【事例インタビュー 前編】 初めて特定技能外国人を受け入れる。その決断の背景とは?!

【事例インタビュー 前編】 初めて特定技能外国人を受け入れる。その決断の背景とは?!

広島お好み焼きを中心に、豊富な鉄板焼きメニューを取り揃える「ちんちくりん」を中心に、飲食事業を運営する株式会社ケーツーエスでは、2022年5月に特定技能外国人の受け入れをご決断されます。今回、特定技能外国人を受け入れるに至った背景や、その後の受け入れ定着施策など、どういった取り組みをなされているのか、前後編の前編として、同社取締役副社長村竹真一様にお伺いしました。

目次

広島のお好み焼きを世界へ

写真_ケーツーエス取締役副社長_村竹様
株式会社ケーツーエス取締役副社長 村竹様

ーー御社の事業概要を教えていただけますでしょうか?

当社ケーツーエスでは、お好み焼き・鉄板焼きを中心とした飲食ブランド「ちんちくりん」を広島に9店舗、関東に2店舗、アメリカに3店舗運営しています。また、一口餃子のブランドとして、「無敵ギョーザ」も広島県内に2店舗運営しており、国内外合計16店舗運営しています。

さらに、直営店で培った経営・運営ノウハウを生かした飲食店の独立開業をトータルサポートする事業や、お好み焼きを焼くための鉄板そのものを海外へ輸出する事業など、複数の事業をケーツーエスグループとして手掛けています。

戦後の復興と共に広島の食文化を支えたソウルフード「広島お好み焼き」を世界へ広めるため、飲食事業を中心に展開してきました。

飲食業自体が敬遠されている感じがする
そう感じてしまうくらい日本人の採用が困難に

写真_ケーツーエス本社前
株式会社ケーツーエスの本社

ーーそんな中、特定技能外国人を受け入れることになりますが、何かきっかけや背景があったのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用していたアルバイトの大半を解雇してしまいました。正社員の退職者も同じタイミングで出てきてしまい、欠員が6名の状態で約2年近く営業を続けてきました。

本社勤務の社員にも店舗に出てもらうなど、会社一体となってなんとか凌いでいました。しかし、緊急事態宣言解除後、来店者数が急激に増加し、いよいよ現状の人数だと対処しきれなくなってしまいました。

ちょうどそのタイミングで、ジンザイベースを顧客から繋いでいただき、特定技能外国人の雇用に取り組むこととなります。

ーー特定技能外国人を受け入れるご決断をされるまで、人材の募集はどのように実施していましたか?

コロナ前は、求人媒体に募集広告を掲載したり、自社HPからダイレクトで応募が来たりしていました。

正社員だけではなく、アルバイトの採用もうまくいっていました。店舗で働いてもらい、そのまま正社員になってもらうケースが多く、アルバイト時代に一定の店舗業務を覚えてもらう形になるので、人材採用と育成の良いスキームができていたと思います。

しかし、コロナ禍でアルバイトを解雇してしまい、コロナ後にアルバイト募集を再開しても全く集まらなくなってしまいました。ハローワークや成功報酬型の人材エージェントも試しましたが、全く効果がでていません。

新型コロナウイルス感染症の影響で、飲食業自体が敬遠されている感じがしています。一種の風評被害のような。

昔から、工場などで外国人社員を雇用するケースはよく聞いていましたが、最近飲食業でも増えてきています。知り合いの飲食店も、外国人採用に踏み切っています。理由はどこも同じく、日本人が全く採用できないからですね。

外国人雇用は初めてではないが
特定技能外国人の受け入れには不安を感じていた

写真_お好み焼き_ちんちくりん焼き
ちんちくりん焼き 新橋本店にて

ーー外国人雇用は今回の特定技能が初めてですか?

コロナ以前に、求人媒体やHPから応募があったことは何回かありました。そのうち、配偶者ビザを持っている韓国人の方とベトナム人の方に社員として働いてもらっています。

また、アメリカに3店舗出店しており、現地の店舗を通じて外国人社員と接した経験を有する社員が多いので、外国人に対するアレルギーはないのかなと感じています。

ーーすでに外国人社員の雇用実績があるとなると、受け入れるまでに大きな不安はなかったでしょうか?

いえ、正直不安はありました。

当初は、内定が出てからすぐに入社できると思っていましたが、特定技能に関しては入社前にビザの手続きをしなければならないと知りました。手続きの流れや必要書類など、ビザ申請に関する知識が全くなかったので、正直何をどうすれば良いのか不安でした。

日本語能力に関しても、日本語能力試験N2を取得している方であれば、ある程度話せる方だと思っていました。しかし、実際に面接を通じて話してみると、意外と日本語が通じない方もちらほらいらっしゃいました。「これは、店舗に配属になってからしっかりと鍛えないとな」、と決意しましたね。

一方で、現場の社員には、日本語能力N2保持者はある程度会話ができるということと、外食業試験合格者がくると伝えてしまっているので、期待値が上がってしまっている点が多少不安です。ただ、先ほども申し上げた通り、外国人と接したことのある社員は多いので、問題ないとは思います。

ーー「特定技能」は確かにビザ申請が複雑で手間がかかりますね

ビザの変更手続きが必要だという点は、飲食店の経営者でも知らない方は多いのではないでしょうか。

アルバイトや配偶者だと、ビザの変更手続きは必要ないので、意外と内定後すぐに働き始めることができると考えている方が多いと思います。

特定技能は、各種行政機関から準備しなければならない書類も多く、初めて受け入れる企業様は混乱されるのではと思います。こういった点はしっかりと事前に理解を得る必要があるし、登録支援機関にもしっかりとサポートしてもらうことが大切だと感じています。

実際にジンザイベースは営業マンの対応もよく、わからないことを質問してもすぐに回答をいただけるので、非常に助かっています。

ーーありがとうございました!

編集後記

今回は、株式会社ケーツーエス様に特定技能外国人の受け入れについてお伺いしてきました。飲食業が敬遠されているという言葉に、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大であると同時に、外国人材の紹介事業を通じて、少しでも多く同業界にお力添えしていきたいと改めて思いました。今回は前編として、特定技能外国人の受け入れに至る背景についてお伺いしてきましたが、後編では、実際に受け入れてみてどうだったのか?という点を深掘りしていければと思います。

なお、外食業での特定技能外国人の受け入れは「【特定技能】外食業で従事できる業務や試験、採用方法などを解説」の記事も併せてご覧ください。

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インタビュー
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。