると、世界のITエンジニア数は2024年時点で約2,994万人に達し、前年度に比べて6.1%も増加しています。国別では、1位インド・2位アメリカ・3位中国となっており、日本は4位です。
こうした結果から、国内のIT人材不足による問題は、海外人材の確保によって解消できるチャンスがあるといえるでしょう。
参考:ヒューマンリソシア株式会社|2024年調査版「世界のITエンジニアレポート」
外国人エンジニアの給料について「【外国人エンジニアの給料】各種データや設定時のポイントなどを解説」の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
海外フロントエンドエンジニアを採用するメリット

海外のフロントエンドエンジニアを採用するメリットは、以下のとおりです。
- 成長意欲の高い若手人材を採用しやすい
- 長期育成を見据えた採用がしやすい
- 助成金を活用できる
成長意欲の高い若手人材を採用しやすい
海外エンジニアは、成長意欲の高い若手人材が多い傾向です。
経済産業省による各国のIT人材を対象とした調査によると、「自主的に勉強している」と回答した割合は日本がもっとも低く、調査対象国のなかで唯一2割を下回っています。
また、アジア圏は自国のIT需要が少ない背景から、国外で就職を希望するケースも珍しくありません。優秀な海外ITエンジニアが先進国へ流れやすいことから、日本でも確保しやすいといえるでしょう。
外国人エンジニアの採用・手続については「外国人エンジニアを採用するメリットは?ビザの手続きや注意点まで徹底解説!」の記事をご覧ください。
長期育成を見据えた採用がしやすい
長期育成を見据えた採用がしやすい点も、海外フロントエンドエンジニアを採用するメリットです。
厚生労働省の調査によると、在留資格を持つ外国人労働者の年齢層は、20〜29歳がもっとも多く、全体の約45%を占めています。
日本の人口が今後減少の傾向であることからも、IT人材の市場価値は海外のほうが高いといえるでしょう。
参考:厚生労働省|在留資格別×年齢別にみた外国人労働者数の推移1
助成金を活用できる
外国人労働者を雇用することで、国へ助成金や補助金を申請することが可能です。たとえば、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は、受給要件をすべて満たした場合に20万円が支給されます。
また、これらを活用することで、採用や人材定着にかかるコスト削減にもつなげられます。

海外フロントエンドエンジニアを採用する際の注意点
海外フロントエンドエンジニアを採用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 在留資格の確認が必要になる
- 語学力に問題がないか見極める
- 文化・宗教・価値観の違いに配慮する
- 社内の労働環境やフォロー体制を見直すおすすめ動画
在留資格の確認が必要になる
外国人を雇用する際に、もっとも重要なのは在留資格の確認です。在留資格は外国人が日本に滞在するうえで必須です。
在留資格の種類によって、従事できる業務や就業可能時間が異なります。不適切な在留資格で雇用をおこなうと、企業も不法就労に問われるリスクがあります。
すでに国内で就職している外国人を採用する場合は、候補者が自社の業務内容に適した在留資格を持っているか確認しましょう。
また、海外在住の外国人を採用する場合は、大学や専門学校での経歴と、就業業務との関連付けが必要です。
語学力に問題がないか見極める
外国人労働者とのトラブルの原因に、コミュニケーション問題がひとつあげられます。
業務上のコミュニケーションを円滑にするためにも、候補者の日本語能力を事前に確認しておきましょう。日本語能力試験の結果と会話の両面で確認ができるとより安心です。
具体的には、日本語能力試験(JLPT)の結果を確認したうえで、面接時などの対話形式でのやり取りをチェックするとよいでしょう。
外国人社員とのコミュニケーションについては「外国人社員の日本語レベル | 採用後の日本語教育とコミュニケーションで悩まないためには?」の記事もぜひ併せてご覧ください。
文化・宗教・価値観の違いに配慮する
日本と異なる文化的背景を持つ外国人もいます。そのため、文化・宗教・価値観による違いの尊重が求められます。
あらかじめ文化や習慣を把握しておくなど、適切な対応を心掛けることでトラブルを防止しましょう。
社内の労働環境やフォロー体制を見直す
外国人労働者を受け入れる際は、就業規則などの社内労働環境やフォロー体制を再確認し、必要に応じて見直しましょう。
外国人労働者は日本の法律や企業文化に不慣れな場合があります。明確なルールの作成や母国語版の就業規則を用意するなどし、誤解やトラブルを防ぎましょう。
また、労働環境の見直しにあわせて、継続的なフォローも欠かせません。定期的な面談を実施するなど、異国での不安や孤独を解消できるようにサポート体制を構築しましょう。
海外フロントエンドエンジニア採用のポイント
