外国人労働者とのコミュニケーション問題が起こる原因は?解決方法や防止策を解説

外国人労働者は、日本国内の人手不足を補う存在として注目される一方で、言語や文化の違いから職場内のコミュニケーションに問題へ発展するケースも少なくありません。

本記事では、外国人労働者とのコミュニケーション問題の要因や解決方法、防止策について解説します。

なお、YouTube動画では外国人とのコミュニケーションの取り方もご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

外国人労働者のコミュニケーション問題とは?

外国人労働者とのコミュニケーション問題が起こる背景には、言葉・文化・価値観・ビジネス習慣の違いなど、さまざまな要因があります。

日本語による外国人とのコミュニケーションに不安を感じる企業は多く、指示や報告が正確に伝わらないなど、業務に支障をきたすケースも少なくありません。

2024年に日本政策金融公庫総合研究所が実施した調査によると、外国人雇用における職場の問題について「コミュニケーションに手間がかかる」と回答した人がもっとも多く、全体の49.3%を占めています。

全体のおよそ半数が外国人とのコミュニケーションに課題を感じていることからも、問題の早期解決が重要といえるでしょう。

参考:日本政策金融公庫|職場のコミュニケーションが鍵を握る中小企業の外国人雇用

外国人労働者とのコミュニケーション問題が起こる要因

外国人労働者とのコミュニケーション問題_2

外国人労働者とコミュニケーションの問題が起こる要素は、以下のとおりです。

  • 言語による壁
  • 文化・価値観の違い
  • 宗教観のギャップ
  • 外国人が馴染みづらい日本人コミュニティ

外国人労働者とのコミュニケーションについては「異文化コミュニケーションって何?よくある問題からポイントまでを解説!」の記事もぜひ併せてご覧ください!

言語による壁

外国人労働者とのコミュニケーションにおいて、言語の壁はもっとも大きな課題です。日本語の複雑なニュアンスが伝わらなければ、業務もうまく回りません。

言語の壁を解消するためには、企業側が明確で簡潔な言葉を用いたり、視覚的なマニュアルを活用するのが有効です。

並行して、日本語教育の機会を提供し、長期的に外国人労働者の語学力育成にも取り組めるとよいでしょう。

文化・価値観の違い

文化や価値観の違いも、コミュニケーション問題を引き起こす要因です。日本では当然とされる考えや価値観が、外国人には当たり前でないことがあります。

たとえば、挨拶の価値観です。日本のビジネスシーンでは、初対面のときはお辞儀をするのが一般的です。しかし、海外では握手が主流な国もあります。

名刺交換も重要視されていないケースも多く、日本人の常識や習慣が、外国人労働者にとっては、大きなギャップとなる可能性があることに注意しましょう。

宗教観のギャップ

宗教観にも、日本人と大きなギャップがあります。そのため、宗教の違いや習慣・ルールを事前に把握しておくことも大切です。

たとえば、イスラム教では初対面で異性と握手をしないのがマナーです。また、豚肉を食さず、豚肉を調理した器具や食器にも触れません。

こうした理解がないままだと、トラブルにつながります。事前に外国人労働者の宗教観を理解し、ギャップへの配慮が不可欠でしょう。

外国人が馴染みづらい日本人コミュニティ

日本人コミュニティに外国人が馴染むことはハードルが高く、職場内で孤立を感じる可能性もあります。孤立によって仕事への意欲も減退し、最悪の場合は早期退職になることもあるでしょう。

既存の日本人従業員とコミュニケーションできる場を設けるなど、職場に馴染みやすい環境にすることで外国人労働者の孤立を防止できます。

コミュニケーション問題による外国人労働者への影響

外国人労働者とのコミュニケーション問題によって生じる影響は、以下のとおりです。

  • 仕事のパフォーマンス低下
  • 時間感覚の違いによるトラブル
  • 早期退職につながる
  • 社会的な孤立を招く

仕事のパフォーマンス低下

外国人とのコミュニケーション問題による大きな影響のひとつは、仕事のパフォーマンス低下です。日本語による意思疎通がうまくいかないと、本来の力を発揮できません。

日本語はほかの言語に比べて難解で、伝える際もはっきりと言葉に表さない傾向があります。たとえば、「これをやっておいて」のような主語や目的語が省略されるケースです。

こうした伝え方を避けるだけでなく、翻訳ツールの活用や日本語の習得機会を設けるなど、外国人が日本人と意思疎通しやすい環境をつくりましょう。

時間感覚の違いによるトラブル

時間感覚も、外国人労働者と日本人で異なります。たとえば、日本のビジネスシーンで一般的な「10分前行動」は、外国人労働者にとって当たり前ではありません。

時間厳守をあらかじめ伝えておくなど、ビジネスマナーを共有することでトラブルを防止しましょう。

早期離職につながる

日本で就職を希望する外国人は、昇進やスキルアップに対して意欲的な傾向です。しかし、コミュニケーションの問題が生じると働くモチベーションが低下し、早期離職の原因にもなります。

