【シリーズ】特定技能制度が見直される?!義務的支援の簡素化・申請工数が削減されるの?

【シリーズ】特定技能制度が見直される?!義務的支援の簡素化・申請工数が削減されるの?

目次

つい先日、特定技能の「制度見直し及び制度運用見直しに関する報告」という報告書が、出入国在留管理庁から公表されていました。今回、この報告書に基づいて、登録支援機関(株式会社ジンザイベース)の経営をなさっている中村さんに、率直なご意見をお伺いしていきます。なお、本記事は先日YouTubeで撮影した動画の内容をもとに編集し、記事化しております。動画形式でもご覧いただけますので、ぜひ合わせてご覧ください。

出演者プロフィール
中村 大介 / 株式会社ジンザイベース
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスの立上げを主導。国内在住の外国人材の就職課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。
和須津 亮 / 株式会社ジンザイベース
1994年千葉県市原市生まれ。2018年に大学卒業後、外国人採用支援を展開するスタートアップに新卒入社。特定技能、技能実習、技術・人文 知識・国際業務の人材紹介及び累計100名を超える特定技能・技能実習生の支援業務に携わる。2022年3月株式会社ジンザイベースヘ入社し、特定技能外国人の募集・集客及びマーケティング業務全般を担当している。

義務的支援項目を受け入れルート別に必須 / 任意で分けていく

ルート別での支援10項目の必須/任意案一覧
出典:出入国在留管理庁「制度見直し及び制度運用見直しに関する報告

和須津:2022年8月に入ってから、法務省で「技能実習制度」を含めて、「特定技能制度」を今後どうしていくのか?という審議がなされています。その中で出入国在留管理庁から、報告書が公開されていましたので、この資料から何個か抜粋して、中村さんに意見をお伺いしていければなという企画になっております。

この内容がそのまま改正に繋がっていくかってのはまだ未定だとは思うんですが、現状の報告内容という位置付けになっています。何個かカテゴリーに分けてまとめてあったんですけれども、まず大枠の一つ目として、「義務的支援の10項目を受け入れルート別に必須・任意に分けていく」という議論がなされています。

具体的には、自社で雇用している技能実習およびアルバイト等から特定技能に移行する場合は、「生活オリエンテーション」を任意にするなどといった形で、ある程度は受け入れルート別によって、義務か任意にするかっていう議論がなされています。

中村:それはいい話ですよね。人によってはもう完全に重複した内容だったりすると思うので、「事前ガイダンス」も「生活オリエンテーション」も含めて。ただそこはどこの会社の所属かってのはもちろん、日本にいる人なのか、いない人なのかとか、もうちょっと大きな区切りで分けることもできそうですけどね。

和須津:そこの観点ですと、「自社で雇用している実習生・アルバイトなどから移行」する場合、「他社の実習生が自社に来る」、その他「国内試験ルート」、「海外試験ルート」で4つのカテゴリーに分けて運用していくことが想定されていますね。

海外試験組に関しては、今まで通り10の支援項目を全て義務的にやる。それ以外に関しては一部緩和させていくような形になっています。

中村:なるほど。となると、だいぶいい意味での変化になりそうですね。

「日本人との交流促進」、「日本語学習機会の提供」などは依然として全てのルートで必須のまま?

特定技能外国人の受け入れ企業へのアンケート結果
出典:出入国在留管理庁「制度見直し及び制度運用見直しに関する報告

和須津:ただちょっと不思議なのが、「事前ガイダンス」、「生活オリエンテーション」に関しては、一部緩和されているんですけど、「日本人との交流促進」とか、「日本語学習機会の提供」とかっていうのはもう全て、どのルートであったとしても必須になっているんですよね。

中村:常に学習は続けてくださいと。でもそこが一番曖昧なところだと思いますけどね。やってるかやってないかってところに関してもそうですし。あと、本人の意思もないと難しいとこあるので。

和須津:そうですよね。もう既にN1やN2持ってますっていう方に対して、日本語学習機会の提供は必要なのかっていうところありますよね。

中村:だからそこの部分の支援は、外国人材側からしたら大きなお世話で、雇用主が語学力の部分で成長してほしいと思うようであれば、社内のルールとして設けるべきではあると思うんですけど、制度としてそこを促進するっていうのは、何かちょっと見下してるような見方があると感じてしまいますよね。そこを自分の意思とか、自己責任とかで勝手にどうぞってわけじゃないってことですもんね。

和須津:確かに、実際「公的手続き等への同行」に関しても人によっては、全然支援なんか必要ないよって人いますもんね。

中村:性悪説の制度設計になってますよね。基本的に法律とかルールは多分そういうものだと思うんですけど。

和須津:中村さんも生活オリエンテーションはいらないって仰っているじゃないですか。実際現場で生活オリエンテーションやられていて、どうですか?

中村:さっきの区切りでいくと日本に来たことが1回もなくて、海外から来る方に関してはやった方がいいなとは思います。ただ、それ以外の方々、「技能実習生」にしろ、「留学生」にしろ、日本での生活であったりとか、仕事等の経験もあるとなると、概ねいらないんじゃないかなと思います。もし仮にやるとしても、もっともっとピックアップして割愛することはたくさんできるんじゃないかなと思いますね。時間に関しても8時間と決められていますが、人材側としても本当に余計なお世話だと感じていると思います。

しかもテキストがあるんで、基本的にはわかんないことあればそのテキストを見て確認するとかっていう感じでいいんじゃないかなと思うんすけどね。どこまで聞いてるのかもちょっと何とも言えないですし。

技能実習等と重複する申請内容を削減していく

特定技能外国人へのアンケート結果一覧
出典:出入国在留管理庁「制度見直し及び制度運用見直しに関する報告

和須津:あともう一つ、「技能実習等と重複する申請内容を削減していく」という方針が示されています。在留資格ごとに「技能実習」「特定技能」の双方で、申請内容を共有し、簡易化させていくと。逆に今までやってなかったんだっていうところもありますが。実際どうですか? 特定技能の在留資格申請って大変ですか?

中村:そうですね、やっぱりその書類の種類と量がかなり多岐にわたっているので大変ですね。ただ、本当にデジタルの力で解決できる部分はたくさんあると思うんで、デジタル庁の今後のご活躍を本当にご祈念する次第でございます。

和須津:ちなみに、オンライン申請とかあるじゃないですか?こっちは実際にやってみてどうですか?楽になりますか?

中村絶対やった方がいいかなとは思いますね。通常の申請に比べると楽になります。ただ、誰が楽になるかってとこもあってですね、結局本人が直接申請書類を自分で持っていくことが前提であれば、結局申請書類は作らないといけないんで、作る側としてはそこまで作業の内容は変わらないと思います。一方で、申請書類を集めて申請をして、許可得て、取得するっていうこの一連の流れ全体を効率化するのであれば絶対オンライン申請したほうがいいです。

和須津:なるほどですね。作成するそのものの工数は減らないけども、入管にわざわざ行く必要がなくなるみたいな感じですかね。

中村:そうですね。1回行けばわかりますけど行くと本当に常に人手ごった返しているので、1日かかっちゃうんですよ。電波も全然繋がらないので、スマホ機器はあまり使えないですし。

編集後記

今回は、特定技能制度の見直し審議をテーマに、登録支援機関の経営者に意見をお伺いしてきました。課題点が多く残る制度だけに、今後の議論の行末が気になるところですが、他にも議論されているテーマがございますので、後のシリーズ公開をお楽しみにください。なお、YouTubeでもご覧いただけますので、続きが気になる方はぜひこちらからご覧ください。

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カテゴリ:
特定技能
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。