【事例インタビュー】メンバーとの関係性作りが大切 / 有限会社斉屋様

【事例インタビュー】メンバーとの関係性作りが大切 / 有限会社斉屋様

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東京で宅配弁当事業(宅配弁当斉屋海鮮焼弁当こうみや)及び外食事業(豚大学豚大学とんかつ学部)を展開する有限会社斉屋。外食事業にて特定技能外国人を複数人受け入れています。今回は、専務取締役の斉藤様に特定技能外国人を受け入れるに至った背景をお伺いしました。

有限会社斉屋 専務取締役 斉藤 晋平

大学卒業後、インテリア系の建材メーカーに入社。3年後、外食事業「豚大学」ブランドを新規立ち上げ期に斉屋へ入社。豚大学新橋店、神保町店の立ち上げを牽引し、現在は全社の経営全般を管掌している。

リーマンショック・新型コロナウイルスの影響で外食事業へ進出

写真_斉藤専務
 快く取材にお答えいただく斉藤専務

ーーまずは貴社の事業概要について教えていただけますか?

当社は、仕出し弁当事業と外食事業の2つの事業を展開しています。

1992年、仕出し弁当事業をスタートし、お祝いの席、会合、会議の際など、個人・法人を問わずにあらゆるシーンに応じたお弁当の注文・配送を承っています。

一方、2011年に外食事業を開始し、豚丼を提供する「豚大学」とカツ丼/カツカレーの専門店「豚大学とんかつ学部」を個人客をターゲットに運営しています。

豚大学では、新橋店・神保町店の2店舗出店しており、来年には船橋「ららぽーと」内のフードコートへ新規出店を控えています。

ーー「豚大学」はかなりインパクトのある名前ですね

わかりやすい名前、特に1号店がある神保町は学生街であるため、「豚丼」×「大学」で「豚大学」と言うブランド名になりました。

ーーどうして外食事業へ進出されたのですか?

まず、2008年のリーマンショックが大きな契機となっています。経費削減の一環で、仕出し弁当事業が大きな煽りを受け、仕出し弁当の需要が縮小傾向に。

また、直近でもコロナ禍の影響でリモートワークやオンライン会議が普及したことにより、仕出し弁当への需要がさらに激減しています。宅配に関してもウーバーイーツや出前館など、競合がどんどん参入してきています。

そのため、法人以外のより個人消費者向けの外食事業を模索することになります。それまで店舗ビジネスの経験がなかったので、オペレーションがシンプルな丼ものの形態を採用しました。様々なグルメ誌や食べ歩きをした結果、豚丼に行きつきましたね。

今後はさらに他の飲食業態にもチャレンジしていこうと考えています。

関係性作りが大切だと理解してもらう

写真_TAIさんと豚大学のみなさん
特定技能外国人のTAIさんと豚大学のみなさん

ーー人材の募集媒体は何を活用されていますか?

当社の従業員数は全体で約60名ほどで、うち50名近くがアルバイトで構成されています。

アルバイト募集をする際は、タウンワーク、バイトルなどの媒体系を中心に活用していました。

一方、正社員などを募集する際は、リクナビnextやハローワークですかね。

エージェント系は一切活用していません。紹介手数料が年収の30%などと結構単価が高いですし、友人の会社では入社後すぐに退職してしまうとも聞いていたので、若干敬遠している節があります。

ーーぶっちゃけ、応募状況はどうですか?

コロナ前であれば、比較的媒体経由でアルバイト採用はできていました。それこそ、外国人の応募も結構きていた気がしますね。

ただ、2020年の新型コロナウイルス感染症を契機に、アルバイト・中途社員関係なく、全く応募が来なくなりました。

特に、新規出店の際にオープニングスタッフを10名ほど募集したのですが、2名しか採用できませんでした。元々飲食業界にいた方々は他の業界へ行ってしまい、現在就職活動・アルバイトを探している方々からは、飲食業全体が敬遠されている気がします。

そのくらい採用は厳しくなってきていますね。

ーーだいぶ厳しい状況ですね...

はい。こういった背景から、特定技能外国人の雇用を検討し始めました。

ーー貴社ではすでに外国人社員が何名かいらっしゃいますよね?

ミャンマー人とネパール人の社員が在籍しています。現在はバックオフィスを中心に関わってもらっていますね。

すでに外国人社員の受け入れ自体は経験していたので、特に社内で抵抗もなく採用に踏み切ることができました。

ーー現場的にも大きな抵抗などはなかったのですね!

受け入れ自体に抵抗はなかったのですが、やはり言葉の壁からくる業務の違い、特に「電話取れるのか?」「クレーム対応もできるのか?」などといった不安感はありましたね。

ただ、今採用しているTUさん、TAIさんに関しては、かなり日本語が上手なので、問題ないと思っていますし、日本人・外国人で業務内容を区別しようとも思っていません。今後さらに業務に慣れてきたタイミングでどんどん任せていこうと考えています。

あ、ただ、これは特定技能の話ではないのですが、一時帰国に関しては若干社内の理解を得るのに時間かかりましたね。

中華圏の方だと、旧正月が毎年1月末〜2月中旬にやってくるので、休暇を取得して一時帰国したいという申し出がよくあります。特に、勝手に航空券を取得して帰ってしまった人が過去にいたので、なおさら風当たりが強くなってしまいましたね。

今では、会社の他メンバーや繁忙期などの状況を理解した上での関係性作りが大事だと、しっかりと外国人社員にも理解してもらうように努めています。外国人社員にもうまく伝わって、帰国時期をよく考えた上で提案してくれるようになったので、現在は大きな問題にはなってません。特定技能の二人にもしっかりと伝えています。

ーー実際に受け入れてみて、大きなギャップなどはありましたか?

