【外国人労働者のミスマッチ】デメリットや防ぐ方法・ポイントを解説

【外国人労働者のミスマッチ】デメリットや防ぐ方法・ポイントを解説

この記事では外国人労働者の雇用の現状を押さえつつ、雇用のミスマッチの基本的な知識やデメリット、防ぐためのポイントなどをわかりやすく解説していきます。これから外国人労働者の雇用に取り組みたいという方は、是非最後までお読みください。

目次

外国人労働者雇用の現状

ミスマッチについて解説する前に外国人労働者の雇用の現状について、確認していきたいと思います。

外国人労働者の増加推移

まずは外国人労働者の増加推移について見てみましょう。

以下のグラフを見てください。

在留資格別外国人労働者数の推移
グラフ引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)

 上記のグラフは厚生労働省が発行している外国人雇用状況の届出状況まとめに掲載されているグラフです。

グラフを見てみると、右肩上がりで年々増加していることがわかります。

コロナが発生した2020年については増加率が著しく低下したものの、約172万人の外国人労働者が日本で働いているというのが現状となっています。

2021年以降もコロナの影響で恐らく増加率が低くなり、一時的に横ばいになる可能性が高いですが、長期的に見て増加傾向にあることは間違いないでしょう。

外国人労働者が増加する背景

それではなぜ外国人労働者が増加しているのでしょうか。

外国人労働者増加の背景には、以下の2つのポイントがあります。

背景①:国内の生産年齢人口の減少

外国人労働者が増加する背景には、国内の生産年齢人口が減少しているという点が挙げられます。

日本では1995年以降、生産年齢人口が減少し続けており、あらゆる業界での人材不足が慢性化しています。

この人材不足を解消するための一つの施策として、外国人労働者の活用が注目され、政府としても積極的に受け入れていく方針を示しているのです。

背景②:グローバル化

もう一つの背景がグローバル化の進展です。

今やあらゆるヒトやモノ、カネが一国内に留まることなく、世界中に広がりを見せています。

その流れを受け、様々な企業が海外市場への展開や外国人労働者の活用などに着手し始めているのです。

外国人労働者の退職率

外国人労働者の増加推移や背景について確認していただいたところで、退職率についても併せて確認しておきましょう。

以下のグラフを見てください。

一般・外国人別事業主都合離職率(新規求職者)
グラフ引用:外国人求職者の分析 厚生労働省

このグラフは企業側の都合で退職した割合を示しており、外国人労働者(青の実線)はどの月も40%以上であることがわかります。

また自己都合による退職については、「日本で働く外国籍人材の離職とモチベーションダウンに関する調査」にデータが出ており、自己都合による入社1年未満の早期退職をしたのは28%となっています。

全体的な傾向として日本人の退職率よりも高いという点は、留意しておくべきでしょう。

外国人労働者の主な退職理由

外国人労働者の主な退職理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 待遇への不満
  • 人間関係や企業文化に馴染めない
  • 能力やスキルを活かせない
  • 差別的な扱いを受ける
  • 日本語能力を高いレベルで求められる 