自社に適切な人材であるかの見極めは、海外のフロントエンドエンジニア採用においても重要です。以下のポイントをおさえておきましょう。
- 求めるスキルや人物像を明確にする
- 知見がある採用担当者を選任する
- 求人方法を精査する
- 技術課題テストを導入する
- 職場定着を促す取り組みを充実させる
求めるスキルや条件を明確にする
求めるスキルや条件を明確にすることで、求める人物像の可視化や採用後のカルチャーフィットにつながります。以下を参考に、明確に設定しておきましょう。
知見がある採用担当者を選任する
フロントエンド技術の知見がある採用担当者にすることで、候補者を適切に評価できます。
主要なプログラミング言語やフレームワークの特徴、業界の最新動向などを理解しているため、技術面の踏み込んだ質問やディスカッションがスムーズになります。
候補者との信頼関係も築きやすくなり、採用時のミスマッチ防止にもつながるでしょう。
求人方法を精査する
フロントエンドエンジニアの採用を成功させるためには、求人方法の精査も重要です。たとえば、魅力的な求人広告の出稿やリファラル開拓が効果的です。
求人広告を出稿する際は、内容や出稿先を精査しましょう。求人情報に使用するソフトウェア・開発環境・プロジェクトの詳細を明示し、候補者が自身のスキルや経験に活かせるかイメージしやすくします。
くわえて、会社のビジョンや成長機会を明記することで、企業の価値観に共感した長期にわたって活躍できる人材の確保が期待できます。
リファラル採用の場合は、社員からの協力が得やすくなるように、インセンティブ制度を導入してもよいでしょう。
技術課題テストを導入する
候補者のスキル感を評価するためには、技術課題テストの導入も有効です。実務に近い課題を設定することで、コーディングスキルや問題解決能力を把握でき、採用後のミスマッチを回避できます。
ただし、課題の難易度や所要時間には配慮し、候補者に過度な負担をかけないように注意が必要です。適切な技術課題テストを設計し、実務に即した人材を採用しましょう。
職場定着を促す取り組みを充実させる
入社後の職場定着を促すことも重要です。迅速に業務に適応し、能力を発揮できる環境に整えることが定着率の向上につながります。
技術スタック・開発環境の詳細な説明や業務フローの明確化、メンター制度の導入なども効果的です。企業文化やビジョンを共有し、組織に馴染みやすい環境を構築しましょう。
採用時に注目すべき技術・ツール
ここからは、採用時に注目すべき技術・ツールを紹介します。具体的には以下のとおりです。
- JavaScriptフレームワークの習熟度
- 最新CSSプリプロセッサの活用経験
- バージョン管理システムの操作スキル
- テスト自動化ツールの実践的知識
JavaScriptフレームワークの習熟度
現代のフロントエンド開発において、React・Vue.js・Angular・JavaScriptなどのフレームワークに関する知識が不可欠です。
たとえば、2024年時点でJavaScriptは61%の開発者に使用されており、これらのフレームワークが極めて重要なことがわかります。
JavaScriptフレームワークの習熟度と応募者の実務経験を照らしあわせましょう。
参考:JETBRAINS| 2024 年開発者エコシステムの現状レポートへようこそ
最新CSSプリプロセッサの活用経験
SassやLessなどのCSSプリプロセッサを用いることで、スタイルシートの効率的な管理と再利用が可能になります。
これらのツールを活用できるエンジニアは、保守性の高いコードを提供し、開発プロセスをスムーズに進められます。過去に実務経験があるか、職務経歴書や面接でチェックしておきましょう。
バージョン管理システムの操作スキル
バージョン管理ツールの習熟度は、チーム開発において不可欠です。とくにGitHubやGitLabなどのプラットフォームでの協働経験があると、コードの共有や管理が円滑におこなえます。
採用候補者の実務経験とチーム開発に求めるスキルを照らし合わせておきましょう。
テスト自動化ツールの実践的知識
質の高いフロントエンド開発には、JestやMochaなどのテストフレームワークの理解が重要です。応募者の開発経験を確認し、スキルに問題がないか確認しましょう。
The Software Houseが2024年に実施した調査によると、企業の80%以上がユニットテストを実施し、そのうち約70%がテスト自動化を採用しています。
参考:The Software House|State of Frontend 2024
フロントエンドエンジニアの採用課題を海外人材で解消しよう
国内におけるフロントエンドエンジニアの人材不足は、今後も続くと予想されます。海外人IT材の採用は、供給課題を解決するカギです。
海外人材の採用におけるメリットや注意点をふまえて、自社に最適な人材を確保しましょう。
海外人材の採用に不安がある場合は、エージェントによる紹介がおすすめです。在留資格や各種手続きなどのサポートがもらえます。ぜひ活用してください。
