日本で働くネパール人の特徴と性格|雇用時に知っておくべき文化・タブー・注意点

在日ネパール人は約27万人(2025年6月末時点)で、前年末からわずか半年で4万人も増加しています。

ネパール人は、今、日本企業から最も注目される外国人材です。ネパール人は真面目で勤勉、日本語習得が得意なため、飲食・介護・製造業など幅広い業種で活躍しています。一方で、宗教や文化への理解がないと、早期離職やトラブルにつながるリスクもあります。 

本記事では、外国人材紹介のプロである当社が、ネパール人社員への取材をもとに、以下の内容を解説します。

  • ネパール人の性格・特徴8選
  • 宗教・文化的背景とタブー
  • ネパール人が日本を選ぶ理由
  • 雇用時のNG行動と定着のポイント

ネパール人材の採用を成功させたい企業様は、ぜひご一読ください。

ネパールの基本情報

ネパール人の特徴に入る前に、ネパールという国の基本情報をおさえていきましょう。

ネパールの基本情報

地理・人口・年齢

ネパールの位置(地図上)

まず、ネパールの場所についてですが、中国・インドの間に挟まれており、日本からは飛行機で約8〜10時間ほどの距離感となっております。

面積は約14万㎢で日本の約3分の1強の国土面積を有し、首都はカトマンズです。インドとの国境付近にはヒマラヤ山脈が連なっており、山岳地帯でもあります。

人口は約3,000万人平均年齢は25歳、人口の半分が23以下というかなり若い国となっています。

民族と言語

ネパールの民族は、マガル族やタルー族等、多数の民族が存在します。公用語はネパール語ですが、他に約124種類の言語が存在します。

第二言語は英語で、チャット等では、ネパール語ではなく英語も使用される方もたくさんいらっしゃいます。さらに、ネパールの会社では、英語で指示がなされることも多いためネイティブレベルの英語力を有すると言っても過言ではありません。ネパール語の他、多数の言語が話されていることから、このように英語が日常的に使用されるようになったのでしょう。

主要産業と経済状況

ネパールの主要産業は農林業、貿易・卸売業、不動産業となっています。(参考:外務省HP

貿易面ではインドと中国への依存度が高く、日本との経済関係も強化されつつあります。

近年は観光業も成長産業として注目されていますが、経済発展の途上にあるため、より良い収入と安定した生活を求めて日本を含む先進国への労働者派遣が盛んです。この経済状況が、真面目で勤勉なネパール人材が日本の労働市場で活躍する要因の一つとなっています。

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ネパール人が日本を選ぶ理由

では、どうして英語が話せるにも関わらず欧米圏ではなく来日するネパール人が増えているのでしょうか。本章で整理していきたいと思います。

日本で増加するネパール人の現状

日本に在留するネパール人については、近年増加傾向にあります。

以下は出入国在留管理庁が公表する、2025年6月末時点での在留統計になります。

在留統計_国籍別(令和7年6月末)_入管庁
出典:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について

国籍別に見た際に、在留するネパール人はインドネシアやミャンマーを抑えて第5位(約27万人)に位置しており、前年末からたった半年で約4万人増加しています。(国籍別で見た時に最も増加しています)

在留統計_国籍・在留資格別(令和7年6月末)_入官庁
出典:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について

在留資格別で見ると、留学生が最も多く約10万人次いで家族滞在、技人国ビザ等での在留者数が増えていることが伺えます。

技人国ビザについては「技術・人文知識・国際業務とは?技人国ビザの職種一覧や許可/不許可事例も!」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ネパールの給与水準

ネパール現地では、大卒であったとしても平均月収は約2〜5万円程度となっており、多くの若者が海外への出稼ぎを選択する背景となっています。

近年貧富の格差も開いている様子で、母国を卒業しても稼げる働き口も限られている状況では、海外へ行くという選択も、現地の若者にとっては自然な流れと言えるでしょう。

治安の良さと家族帯同のしやすさ

実は、ネパール人が最も多く出稼ぎにでている国としては、隣のインドや中東諸国、マレーシアなどが日本よりもまだ断然多いと言われています。

しかしながら、近年日本への留学や出稼ぎ目的でも来日が増えている背景の一つとして、日本の治安の良さがあげられます。

当社のネパール人社員にも聞いてみたのですが、中東諸国では、比較的人権に対する保護が十分でない状況で、家族を伴った移住も制限が多い状況です。

一方、日本においては比較的法制度も整っており、何より治安も良い。そして、家族を伴って移住することが可能なため、中東諸国から日本のプレゼンスが高まってきていると言われています。

