【在留資格「短期滞在」とは】活動範囲や申請方法などについて解説
この記事では、在留資格「短期滞在」の在留期間や活動範囲、申請方法など基本をまとめて解説していきます。短期滞在に関する基本知識を押さえたい方は、是非最後までご覧ください。
在留資格「短期滞在」とは
まずは在留資格「短期滞在」の基本的な内容について、確認しておきましょう。
短期滞在の概要
短期滞在とは、日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡その他のこれらに類似する活動を行うための在留資格です。
就労不可のカテゴリーに分類され、日本における就労活動は禁止されています。
同じ就労不可のカテゴリーに分類されている「文化活動」や「留学」、「家族滞在」は資格外活動による就労が認められていますが、短期滞在は資格外活動による就労も認められていないのです。
短期滞在の具体的な活動範囲
短期滞在は先ほど観光や保養、スポーツなどを行うための在留資格とお話しましたが、具体的な活動範囲としてはどのような形になるのでしょうか。
短期滞在の活動範囲
短期滞在の具体的な活動範囲としては、以下に該当する報酬を受けない活動とされています。
- 観光や娯楽、通過
- 病気治療や保養
- 協議会やコンテストへの参加
- 友人や知人、親族への訪問、冠婚葬祭などへの出席
- 工場見学や見本市などの視察
- 教育機関や企業などで行う講習・説明会への参加
- 報酬を受けない講義や講習の実施
- 会議や会合などへの参加
- 日本に出張して業務連絡や商談、契約調印、アフターサービスや宣伝、市場調査といった短期商用の活動
- 日本の大学受験や外国法律事務弁護士となるための承認を受ける手続きなどのための滞在
- その他日本において、収入を伴う事業を運営する、もしくは報酬を得る活動をすることなく短期間滞在する
例外的に報酬を受け取れる短期滞在
短期滞在では、先述の通り原則報酬を受ける活動は認められていません。
ただし業として行うものではない以下の活動については、例外的に報酬を受けることができます。
- 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
- 助言、鑑定その他これらに類似する活動
- 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
- 催物への参加、映画又は放送番組への出演、その他これらに類似する活動
他にも業として従事する場合を除き、親族や友人、知人の依頼を受けて、その者の日常の家事に従事する場合も謝礼金を受けることが可能です。
短期滞在における在留期間
短期滞在の在留期間は、90日もしくは30日、又は15日以内の日を単位とする期間となっています。
短期滞在の在留期間は、就労系在留資格と異なり、自分自身で希望在留期間を選択することが可能です。
ただし、滞在期間が長いほど審査の基準が厳しくなるため、明確な理由がない状況で90日を選ぶといったことは避けた方が良いでしょう。
短期滞在を取得するために必要な査証(ビザ)
短期滞在の在留資格を取得するには、短期滞在査証、あるいは通過査証を取得する必要があります。
滞在期間が15日以内であれば通過査証、15日を超える滞在期間の場合は短期滞在査証を取得する形になるのです。
通過査証は基本的に日本を経由して、第三国へ渡航する場合などが該当し、その他の短期滞在の場合は短期滞在査証で来日するケースが多くなるでしょう。
在留資格やビザに関してより詳細が知りたいという方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザの違いなどを簡単解説
短期滞在における査証相互免除協定とは
ここまで短期滞在の概要について確認してきましたが、ここからは短期滞在における査証相互免除協定について、簡単にご紹介していきます。
査証相互免除協定とは、短期滞在において査証取得を免除するというものであり、査証相互免除協定を締結した国から以下の条件を満たした渡航者が対象となります。
- 観光や知人訪問、短期商用などを目的とした短期滞在であること
- 日本国内で収入を得ない
- 滞在期間よりもパスポートの有効期限が長い
- 出入国を確認することができるチケットを所持している
- 滞在期間が90日を超えないこと
2022年3月時点では68か国と査証免除協定を締結しています。
詳しくは外務省のこちらのページをご確認ください。
査証免除協定の対象国以外は、査証取得のための手続きを行う必要があるため、次項から詳しく見ていきましょう。
短期滞在の取得申請について
それでは短期滞在の取得申請について、基準や必要書類などを確認していきたいと思います。
短期滞在の審査における基準
まず短期滞在の審査における基準からお話します。
短期滞在の在留資格が許可されるかどうかの基準は公にされているわけでなく、明確なものも存在していませんが、最も大きなポイントとして挙げられるのが「報酬の有無」でしょう。
先の概要でもお伝えした通り、短期滞在においては報酬を得る活動を行うことはできません。
例外的に業として従事しない場合の謝金などの受け取りは認められますが、原則報酬を伴う活動は禁止されています。
そのため査証取得申請の際、日本での在留中に報酬が発生しないことが大きな要件になるのは言うまでもありません。
