【事例インタビュー後編】介護業での外国人雇用は〇〇が課題?! / 株式会社CLOVER 香丸社長

【事例インタビュー後編】介護業での外国人雇用は〇〇が課題?! / 株式会社CLOVER 香丸社長

目次

前編に引き続き、株式会社CLOVER香丸社長に介護業での外国人雇用についてお伺いしてきます。

後編では、介護業での外国人受け入れに対する課題や、そもそも日本人雇用に成功されている中で、どうして外国人雇用を進めていらっしゃるのか、その組織戦略に至るまでお伺いしていきます。

↓なお、YouTubeでも香丸社長のインタビューを公開していますので、ぜひご覧ください。

株式会社CLOVER
代表取締役社長 香丸 俊幸


1972年5月1日生まれ。東京都世田谷区出身。都立大学附属高校(現 桜修館)、玉川大学卒業後、㈱セブン−イレブン・ジャパン、㈱ベンチャー・リンクを経て経営コンサルタントとして独立。IT企業や外食企業の役員などを歴任して2010年に㈱CLOVERを創業。「人が幸せになるコミュニティつくり」をコンセプトに地域密着型デイサービスや放課後等デイサービス、障害者のシェアハウスや就労支援、飲食店等の経営をしている。趣味は「食べること」「YouTubeやアマゾン、Netflixで面白い番組を見ること」。

介護業という特性上、利他的な方かどうかを面接でしっかりと見極める

社員表彰会のご様子

ーーどうやって外国人を採用したのですか?

元々日本人に関しては、マイナビ・リクナビ・wantedlyなど、新卒・中途問わずに様々な媒体を通じて募集をしていました。

一方で、外国人社員に関しては、外国人人材の紹介会社から話が来て、何人かをまとめて面接し、よかった人を採用したというのが始まりです。現在でも、採用媒体というよりかは、人材紹介エージェントに依頼している形になりますね。

ーーどのくらいの語学力・国籍の方々が集まりましたか?

本当に様々な国籍の方を集めていただき面接したので、正直あまり覚えていないですね笑。

ベトナム、ミャンマー、ネパール、インドネシアの国籍の方々がいらっしゃった記憶があります。日本語能力に関しても、日常会話で困らない程度の会話力はありました。

前職のコンサルティング会社での経験を生かして、面接には力を入れていますね。特に、「素直さ」「雰囲気」「話した時に会話が噛み合うか」という点に着目して選考に挑んでいました。やはり、介護業という特性上、ギバーで利他的な方かどうかが入社してから大切になってきますからね。入り口でしっかりとスクリーニングできるようにしています。

ーー申請は全般的に紹介会社に依頼しましたか?

当時は自社で作成し、申請していました。今は特定技能に切り替えて、支援及び申請業務は登録支援機関に依頼しております。

創業当初に雇った子たちはすでに大学を卒業し、母国に帰国された方もいらっしゃいます。直近で雇用した2名はうまく社内に馴染んで定着してくれていると感じていますね。

ーー人材が定着するために、何か工夫・施策をやっていますか?

正直、あまり定着を意識して、特別な何かをやっているということはないですね。

ただ、基本的に年2回は全社員参加のイベントを実施しています。今はコロナなので実施できていませんが。1回は社員表彰でMVPや事業所表彰したりしています。表彰されたチームには景品を出したりとかオリーブスパのマッサージなどを贈呈していました。もう1回はリムジンを貸し切ってカラオケをやったり、社内的なイベントを実施していましたね。こういったアイデアは、現場の社員から上がってきたものを取り入れ、開催しています。

外国人の方の免許に関しては、正直課題がありますね

デイサービスクローバー安曇野

ーー今後の受け入れ計画・組織体制はどうお考えですか?