在留統計を見ても、実際に家族滞在での在留者数がネパールは増加傾向にあるのは、こういった背景からでしょう。

災害大国としての親近感

当社にも多数のネパール人が就労していますが、そのうち半数近くが「日本が災害大国である」ことから興味を持ち、日本へ来たと発言しています。

ネパールも山岳地帯である関係から、定期的に大規模な地震等、自然災害が発生しやすい環境です。2015年には首都カトマンズ北方を震源とするマグニチュード8を超える大震災が発生し、甚大な被害を被っています。

日本も同じく、幾度となる大震災・自然災害を経験しながらも乗り越えている社会構造に興味を持つ方も多いのかもしれません(もちろん、日本のアニメや文化がきっかけで日本を意識される方もいますが)。

ネパールの宗教・文化的背景

続いて、ネパールの宗教・文化事情について見ていきましょう。

国民の約90%がヒンドゥー教徒

宗教は、90%がヒンドゥー教、次いで仏教、イスラム教となっております。

過去、ネパールでは、ヒンドゥー教しか認められておりませんでしたが、現在では宗教の自由が認められており、一つのお寺にヒンドゥー教を始めとして仏教やイスラム教などの他の宗教の方が礼拝に集まることもあります。

食事及び礼拝に対する配慮

では、宗教上食べることができない食べ物はあるのでしょうか?

ネパール人は、宗教上の理由で牛肉を食べません。しかし、調理することは可能ですので、実際に雇用する際にはあまり問題にはなりません。一方で、気持ち的に牛肉の調理を避けたいと感じる方も一定数いるので、これに関しては、面接の場で確認するのがベターです。

また、礼拝を行う人もいらっしゃいます。月曜日のみお祈りと断食がある、毎朝一回だけお祈りをするなど、個々人によって頻度や慣習は異なってきます。

ただ、若年層になるほど宗教観もだいぶグラデーションがあり、人によっては食事・礼拝なども厳格に実施する人もいれば、一方で、日本にいる間は礼拝頻度も朝・夕のみに簡易化しているという人もいます。

そのため、採用面接時等にはしっかりと確認した方が良いでしょう。

ネパール最大のお祭り「ダサイン」

「ダサイン」はネパール最大の祭りで、毎年9月から10月頃に約15日間にわたって開催されます。

日本のお正月やお盆のように、家族全員が集まって祝う大切な行事です。この期間中、多くのネパール人が帰省や帰国を希望するため、雇用時には事前に休暇の相談を受ける可能性が高いでしょう。

ダサインは単なる祝日ではなく、家族の絆を確認し合う神聖な文化行事であるため、できる限り配慮することが信頼関係の構築につながります。シフト調整や有給休暇の取得など、柔軟に対応することで、ネパール人材の定着率向上やモチベーション維持に効果的です。

ヒンドゥー教については、実際に当社の社員に話を聞いていますので、以下のYouTube動画もご覧ください。

ネパール人の性格・特徴8選|雇用前に知っておくべきポイント

では、ネパール人の性格や気質、国民性などの特徴を紹介していきましょう。

前提として、ネパール人の性格や特徴は、その人によって異なり、一概には言えません。ネパール人と働く中でよく聞かれる「あるある」や、弊社のネパール人社員から聞き取った情報をもとに、8つのポイントで解説します。

家族を何より大切にする

ネパールでは、1年に3回(2月・10月・11月)開催されるお祭りや冠婚葬祭等の大事なイベントの際には、学校や仕事は休みになり、家族全員で参加します。家族と過ごす時間が何よりも重要という認識でいるようです。

自分の主張ははっきりと言う

はっきり主張する人は多く、グループで自分の意見を発言する人も多いイメージです。

実際に当社の社員もそうですが、自分の考えや意見はしっかりと持っており、考え方が異なる際にはストレートにぶつけてくる傾向があります。

当然個人差もある上、日本の「空気を読む」的な文化・環境を理解した上で、自分の意見を口に出さない人もいますが、心の中ではわだかまりを抱えているケースもありますので、定期的な「腹を割ったコミュニケーション」は必要となってくるでしょう。

