【在留資格】不許可になるケースや対処法などをまとめて解説

【在留資格】不許可になるケースや対処法などをまとめて解説

目次

外国人労働者の雇用に取り組む際、在留資格に関する知識は押さえておくべきと言えます。

そこでこの記事では在留資格の概要や申請の種類を踏まえつつ、不許可になるケースや事例などを解説していきます。

在留資格の基本や不許可の対処法などを押さえたい方は、是非最後までお読みください。

 

在留資格とは

まずは在留資格とは何かについて、おさらいしておきましょう。

在留資格の概要

在留資格とは外国人が日本に在留した上で、何かしらの活動を行うために必要となる資格です。

出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法によって規定されており、活動の種類に応じた在留資格が設けられています。

在留資格は2022年2月現在において29種類存在していますが、今後入管法の改正に応じて増加する可能性はあるでしょう。

在留資格は先述の通り、日本で活動を行うための資格ですので、在留資格を有していない外国人は日本に在留することができません。

在留資格の種類

在留資格は主に就労制限によって3つのカテゴリーに分けることができます。

 

・カテゴリー①:就労制限がない在留資格

このカテゴリーに属する在留資格には、「永住者」や「定住者」などがあり、身分系在留資格とも呼ばれています。

就労制限がないため、基本的にどのような業務でも従事できるという特徴を持ちます。

 

・カテゴリー②:就労が一定範囲に限定される在留資格

いわゆる就労系在留資格と呼ばれているもので、「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」、「特定技能」などが代表例でしょう。

それぞれの在留資格に許可された業務にのみ従事が可能で、許可外の業務には従事できません。

 

・カテゴリー③:就労不可の在留資格

就労は原則認められておらず、「短期滞在」や「留学」、「家族滞在」などが代表例として挙げられます。

「留学」や「家族滞在」は、資格外活動許可を得た場合に限り、週28時間以内のアルバイトなどに従事することは可能です。

在留カード

在留カードとは、在留資格の認定や変更、期間更新といった許可を得た際に、外国人が交付されるカードです。

交付されるのは中長期滞在者(滞在期間が3ヶ月以上ある外国人)のみであるため、短期滞在者(滞在期間が3ヶ月未満の外国人)は在留カードを持っていません。

在留カードに記載されているのは

・外国人の氏名
・生年月日
・国籍・地域
・住居地
・在留資格
・在留期間
・就労可否

といった情報となっています。

中長期滞在者にとっては、公的手続きの際に身分証明書代わりとなるものになります。

ビザとの違い

在留資格はよくビザと混同されて認識されていることがありますが、両者は全く異なるものです。

在留資格は先ほどお話した通り、日本で在留して様々な活動を行うために必要な資格のことを指します。

対してビザは来日前に在外公館が発行する入国許可証のことです。

入国前にビザを取得することで日本に上陸する許可を得ていることを証明し、実際に入国した後は在留資格に応じた活動をするという流れとなります。

Webメディアで「技術・人文知識・国際業務ビザ」などと表記しているケースが散見されますが、これは誤った解釈に基づく表記ですので、その点は理解しておきましょう。 

在留資格の申請について

次に在留資格の申請について、基本となる三つの申請をご紹介していきます。

在留資格の認定申請

【概要】

正式には在留資格認定証明書交付申請と呼ばれ、海外から来日する外国人が実施することになる申請になります。

海外在住の外国人労働者を雇用する場合も在留資格認定証明書交付申請は避けて通れません。

【申請の流れ】

在留資格認定証明書交付申請の流れは以下のようになります。

①必要書類の準備
②出入国在留管理庁にて在留資格認定証明書交付申請の実施
③交付後、当該外国人に送付する

 【申請に必要な書類】

在留資格認定証明書交付申請に必要になる書類は

・在留資格認定証明書交付申請書
・日本での活動内容に応じた資料
・身元保証書・質問書(在留資格「家族滞在」などを取得する際に必要な書類)
・申立書(在留資格「興行」を取得する場合に必要な書類)
・外国人患者に係る受け入れ証明書(入院して医療を受けるために日本に在留する場合に必要な書類)

となります。

詳しくは、こちらのページからご確認ください。

在留資格の更新申請

【概要】

在留資格を更新するには、在留期間更新許可申請を実施する必要があります。

2022年2月現在において、「永住者」と「高度専門職2号」以外の在留資格は、在留期間に定めがあるため、その期間を越えて在留を希望する場合は、在留期間の更新を実施しなければならないのです。

雇用することになる外国人労働者の在留資格が先に挙げた2つ以外であれば、必ず実施しなければならないので押さえておきましょう。

【申請の流れ】

在留期間更新許可申請は以下のようなステップを踏みます。

①必要書類の準備
②出入国在留管理庁にて在留期間更新許可申請を実施
③許可された場合、ハガキで通知される
④通知ハガキと必要書類を持参し、出入国在留管理庁で新しい在留カードを受け取る

【申請に必要な書類】

在留期間更新許可申請時に必要となる書類は以下の通りです。

・在留期間更新許可申請書
・証明写真
・日本での活動内容に応じた資料
・在留カードの提示
・資格外活動許可書の提示(同許可書の交付を受けている場合に限る)
・パスポート又は在留資格証明書の提示
・パスポート又は在留資格証明書の提示ができない場合、その理由を記載した理由書
・身分を証する文書などの提示(申請取次者が申請を提出する場合) 

