外国人雇用状況届出を忘れると罰則が?!記入方法や注意点について解説します!

外国人雇用状況届出を忘れると罰則が?!記入方法や注意点について解説します!

目次

外国人労働者の雇用をした際に、必ず実施しなければならない「外国人雇用状況届出」をご存じですか?この記事は、外国人雇用状況届出の概要や提出方法などをまとめて解説しています。外国人労働者の雇用に取り組みたいという方は一度ご確認ください。

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外国人雇用状況の届出ってなに?

外国人雇用状況届出とは、外国人労働者の雇い入れ、あるいは離職の際に厚生労働大臣に届け出ることが義務付けられた報告です。

「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律」が成立したことにより、2007年から全ての事業主に対して、外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職支援の努力義務が課されるとともに、外国人雇用状況届出が義務化されました。

参考:厚生労働省「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の改正について

制度ができた背景としては、外国人労働者の雇用安定と改善、再就職支援などが挙げられます。

先に挙げた外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職支援はあくまで努力義務に留まっている中で、雇用安定や改善などを可能な限り推進するために設けられたと考えてよいでしょう。

対象となる外国人は?

届出の対象となる外国人は、以下の3つの基準によって異なってまいります。

・日本国籍を所有していない
・在留資格が「外交」「公用」「特別永住者」以外の方
・雇用保険被保険者でない方

上記から、保有する「在留資格」によっても異なってくる点が伺えるかと思います。

在留資格」とは、「外国人が日本に在留し、何かしらの活動を行うために必要となる資格」のことを指します。「出入国管理及び難民認定法」によって定められており、活動の種類によって29の在留資格が存在し、在留資格ごとに就労の可否、従事可能な業務内容などが細かく制限されていたりします。

ここで、間違えやすいのが、在留資格「特別永住者」は対象外ですが、「永住者」は提出しなければなりません。

また、正社員、アルバイトなど、雇用形態とは関係なく届出の対象となるので注意が必要です。

雇用保険被保険者の場合は、雇用保険被保険者資格届出書が外国人雇用状況届出を兼ねているため提出は不要です。

また、派遣形態で雇用している外国人の場合、勤務先企業ではなく派遣元が届出を行う必要があります。

届出を忘れてしまうと罰則が。。

外国人雇用状況届出に関する注意点としては、罰則規定が存在するということです。

届出対象である外国人を雇っている場合、この届出の提出を怠ったり、虚偽報告を行った場合、30万円以下の罰金の対象となります。

提出期限を守れず期限が過ぎてしまった、雇入れ年月日や在留資格などを間違えて記入してしまった、届出を怠ることはなくとも、パスポートや在留カードなどをよく確認せずに、意図せず誤った情報を記載してしまい、結果として虚偽の内容を届け出てしまう…等がないようにしましょう。

パスポートや在留カードをしっかり確認せずに雇用した場合、実は就労不可の在留資格だった、なども考えられます。この場合は、不法就労をさせたとして不法就労助長罪」にも問われる可能性もあるため、十分注意をしましょう。

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外国人雇用状況の届出先はどこ?

ここからは外国人雇用状況の届出方法について見ていきましょう。

結論、届出方法は2通りあります。

ハローワーク

まず1つ目がハローワークの窓口に提出する方法です。

この場合は、雇用する外国人が勤務する事業所や施設(店舗・工場など)の住所を管轄するハローワークに届出をしましょう。

また、雇用保険加入者の場合の雇用保険被保険者資格取得(喪失)届も同様です。

オンラインシステムによる提出も可能

外国人雇用状況の届出はオンラインでも提出可能です。

その場合は、この厚生労働省管轄のオンラインシステムを利用して提出をします。

このシステムを利用するためには、IDとパスワードが必要です。しかし、過去にハローワークの窓口にて外国人雇用状況の届出を行なっている場合、オンライン上では新規ID登録ができません。

