【事例インタビュー前編】介護業での外国人受け入れはうまくいく?! / 株式会社CLOVER 香丸社長

【事例インタビュー前編】介護業での外国人受け入れはうまくいく?! / 株式会社CLOVER 香丸社長

目次

都内を中心にデイサービスを展開している株式会社CLOVER

2010年の創業当初から外国人雇用に踏み切り、特定技能外国人の受け入れにも取り組まれています。

今後地方展開も進めていくという同社代表取締役香丸社長に、外国人受け入れ現場のリアルをお伺いしてきました。

↓今回のインタビュー内容は、YouTubeにもアップロードしていますので、ぜひご覧ください。

株式会社CLOVER 
代表取締役社長 香丸 俊幸


1972年5月1日生まれ。東京都世田谷区出身。都立大学附属高校(現 桜修館)、玉川大学卒業後、㈱セブン−イレブン・ジャパン、㈱ベンチャー・リンクを経て経営コンサルタントとして独立。IT企業や外食企業の役員などを歴任して2010年に㈱CLOVERを創業。「人が幸せになるコミュニティつくり」をコンセプトに地域密着型デイサービスや放課後等デイサービス、障害者のシェアハウスや就労支援、飲食店等の経営をしている。趣味は「食べること」「YouTubeやアマゾン、Netflixで面白い番組を見ること」。

「人が集まる幸せなコミュニティつくり」を目指して

快くインタビューにご回答いただいた香丸社長

ーー株式会社CLOVERの事業概要を教えていただけますか?

今、要介護の高齢者を対象にした、地域密着型のデイサービスを都内で目黒区・港区・渋谷区などのエリアで12事業所と、発達障害児の放課後等デイサービスを2事業所経営しています。また、群馬では障害者のグループホームを2つ、長野の安曇野でも1階が高齢者デイサービス、2階が移住促進のシェアハウスで地域交流を促進し、畑も購入して、農福連携の事業も視野に入れています。

都心中心ですが、群馬や安曇野に進出している通り、今後は地方展開にも積極的にチャレンジしていこうと考えている会社です。直近だと、沖縄に展開できないか、現在進行形で調査が進んでいます。

弊社では、利用者の方をゲスト、スタッフをキャストと呼び、ゲスト一人一人にあったケアの実施を心がけています。特に、自立・社会参加できるようになることへ注力しています。買い物や調理、皿洗いなど、役割を持つことで、日常生活を通じての機能維持・向上を目指し、お出かけ気分を味わえる介護施設とは思えないおしゃれな施設・環境を構築しています。

ーー香丸社長ご自身の自己紹介もお願いいたします

元々は新卒でセブンイレブンジャパンに入社し、OFC業務に従事していました。一般的にはスーパーバイザー(SV)に近い業務内容で、オペレーションフィールドカウンセラーと呼びます。具体的には、セブンイレブンのフランチャイズ店を大体8店舗くらいマネジメントし、売上・利益を上げるための施策を考案したり、新入社員向けの研修を担当したり等、経営コンサル的なアドバイスをフランチャイズオーナーに対して実施する仕事をしてました。

そこから、ベンチャー・リンクというコンサルティング会社に入りました。立地開発部からスタートし、物件を探したり、実際その立地で売り上げが上がるかといった診断をしたり、というような業務を担当していました。その後は、本当にコンサル的なこと、中期経営計画を作ったりとか、フランチャイズ加盟開発をしたりなど、多岐に渡って経営に関わる仕事に従事していました。

結局はベンチャー・リンクも退職し、個人で企業に対してコンサルティングを行うようになりました。ちょうど当時の顧客だったある外食業の企業から、新規事業をやりたいとの話を聞き、様々な業界を調査することに。その調査対象業界の一つに、お泊まりデイサービスがありました。そのまま、お客さんの介護業の立ち上げに携わっていく中で、介護という業界は特に多くの課題を抱えているなと感じました。お客さんの立ち上げに伴走した経験と、自分だったらもっとより良いサービスを作れると感じたことが重なり、それだったら自分でやろうと思い、CLOVERを起業するに至ります。

率直に「すごく助かった」という体験・経験がスタート当初からありました

一見カフェに見間違える外観のデイサービスクローバー成城学園

ーーコロナ禍における経営環境はどうでしたか?