今回受け入れてたTUさん、TAIさんは、現場からは大変好評ですね。2名とも飲食店経験者だったので、パフォーマンス的に全く問題はありませんでした。

面接時にweb面接だけだったら、こうもうまく行ってなかったかもしれません。当社では、必ず対面面接を挟んで、現場で馴染めるかどうかしっかりと見極めています。やはり、webだけでは見えない部分があると思いますので。

強いて言うなら、ジンザイベースさんには、募集から面接までかなりスピーディに対応いただいた一方で、その後の申請に思ったよりも時間がかかった点は少しギャップがありましたね。制度上どうしてもビザの許可が降りるまで1-2ヶ月程度時間がかかってしまうのは仕方のない部分ですが、他の飲食店さんで受け入れる際は、受け入れ側でもスケジュールに齟齬がないよう注意した方が良いかもしれないですね。

「日本に行けば"チャンス"がある」

TUさんの写真
インタビューに答えていただいた特定技能のTUさん

ーー特定技能になるまではどんなことをしていましたか?

元々料理を作ることが好きだったので、高校卒業後は料理の専門学校へ入学しました。

卒業後はニッコーホテルで調理場の仕込みや各種発注・在庫確認などのバックヤード業務に従事していました。

半年間勤めた後、当時の先輩から「日本に行けば、チャンスがある」と言う話を聞き、日本に行こうと意識し始めます。

自分としても、留学経験と日本での就労経験を積んでおけば、将来何かしらのプラスになると思い、ベトナムの語学学校に入学し、日本語を学び始めました。今思うと非常に単純ですね笑。

来日後は、日本語学校で2年間、その後専門学校へ入学し、合計4年間留学生として勉強していました。

ーーなるほど!そこからどうして特定技能、特に外食業で就職しようと思いましたか?

留学生の間は、ずっと飲食店でアルバイトしていたので、そのまま外食業界で働きたいとぼんやり思っていました。その頃には、将来飲食店を作って、独立したいとも考えていたので、特定技能の外食業で就職すれば、経験も積めますし。

ただ、最初は技術・人文知識・国際業務ビザで、日本で一般的なサラリーマンになろうと考えていました。でも、よーく考えた時に、日本でのサラリーマン生活は慣れないし、僕には耐えられないなと思いました。いろんな求人を見るうちに、特定技能での給与水準も良くなっていると感じたので、特定技能になろうと決意しました。

ーーご両親からベトナムに戻ってきてと言われませんでしたか?

言われました笑。

両親は建築資材の運搬会社を経営しており、手伝って欲しいとお願いされていました。だた、僕としてはもうちょっと日本で頑張って経験とお金を貯めたいと思っていたので、豚大学で働き始める前に1ヶ月だけ帰国し、両親にも思いを伝えています。

将来的には帰国したいと考えていますが、いつになるかはまだ未定です。

ーー特定技能試験の受験や就職活動で不安だったことはありますか?

試験に関しては、正直あんまり勉強してなかったですね笑。当時はまだ技術・人文知識・国際業務で就職しようと考えていたので、保険のつもりで外食業の試験を受けました。

飲食店でのアルバイト経験があったので、大丈夫だろうと思っていました。結果、無事に1回で合格できてよかったです。

就職活動での面接は、豚大学が初めてでしたが、面接官の斉藤専務が優しくて、話しやすくて緊張せずに受け答えできました。斉藤専務との面接を通じて、受かったら入社しようと最初から考えていましたね。給料もよく、家からも遠くないですし。

ただ、新しい職場なので、業務についていけるか、良い人間関係を築けるかは不安がありました。同じ飲食店でも会社によってやり方の違いもありますし。

将来はベトナムで自分のお店を作りたい

写真_TUさんと豚大学のみなさん
TUさんと豚大学のみなさん

ーー実際に入社してみてどうでしたか?

社員の人とはすぐに仲良くなれました。特に土曜日の営業は18時に終わるので、先輩社員の方とよく飲みに行っています笑。

仕事に関しては、仕込み、調理、接客含めて全てやっています。今は、アイドルの時間帯に一人で営業できるように勉強しています。

ーープライベートで何か困ったことはないですか?

留学生として日本に来た当初は、日本語が全く通じなくて大変でした。来日前に4ヶ月くらい語学学校で日本語を勉強していたのにです。日本語学校と飲食店のアルバイト経験を通じて、なんとか日本語を覚えることができましたが、当時は本当に苦労しました。

ただ、特定技能になった今は来日してから4年も経っているので、プライベートで困ることはほとんどないですね。東京の生活にもだいぶ慣れました笑。

ーー素晴らしいですね!最後に将来の目標や夢を教えてください!

やはり、飲食業で独立をしたいですね。豚大学で飲食業の経験を積んで、ベトナムに帰ってから自分のお店を持ちたいです。

また、豚大学には独立支援制度があると、面接の時に聞きました。チャンスがあったら、独立支援制度を使って、日本で独立するのもありかなとも思っています。

ーーありがとうございました!

編集後記

今回は、有限会社斉屋様に特定技能外国人の受け入れについてお伺いしてきました。オープニングスタッフが2名しか採用できないなど、同業界の採用課題が深刻であることが伺えます。一方で、TUさんのように、外食業で働きたいと考える優秀な外国人材は多数いらっしゃるので、ぜひ外国人雇用をご検討の企業様は弊社までお問い合わせくださいませ。

なお、外食業での特定技能外国人の受け入れは「【特定技能】外食業で従事できる業務や試験、採用方法などを解説」の記事も併せてご覧ください。

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インタビュー
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。