また、空気を察する阿吽の呼吸のような曖昧なコミュニケーションは難しいでしょう。誤解や錯覚が原因でミスやトラブルを防止するためにも、曖昧な表現はなるべく避けて、具体的な表現を意識した方が良いでしょう。

時間感覚に関してはゆるやか

時間感覚については、比較的ルーズな方が多い印象です。

一方で、海外で仕事をしている方は、その国の慣習やルールも学んでいるので問題はなく、日本で既に働いている人は、10分前行動をする習慣がついている人も多いです。

そのため、日本に来たばかりで日本について何も理解できていない人には、日本のビジネスマナーについての教育が必要でしょう。

仕事とプライベートの優先度

基本的に仕事が最優先とのことです。一方で、前述のお祭りや大事なイベントの際には、数日間家族と共に過ごさないといけない慣習になっています。そのため、この期間に帰国を希望するネパール人は多いようです。

実際にネパール人を雇用する際には、これらの情報を事前に把握して、しっかりとコミュニケーションをとることが、求められるでしょう。

年長者・目上の人を敬う

ネパールでは年長者や目上の人を敬う文化が非常に強く根付いています。

家庭でも職場でも、年上の人の意見を尊重し、指示に従う姿勢が当たり前とされています。この価値観は日本の年功序列文化と共通する部分が多く、職場での上下関係を自然に理解できる傾向があります。

そのため、日本企業での適応がスムーズで、先輩社員の指導を素直に受け入れる姿勢が見られます。ただし、過度に遠慮してしまい、困っていても相談できないケースもあるため、定期的な声かけやコミュニケーションの機会を設けることが大切です。

ユーモアがあり人懐っこい人が多い

当社の社員曰く、ネパール人は、周りを盛り上げることが好きな人が多く良く冗談を言ったり、ユーモアのある人が多いです。

仕事においても、同様で、上司であっても同じように冗談を言うことが多々あります。ネパール人の雇用を考えている企業様は、この点についてある程度理解しておいた方が良いかもしれません。

真面目で勤勉に働く

ネパール人は与えられた仕事に対して真面目に取り組み、黙々と作業をこなす勤勉さが特徴です。

特に家族のために出稼ぎで来日している人が多いため、仕事へのモチベーションが高く、責任感を持って業務に励む傾向があります。単純作業でも手を抜かず、コツコツと努力を重ねる姿勢は、製造業や介護、飲食業など幅広い業種で高く評価されています。

ただし、初めての作業や複雑な指示については、理解できているか確認しながら進めることで、より高い成果につながります。

日本語習得が得意

ネパール人は日本語の習得が得意で、比較的短期間で日常会話レベルに到達する人が多いのが特徴です。

実際に在日ネパール人の多くは留学生として来日しており、日本語学校や専門学校で体系的に日本語を学んでいます。母国語のネパール語が日本語と同じ「SOV型」(主語・目的語・動詞の語順)であることも、習得しやすい理由の一つです。

また、真面目な性格も相まって、積極的に日本語を学ぼうとする姿勢が見られます。そのため、雇用後のコミュニケーションもスムーズで、業務指示の理解や職場での会話に大きな支障が出にくい傾向があります。

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ネパール人雇用時のNGとタブー

ネパール人を雇用する際には、宗教や文化的背景に基づくタブーを理解し、配慮することが重要です。本章では、職場で特に注意すべきポイントを解説します。

牛肉を提供しない・強要しない

ネパール人は宗教上の理由から、牛肉を食べられない方がほとんどです。

特に飲食業では、料理の味見や最終チェックを従業員に依頼するケースが多いため、選考時に必ず牛肉を扱う業務があることを伝え、対応可能か確認しましょう。また、歓迎会や社内イベントで日本食を提供する際にも、牛肉が含まれていないか事前に確認することが大切です。