現場は大変でした。介護業態だと、対面で人と接触するので、何よりも「感染してしまうのでは?」「ゲストにコロナを移してしまうのでは?」といった不安が大きかったですね。

ただ、我々の業界では、毎年インフルエンザ対策としてアルコール消毒やマスク等の対応はしていたので、感染症対策自体はスムーズに実施できていたと思います。

経営環境の部分で言うと、当初は影響があるのではと不安になりましたが、実際のところ、コロナ禍においても売上自体は増収していました。リハデイなどでは、お客さんの休みが増えてしまうため、コロナの影響はあったと思いますが、弊社は幸いにも大きな影響はなかったですね。

一方で、銀行からの借入がしやすくなったため、新規出店がしやすくなったり、ブライダルなどの他業界を志望していた方が弊社の採用募集に応募して来ていただいたり等、ピンチよりもチャンスではないかと感じる場面もありました。

ーー先ほど採用の話がありましたが、現状の外国人採用状況はどうなっていますか?

元々創業が2010年で、千駄ヶ谷で1店舗目のデイサービスを2011年4月にオープンしました。初店舗のオープン時から、そもそもの方針というか、自然と国籍・年齢問わずに採用をしていました。

下は20歳代から、上は70歳代まで、国籍も問わずと言う方針で採用していましたので、中国・韓国・フィリピン・ベトナムなどの方を、アルバイト形態で雇用していました。日勤・夜勤の時間帯に関わらず、CLOVERに貢献してもらっていました。

やっぱり、その時に現場の責任者や従業員、外国人本人の話を聞いて驚いたのが、外国人のみなさんはめちゃくちゃ勉強しているんですね。冗談抜きで、日本はこのままだと負けるなと思いましたね。もう何十時間も勉強して良い大学に入ることを目指して猛烈に努力していました。やっぱり海外から日本に来られて、異国の全然違う日本語を覚えながら、しかも介護を勉強する。向上心が強く、おまけに真面目で素直なため、仕事ができる人もとても多かったです。

率直に、「すごく助かった」と言う、そういう体験・経験がまずスタート当初からありましたね。

当時は留学生のアルバイトを中心に受け入れていましたが、特定技能が始まるか始まらないか位の時に、ベトナム人の方を2名採用しました。今ちょうど産休に入って、今年の10月から復活する方もいます。

ちなみに、その子は書類を作成して、何回も申請を出したんですが、入管からの審査が通らなくて、最終的には日本人と結婚して配偶者ビザを取得しました。

ビザ申請には正直手こずりましたが、これからもどんどん積極的に外国人の雇用をしていきたいと考えています。

現場レベルで外国人雇用に対する違和感は全くありませんでした

ベトナム人社員のズエンさん

ーー外国人を受け入れる際に、抵抗や違和感はありましたか?

外国人を受け入れる時に、社内における抵抗や不安は特になかったですね。

というのも、弊社は福祉畑の方が少数派で、元々未経験の方が6割という社内環境であったことが大きいと感じています。中途も新卒もそうなんですけど、「未経験で入ってから資格を取得・介護福祉士を目指していく」というマインドが形成されていました。

そういった環境なので、弊社には本当に多種多様なバックグラウンド・職業の方が在籍しています。ボクサー・書道家・インフルエンサーだった方や、アパレルや飲食店のサービス業系で経験を積まれている方など、いろんな職業の方を受け入れているので、外国人の受け入れに対して現場レベルで全く違和感はなかったですね。

社員のバックグラウンドだけではなく、社内制度としても、創業当初からダブルワークOKですし、資格取得支援や子連れ出勤もOKにしてたんで、比較的自由な社内環境だったことも影響しているかもしれません。時代が今逆に追いついてきた感じがしますね笑。

ーー実際に受け入れてみて、同僚やお客さんのフィードバックはどうでしたか?

ゲストからも外国人の方がいい、真面目でしっかりとやってくれるという評判をいただいています。

熱心だし、優しいし、思いやりがある。一生懸命さも伝わってくるので、本当にホスピタリティは高いと感じています。なので、評判が悪いというのは今まで採用した中では一切ないですね。

日本人のキャストからも、評判は良いですね。介護業特有の日本語を覚えるのは大変だったと思いますが、わからないことは必ず聞き、どんどん知識を吸収してものすごいスピードで成長してくれています。今では、従業員同士でプライベートでも食事や遊びに行ったり等、CLOVERにとってはなくてはならない存在ですね。

編集後記

今回の前編では、株式会社CLOVER香丸社長に外国人雇用のリアルなお声をお話をお伺いしてきました。後編では、日本人社員の採用が成功している中で、どうして外国人雇用を選択されているのか、また、外国人雇用の課題点について深掘りしていきます。ぜひ後編もあわせてご覧ください!

なお、介護業界で受け入れ可能な外国人について知りたい方は、「外国人介護人材を雇用する方法は?在留資格や手続きの流れを徹底解説!」を併せてご覧ください。

一方で、すでに特定技能外国人に絞って雇用を検討されている企業様は「【特定技能】介護分野で従事できる業務や採用方法などを解説」をぜひ併せてご覧ください。

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インタビュー
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中村 大介

株式会社ジンザイベースCEO。1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。