意欲的な外国人材を適切に評価するためにも、明確なキャリアパスや公平な評価制度を用意しましょう。くわえて、言語や文化の違いに配慮することも大切です。

社会的な孤立を招く

職場外でも、外国人労働者は社会的な孤立を感じる可能性があります。日常生活の不安によって仕事への意欲が減退してしまうと、本来のパフォーマンスを発揮できません。

外国人と交流できる場を設けるなど、企業と地域社会で連携しながら生活面をサポートし、社会的孤立を防止しましょう。

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外国人労働者とのコミュニケーション問題を解決する方法

外国人労働者とのコミュニケーション問題によるトラブル解決方法は、以下のとおりです。

  • 指示・伝達事項を明確にする
  • 日本語の学習機会を提供する
  • 異文化理解を深める研修をおこなう
  • 言語以外でコミュニケーションをはかる
  • サポート体制を構築する

指示・伝達事項を明確にする

外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にするためには、作業内容を具体的かつ明確にし、話すスピードを調整するなどの相手にあわせた配慮が大切です。

業務マニュアルは多言語で用意し、図解やイラストを活用するなど、理解しやすい資料を心がけましょう。業務の効率化やミスの削減につながります。

日本語の学習機会を提供する

入社後も継続して日本語学習ができるように、学習環境を提供することも重要です。

日本語教育の機会を提供することで言語スキルが向上し、コミュニケーションの質が高まります。たとえば、日本語研修の実施や日本語学校への通学支援、オンライン学習ツールの活用などが効果的です。

継続的に日本語を学ぶことでコミュニケーションが取りやすくなり、外国人労働者本来の能力が発揮しやすくなるでしょう。

異文化理解を深める研修をおこなう

文化や価値観の違いによって問題が生じないように、既存社員にも異文化の理解を深められる機会をつくることが大切です。

外国人労働者と既存社員の双方が理解を得ることで、職場内の誤解や摩擦の防止にもつながります。

言語以外でコミュニケーションをはかる

言語の壁を乗り越えるためには、ジェスチャーや翻訳ツールの活用が効果的です。身振り手振りを交えるなど、言語以外でのコミュニケーションを心がけましょう。

意思疎通がはかれるようになれば、外国人労働者とのコミュニケーションが円滑になります。

サポート体制を構築する

外国人労働者が安心して働けるようにすることも大切です。不安や悩みを母国語で相談できる窓口の設置や、メンターによる定期面談の実施などサポートできる体制を構築しましょう。

相談先があることで、異国でのストレスをやわらげるだけでなく、仕事へのモチベーションアップや職場定着にもつながります。

外国人労働者とのコミュニケーション問題を防ぐポイント

外国人労働者とのコミュニケーション問題_5

外国人労働者とのコミュニケーション問題を防ぐポイントは、以下のとおりです。

  • 面接時に日本語能力をチェックする
  • 母国語表記に対応した契約書を用意する
  • 海外人材に特化した紹介会社を利用する

関連記事として「外国人を雇用する際の注意点は?準備することや採用時のポイントも解説」もぜひ併せてご覧ください。

面接時に日本語能力をチェックする

外国人労働者の日本語能力が低ければ、コミュニケーションが円滑にできません。そのため、面接時に日本語能力をチェックする必要があります。

日本語能力の評価は、日本語能力試験(JLPT)の結果を指標とするのがおすすめです。日本語レベルはN1〜N5に分類され、数字が小さくなるほど難易度があがります。求めるレベルを設定しておくことで、選考を効率的におこなえます。

また、面接時には対話におけるコミュニケーション能力もチェックしておきましょう。JLPTの認定レベルが高い候補者でも、対話レベルは低い場合があるためです。

面接時のやり取りを通じて、日本語レベルとコミュニケーション能力をチェックし、入社後のギャップを軽減しましょう。

母国語表記に対応した契約書を用意する

外国人労働者の母国語に対応した契約書を用意することも、コミュニケーション問題の予防につながります。

労働条件通知書や就業規則など、入社に必要な書類を母国語で表記し、必要に応じて説明の機会を設けましょう。

これらの配慮によって外国人労働者も安心でき、雇用側の齟齬を防止できます。

海外人材に特化した紹介会社を利用する

自社に適した人材を採用するためには、海外人材に特化した紹介会社の活用もおすすめです。

自社にフィットする人材の選定を、エージェントによるプロの視点で効率化することで、入社後のコミュニケーション問題を防ぎます。

外国人労働者が働きやすい環境をつくることが問題解決のカギ

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外国人労働者とのコミュニケーション問題は、未然の防止と早期解決が大切です。本来のパフォーマンスが発揮できるように、外国人労働者が働き続けたいと思える環境を目指しましょう。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。2021年に株式会社ジンザイベースを創業。海外の送り出し機関を介さず、直接マッチングすることで大幅にコストを抑えた特定技能人材の紹介を実現。このシステムで日本国内外に住む外国人材と日本の企業をつなぎ、累計3000名以上のベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール等の人材採用に携わり、顧客企業の人手不足解決に貢献している。著書「日本人が知らない外国人労働者のひみつ(2024/12/10 白夜書房 )」
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