これらの退職理由の背景にあるのが雇用のミスマッチという問題なのです。

次項からは雇用のミスマッチについて詳しく解説していきます。

雇用のミスマッチとは

それではここから本記事のテーマである雇用のミスマッチについてお話していきます。

そもそも雇用のミスマッチとは

雇用のミスマッチとは、企業側と求職者側のニーズが合わないことを指します。

雇用のミスマッチの結果、労働者の早期退職に繋がり、企業側の人材不足も解消されないといった状態を引き起こしてしまうのです。

雇用のミスマッチは日本人との間でも起こりうる問題ですが、当然外国人労働者を雇用する場合でも注意しなければなりません。

雇用のミスマッチには大きくマクロ視点における雇用のミスマッチと、ミクロ視点における雇用のミスマッチという二つの種類があります。

ここから詳しく見ていきましょう。

マクロ視点における雇用のミスマッチ

まずはマクロ視点における雇用のミスマッチについてお話していきます。

マクロ視点における雇用のミスマッチとは、生産年齢人口の減少による人材不足といった、社会的な情勢に起因して発生する雇用のミスマッチのことを指します。

一企業や求職者では対処することができない原因などで発生する形になるため、ミクロ視点における雇用のミスマッチ以上に深刻であると言えるでしょう。

ミクロ視点における雇用のミスマッチ

ミクロ視点における雇用のミスマッチについても確認しておきましょう。

ミクロ視点における雇用のミスマッチとは

  • 求人需要と求職需要の不一致などによって生じる雇用のミスマッチ
  • スキルや経験、勤務条件などの不一致によって生じる雇用のミスマッチ
  • 求職者の性格や意欲が企業の風土と合わないことに起因して生じる雇用のミスマッチ

といったように、企業の採用活動や組織風土などに起因して発生する雇用のミスマッチです。

社会情勢などに起因するマクロ視点における雇用のミスマッチとは異なり、企業側が採用活動などを改善することで、ある程度の解消も見込めるという特徴を持ちます。

雇用のミスマッチが起こる原因

雇用のミスマッチが起こる原因について、詳しく見ていきましょう。

原因①:企業側の情報提供不足

一つ目に挙げられる原因は「企業側の情報提供不足」です。

募集しているポジションに関する情報を企業側が十分に提供できなければ、求職者側もその仕事について事前に把握できる情報が少なくなってしまいます。

その結果として、入社後に「思っていたのとは違う」という風になり、雇用のミスマッチに繋がってしまう可能性があるのです。

原因②:求職者に関する詳細な情報を把握できていない

求職者に関する詳細な情報を把握できていないことも、雇用のミスマッチの原因として挙げられます。

求職者のスキルや経験は履歴書や職務経歴書などを基に判断する形になりますが、ここに書かれている内容だけを鵜呑みにして雇用してしまうといったケースも散見されます。

こうなると実際に入社してもらった後、書かれているスキルや経験を実際には有していなかったり、記載していたレベルよりも低かったりするといったことになり、雇用のミスマッチに繋がりかねないと言えるでしょう。

原因③:企業の価値観や人間関係

企業の価値観や人間関係も雇用のミスマッチにおいては、大きな原因となります。

企業側と求職者側の求めている業務内容やスキルなどがどれだけ一致していたとしても、その求職者の価値観と企業の価値観が合わなければ、雇用のミスマッチに繋がる恐れがあります。

その他一緒に働くことになる同僚との相性、上司との関係性なども大きく影響してくる形になるでしょう。

雇用のミスマッチのデメリット

雇用のミスマッチがもたらすデメリットについても押さえておきましょう。

デメリット①:無駄なコストの発生

雇用のミスマッチがもたらすデメリットとしてまず挙げられるのが、無駄なコストが発生するという点です。

雇用のミスマッチが起きた場合、離職などに繋がるケースも多くなるため、採用コストが無駄になってしまうと言えるでしょう。

デメリット②:社員のモチベーション低下

また社員のモチベーションが低下するというデメリットもあるでしょう。

雇用のミスマッチが発生した場合、その入社した社員のモチベーションは低下してしまいます。

業務内容は勿論、組織風土や人間関係に違和感を抱いたままだと、業務へのモチベーションが下がってしまっても不思議ではありません。

デメリット③:社員に活躍してもらえない

社員に活躍してもらえないという点も大きなデメリットと言えます。

業務内容や求められているスキルにギャップがあった場合、活躍できるものも活躍することができません。

結果として折角雇用したのにもかかわらずパフォーマンスが上がらない、といった結果を招きかねないのです。

外国人労働者雇用におけるミスマッチを防ぐには

最後に外国人労働者雇用におけるミスマッチを防ぐためのポイントについて、ご紹介していきます。

理念やビジョンを明確に発信する

一つ目のポイントは「理念やビジョンを明確に発信する」という点です。

企業の理念やビジョンというものは、その企業独自の価値観や目指すべき姿を端的に表しています。

これらの理念やビジョンを明確に発信することで

  • どういった価値観を重視している会社なのか
  • 何を目指しているのか

などの点について、求職者側に伝えることができるのです。 

雇用のミスマッチの原因になりうる価値観のギャップなどを防ぐためにも、重要なポイントになるでしょう。

キャリアパスや求めている役割を明確にする

続いてのポイントはキャリアパスや求めている役割を明確にすることです。

企業側が募集にあたってどのような役割を求めているのかを明確にすることで、入社後のギャップを最小限にすることができます。

またキャリアパスも明示することで、将来にわたってどのような方向でスキルや能力を伸ばしていくことができるのかを伝えることも重要なのです。

外国人労働者のキャリアパスにはどのようなものがあるのか、という点を事前に把握しつつ、「自社で実現できるキャリアパスはこれです」ということを明確にするようにしましょう。