その場合は、以前に届出を行なったハローワークに、オンライン提出に切り替え変更を依頼しましょう。

また、雇用保険被保険者資格取得(喪失)届の提出をオンラインで行う場合は、e-GOV電子申請というシステムを利用します。

提出期限に要注意

外国人雇用状況の届出の提出期限は、どちらの提出方法でも雇用または離職の翌月の末日までです。

ただし、雇用保険被保険者資格取得届の場合は、雇入れ日の翌月10日まで、離職の翌日から起算して10日以内(雇用保険者資格喪失届)です。

ここまでの情報をまとめると以下のようになります。

雇用保険に加入しない
雇用保険に加入する
様式
外国人雇用状況届出書
(様式第3号)
雇用保険被保険者資格取得届
(様式第2号)
届出する人
雇用主
雇用主
届出方法ハローワーク窓口
外国人雇用状況届出システム
ハローワーク窓口
e-Gov(インターネット)
提出期限雇入れ日の翌月末日まで雇入れ日の翌月10日まで

外国人雇用状況届出書の記入方法

ここからは、外国人雇用状況届出書の記入方法を見ていきます。

雇用保険の加入基準

まず、雇用保険の加入基準について確認します。

雇用保険への加入基準は以下の2点です。

・加入基準①:1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・加入基準②:31日以上の雇用の見込みがあること

どちらも日本人と同様の基準であることが分かります。

加入基準②については、31日以上雇用を継続しないことが「明確」である場合を除き、該当することになる点は注意しましょう。

例えば、30日以下の雇用契約であっても、雇用契約を更新することがある旨が規定されている場合は、雇用保険の加入手続きをしなければなりません。

つまり、アルバイトやパートであっても加入義務が発生する可能性がありますので、事業者様はご注意ください。

雇用保険の被保険者となる場合

前述の通り、雇用保険の被保険者となる場合は「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。届出書類は日本人と同様のものを利用します。

雇用保険被保険者資格取得届の記載方法
出典:厚生労働省|外国人の雇用「外国人雇用のルールに関するパンフレット

こちらを1の欄から順番に記入していき、上画像の赤枠17~23欄が外国人の場合のみ記載する箇所になっています。

特に難しいものはないので、在留カードやパスポートを確認しながら順に記載をしていきます。記載後は、雇用した翌月の10日までに管轄するハローワークへ提出しましょう。

最新書類のダウンロードはこちらから可能です。

雇用保険の被保険者とならない場合

雇用保険の被保険者とならない外国人を雇用する場合は、外国人雇用状況届出書を提出する必要があります。

以下の見本の通り、「様式第3号」を利用します。

外国人雇用状況届出書の記載方法
出典:厚生労働省|外国人の雇用「外国人雇用のルールに関するパンフレット

記載内容は以下の通りです。

①氏名
②在留資格
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦資格外 活動許可の有無
⑧在留カード番号
⑨雇入れまたは離職年月日
⑩雇入れまたは 離職に係る事業所の名称、所在地等

 ※⑦については雇入れ時のみ 

届出様式はハローワークの窓口で配布しているほか、こちらからダウンロードすることもできます。 

申請用紙をダウンロードする際の注意点としては、様式第3号電子媒体は、1ページ目の届出内容記入面を用紙の表に、2ページ目の注意書面を用紙の裏にそれぞれ印刷する必要があることです。裏面の注意書の内容を確認した上で必要事項を記載し、ハローワークに提出しましょう。

離職時にも必要?!