さらに、宗教上の理由でアルコールを飲まない方もいるため、飲酒を強要しないよう配慮が必要です。本人の意向を尊重し、ソフトドリンクなどの選択肢を用意しましょう。

左手で食べ物を扱わない

ネパールでは左手は不浄の手とされており、食事や物の受け渡しには使いません。

これはヒンドゥー教の衛生観念に基づく文化で、左手で食べ物を扱ったり、人に物を渡したりすることは失礼にあたります。職場でも、食事の際や休憩時の差し入れなどでは、必ず右手を使うよう意識しましょう。

また、ネパール人スタッフ同士でも自然とこの習慣を守っているため、日本人スタッフも理解しておくことで、より良い職場環境を作ることができます。

口をつけた食べ物のシェアを強要しない

ネパールでは、他人が口をつけた飲み物や食べ物を共有することは、衛生観念上好まれません。

日本では「一口ちょうだい」「ひと口どうぞ」といった食べ物のシェア文化がありますが、ネパール人にとっては抵抗感があることを理解しましょう。

休憩時や食事会などで、自分が飲んだペットボトルを勧めたり、箸をつけた料理を分けたりすることは避けるべきです。親睦を深めるつもりでも、相手を不快にさせる可能性があるため、個別に提供するよう配慮しましょう。

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ネパール人材を活かす採用・定着のポイント

ネパール人材の採用後、長期的に活躍してもらうためには、文化的背景を理解し、適切なサポート体制を整えることが重要です。本章では、定着率を高めるための具体的なポイントを解説します。

ネパール人の転職への意識

ネパール人は基本的に真面目で勤勉ですが、より良い待遇や労働環境を求めて転職を検討するケースも少なくありません。当社の社員に聞いても、比較的転職を繰り返すことに対するネガティブイメージもない様子です。

特に、給与や休暇の取りやすさ、職場での人間関係が転職の判断材料となります。定着率を高めるには、定期的な面談で不満や要望をヒアリングし、できる限り対応する姿勢が大切です。

また、キャリアパスや昇給制度を明確に示すことで、長期的に働くモチベーションを維持できます。家族のために働く意識が強いため、安定した雇用環境の提供が何より重要です。

文化・宗教への理解と配慮

ネパール人材の定着には、文化や宗教への理解と配慮が不可欠です。

牛肉を食べられない、礼拝の時間が必要、ダサインなどの祭事で帰国を希望するといった文化的背景を尊重しましょう。採用時に本人の宗教観や習慣を確認し、職場全体で共有することが重要です。

また、日本人スタッフ向けに簡単な研修を実施し、タブーや配慮すべきポイントを理解してもらうことで、トラブルを未然に防げます。相互理解を深めることで、ネパール人材が安心して働ける環境を作り、定着率向上につなげることができます。

サポート体制の充実

ネパール人材が安心して働き続けるには、入社後のサポート体制が重要です。

特に来日したばかりの人材には、日本語のフォローアップ研修や生活面でのサポート(住居探し、行政手続きなど)を提供することで、早期離職を防げます。

また、同国出身の先輩社員がいる場合は、メンター制度を導入し、相談しやすい環境を作ることが効果的です。定期的な1on1ミーティングを通じて、業務の悩みだけでなく、生活面での困りごとも把握し、必要な支援を行いましょう。必要に応じて、外部の専門機関に委託をすることも一つの選択肢としてぜひご検討ください。

最後に|ネパール人の特徴を理解し、採用を成功させましょう

ここまで見てきた通り、ネパール人は真面目で勤勉、家族を大切にし、年長者を敬う文化を持っています。日本語習得も得意で、日本企業との親和性が高い人材です。一方で、牛肉のタブーや礼拝への配慮、ダサインなどの文化行事への理解が必要です。 

当社は、ネパール人を含めた特定技能外国人の紹介や支援活動の代行などに対応させていただいております(ネパール人の正社員も所属しているため、きめ細かいサポートも可能です)。

特定技能制度を活用したネパール人の採用をご検討されている方は、ぜひこちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。2021年に株式会社ジンザイベースを創業。海外の送り出し機関を介さず、直接マッチングすることで大幅にコストを抑えた特定技能人材の紹介を実現。このシステムで日本国内外に住む外国人材と日本の企業をつなぎ、累計3000名以上のベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール等の人材採用に携わり、顧客企業の人手不足解決に貢献している。著書「日本人が知らない外国人労働者のひみつ(2024/12/10 白夜書房 )」
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