大体、1事業所あたり社員数は7〜8名となっていますので、1事業所あたり2名くらいは外国人社員を採用したいと考えています。しっかりと社内で教育ができるように、外国人社員比率をうまくバランスとっていければと考えています。

また、現在は長野の安曇野だけですが、今後は地方にもどんどん進出していく予定なので、各地域リサーチし、給与水準を決定していこうと考えています。やっぱり日本人でも同じですが、地方で募集するとなると、給与条件等をしっかりと考えないといけないですからね。

また、給与以外の部分では、社員寮の確保も検討しています。こちらは外国人のみというわけではなく、日本人も含めての福利厚生の一貫ですね。弊社で働く上で少しでもメリットを感じていただける組織体制・環境を作っていきたいと思っています。

ーー元留学生の方は車の免許を持っていないと思うのですが、どうマネジメントしていますか?

この、免許という部分は、正直課題を感じています。

都内ですと、結構運転も難しいというか、道が狭いですし。日本人の方だと、基本的には送迎できる方を中心に採用しているんですけど、実際はペーパーだったりして、やっぱり運転してみてちょっと難しいという方もいます。

そんな中で、1事業所あたり社員7-8名全員が運転できるかというと、全員はできないので、うまく調整していく必要があると感じています。もちろん、運転ができるスタッフとできないスタッフがいて、各事業所で4-5人ぐらいは送迎できるメンバーがほしいですね。仮に運転できなくても、運転以外の部分で貢献できる環境を用意するので、免許を持っていないスタッフでも気兼ねなく働けるようにはしていますが。

また、免許を取得したいという方に関しては、入社後に積極的に免許を取得してもらうようにしていきたいですね。また、現行制度の中で、運転できるスタッフにはボーナスの支給比率を持っていない人と違うように設定しています。

やはり、東南アジア系ですと、車の免許を持っていない方が多い印象なので、外国人材募集の際は正直送迎はあまり考えないで募集しています。まあ、できたらありがたいですけどね。会社全体として、どの程度車の免許を持っているメンバーが在籍しているかの比率にもよりますが、運転できる方が応募してきてくれると嬉しいですね。

中長期を見据えた上で、外国人雇用に取り組む

ベトナム出身のスタッフ

ーー御社は日本人の採用にも成功されていると感じますが、あえて外国人材を採用する理由はありますか?

中長期で考えて、外国人採用を選択しています。

現在おかげさまで採用はうまくいっており、来年の新卒は25名にすでに内定を出しています。採用コストも一人5万円もいっていません。中途だと一人当たり20万円ぐらいの費用がかかっています。他の介護会社さんと比べると、結構安い方だと思うので、新卒・中途含めて採用活動はうまくいっています。

なので、正直に申し上げますと外国人の紹介会社に人材を提供してもらう方がお金がかかってきますね。日本人の採用が比較的順調なので、今すぐ外国人社員がほしいかといったらそういうわけでもないですし。

ただし、3〜5年後の中長期を見据えた時に、やっぱり人を採用するのが1番の課題になってくるのかなと考えています。特に、事業の存続成功のポイントは人を採用できるかどうかだと思っています。

なので、今のうちに海外の方の受け入れを増やしつつ、中長期を見据えて採用しています。それこそ、入社してからどういう教育をしていったらいいとか、何か問題が出てきた時にこうした方がいいとか、早めに外国人材の対応方法がわかるようになったら、今後の採用にも役に立つと考えています。

ーーありがとうございました!

編集後記

今回は、前後編にわたり、株式会社CLOVERの香丸社長にお話をお伺いしてきました。介護業における外国人受け入れの取り組みとリアルな課題感は、今後初めて外国人を受け入れる介護事業者様にとっては非常に貴重なお話になったのではないでしょうか。香丸社長の中長期を見据えた組織戦略は、業界は違えど、弊社もベンチマークしていきたいと思います。ありがとうございました!

なお、介護業界で受け入れ可能な外国人について知りたい方は、「外国人介護人材を雇用する方法は?在留資格や手続きの流れを徹底解説!」を併せてご覧ください。

一方で、すでに特定技能外国人に絞って雇用を検討されている企業様は「【特定技能】介護分野で従事できる業務や採用方法などを解説」をぜひ併せてご覧ください。

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インタビュー
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。