詳細はこちらのページもご確認ください。 

在留資格の変更申請

【概要】

既に何かしらの在留資格で在留している外国人が、所有している在留資格以外の活動に従事する場合は、それに該当した在留資格へと変更しなければなりません。

例えば「技術・人文知識・国際業務」で働いている外国人労働者が、事業の経営を実施する場合は「経営・管理」の在留資格へと変更する必要があるわけです。

また留学生を新卒社員として受け入れる場合なども該当してくる申請と言えます。

【申請の流れ】

在留資格変更許可申請の流れは以下のようになります。

①必要書類の準備
②出入国在留管理庁にて在留資格変更許可申請を実施
③許可された場合、ハガキで通知される
④通知ハガキと必要書類を持参し、出入国在留管理庁で新しい在留カードを受け取る

【申請に必要な書類】

在留資格変更許可申請に必要な書類は申請書を除き、在留期間更新許可申請とほぼ共通しているため、割愛します。

詳細については、出入国在留管理庁のページをご参照ください。

在留資格申請の不許可

最後に在留資格申請の不許可に関してみていきましょう。

不許可になるケース

在留資格の申請が不許可になるケースとしては大きく以下の4点が挙げられます。

・ケース①:各在留資格の上陸許可基準を満たしていない

一つ目のケースとしては、各在留資格に設けられている上陸許可基準をそもそも満たしていないことが挙げられます。

在留資格を取得したり、更新したりするには、それぞれ要件が設けられていますが、その要件を満たしていない場合は当然不許可になるでしょう。

・ケース②:申請書類に不備や不足がある

また申請書類に不備や不足がある場合も不許可になります。

在留申請は必要な書類も多いため、記載内容の間違いだけでなく書類自体が不足していることもあり、それを起因として不許可となるケースも多いのです。

・ケース③:在留状況や素行が悪い

在留期間更新や在留資格変更にあたっては、当該外国人の在留状況も許可基準となっています。

特に、国民健康保険や住民税の滞納など、納税義務を果たしていない場合や、警察に補導されたことがあるなどの素行不良がある場合、許可されないので、注意が必要です。

・ケース④:申請内容に虚偽がある

そもそも申請内容に虚偽があった場合も、当然許可されません。

在留資格には学歴や職歴などが取得要件となっているものもありますが、これらの情報に虚偽が含まれている場合は不許可となります。

在留資格申請の不許可事例

次に在留資格申請の不許可事例を見てみましょう。
ここでは出入国在留管理庁が事例として公表しているものを引用してご紹介したいと思います。

・不許可事例①

一つ目にご紹介するのは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請における不許可事例です。

“工学部を卒業した者から,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,月額13万5千円の報酬を受けて,エンジニア業務に従事するとして申請があったが,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明したことから,報酬について日本人と同等額以上であると認められず不許可となったもの。”

引用元:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について_別紙3(事例)

・不許可事例②

続いて「定住者」の在留期間更新許可申請における不許可事例をご紹介します。

“日系3世の配偶者として,在留資格「定住者(1年)」の上陸許可を受けて日系3世である夫とともに入国し,以後2回の更新許可を受けて在留していたところ,引き続き日系3世の配偶者として在留したいとして在留期間更新許可申請がなされた。

上記更新申請の際に提出された源泉徴収票上の住所地が入管法に基づき届け出られた住居地と相違していたことから,調査した結果,同人は,入国以来,源泉徴収票上の住所地に居住していたにもかかわらず,在留期間更新許可申請の際には,日系3世である夫の住居地を住居地として,虚偽申請をしていたことが判明したことから,在留期間の更新が認められなかったもの。“

(引用元:在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について(事例5)

・不許可事例③

事例の最後にご紹介するのは、「留学」から「家族滞在」への在留資格変更許可申請における不許可事例です。

“大学に入学するとして,在留資格「留学(1年)」の上陸許可を受けて入国し,その後,在留資格「家族滞在(2年)」への在留資格変更許可を受けて在留していたところ,同在留資格での在留中に,資格外活動許可を受けることなく風俗営業店にて長期間稼動を行っていたもの。

同人からは,再度大学へ入学したとして(入国時の大学とは別の大学),在留資格「留学」への在留資格変更許可申請がなされていたところ,在留状況に問題があるとして,在留資格の変更が認められなかったもの。“

(引用元:在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について(事例7)

不許可になってしまった場合の対処法

ここまで不許可のケースや事例を見てきましたが、実際に不許可になってしまった場合の対処はどうすればよいのでしょうか。

まずは不許可になった理由を出入国在留管理庁まで確認することが対処法として挙げられます。

また不許可の理由と合わせて、「どの点を修正した上で再申請すれば、許可の見込みが出るのか」といった点も確認しましょう。

再申請が可能なケース

不許可の理由が上陸許可基準を満たしていないことや、素行不良や虚偽の内容で申請していたといった点に起因している場合、再申請は難しいと言えます。

ただし、申請書類の不備や不足に起因して不許可となった場合は、まだまだ許可される可能性はあります。

先程述べた通り、どの点を修正すべきかを確認した上で、速やかに再申請手続きを実施すれば、申請が許可される可能性もあるでしょう。

まとめ

今回は在留資格の概要や申請の種類、不許可になるケースなどをまとめてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

当社は外国人労働者の人材紹介サービスを提供するとともに、在留資格申請のサポートなども実施しております。

在留資格申請を不備や不足なく、安心して実施し、外国人労働者の雇用に取り組みたいという方は是非一度お気軽にご相談ください。


カテゴリ:
在留資格
タグ:

中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。