外国人雇用状況の届出は雇用のタイミングだけでなく、離職時にも提出する必要があります。その際は、雇用時と同じ外国人雇用状況届出書(様式第3号)を利用します。

また、雇用保険被保険者の外国人の離職時においては、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)の提出が必要です。

雇用保険被保険者資格喪失届の記載方法
出典:厚生労働省|外国人の雇用「外国人雇用のルールに関するパンフレット

上画像の通り、表面の「住所(被保険者の住所又は居所)」欄の他に、裏面の14~19欄に「国籍・地域」や「在留資格」などを記入してハローワークに提出することで、外国人雇用状況の離職の届出を行ったことになります。

ただし、外国人雇用状況届出の対象外である、特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の方は提出が不要です。

雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)はこちらからダウンロード可能です。

【おさらい】在留カードの見方

外国人雇用状況の届出に際しては、外国人労働者の在留カードまたは旅券(パスポート)などの提示を求め、届け出る事項を確認する必要があります。

ここで在留カードの見方について確認していきます。

在留カードのサンプル&見方
出典:厚生労働省|外国人の雇用「外国人雇用のルールに関するパンフレット

上画像の見本をもとに、外国人雇用状況の届出や雇用保険被保険者資格取得届(喪失届)を記載する際に確認する事項を見ていきます。

①氏名

日常生活で使用している通称名ではなく、必ず本名を記入します。在留カードの①「氏名」欄には、原則として、パスポートの身分事項の氏名が記載されています。 

②在留資格

在留カードの②「在留資格」またはパスポート上の上陸許可証印に記載された通りの内容を記入します。在留資格が「特定技能」の場合には分野を、また「特定活動」の場合には活動類型を、通常、旅券に添付されている指定書で、それぞれ確認し、以下のいずれかを記入します。

特定技能の分野及び特定活動の活動累計一覧
出典:厚生労働省|外国人の雇用「外国人雇用のルールに関するパンフレット」 

③在留期間

在留カードの③「在留期間」欄に記載された日付またはパスポート上の上陸許可証印に記載されたとおりの内容を記入します。

④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域

在留カードまたはパスポート上の該当箇所を転記します。

⑦資格外活動許可の有無

資格外活動許可を受けて就労する外国人の場合は、在留カード裏面の⑦「資格外活動許可欄」や資格外活動許可書またはパスポート上の資格外活動許可証印等で資格外活動許可の有無、許可の期限、許可されている活動の内容をご確認ください。

⑧在留カード番号

令和2年3月1日以降に、雇入れ、離職をした外国人においては、在留カードの⑧「在留カード番号」の記載が必要となります。在留カードの右上に記載されている12桁の番号を記入します。

在留カードを十分に確認しないことに起因する虚偽の届出を防ぐために、しっかりと確認するようにしましょう。

なお、近年偽造在留カードも横行していますので、在留カードの確認の際にはご注意ください。

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外国人雇用状況届出書の注意点

ここからは外国人雇用状況届出書の注意点について見ていきます。

在留資格を確認し、対象者か把握する

まず、外国人が持つ在留カードを確認し、外国人雇用状況届出の対象者か否かを把握しましょう。

重複しますが、在留資格が「特別永住者」「外交」「公用」の方は対象外です。

また、大前提ですが、雇用する外国人が有する在留資格が、就労可能かどうかや自社の業務内容で就労できるのかは必ず確認しましょう。

罰則の対象となるため、忘れずに対応する

雇用する場合だけでなく、離職の際も提出が必要で、それぞれに提出期限が設けられています。

届出を怠ったり、虚偽の内容を記載して届け出たりした場合、30万円以下の罰金の対象となるため、忘れずに対応しましょう。

万が一、提出期限を過ぎてしまった場合は、速やかに事業所を管轄するハローワーク窓口に今後の対応を仰ぎましょう。

雇用形態に関係なく届出する

外国人雇用状況の届出は、正社員・アルバイトなどの雇用形態に関わらず、届出が必要です。

ただし、派遣社員として外国人の受け入れをする場合については、勤務先企業ではなく派遣元が届出を行う必要があります。

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まとめ

今回は外国人雇用状況届出をテーマにお話してきましたが、いかがでしたか。

外国人労働者を雇用する上で必要な手続きは他にも多くあり、興味があってもなかなか手が出せないという方もいらっしゃると思います。

もし外国人労働者の採用手続きなどでお悩みであれば、是非一度当社までお気軽にご相談ください。

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採用ノウハウ
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。