外国人労働者に向けた求人票を作成する

外国人労働者に向けた求人票を作成することもポイントになるでしょう。

海外ではローコンテクスト文化やジョブ型雇用といった背景があるためか、日本よりも求人票の役割が大きく、面接などを踏む前に求人票でほとんどの情報を得ることができるようになっています。

そのため外国人労働者を採用ターゲットとした場合、日本人向けの求人票よりも詳細に作り込む必要があります。

業務内容などを詳細に記載することは勿論、募集背景や求める日本語レベル、キャリアパスなどを記載するとよいでしょう。

面接でしっかりと相互理解を深める

続いてご紹介するポイントは、面接で相互理解を深めるという点です。

面接では主に求職者側の母国での職歴や、日本語能力レベルなどを確認することになります。

しかし雇用のミスマッチを防ぐという意味合いでは、そこからさらに外国人労働者のキャリアプランや価値観、会社に求めていることなども聞き出すこともポイントになるでしょう。

その上で自社の価値観なども共有し、相互理解を深めていくことで、雇用のミスマッチのリスクを防ぐことができるのです。

就業後の環境を整備する

就業後の環境を整備していくことも、雇用のミスマッチを防止するポイントとなります。

外国人労働者は、母国を離れて日本で働くことになるため、職場環境によっては馴染めなかったり、本来の力を発揮できなかったりすることも往々にしてあるのです。

そのため外国人労働者が本来の力を発揮できるように、環境を整備していくことも重要な取り組みと言えるでしょう。 

採用後の定着支援等の環境構築に関しては、以下の記事でも解説しています。
▶︎【外国人労働者の定着率を高めるためには】方法やポイントを交えて解説

仮採用期間を活用する

仮採用期間を活用するという点も、ミスマッチを防ぐ意味合いでは重要なポイントでしょう。

仮採用期間、つまり試用期間を設けることでお互いに確認するというわけです。

日本法を労働契約の準拠法とした場合、当然労働基準法も適用されるため、外国人労働者に対しても仮採用期間を適用することができます。

その期間中に

  • 本当に自社にとって必要な経験やスキルを持っているのか
  • 自社と同じ方向性を向いているのか

といった点を確認するとよいでしょう。 

もし仮採用期間中に本採用には適さないとなった場合、解雇することも可能であるため上手く活用すれば、ミスマッチも防ぐことができるのです。 

ダイバーシティマネジメントに取り組む

最後のポイントはダイバーシティマネジメントに取り組むという点です。

ダイバーシティマネジメントとは、様々な多様性を持った人材を、経営や組織の強化に活かしていこうとする取り組みのことを指します。

ここでいう多様性には当然、国籍も含まれており、外国人労働者の活用も対象となっています。

具体的な取り組み例としては

  • 各種社内資料の多言語版を用意しておく
  • 定期的な日本語セミナーの開催
  • 企業の決まりよりも宗教上の決まりを優先させる

などが挙げられるでしょう。 

このようなダイバーシティマネジメントに取り組むことで、外国人労働者に活躍してもらえる体制や環境を構築できるのです。

ダイバーシティマネジメントについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
▶︎【ダイバーシティマネジメントとは】意味やメリット、具体例を解説します!

まとめ

今回は外国人労働者を雇用する際にも注意すべき雇用のミスマッチについて、基本的な内容から防ぐためのポイントまでお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

ミスマッチを防止するための体制構築に関する支援や、求人票作成等のサポートも対応しておりますので、是非一度お問い合わせください。

カテゴリ:
採用ノウハウ
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。