短期滞在の申請に必要な書類
短期滞在の在留資格を取得する場合、基本的に以下の書類が必要となります。招聘人がいる場合、別途日本国内で招聘人が準備する書類もありますので注意してください。
外国人本人が準備すべき書類
- パスポート
- パスポート以外の本人確認書類
- 査証申請書
- 写真
- 航空便や船便の予約確認書
- 渡航費用支弁能力を証明できる書類
短期商用目的の場合、出張命令書など
観光や親族訪問の場合、所得証明書など - その他
短期商用目的の場合、在職証明書
観光の場合、滞在日程表
親族訪問の場合、招聘人との関係を示す出生証明書など
招聘人側が用意すべき書類
- 招聘理由書
- 滞在予定表
- 招聘人が複数の場合、その名簿
申請の流れ
短期滞在を申請する流れとしては、大きく以下の6つのステップを踏みます。
- ステップ①:計画の策定
初めに日本へ渡航する計画や、外国人を日本へ招く計画を立てます。 - ステップ②:必要書類を準備する
続いて先程記載したような書類を日本側と外国人側でそれぞれ準備することになります。 - ステップ③:日本側から必要書類を外国人に送付
次に日本側で用意した必要書類を、外国人へと送付します。 - ステップ④:在外公館にて査証申請を実施
書類が揃った後は、外国人本人が在外公館へと赴き、査証申請を実施します。 - ステップ⑤:在外公館による審査
申請後、在外公館による審査が行われます。
この際必要に応じて、面接や追加資料の提出が求められる場合もあります。 - ステップ⑥:査証発給
無事審査が通れば、短期滞在の査証が発給されます。
査証発給後は3か月以内に日本へ入国する必要があります。
短期滞在の取得における注意点
短期滞在の査証取得についての注意点として、もし査証が不発給となった場合、同一理由による査証申請は6か月程度経過しなければ実施できないという点が挙げられます。
そのため申請にあたっては書類の不備などがないように、慎重に実施することが求められるのです。
また短期滞在の査証発給には、書類の準備や申請、審査などを含めると2~3か月程度掛かるため、しっかりと計画を立てた上で実施する必要もあるでしょう。
短期滞在における在留期間更新や在留資格変更
最後に短期滞在における在留期間更新や在留資格変更について確認しておきます。
在留期間更新について
まず在留期間更新からお話していきましょう。
短期滞在の場合、原則在留期間の更新申請は認められていません。
ただし、人道上の真にやむをえない事情がある場合は、認められるケースがあります。
例えば病気治療をする場合などが挙げられます。
ここで必要となる書類としては
- 在留期間更新許可申請書
- パスポートの提示
- 短期滞在の在留資格に係る活動を引き続き必要とする理由を明らかにする資料
- 日本に入国してから現在までの活動を説明する資料
- 滞在中の経費を支弁できることを証する資料及び出国のための手段又は経費を支弁できることを証する資料
- 身分を証明する文書などの提示
短期滞在の在留期間更新については、出入国在留管理庁のHPも併せてご確認ください。
在留資格変更について
短期滞在から別の在留資格へと変更することは、在留期間更新と同じく原則認められていません。
ただし短期滞在の在留資格で日本へ在留している間に、在留資格認定証明書交付申請を実施し、許可された場合は在留資格変更許可申請を行うことが可能となります。
ただしこの場合でもやむを得ない事情がなければ許可されません。
例えば
・短期滞在で在留中に、日本での就職が決まり、在留資格認定証明書が交付された
・婚姻を目的として短期滞在で来日した後に、日本人の配偶者等へ変更する
といったケースであれば、許可される可能性があるでしょう。
在留資格変更許可申請に必要な書類としては
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- 日本での活動内容に応じた資料
- 在留カードの提示
- 資格外活動許可書の提示(同許可書の交付を受けている場合)
- パスポート又は在留資格証明書の提示
- パスポート又は在留資格証明書を提示できない場合、その理由を記載した理由書
などが挙げられます。
詳細については出入国在留管理庁のHPをご確認ください。
まとめ
今回は在留資格「短期滞在」にフォーカスして、概要や従事できる活動、査証取得の流れなどをお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
本文でも触れた通り、短期滞在で来日する外国人は報酬を得る活動が認められておらず、そのまま採用することはできません。
もし短期滞在で来日している外国人を雇用する場合は、在留資格認定証明書交付申請を行い、さらに在留資格変更許可申請をする必要があるため、時間も工数も掛かると言えるでしょう。
そのため外国人を雇用するのであれば、基本的に就労系在留資格を有する外国人労働者の雇用に取り組むべきと言えます。
当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しておりますので、もしご興味ありましたら、お気軽にお問い合わせください。
中村 大介
株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。